さわやか易

いらっしゃいませ。名画を鑑賞するとき、その背景である歴史を考えてみたい。(猶興)

歴史を易で観る(上)

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安岡学研究会における講師テキストとして作成しました。

易の卦には順番があり、これが大変教訓と興味をそそるものなのです。
そしてこの易の変化と歴史の変化には共通したものがあり、以前から不思議に感じておりました。
そこで、易にも歴史にも未熟であることを省みず思い切って両者の組み合わせを試みた次第です。
一般にも公開することにしましたので、読んで戴ければ幸いです。(猶興)
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天雷无妄

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天雷无妄 
 
(序卦伝)復すれば則ち妄ならず。故に之を受くるに无妄を以てす。
 
(卦辞)无妄は元に亨る。貞しきに利し。其れ正しきに匪ざれば眚有り。往く攸有るに利しからず。
 
(大象)天の下に雷行き、物輿无妄なり。先王以て茂めて時に対して萬物を育す。
 
天の下に雷が轟きわたり万物至誠なり。先王勉めて天の時に応じ、万物を養い盛んならしめること。人生には欲では解らない不思議な働き・清機がある。
 
佐藤一斎の詩に「赴所不期天一定、動於无妄物皆然」期せざる所に赴いて天・一に定まる。无妄に動く物皆然り。物事はむしろ人間の思いもかけない所に往ってしまって、おのずからぴたりと定まる。天の所為である。人間の恣意によらず、天の无妄・自然の心理によって動く、何ごとによらずさうである。
 
无妄は自然の運行
 
初九は「无妄なり。往きて吉。」天に任せて進めば吉である。この卦の主爻であり、全体がこの主旨と言って好い。九五は「无妄の疾なり。薬する勿れ、喜有り。」健康なものでも思いもよらず病気することがある。そんな時でもあわてず静かにしていれば自然に治り、喜びがあるものである。健康人は向こう見ずでなければならぬ。健康人の基本的機能は、おっかなびっくりやってゆくやうなものではない。
 
兎角、人間は考えすぎ余計なことをして仕舞いがちである。心掛けさえ間違っていなければ、後は天に任せておけば好い。王陽明の「啾々吟」のなかにも「歩に信せて行来すれば皆坦道。天に憑りて判下す、人謀にあらず。」とある
 
 
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 岩倉使節団
 
岩倉使節団に見る天雷无妄
 
明治4年11月、先進国視察と不平等条約改正を目的とする遣外使節団が横浜から出航した。団長・岩倉具視、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文らの政府要人の他、米国留学生など総勢100人の集団洋行である。出発に際して三条実美は一向に詩を贈った。「行けや海に火輪を転じ、陸に汽車を輾らし、万里馳駆、英明を四方に宣揚し、つつがなき帰朝を祈る。」
 
一向はアメリカ、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ロシア、イタリーと巡遊。不平等条約の改正はならなかったが、一行は各国で歓迎された。新文明の見聞はその後の日本の針路が決まった。中でも大久保がドイツの鉄血宰相・ビスマルクとの会見は大きな収穫があった。
 
大久保は日本の富国強兵の道筋を描くことが出来た。列強の圧力に耐えるための軍隊。そのための富国。そのための殖産、工業、商業、貿易、海運。それを支える農業、林業、漁業。各分野を発展させるための科学、科学者を生むための基礎教育。大久保の脳裏には明治日本の設計図がはっきりと出来上がった。この設計図に基づいて明治日本の建設は一心不乱にまい進することになる。

地雷復

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地 雷 
 
(序卦伝)物は以て尽くるに終る可からず。剥すること上に窮まれば下に反る。故に之を受くるに復を以てす。
 
(卦辞)復は亨る。出入、病无く、朋来りて咎无し。其道に反復し、七日にして来り復る。往く攸有るに利し。
 
(大象)雷、地中に在るは復なり。先王以て至日に関を閉じ、商旅行かず、后方を省みず。
 
復は陽が復って来ることである。しかし陽気が盛んになるのではなく、一陽来復の後に冬至より一層寒い小寒が来るのである。
 
大象は先王は冬至の頃は関所を閉じ、商人、旅行者も足を止め静かにしている。天子も巡幸視察を休み安静にして微弱なる陽を養い育てる。乾卦の初九「潜龍勿用」と相似たる趣がある。
 
地雷復は回復の原則
 
幕府の引退が明治の維新、日本の世界的躍進となったような象である。しかし、各爻は過ちを改めて復する主旨ととらえ、吉あれどもそれ程景気の良い爻はない。何故なら陽気の兆しが出たばかりだからである。慎重に取り組むべきことを説くからである。
 
