さわやか易

いらっしゃいませ。名画を鑑賞するとき、その背景である歴史を考えてみたい。(猶興)

易学入門

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震と巽

震と巽は乾坤の長男と長女です。この二卦も相対と同時に相待の関係にあるものです。
 
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震(しん)の卦
 
乾の長男らしく活動、行動、の働きを受け持ちます。自然では雷に配当され、雷の卦とも呼びます。

震や雷を連想していただくと良く理解出来ると思います。「震は動くなり」下にある陽爻(こう)が上に昇ろうと盛んに活動することです。

家族では長男、身体では足、動物では竜に配当され、その他にも竹、広い道、決躁(けっそう、切り進む)等。発明や発想、決心、発言、先頭に立つ、新しく何かを始めるというような常に次へ進む性質です。
 
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巽(そん)の卦
 
坤の長女らしく従順、受け入れる、へりくだるの働きを受け持ちます。自然では風に配当され、風の卦とも呼びます。風を連想していただくと良く理解出来ますが、表面的には柔順ですが、長い目で見ると、粘り強く、したたかな一面もあります。

「巽は入るなり」風は少しでも隙間があればいつの間にか入り込みます。家族では長女、身体では股、動物では鶏に配当され、その他にも木(加工し易い)、縄直(じゅうちょく、よく従う)、匂い(香り)、進退する、優柔不断等。

震の卦と相対的に考えると理解出来ると思いますが、震の剛に対して巽はあくまで柔です。

乾と坤

この乾坤二卦は八卦の中でも特別な二卦です。後の六卦は乾坤から出来た卦と考えた方が解りやすい。すなわち、乾が父で坤が母であり、その下に三男、三女があると考えるのです。この二卦は相対立すると同時に互いに引き合う相待の関係にあります。
 
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乾(けん)
の卦
 
陽と陰の項で説明した通り、陽の働きは活動、発展、剛健である、その陽の代表が乾である。自然では「天」を表します。ですから、乾の卦は「天の卦」とも呼びます。

「乾は健なり」で疲れることがなく、間断なく活動し、精力極めて強く、常に剛強である。太陽のような性質です。

家族では父に配当し、身体では首(かしら)、動物では馬、その他に王、君、玉、金、のような位が高く尊い存在を表します。

実際の天を連想していただくと良く理解出来ますが、無限に大きく、広く、高く、エネルギッシュで偉大なる存在です。
 
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坤(こん)の卦
 
乾と相対を成すもので、陰の代表である。
陰の性質である従順、柔弱、守静、貯蓄を全て受け持つものであり、万物の母でもあります。自然では「地」を表し・「地の卦」とも呼びます。

「坤は順なり」で全て乾の卦の命令に従い、極めて柔順にして少しも物に逆らいません。大地のような性質です。

家族では母に配当し、身体では腹(内臓)、動物では牛、その他に布(物を包む)、釜(物を容れる)、大輿(人を乗せる)等を表します。

実際の大地を連想すれば、あらゆる物を受け入れ、万物を養い、全てのエネルギーを蓄えている存在です。石油も石炭もその他の鉱物資源も全て内蔵しております。天に負けない偉大な存在です。

易学の三段階

易を理解するためには入り方が重要です。

闇雲に進んでも必ず途中で訳が解らなく例が多いのです。現に私自身も何度も途中で挫折致しました。

私の体験から申し上げるのですが、
(1)八卦の理解。(2)序卦伝の理解。(3)六十四卦の理解。に進むことが、最も無理なく理解できる道ではないかと思います。

(1)八卦の理解。
乾(けん)、坤(こん)、震(しん)、巽(そん)、坎(かん)、離(り)、艮(ごん)、兌(だ)。

八卦はよく当るも八卦、当らぬも八卦とよく使われている言葉ですが、卦とは占いから来た用語ですが、ここでは「か」と呼びます。八つの働き、性質、徳、要素、そんな意味と捉えて下さい。

この八つの卦を理解しないで先へ進みますと何が何だか解らなくなります。しかもどの本にも八卦の説明は少なく殆ど理解出来ません。そこで自己流ではありますが、「八卦の説明」を作りましたので参考にして下さい。

(2)序卦伝の理解。
八卦を上下に組み合わせますと8×8=64で六十四の卦が出来る訳ですが、六十四卦にいきなり飛び込みますと行き詰まりますので、その前に序卦伝をやります。

