現代人の情念の行方を追ったハードロマンをはじめ、社会派ミステリーや動物小説など、幅広い分野の作品を執筆し、ベストセラー作家として活躍した西村寿行(にしむら・じゅこう<本名・としゆき>)さんが23日、肝不全のため死去した。76歳だった。 1969年に動物小説「犬鷲」が、第35回オール読物新人賞佳作となりデビュー。初期の作品は、医療業界や公害問題などをテーマにした「安楽死」など社会派ミステリーが目立ったが、「君よ憤怒の河を渉(わた)れ」で冒険小説に新境地を開いた。激しい暴力シーンや性描写を織り交ぜた「黄金の犬」「化石の荒野」などベストセラーを連発。ハードロマンの旗手といわれた。映画、テレビドラマの原作となった作品も多い。70年代には「咆哮(ほうこう)は消えた」などで、たびたび直木賞候補に挙がり、79年の長者番付では作家部門のトップになった。 8月27日3時3分配信 毎日新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070827-00000005-mai-soci 西村寿行氏の作品はかなり読んだ。 読み散らかしたと言ったほうが当たってるかもしれない。 wikiにもあるが断定口調の短いセンテンスをテンポよく繋いでいく文体は小気味良く、取り上げる題材と合わせ寿行ワールドに簡単に引き込まれて行ったものだ。 幾つか印象に残ってる作品を上げてみると、 動物小説では氏の原点といえる『老人と狩りをしない猟犬物語』、松坂牛と少年の交流を描いた『痩牛鬼』 パニック小説では鼠の大量発生により山梨、東京の壊滅を描いた『滅びの笛』『滅びの宴』、飛蝗による東北地方の壊滅を描いた『蒼茫の大地、滅ぶ』 ハードロマンでは、公安特化隊上がりの中郷・伊能コンビが活躍する「鷲シリーズ」、千石老人を中心とする異能集団が過去の世界まで遡って活躍する「鯱シリーズ」 他には暗い血の系譜を扱った『虎落笛』 『血の翳り』などなど。 氏の著作が実に広範囲にわたっていたことが改めて実感される。 エンターテイメント小説史上の巨人であった。 ご冥福をお祈りする。
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本棚の隅から
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ラフカディオ・ハーンの「怪談」を読んだ。 有名な『耳なし芳一のはなし』と『雪おんな』以外は初めて知る話ばかりだった。 『ろくろ首』というのは首がにょろにょろと伸びるもんだと思っていたが、 この作品では5人の男女の首が胴体を離れて飛びまわっていた。 なにやらユーモラス。 歴史上の著名人が出てくるのが『食人鬼』。 我利私欲から人食いと化してしまった坊さんに夢窓国師が絡む。 『お貞のはなし』、若くして死んだ女が生まれ変わるという話なんだけど、 「お貞」という名前から「リング」に出てくる「貞子」を連想してしまった。 こちらの「貞子」は恐い。 他にも興味を引く話はあったが、恐くてぞくぞくするなんてことはない。 もっとも、荒れ寺なんかでロウソクの明かりの元、このような怪談話を聞かされると… 少しは涼しくなるかもね〜〜。
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冷戦時代の置き土産、ソ連のエージェントが残した『スーツケース』(小型核爆弾)の存在が明らかになった。
(*この作品は1999年に発表されたものです。)そのことを知らせてきたのは、病院で死の床につく老人、牧野。 牧野はかつて東和電機に勤めていたとき、ソ連のスパイを務めていたが、20数年前、赤坂の芸者、久江と恋仲になり、足を洗って九州まで落ち延びてきた。 5年間は何事もなく過ぎたが、牧野の所在を突き止めたソ連のエージェントが『スーツケース』を持ちこんできた。 その後すぐ襲撃されて、ソ連のエージェントは死亡、牧野も怪我を負うが久江の安全の為、身を隠す。 以来20年近く音信を絶ってきたが、自分の死期を悟り、かつ『スーツケース』に内蔵されたコンピューターが西暦2000年問題で誤作動を起す危険をはらんでいるということで当局に手紙を寄越したのだ。 『スーツケース』の在処は今も九州の片田舎で民宿を営む、久江だけが知っているという。 防衛庁情報部員、堤が『スーツケース』の回収に派遣された。 この作品も「軍事サスペンス」と呼ばれる部類に属するのかな。 冷戦時代、ソ連が各国大使館に『スーツケース』を持ちこんでいたという話もありえないことではない。 冷戦時の日本の状況や、諜報機関の暗躍もそれなりに興味をひくものがある。 