さわやか易

いらっしゃいませ。名画を鑑賞するとき、その背景である歴史を考えてみたい。(猶興)

ある夫婦の物語

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これは易の下経34卦を1卦づつドラマにしたものです。
易の順番には大きな意味と教訓がありますので、連続ドラマに仕立てようと試みました。
しかし作ってみると、力不足で容易ではありませんでした。
無理やり繋げた面もあり、易の解説も稚拙なものです。
それでも一組の夫婦が大きな試練の世の中を懸命に生き抜き、「悔いのない人生」にしようと頑張る姿を感じていただけましたら、幸いです。(猶興)
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その19ー四面楚歌ー

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黒い霧事件後の航空機部は重苦しい空気の中にある。部長である亨は正に「四面楚歌」の渦中に居た。
 
亨が何か提案しようとしても、「お言葉ですが部長、その件は少々問題が・・・・」と言葉は柔らかいが5人の課長たちは言うことを聞こうとしない。素直さを失くしたエリート程、始末の悪いものは無い。
 
もともとこの部は失脚したW専務が育て上げたエリート集団だが、今では陰険、反感、猜疑心が充満している。
 
ある日、亨は社内一の情報通である同期のMさんと酒を共にした。「中々うまく行かず苦労しているよ。」と言うと、「それはそうだろう。あの連中は皆Wチルドレンだ。」
 
さらに「こんな話を耳にしたぞ。4年前、お前の左遷先は南米ペルーに決まりかかっていたのを当時のE常務が反対してハイエナに遣った。何かと面倒を見てやり業績を上げさせた。そこでお前に例の情報を流させた。航空機が墜落したところで、自分が社長になりお前を部長に起用したというのだ。始めからその計画だったというのだ。」
 
(何という馬鹿な話だ!)亨は驚きを通り越して呆れてものが言えない。さらにMさんは「敵はチルドレンを使って生命線である航空機の業績を低迷させ、E社長の退陣とお前の国外追放を目論んでいるらしいぞ。」
 
「随分、陰湿なんだな。」「役員同士の権力争いなんてそんなもんだろう。時間はそんなに無いぞ。」
 
(改革の期待は若手たちの台頭しかないのだが、それまでもつかどうか。)着任依頼、若手の勉強会には必ず出席し、専門的勉強と同時に人間学の勉強を継続している。教材は安岡正篤編による「光明蔵」である。
 
窮地に臨んで迂遠なようではあるが、こんな時こそ落ち着きが必要と信じるからである。「ぶれなければ、道は開ける。」紅蘭の予知を信じる他に無い。
 
***  *** 上卦は沢。
******** 人間での配当は少女。
********
******** 下卦は火。
***  *** 人間での配当は中女。 
******** 新しい文化を表す。
 
「沢火革「の卦。革命、革新、変革の革である。革命前夜の象。古いものを変えて新しいものを創り出す過程であるが、あくまで正道を貫くべきである。
 
「光明蔵」の中には孟子の「受任者」がある。(その一部)
 
天の将に大任を其の人に降さんとするや、必ず先ず其の心志を苦しめ、其の筋骨を労し、其の体膚を餓えしめ、其の身を空乏にし、行いには其の為す所を払乱す。心を動かし、性を忍び、其の能くせざる所を増益する所以なり。

その18ー謎の死ー

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警察でも紅蘭の死は謎であった。自殺にしても他殺にしても動機が見当たらない。
 
紅蘭は経済的にも豊かであり、対人関係にも健康にもトラブルは全く無い。死亡したホテルの部屋にも手がかりはなく、いったい何故青酸カリ入りのワインを飲んだのか不思議というしかない。
 
唯一警察が注目したのが、死亡の3日前に男と深夜まで二人きりでホテルのバーに長時間いたことだ。その男が何かの事情を知るのではないかと期待した。その男というのが亨だった。
 
亨はその日、世話になった紅蘭とホテルのレストランで食事をし、その後バーで話をしたことを丁寧に説明した。
 
刑事が「何か思い当たることはありませんか?」と質問するので、「彼女は仏教やカント、ハイデッカーなどの哲学を深く研究しており、独特の人生哲学を持っていました。常に『明日死んでも悔いは無い』と言っていました。」と答えた。
 