初九は主爻「遠からずして復る。悔に祇る无し。元吉。」反省し身を修めることが肝要なり。六二、六三、六四、ともに正道に復すれば咎无しと説く。
 
六五の「敦く復る。悔无し。」も篤実な心で正道に復せば咎はないのである。ただ上六だけは「復るに迷ふ。災眚有り。用って師を行れば終に大敗有り。其國君を以てす。凶。十年に至るまで征する克はず。」固陋な習慣から抜け出すことが出来ず考えを改めない。凶なること確実である。災害はいつまでも続くだろう。
 
 
 
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明治天皇。1852〜1912
 
明治維新に見る地雷復
 
1868年(慶応4年)明治天皇は紫宸殿に参集した百官群臣を前にして「五箇条の御誓文」を布告した。
 
1、広く会議を興し万機公論に決すべし。
 
1、上下心を一にして盛に経綸を行うべし。
 
1、官武一途庶民に至る迄、各其志を遂げ人心をして倦まざらしめんことを要す。
 
1、旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし。
 
1、知識を世界に求め大いに皇基を振起すべし。
 
同年9月、元号は明治と改元され、江戸から改められた東京に遷都された。こうして新時代は幕を開けたのである。鎌倉時代より約700年続いた武士が統治する時代から議会制民主主義の時代への大転換である。
 
こうして東洋の小さな島国である日本が世界に向けて船出した。欧米列強を習い中央集権による近代的政治体制を取り入れた日本。これと言った産業も経済力もないまま、欧米以外では初めての近代国家が誕生したのである。
 
 

山地剥

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山 地 剥
 
(序卦伝)賁は飾るなり。飾を致して然る後に亨れば則ち尽く。故に之を受くるに剥を以      てす。
 
(卦辞)剥は往く攸有るに利しからず。
 
(大象)山地に附くは剥なり。上以て下を厚くし宅を安んず。
 
富裕・栄達・文化に免れ難いのがこの事象である。陰が上昇して、僅かに上の一陽がふみ止まっている象、剥落の機である。
 
顚覆崩壊の危を示すものであるから、大象は「下を厚くし、宅を安んず」と説いている。地盤が大切である。依って立つ処を注意せねばならぬ。
 
山地剥は退勢の極致
 
寝台に運ばれた者が剥落していく状態を表している。初六、六二、六四は凶。六三は上九に応じるので咎なし。六五の「貫魚の如く、宮人を以ゐて寵せらる。利しからざるなし。」とは五陰の主爻として陰に徹するのである。日本流に言えば「まな板の鯉」である。救いの道が開ける。
 
上九の「碩果、食はれず。君子は輿を得、小人は廬を剥す。」最後まで君子を貫けば君子として遇せられる。六五と上九を思うとき、幕末の徳川慶喜は六五の道である恭順を貫いた。上九としては高橋泥舟、山岡鉄舟、勝海舟の存在である。
 
 
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高橋泥舟。1835〜1903 
 
江戸無血開城に見る山地剥
 
大政奉還後には王政復古のクーデターというべき小御所会議があり、そして鳥羽・伏見の戦いと続く。徳川慶喜は薩長が掲げた錦の御旗に驚き、朝敵になるのを恐れ江戸に逃げ帰る。
 
勝海舟、高橋泥舟らは協議の上、慶喜を上野の寛永寺に謹慎させる。官軍には抵抗せず朝廷に恭順の態度をとった。東北列藩を中心に主戦派は戦おうとする。幕府の遊撃隊とも一触即発、泥舟は慶喜を警護するため動けない。泥舟の代わりに東征軍の総司令官・西郷隆盛に談判に行ったのは義弟・山岡鉄舟である。
 
鉄舟はあくまで武力行使するという西郷に「江戸城を明け渡し、ひたすら恭順するというものに武力行使とは、それが朝命なのか!」と訴えた。海舟は通訳アーネスト・サトウを通じて、英公使・パークスの援護を得るべく工作をする。パークスは今後の両国のため戦争を避けるよう西郷へ働きかけた。こうして薩摩藩邸における西郷と海舟の会談により、江戸城無血開城は実現した。

山火賁

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山 火 賁
 
(序卦伝)嗑とは合うなり。物は以て苟くも合うのみなる可からず。故に之を受くるに賁を以てす。
 
(卦辞)賁は亨る。小しく往く攸有るに利し。
 
(大象)山の下に火有るは賁なり。君子以て庶政を明らかにし、敢て獄を折むる无し。
 
物を美しく飾る。物と物、人と人との間に礼儀作法などを定めて、物事を文飾する卦である。論語の雍也編に「質、文に勝てば則ち野。文、質に勝てば則ち史。文質彬彬として然る後に君子なり。」
 