が、なんといってもこの作品の良さは久江という女性の存在。 20数年田舎に埋もれ、今や年老いた農婦と見間違えるほどに面変わりしたかつての売れっ子芸者。 いかにも偏屈で、人を寄せつけないようなこの老女が、堤が拾った簪(後挿し)を機に心を開いていく様はじんわりくる。 「畳算」のことを知ったとき、作者は随分イメージが膨らんだろうなあ。 以下本文より抜粋。 「畳算ってのはねえ……」 「後挿しをこう、畳の上に倒して、先っぽが畳の何節目に来るかで、何時頃、何日頃に旦那が来るか当てるっていう……。ま、芸者がやる占いみたいなもんだよ」 おしどりの 飛び立つほどに 思えども 飛ばれぬ辛さ 待ち侘びて 無理に合わせた畳算 じれに迷うて じれて煙管に歯のあとが 夜明けの星の 二つ三つ四つ *画像は『畳算』が収録されている「6ステイン」(講談社)
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学生時代、1日何ページと決めて聖書を読もうとしたことがある。 もっとも数週間であっけなく挫折してしまったが。 クリスチャンの知人に誘われて何度か教会にも行った。 私とキリスト教、もしくは聖書との関わりはそのぐらいである。 ところで当たり前のことだが、ユダヤ教の人達にとって聖書というと旧約聖書のことである。 彼らにとってキリストは預言者ですらない。 この本を読んでわかるのは、彼らの神、エホヴァというのが実に嫉妬深く、自己中心・排他的いうことだ。 彼がイスラエル人に約束したカナンの地も元々は他の部族が住んでたのを滅ぼして奪えといってるのだ。 他の神を信じる者は打ち滅ぼしてしまえ、たとえ選ばれしイスラエル人であれ信仰をおろそかにするとたちまち天罰がくだるぞ、なのである。 ギリシア神話にでてくる神々は頻繁に下界の人間にちょっかいを出してるが、どことなくユーモラスな面があるのに比べ、こちらの神様は真面目くさって恐いだけの印象がある。 エーゲ海の明るい日差しの元に生まれた開放的なギリシア文明の神々と、不毛の砂漠の地を流浪したイスラエル人が厳しい環境の中で拠り所とした神とはおのずと違ってくるのは当然のことなのだろう。 作者によるとそういう苦難の道を歩んできたイスラエル人の建国史が旧約聖書なのだそうだ。 原型が作られたのははかの有名なダビデ王、ソロモン王が統治した頃らしい。 旧約聖書は天地創造から始まり、アダムとエバ→カインとアベル→ノアの箱舟→バベルの搭→アブラハムへと続く。 アブラハム以降、イサク→ヤコブ→モーゼへと続いていくあたりは、はっきり事実とは認められないにしても、似たようなことがあったと推測できる。 バベルの塔までは神話の類である。 神話というものが歴史の中へ入りこんでくるのは、その王国が近隣諸国を平定し、強大な王権が確定した時だ。 近隣の国々に、我が王国は由緒正しい、神に祝福されたものなのだ、と誇るのである。 このことは日本の「古事記」「日本書紀」だけでなく、他にも多く、類似性が認められるようだ。 この本には旧約聖書に書かれている主なエピソードが収められている。 氏の「ギリシア神話を知ってますか」と同様、旅行体験や氏の専攻であるフランス文学の薀蓄、サルトルの実存主義やラシーヌの戯曲といった話題を織り交ぜながら、終始饒舌な語り口であきさせない。 旧約聖書のつぼを抑えておきたい、と思われる向きには格好の入門書といえるだろう。 私はこの本を読みながら、「十戒」「天地創造」「サムソンとデリラ」「ソロモンとシバの女王」といった映画のシーンを思い浮かべていた。
こういう楽しみ方もある。 |
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有名な歌であるからご存知の方も多いと思う。 訳すまでもないことだが 「子供こそ一番の宝!銀も金も宝玉も比べ物にならない!」 と、歌っているのだ。 当時は別居結婚が当たり前で、男は女の家を訪ね(妻訪婚)、出来た子供は妻の実家で育てられる。 自然、父親と子供は疎遠になる。 そんな中、このように子供への愛情を歌ったのものは珍しいのだそうだ。 また宴会の席を立つとき歌ったものに次ぎのようなものがある。 「子供も泣いてるでしょうし、かあちゃんも待ってるでしょうから、これで失礼しますよ」 彼は愛妻家でもあったのだ。 しかし、こういう言い訳は照れくさくてなかなか出来ないよなあ。 ネタ本;「にっぽん亭主五十人史」( 永井路子 著 )
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