鑑識からの報告があり、ワインへの青酸カリの混入は少なくとも半年以上前であるという。警察は以前から準備していた自殺と断定した。
 
亨は自分と同じ歳で逝った紅蘭との会話を思い返していた。
 
「貴方は何のために、誰のために生きるの?一番したいことは何?」
自分のため、家族のため、会社のため、社会のためですかね。一番したいことは、やはり仕事です。仕事は楽しい。裏切らない。ラグビー見たいなもの。熱くなれます。」
順調に来たのね。でも少し甘いわね。もっと上になると解るけど、仕事の世界は戦国時代と同じよ。」
紅蘭さん、貴女は何のために、誰のために生きるのですか?そして一番したいことは何ですか?」
私は誰のためでも無い。私をこの世に送り出したもののために生きるの。一番したいことは恋よ。命がけで生きる男が好きよ。でも、私は紅蘭でしょ。紅の蘭よ。紅蘭として輝いて生きるだけ。輝けなくなったら、何時でも元居たところに帰るつもりよ。」
貴女の輝いている理由が解りました。命がけで生きているのですね。貴女の輝きは命が輝いているですね。でも、その元居たところとは?」
空(くう)の世界よ。『色即是空』の空よ。もともと私たちは空なのよ」
僕には良く理解できないけど、貴女にはいつまでも輝いていて貰いたいです。」
貴方も輝いて生きてね。ところで私はこの頃先が見えるの。貴方にはこれから『四面楚歌』の時が来るわ。でも、ぶれずに居ること。必ず道は開けるから。」
「肝に銘じて置きます。どうぞ、お元気でいて下さい。」
 
***  *** 上卦は水
******** 混沌とした世界を表す。 
***  ***
******** 下卦は風
******** 従順を表す。
***  ***
 
「水風井」の卦。井戸は人を養って尽きることがない。命の糧である。
 
普段は有難みが忘れられているが、人間を養ってくれているもの。
 
命に感謝したい。無駄に生きてはいないか。
 

その17ー衝撃ー

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利子が通訳の仕事に復帰して既に5年。小6に成長した貞を見守りながらの仕事と家庭の両立は充実していた。

久しぶりに家族3人のハワイ旅行を計画。転勤前で多忙な夫・亨にどうにか休暇を取らせることが出来た。

ハワイで3人が最もびっくりしたことは目の前に巨大な鯨を見ることが出来るホエール・ウォッチングである。生物の偉大さ、不思議さに改めて感動した。

ワイキキビーチでは海水浴。貞のはしゃぎ回る姿が微笑ましい。夕方からのディナー・クルーズでは海上からホノルルの夜景を満喫しながらバンド演奏を楽しんだ。

亨も利子も(ここに龍がいれば)と思ってしまうが、3人の家族が健康でいられることに感謝した。

あっという間の3日間が過ぎ、帰国の途に着く。

3人が成田の到着ロビーに出たところで、3人の男性に取り囲まれる。亨の名前を確認されて、「同行願います。」と告げられ、利子と貞を残したまま亨は連れて行かれた。

警視庁の刑事たちであった。利子は何が起こったのか全く理解出来ず、茫然と立ちすくむ。

訳の解らぬままタクシーで自宅に帰った。新聞を見ると驚くべき見出しが飛び込んで来た。

「元女優・紅蘭、謎の死。」「自殺か?他殺か?」「ワインから青酸カリ、他殺の可能性が大。」新聞は「第2のマリリン・モンロー事件」として大々的に扱っている。

さらに利子は息を呑んだ。「警察は行方を消した商社員が何らかの事情を知るものとして捜査している。」

***  *** 上卦は沢。
********
********
***  *** 下卦は水。
******** 困難、悩み、問題を表す。
***  ***

「沢水困」の卦。沢の水が下にあり、枯渇した象である。困難に直面する意味である。資金難に見舞われるとも見る。八方塞の時であるが、試練の時こそ人間の真価が問われる。

人生には3つの坂があると言われる。

上り坂、下り坂、そしてもう一つは「まさか」という坂である。

その16ー飛躍ー

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亨がハイエナ社に着任してから3年が経つ。ハイエナ社は飛躍的成長を遂げる。

