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幼い時から絵本作家に成りたいと言っていた貞は、長じて児童の教育に携わりたいと志を立てていた。充実した留学生活を送り、卒業論文に追われていた頃である。
広いキャンパスを本を抱えて歩いていると、一人の50代の美しい夫人が貞を呼び止め声を掛けてきた。「貴方はもしかして、テイではありませんか?」貞は誰だか検討が付かなかったが、「はい、私はテイです。」と答える。
「やっぱりテイなのね。ママにそっくりね。昔、貴方はママと一緒にカッスルクームに住んでいたでしょ。同じアパートにいたケイトおばさんよ。覚えてるかしら?」貞は直ぐに思い出した。「はい、覚えています。ジュードと良く遊びました。ジュードは元気ですか。」「元気、元気、今ではこんなに背が高くなってプロサッカーの選手をしてるわ。ところで、ママとパパはお元気?」「はい、元気です。ケイトさんに会ったと聞いたらきっと大喜びします。」
利子は貞からのメールで一部始終を知る。ケイトは小説家として大成功し、今はK大学の客員教授をしているという。「貞の卒業式に是非会いましょう」との伝言もある。利子は胸が熱くなってきた。
ケイトとの出会いは、もう20年前である。龍が亡くなり、絶望の毎日を送る利子は何もかもを忘れる為に、貞一人を連れて旅立った。住むことにしたのが、コッツウォルズの小さな村であるカッスルクームだった。
そこで出会ったのが、女優を辞め、離婚して一人息子のジュードを連れて、小説ひとつに再起を賭けていたケイトである。二人は意気投合して共同生活をする。ケイトは小説作り、利子は協力しながら子育てをした。二人にとって夢のような共同生活こそ忘れることの出来ない新しい人生の原点である。
卒業式の日、K大学のメモリアルホール。門の外に出て待っていたケイトと利子は感激の再会をする。
その夜、亨を交えてホテルのバーで昔話に花を咲かせていた。そこに新しい出会いを創った二人が登場してきた。
貞と晋(しん)である。貞は親しく付き合っている友人と言って3人に晋を紹介する。亨は晋の笑顔に亡き龍の面影を見た。利子は会った瞬間に貞の結婚する相手だと感じた。
******** 上卦は風。
******** 巽順、従順を現す。
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*** *** 下卦は沢。
******** 喜ぶ、楽しむを現す。
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「風沢中孚」の卦。中孚(ちゅうふ)は誠心誠意である。親鳥が卵を暖めて孵化させる象である。誠意をもって取り組んでいけば、どんな困難も克服して志を成就することが出来る。
「至誠天に通ず」人が損得を忘れ、無心になって誠意を尽くす時、
利害打算では考えられないことが起こるものである。
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