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Gさんは3人兄弟の長男、子供の時から「お兄ちゃん」と呼ばれ頼りにされていた。
Gさんが銀行員として就職して5年目に結婚したがその直後に、不動産業を営んでいた父親がガンのため死亡した。家には母親と大学生の妹、高校生の弟がいた。しかも多額の借金が残った。
銀行員として将来を嘱望されていたGさんであったが、一家の生活を考えるとサラリーマンの給料ではとても養っていけない。考えた末、思い切って不動産業として独立する道を選ぶ。
心機一転、父親が残した事務所と顧客を元に妻を事務員として一からスタートを切った。早朝から徹底的に勉強し、午後からは営業活動にと一心不乱に仕事した。
幸いGさん夫婦の努力は報われ、10年後には借金も完済し、妹も弟も大学を卒業し社会人となりそれぞれ相手を見つけて結婚していった。
Gさん夫婦には一男一女の子供も出来、母親と5人家族の家を新築することも出来た。自分の会社も社員5人を抱える所帯となりようやく軌道に乗り始めた。
一家を養うということは長男として生まれたGさんには当然の義務として受け入れ、妹、弟たちにも「お兄ちゃん」として頼りにされた。息子はプロゴルファーの道、娘にはヴァイオリンを習わせ音楽大学に進ませた。「どうしてこんなに金がかかるのか。」と思ったがそれを励みにGさんはがんばった。
子供たちも独立して、ようやく余裕が出来たGさんは妻とよく旅行するようになった。自分の人生を振り返って思う。「家族を養うというのが俺の人生だったなァ。」「これからは自分たちの心を養うようにしよう。」
「山雷頤(い)」の卦。養う意味である。頤はあごのこと。人はあごを動かして食物を取り入れ自分の身体を養う。身体を養う。精神を養う。家族を養う。社員を養う。国民を養う。養うの道は多様である。
人は自分や家族を養っている。そして養われている。国家にも社会にも自然にも天地にも。
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