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易の基本思想
「易学入門」は「序説」「易の基本思想」「易経の生成」「易経本文の解説(上下)」で成り立っている。本文に入る前に基本と周辺知識を学ぶのであるが、これが容易ではない。しっかりとした内容と深い哲学がある。入門書だと思って甘い気分で取り組む者はこの時点で大抵放棄することになる。
しかし、腰を据えて取り組んでみると実に味わい深いものがある。基本思想のところでは、「天人合一観」の中で易とはどんなものかを説いている。「易は天地と準ずる。故に能く天地の道を彌綸(びりん)する。」「天地と相似たり。故に違わず。」など「繋辞伝」からの引用で易の本質に迫る。
「生」のところでは、A・シュワイツァーの自伝を照会し、「2千年の後も、2千年の前も、真理に変わりはない。いかに生くべきか。いかに生かすべきか・これが易である。生は天地の大徳なのである。」とある。
「生動と幾」では、思想学問が型に嵌まりがちで機械的な、独りよがりになる危険を説く。ダーウィンの自伝から、彼が人間性の情緒的部分を弱めてしまった反省を照会している。
「商に商機あり、政に政機あり、商機を知らず、政機を知らずして、商売や政治に成功することはできない。」「易は最も機を重んじ、機を捕へて、機化の妙用に参じ、霊活な行動をとらうとする者である。」
「性命・運命・命数」では、私たちの人生が限りなく神秘に満ちており、どのように変化していくか生きてみなければ解らない。「その人にいかなる素質能力が伏在潜蔵しているか、それこそ偉大な課題であろう。その性能を開発して、人生・社会・天地の為に必要な仕事をするのが人間の意義であり、使命である。これを『命を知る』『命を立つ』といふ。易経にも、夫れ易は物を開き、務を成し、天下の道を冒(つと)む。斯の如きのみなる者なり。(繋辞伝)といっている。」
「陰陽相対(待)性原理」の中では陰陽の原理と東洋思想と西洋思想の違いを説いている。この一文を読めば、易が世界の思想中最も中心にあることがよく解る。「陽は造化の活動し、表現し、分化し、発展するエネルギーである。然しこれに偏すれば、活動は疲労し、表現は貧弱となり、分化は散漫・分裂し、発展は衰滅する。これを救うものは陰のエネルギーである。これは順静・潜蔵・統一・調節の作用をする。この互性がはたらいて始めて活真を得る。もし陰に偏すれば萎縮し、固執し、沈滞して、やはり衰滅する。二者相和して始めて新しい造化が行はれる。これを「中」すという。物はすべて陽に向ふが、陰を待って、始めてよくその全體性・永続性を得る。故に造化を我々の歩行に徴して「道」と言えば、陽は道の用であり、陰は道の體である。」
「西洋文明の本領は個人主義的で、我の自覚が明らかであるから、自治的で、権利・義務の観念に富み、功利に長じ、構成に巧みで、知性的・表情的・野心的なところは明らかに陽性である。東洋文明は没我的で、理想を求め、献身的であるが、自覚に乏しく、直感的・幽情的・内省的で、陰性である。」と文明論を展開する。易を知ることはすなわち「天地の道を彌綸(びりん)する」の通り天地の法則を知ることだと知らされる。
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