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Kさんは妻のM子さんがいつも手を焼くがんこ者。仕事が終われば酒と大好きな矢沢永吉で盛り上がる。常にゴーイングマイウェイである。
例えば食生活。50歳を過ぎた夫の健康を心配して出来るだけ野菜を食べて貰おうとする。ところがKさんは「俺は虫じゃないんだから葉っぱばかり食わすなよ。」「そもそも肉食の民族の方が世界をリードしてるじゃないか。肉を食わなきゃ元気が出ないんだ。」
健康には人一倍自信があった。それに大の医者嫌い。健康診断も行きたくない。そのため、50を過ぎてから時々胃の調子がおかしかったが、「なあに、大したことはないさ。」放っておいた。
ある日、余りの腹部の激痛に立つことも出来なくなり、救急車で病院に運ばれた。診断の結果は胃がんだった。しかも深刻な事態にまで進んでいる。即入院、即手術しなければ手遅れと言われた。
流石のKさんも観念して手術を受ける。手術は胃の3分の2を摘出したが、幸い他への転移はなく無事に終わった。
ところがその後に何を出されても、喉を通らない。いつまでも点滴しか栄養が取れない。心配したM子さんはテレビで知った玄米スープを作って持ってきた。
始め嫌がっていたが、試みてみると不思議に喉を通る。しかも身体中に染み渡るような感覚を覚えた。優しさと暖かさが何とも心地よく全身に行き渡る。
Kさんは思わず「有り難う。」と妻に言った。妻にお礼を言ったことなど嘗てない。M子さんの方がびっくりして「どうしたの、大丈夫?」
玄米スープはKさんを変えた。「なんて俺は馬鹿だったのだろう。」自分の生き方まで反省した。Kさんにとっては大きなカルチャーショックだった。
退院後のKさんの食生活は野菜中心、主食は玄米。しかもKさんは近くに借りた畑で野菜つくりまで始めた。M子さんへの感謝も忘れなかった。夫婦円満は近所でも評判になった。
「離為火」の卦。八卦の「火」が上下に重なった卦である。「火」は文明、文化を意味する。又「離」は離れる意味ではなく、易では反対に付くという意味がある。そこで新しい文化に出会うというドラマにして見た。
日本人には米が一番。しかも玄米で食べるのが最も健康に好い。
解っているのにどうして実行しないのだろうか。
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