序卦伝とは十翼(孔子集団が作った解説書)の一つで六十四卦の順序を解説したものです。この順序が大変良く出来ておりまして、つくづく感心させられるのです。いったい誰がこの順番を定めたのかと思いますが、それは確認はされておりません。文王が作ったという説もあり、それ以前に既に出来ていたとの説もあります。
 
私は序卦伝で説く上経の順序が、かねて興味を持っていた幕末から明治維新にかけての歴史に共通することに気がつきました。そこで思い切った試みではありますが、「易を歴史で説く」という解説文を作ってみました。
 
(3)六十四卦の理解。
序卦伝を知り易の魅力が充分解った所で、じっくりと一つ一つの卦に取り掛かることです。六十四卦は文王が卦全体の意味を表した彖辞(たんじ)と周公旦が六つの爻(こう)を一爻づつ解説した象辞(しょうじ)(三百八十四爻)とがあり、始めは理解に時間がかかると思いますがあせらずやることです。
 
安岡先生も推薦している明徳出版の「易経講話」(公田連太郎著)が最もよく解ります。ただし、全五巻にて価格が5万円しますので余程やる気のある方だけにお奨め致します。余談ですが、昭和三十年代にこの「易経講話」の出版によって無名の小さな出版会社であった「明徳出版」が一躍、漢学古典の出版会社として全国にその地位を築いたそうです。

六十四卦がある程度解りますと、孔子の繋辞伝の深い味が身に沁みるように解って参ります。全て「易経講話」に網羅されております。

陽と陰

易は陽と陰の組み合わせであることは誰もが知るところです。

では、陽と陰はいったい何のことでしょう。この問題は簡単に考えればそれなりですが、突き詰めて考えますとこのテーマだけでも本が一冊書ける程の大きなテーマとなります。

世の中にあるものは全て陽と陰で成り立っているものなのです。自然全体、動物、植物、私たちの心も身体も、全て陽と陰で出来ております。しかし、ここでは陽と陰のエネルギーと考えてみましょう。

(1) 陽について
陽とはあらゆる生物が強く、大きく、美しく、活動、発展、繁栄するために天に向かって成長して行くエネルギーのことです。

一本の樹に例をとれば、大きく伸びて美しい花を咲かせ、立派な実を沢山実らせ種を無数に散らせ繁殖しようとするエネルギーことです。

人間で言えば、明るく元気に生き生きと生活し外にあっては、仕事、遊び、スポーツ、芸術あらゆる分野に大いに活動、発展するエネルギーことです。


(2) 陰について
陽に対して陰は反対に内省、守静、貯蓄、充電と言った力を内に蓄えるエネルギーのことです。

一本の樹に例をとれば、しっかり根を張って地の養分を吸収する、成長の為のエネルギーを蓄えるという作用です。人間で言えば、充分睡眠をとる、しっかり栄養をとる、休養をとる、勉強して精神と身体を鍛えて将来に備えると言ったことでしょう。

他にも陽は男性的、積極的、外交的、剛健、明、強、大、表、善、顕、動、酸性、プラス等。

対して陰は女性的、消極的、内向的、柔弱、暗、弱、小、裏、悪、潜、静、アルカリ性、マイナス等。

色々な陽と陰を考えることも易の勉強になります。

孔子と易

論語でおなじみの孔子ですが、孔子と易との深い関係については、意外に知らない方が多いものです。

孔子は「怪、力、乱、神、を語らず。」神についてや天国、地獄、神秘的な出来事については殆んど語ることをしなかった人ではありますが、易についてはとことん研究したようです。

孔子がいかに易に夢中になったかについては、史記にも孔子が易を「韋編三絶」(いへんさんぜつ)したという記述があります。

当時紙の書物がありませんでしたので、竹や木を板にして字を書いたものを「竹簡」、「木簡」と言いました。その竹簡等をなめした皮の紐で編んだものを韋編と呼びました。(「韋」とはなめした皮のことです。)その韋編が何度もバラバラになる程夢中になって勉強したということです。

孔子が最も尊敬した古の聖人は周の文王とその子である周公旦でした。又、最も理想とした国が善政の行われていた周でした。

易を完成させたのが外でもない文王と周公旦ですから、いかに易に惚れ込んで研究したことでしょう。そして孔子とその集団により「繋辞伝」を始め十翼と言われる解説書を残してくれました。

初心者には「繋辞伝」は難解ですが、ある程度理解が進みましたら是非取り組んで見て下さい。孔子は易をあくまで占いではなく人道主義的な儒教の立場から解説しております。これが解って来ますとますます易の深さと孔子の見識の高さに改めて感動することでしょう。

しかしあくまでも、易は段階を踏んで、漸次に進むことが肝要です。

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