さわやか易

いらっしゃいませ。名画を鑑賞するとき、その背景である歴史を考えてみたい。(猶興)

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「男はつらいよ}第8作は「寅次郎恋歌」、マドンナ役は池内淳子、ロケ地は岡山県備中高松。

この回は博の母が亡くなり、備中高松にて葬儀を行うことになる。

その後暫らく、泊まっていく寅さんが博の父、一郎(志村喬)から旅先での
農家のリンドウの花の話を聴き、すっかり、悟った気持ちになって柴又に帰って来る。

帰った寅さんが新しく開店した喫茶店の美人のママ(池内)にほれて振られる話である。

いつものパターンではあるが、私には忘れられないシーンがある。

前半、とらやに帰ってきた時の寅さんがちょっとしたことに気分を損ね、
おいちゃんと大喧嘩して外に飲みに行く。

その夜、寅さんが酔った勢いで飲屋で知り会った仲間をつれて帰って来る。
さくらに向かって、「ビールを注げ」、「歌を歌え」と酔っ払ってくだを巻く。

怒り狂ったおいちゃんは爆発寸前だ。

その時、さくらは黙ってビールを注いで歌を歌った。

♪♪・・・「かあさんが、よなべをして、てぶくろあんだだよぉ、
こがらしふいて、つめたかろうて、せっせとあんだだよぉ、
ふるさとのたよりはとどく、いろりのにおいがしたぁ」・・・♪♪

飲み仲間たちは静かに、帰って行く。

自分の馬鹿さ加減に気付いた寅さんもその夜、そのまま、旅に出る。

柔が剛を制する道として「風天小畜」という卦がある。常軌を逸した夫、君主を妻、臣下が宥めようとする象である。陽に対して陽では破綻する。こんな時、陰の力は貴重である。

職場でも、家庭でも、理不尽な仕打ちに切れそうになることもある。

そんな時、このさくらのことを思い出せれば我慢も出来るだろう。

山田洋次監督が最も、力を入れる場面でもある。

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