ゲンさん雑記帳

門を出れば 我も行く人 秋のくれ

映画の話

[ リスト ]

「 夢 」( 1990 )

イメージ 1

   黒澤明が見た夢の世界を八つのオムニバス形式で描いたものである。

       こんな夢を見た・・・

           第一話:「狐の嫁入り」

「晴れているのに雨が降る。こんな日は狐の嫁入りがある。狐は見られるのをとても嫌がるから決して森に行ってはいけないよ」
母にそう言われたが、少年は森に行き「狐の嫁入り」を見てしまう。
家に帰ると母は、
「お前が見たから狐が怒っている。狐が許してくれるまで家にはいれない」
死ぬ気で謝ってこい、と短刀を渡す。
「狐がどこにいるか分らない」
「こんな日は虹が出る。狐はその虹の下にいるよ」
かくして少年は狐を探しに、色とりどりの花の咲き乱れる中、虹に向かって進んでいく…。

靄の中から、狐の面をかぶった花嫁一行が現れる。
笛や鼓の音が厳かに響く中、一行は1歩進むごとに歩みを止め、横を向き、後ろを向きといった動作を繰り返す。
実に幻想的な情景である。


       こんな夢を見た・・・

           第二話:「桃の節句」

姉達が雛壇を前に桃の節句のお祝いをしている。
姉の友達以外の少女を少年は見つけるが、彼女は桃の精だった。
少女を追って裏の桃の段段畑に行くと、そこには人間の「雛人形」が集まっていた。
彼らは桃の木を切った少年のうちには行かないという。
「僕は切るのに反対したんだ」
「お前は桃が食べられなくなるから反対したんだろう」
「違う。桃は買えばすむ。桃の木は切ったら可哀想じゃないか」
少年のやさしい心根に打たれた「雛人形」達は歌や踊りを披露する。
気付いた時には桃の切り株が残っているだけだった…。

段段畑を雛壇に見立て人間の「雛人形」達をロングで捉えているところは、彼らが如何にも人形のような滑稽さがある。
緑の中に彼らの原色の衣装が舞う様はまさに夢を見ているようだ。


       こんな夢を見た・・・

           第八話:「水車村」

新緑に包まれた自然豊かな村。
旅人は水車の手入れをしている老人の話を聞く。
「この村は電気が来てないようですが、夜暗くはないですか」
「ロウソクも油もある。星が見えないような明かりは入らない」
「賑やかな声が聞こえますが、お祭りですか」
「いや葬式だよ。葬式はめでたい。よく生き、よく働き、ご苦労さん、と死んでいく」
「死んだのはワシの初恋のばあさんで99歳じゃった。わしを振って他の奴に嫁ぎおった」
「おじいさんはお幾つなんですか」
「わしか、百と三つじゃ。さて、わしも葬儀に出なければ」
老人は通りかかった華やかな葬列に鈴を持って加わる…。

棺を担いだ男達の前に陣取る花笠を被った女性たち。

低く、ゆっくりと、

「ヤーッセ・・、ヤーッセ・・、ヤーッセ・・、ソイヤサー・・」

次には弾けるように

「ヤッセ!ヤッセ!ヤッセ!ソイヤサー!」

歌い躍る。

単純な繰り返しなのだが、このリズムが心に染み入って離れない。




他には「雪女」「トンネルの中」「ゴッホ」「原発」「鬼」といったエピソードが収められている。
エピソードのタイトルは便宜上つけたもので映画の中で明示されてるわけではない。

後半になるほどメッセージ性の強いものになっていくようだ。

私はやはり美しい日本の風土・伝承を描いたものが好みである。


映像の美しさ・素晴らしさを映画館のスクリーンで味わえなかったことが残念だ。

閉じる コメント(14)

私もスクリーンではなくビデオでしか観ていません♪ 幻想的で面白い作品だと思いました♪ 人が見られないような不思議な夢が好きです♪ by ウラン

2007/2/8(木) 午前 2:52 [ 如月聖羅 ]

「トンネル」の兵士が行進してくる場面と、最後のお葬式の場面を良く覚えています。・・「狐の嫁入り」は子供の頃にみた絵本を思い出します。そういう現実なのか夢なのかわからない幼い頃の風景のような映像だったなあと思いました。。

2007/2/8(木) 午前 6:44 [ - ]

顔アイコン

私も記憶に残る夢はありますが、丸出だめ夫 です。「狐の嫁入り」が一番、印象的でした。黒澤監督は絵コンテが凄く上手いですよね。私が見る夢は途中で終わり、完結しません。

2007/2/8(木) 午後 6:19 ター坊

顔アイコン

ウランさん、大きなスクリーンで見たい映像でしたねえ。>人が見られないような不思議な夢が好きです♪・・戦国時代にタイムスリップしたビッグXとゴジラがダンスを踊ってるとか?