文明は進歩と共に止まることを知らねばならぬ。文明は進歩と考えて素朴から乖き離れると、容易に文弱となり、頽廃堕落して破滅する。真の文明は自然に合致して、剛健を保たねばならぬ。
 
 
山火賁は文化の原則
 
全爻に凶なるものはないが、下の離は文明、文化の卦であるので、積極的に飾ろうとする。上の艮はそれを止めようとする卦である。初九の「足を賁る。車を捨てて徒す」は歩くことから美しさを表すことで教訓がある。
 
六五の「丘園を賁る。束帛戔戔たり。吝なれぢも終に吉。」は支配的立場に於いては特に質素なので吉、喜がある。富裕や栄達や文化はすべて危いことを心得ねばならぬ。
 
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大政奉還。1867年(慶應3年)10月
 
大政奉還に見る山火賁
 
幕府は第2次長州征討で敗退すると、心労の為か将軍・家茂が京都にて陣没する。将軍に就いたのはかつて家茂と将軍職を争った一橋慶喜である。その頃、イギリスと植民地獲得競争をしていたフランス公使・ロッシュはイギリスが薩長に肩入れしていたので、対抗上幕府に近づいた。
 
ロッシュは幕府に対しあらゆる援助を惜しまないと約束し、勘定奉行・小栗忠順らと図り横須賀に製鉄所と造船所を建設する。また、軍政制度の近代化にも着手、フランスから18名の教官を呼び軍事訓練を開始した。
 
しかし、新体制が整う前に倒幕運動を察知した幕府は、土佐藩からの建白を受けて大政を奉還することにした。これは倒幕派の機先を制し、改めて朝廷より政権を徳川家に委任してもらうためである。260年間政権の座にあった徳川幕府の体面を繕うものでしかない。しかし、それもつかぬ間であった。薩長を中心とする倒幕派は王政復古に向けて動き始めていた。
 
 
 
 
 
 

火雷噬嗑

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火 雷 噬 嗑 
 
(序卦伝)観る可くしてしかる後に会う所あり。故に之を受くるに噬嗑を以てす。嗑とは合うなり。
 
(卦辞)噬嗑は亨る。獄を用ふるに利し。
 
(大象)雷電は噬嗑なり。先王以て罰を明らかにして法をととのふ。
 
噬は噛む。嗑は合うこと。何かを噛み合わせる象。また合同することでもある。合同するときは必ず妨害するものがあり、それを解決して合同する道を説くのがこの卦である。
雷の卦は動くことであり、離の卦は明智である。噬嗑を成し遂げるためには明智と剛毅果断なる威力の二つの徳により成り立つのである。
 
火雷噬嗑は罪と責
 
六爻の辞は初九と上九とを罪人と観て、他の四爻はその罪人を取り締まる役人としている。罪人を肉に見立てどう咀嚼するかに例えている。
 
六二の肉は軟らかい肉であり、六三、六四、六五、と次第に硬い乾肉となり苦労する。各々努力は報われ秩序の確立を示している。
 
罪人である初九と上九は抵抗を恐れて悪を排することを好い加減にしておくと、遂には獄刑を科せねばならぬことを生じて凶である。
 
 
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坂本龍馬。1835〜1867
 
薩長同盟に見る火雷噬嗑
 
長州軍が会津、薩摩を中心とする幕府軍と戦って敗れた禁門の変の結果、長州は朝敵とされ幕府からは征討を受け窮地に陥る。一方の薩摩藩も幕政改革の展望が開けず、幕府への強硬論が高まっていた。その頃、イギリス公使・パークスは長州の高杉晋作と会談、雄藩の連合を勧める。
 
土佐の脱藩浪人である坂本龍馬や中岡慎太郎は薩長同盟に動き出す。龍馬は長州が欲しがっていた武器弾薬を薩摩名義で輸入するなどの便宜を図り、犬猿の仲であった両藩の代表西郷と桂を会見させることに成功した。龍馬が最も苦労したことは両藩ともに自藩の面子ばかりを主張したことである。龍馬は激怒して言った。「日本という国のことは、どうするつもりか!」西郷も桂も目が覚めたことだろう。
 
幕府による第二次長州征討には薩摩は出兵を拒否したため、新兵器により巻き返した長州藩が勝利を収める。260年続いた徳川幕府にとって始めて一つの藩に屈した。もともと幕府には強力な軍事力はなく、これをきっかけに新時代の夜明けが見えて来る。
 

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