ゲンさん雑記帳

門を出れば 我も行く人 秋のくれ

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この本には1960年後半から70年初めにかけて発表された13の中・短編が収められている。


個人的にはリアルタイムで読んだ「最初の米」が思いで深い。


まだ狩猟生活を営んでいた2千年前、奥多摩地方にやって来た旅人の話を聞いて、

ヨギとモギの双子の兄弟が種もみを手に入れるためヨミの国(死者の国)へ旅立つ。

実は旅人は亡者で生きた人間をヨミの国に誘い込む役割を担っていたのだ。

モギは自分が犠牲になることによってヨギに種もみを手に入れさせる。

ヨギが村に持ちかえった種は秋になるとたわわに実った。

そしてこの実はモギの功績をたたえて「モミ」と名づけられる。

最後のコマはモギを模したと思われる笑みを含んだ埴輪の絵と共に次ぎの言葉でしめられる。

「大昔の人は何気ない食料にも大きな犠牲を払った……」

当時私は小学生。この話にへんに感心したものだ。



イメージ 2 戦争で息子を失った老婆、薬物中毒の母親から生まれた捨て赤子、

 排気ガスにやられた捨て老猫、その猫にたかっていたシラミの夫婦、

 この4生物の臨終が廃屋の中で一致した時生まれた生物、

 「コケカキイキイ」が世直しをする作品もなかなかに面白い。







収録作品と初出年は下記の通り

終電車の女(1970) 猫又(1966) 墓守虫(1966) 血太郎奇談(1972) 大人物(1972)

一番病(1969) 暑い日(1966) 霊形手術(1970) 木枯し(1966) 天国(1970)

ヘンラヘラヘラ(1971) コケカキイキイ(1970) 最初の米(1967)

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