2007/2/8(木) 午後 9:21 ゲンさん

ダンスと言えば、不思議の国のアリスに出てくる”偽ウミガメ(甲羅をまとった牛)”を思い出します(微笑♪) ビッグXは戦中戦後ですし、ゴジラはけっこうタイムスリップしていますよ(笑♪) 戦国自衛隊も過去のお話です(半村良は好きな作家です♪) ウランを虜に出来る存在の出現なんて、永遠の夢でしょうか♪ by ロマンチスト・ウラン(文句あるかい!)

2007/2/8(木) 午後 9:31 [ 如月聖羅 ]

>現実なのか夢なのかわからない幼い頃の風景のような映像・・素敵な表現だと思います。幼い頃の記憶には夢と現実の境界線の模糊としたものが入り込んでることがありますよね。>「トンネル」の兵士・・成仏できずにいる兵士達のちょっと切ない話でしたね。

2007/2/8(木) 午後 9:34 ゲンさん

ターボさん、あの「狐の嫁入り」のシーンは実に幻想的でしたねぇ。>黒澤監督は絵コンテが凄く上手いですよね。・・テレビで見ましたが個展もやってるんですね。これがコンテか?と思うくらい丁寧で色使いも鮮やかでした。>私が見る夢は途中で終わり、完結しません。・・わたしも「夢の途中」です^^;

2007/2/8(木) 午後 9:42 ゲンさん

顔アイコン

うーん、この程度では不思議な夢の内には入らないのですね。ウランさんの見たマンガのキャラクター全てが集まってフォーク・ダンスを踊るというのは?一通りパートナーが代わるまでどれくらいかかるかな?(笑)>ウランを虜に出来る存在の出現なんて、永遠の夢でしょうか♪・・「求めよ、さらば与えられん」と昔のえらい人が云っておりました。

2007/2/8(木) 午後 9:50 ゲンさん

顔アイコン

ふふふ・・私は映画館で見たのでした。。>わしか、百と三つじゃ・・笠 智衆が演じてました。「実年齢より年寄りの役をやるのは久しぶり」と言ってましたな。

2007/2/8(木) 午後 10:16 [ tot*n3j* ]

顔アイコン

トタンさん、映画館で見たとは羨ましい。「水車のある村」の老人役は笠 智衆以上の適役は見当たりませんね。

2007/2/8(木) 午後 11:45 ゲンさん

顔アイコン

世界のクロサワ・・・と評される黒沢監督なのに、残念ながら今まで殆ど作品を観たことがありません。最近、邦画が元気というか−去年は久し振りに洋画の観客動員数を邦画が抜いたらしいですが、日本人に生まれながら観たこと無い・・・では恥ずかしいのかも★この紹介記事、拝見したら是非観たくなってきました。レンタルshopで探してみます。(*^_^*)

2007/2/10(土) 午後 6:23 [ ぽち☆ ]

別に黒澤監督作品を殆ど見てないからって恥ずかしいことなんてありませんよ。私だって黒澤と並び称される小津安二郎や成瀬巳喜男の作品を見たのは近年ですし^^;この作品はストーリーというほどのものはなく映像イメージ中心のオムニバスですからラピュタ君とエリィ嬢のお相手をしながらでも見れると思います^^

2007/2/11(日) 午後 11:57 ゲンさん

顔アイコン

おはようございます。「夢」は黒澤さんの絵コンテ?だけ宣伝で見ました。(^^;もう既出のようですが非常に上手でした。夢といえば、空飛ぶ(平泳ぎで)夢と、帰り道を彷徨う夢と、学校に遅刻しそうになる夢(どうしても邪魔が入り登校できにゃい)を最近までよく見てました(汗)>今度は正解です・・・ひはー、セコンドさん、いつもふぉろーありがとございます。日本人ネタですが作られたイメージが強いですね。(どこの国もそうだけど)もっと男女とも自信持っていいですネ!(o^-')b

2007/2/13(火) 午前 10:23 [ - ]

>黒澤さんの絵コンテ・・ルルさんは学生時代絵画部所属とのことですから、見る目も確かでしょう^^>空飛ぶ(平泳ぎで)夢・・パーマン2号(?)がたまに平泳ぎで飛んでなかったかな^^;私もそうですが良い夢というのはあまり見ない気がします。>作られたイメージが強いですね・・昔の日本のイメージが強く残ってる部分もありますね。日本人も内側から見れば随分変化してるのですが。

2007/2/14(水) 午前 0:07 ゲンさん


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事