着任前と比較すると、売上高は10倍、社員数は2倍になっていた。旧ビルの2階では手狭となった為、新ビルに移転することになる。

一方、本社では激震に見舞われていた。かつて亨が心配していたことが現実になったのだ。航空機部と防衛省幹部との癒着が明るみに晒された。

連日、マスコミの標的になり本社は蜂の巣を突付いたようである。担当役員のW専務は贈賄容疑で逮捕され、社長以下役員の半分が退陣した。新社長になったのはE常務である。

今日はハイエナ社の新事務所開設のパーティが行われている。

本社が世間からの非難を浴びていることもあり、「なるべく質素に。」と亨は言ったが、社員や関係者の熱気はそんな陰気なムードを打ち消した。

本社からはE新社長も駆けつけ、挨拶に立った。「本当におめでとう。君たちの頑張りは我社の奇跡と言われている。かつては君たちをハイエナ軍団と呼んでいたと聞いているが、今では立派なライオン軍団である。今後も大いに羽ばたいて貰いたい。」

紅蘭も挨拶に立ち花を添えた。「私は日本のサムライが大好きです。亨社長はサムライの中のサムライです。私の大好きなタイプです。」会場は一気に盛り上がり、やんやの歓声が飛び交った。

亨の側に来たE新社長がそっと言った。「流石だね。良くやったよ。しかし君には航空機に戻って貰うぞ。部長として立て直して貰いたいのだ。頼んだぞ。」

***  *** 上卦は地。
***  ***
***  *** 
******** 下卦は風。
******** 芽を出した若木を表す。
***  ***

「地風升」の卦。地の下に芽を出した若木が天をめざして伸びゆく様を示す象である。強烈な生命力、時を得ること、協力者に恵まれること。3つの条件が必要である。

樹の成長にならい、小を積み重ねて次第に大きくなることが良い。

自信を持つことは大切であるが、協力者への感謝も忘れてはいけない。

その15ー紅蘭ー

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元ハリウッド女優・紅蘭は香港生まれで日本に育ち、日本の映画界からハリウッドへ渡った。

ハリウッド映画に相継いで出演、大胆なベッドシーンは日本でも話題を集めた。映画界を引退し米人映画監督と結婚。その後離婚して10年前に日本に帰っていた。

紅蘭の話は現在複数の企業や団体からの依頼で、日本に来る外国の要人の接待係のようなことをしている。そこでは様々なビジネスの話が出ることがある。そんな話を引き継いで貰いたいとのことである。

「お断りする理由は在りませんよ。喜んでお引き受け致します。勿論、ビジネスが成立しましたら成功報酬はお払いします。」亨は答えた。

「本社にお伺いを、とは言わないのね。A子さんが言った通り貴方は大物だわ。」「気に入ったわ。仲良くやりましょう。」紅蘭はにっこり笑って亨と握手をして帰って行く。その美しい後姿に亨はしばし見とれてしまった。

その後、紅蘭からは度々連絡が入り、時にはびっくりする程大きな取引が成立する。しかも外国の要人との人脈が出来たことはもっと大きな収穫であった。

ハイエナ社は亨が社長になってから、すっかり変わって来た。なにより人の出入りが目立って増えている。本社の元の仲間、同期、部下は勿論、大学のラグビー仲間、その後輩たち、あらゆる人たちの集まる場所になっていた。

とくに夕方を過ぎる頃からは、さながら現代の梁山泊となった雰囲気である。官僚、弁護士、銀行マン、証券マン、様々な職種の人々の集まりは居ながらにしてあらゆる世界の情報網である。

時折、紅蘭も顔を見せたので集まった男たちは盛り上がった。

***  *** 上卦は沢。
******** 喜ぶ意味。
********
***  *** 下卦は地。
***  *** 大地、従順の意味。
***  ***

「沢地萃」の卦。萃(すい)は人や物が集まるという意味である。
地の上に沢の象であり、砂漠にオアシスとも考えられる。
「鯉、龍門に登る」の象とも言われ、大吉の卦である。
しかし、人が集まれば不慮の変事もあり、警戒しなければいけない。

良きリーダーの元には良き人材が集まり、伸び栄える。

リーダーは天に感謝を捧げ、敬虔な態度を固く守ることである。

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