ゲンさん雑記帳

門を出れば 我も行く人 秋のくれ

美術関連

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別に私は美術愛好家ではない。
特に画法(技法)や美術史となるとほとんど分らない。
まあ、それでも、好きな作品、作家というものはあるもので、
そんな中から少しずつ記事にしていきたいと思ってる。
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先日見たテレビ東京の「美の巨人たち」高村光雲の「老猿」を取り上げていた。

この彫刻は美術のテキストなどでお馴染みのものだが、

「老猿」が左の前足で押さえているのが大鷲の羽だとは初めて知った。

小猿を守る為に大鷲と戦い追い払った、ということらしい。

してみると、「老猿」の視線の先には逃げ去っていく大鷲がいるということになる。


イメージ 2この老猿はシカゴ万博(1893)出品の為に作成されたのものである。

そのシカゴ万博において日本の展示場とロシアの展示場が隣接していた。

そして「老猿」はロシアの国章に描かれた「双頭の鷲」を睨むように置かれていたという。

当時のロシアは極東における版図や利権の獲得で日本と敵対してたので、

そのロシアの「双頭の鷲」に対して日本の「老猿」が睨みを効かせている、というわけだ。


1904年、日本は大鷲ロシアと戦争に突入。

多大な犠牲を払いながらも勝利を手にし、ロシアの南下政策を頓挫させる。


「老猿」が日露戦争の結果までをも暗示しているようであり、面白い。

アポロンとダフネ

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アポロンに自分の弓矢を馬鹿にされたことを根に持ったエロス(キューピッド)は金の矢をアポロンに、鉛の矢を河の神ペーネイオスの娘ダフネに打ちこんだ。

金の矢を打ちこまれた者は相手を死ぬほど恋こがれ、鉛の矢を打ちこまれた者は絶対に相手を好きになることがないのだ。

アポロンは何度も求愛しようとするが、ダフネは彼の姿を見かけるといつも逃げてしまう。

ある日我慢できなくなったアポロンはダフネを追いかけ、やっと彼女の体に手をかけた。

逃れられぬと知ったダフネは父ペーペネイオスに向かって叫んだ。

「私はいつまでも清らかな体でいたいの。いっそ私の姿を変えてしまってください!」

ペーネイオスは即座に娘の願いを聞き入れ、ダフネの体はみるみるうちに月桂樹へと変わっていった。

月桂樹に変わってしまったダフネを見てアポロンは深く嘆き悲しみ、愛の形見として月桂冠を作り生涯身につけた。



やっとのことで追いつきダフネの腰に手をかけるアポロン。

しかしながら彼女の変身に歓喜から驚愕へと変化する一瞬の表情。

ダフネのまだ汚れを知らぬ如何にも乙女らしい体つき、硬質感のある乳房。

絶望感から父に向かって救いを求める仕草・表情。

間髪をいれずその手の先から、髪の毛の先から瞬く間に生えてくる月桂樹の葉。

カモシカのような足元にからみつく大地。

実に臨場感・躍動感にあふれていて、見るものを恍惚とさせる。


世界で最も美しい彫像の一つである。


それにしても、

すげなくされればされるほど燃え上がるのも恋の法則というものか




*ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ作、ローマ・国立ボルゲーゼ美術館所蔵

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ラーオコオーン

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 ラーオコオン;トロイアの神官。
        ギリシャ軍の奇計、「トロイの木馬」を見破るも、市民に受け入れられず、
        逆に女神アテナの怒りを買い、海から現れた二匹の蛇に息子共々殺されてしまう。
        その後トロイアは陥落。


初めてこの彫像を見たのは多分美術のテキストだった。

ラーオコオンの顔がアップで写っていた。

「なんて苦しそうな表情をしてるんだろう」

と思ったが、彼にまつわるエピソードを知ると、納得した。


しかし、しばらくして再度この彫像の写真を見た時、なにか違和感を感じた。

例えば戦国の武将が、国を危うくするような敵の姦計を見抜き、主君に進言するが退けられ、

かえって一族揃って誅殺させられてしまう、とする。

この武将の断末魔の表情は当然「恨み」や「無念さ」を含んだものになるはずだ。

こういった感情は時代や地域、宗教を超えてある程度共通してると思うんだが、

この彫像のラーオコオンの表情から受ける印象は、ただ「絶望感」ばかり。


もっともこの彫像の製作者ははギリシャ側の人間だから、

「女神の仕打ちを恨んだりするなんてとんでもない!」

というふうに考えてたかもしれないけどね。

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1891年ロートレック最初のポスター


「ムーラン・リュージュ」は1889年モンマントルに開店したナイトクラブで、

ロートレックは最初からの常連客であった。


特徴あるまげを結い中央で踊っているのが当時の花形ダンサー、「ラ・グーリュ」(食いしん坊)

手前のシルエットになっているシルクハットの男性は、「ル・デンソ」(骨なし男)

と、呼ばれた人気芸人・ヴァランタインである。


2人のダンスを紳士淑女が見ている場面をスナップ・ショットのように切り取ったものであるが、

二人の特徴ある動きを見事に捉えている。


遠近法による大胆な人物配置、

焦点をラ・グーリュに当て、ヴァランタインをぼかし、

紳士淑女をシルエットで表現しているところも斬新である。


この写真では背景やヴァランタインは薄いグレーのような色合いで体も透けているが、

ヴァランタインを薄いブラウンにした物もあり、

こちらの方が「スピッティング」技法による斑点効果がよく分る。
「舞踏の褒美」
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「おまえに口づけしたよ、ヨカナーン」
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オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵です。

学生時代、岩波文庫版で挿絵を見て以来、その妖しい画風がずっと記憶に残っておりました。

絵を理解していただくため、あらすじを書いておきます。


ユダヤのヘロデ大王は弟フィリポスの妻、ヘロディアを奪って自分の妻とするが、
これを「神の教えに背くものだ」と非難した預言者ヨカナーン(ヨハネ)は投獄されてしまう。

このヨカナーンにぞっこん惚れてしまったのがフィリポスとヘロディアの間に生まれた娘サロメ。

ところがヨカナーンは「不義を犯した女の娘」と全く取り合ってくれない。

思い余ったサロメは舞踏の褒美にヨカナーンの首を所望。

ヘロデ大王は「他の物にせよ」と翻意を促すがサロメは聞き入れず、
結局ヨカナーンの首は刎ねられてしまう。

皿に載せられたヨカナーンの首に向かい、

「おお、ヨカナーン、おまえが悪いんだよ」

「さあ、唇づけをさせておくれ」

それを見ていたヘロデ大王が、

「・・・あの娘を殺せ」


と、まあこんな筋書きでありました。

題材を取った新約聖書には「サロメ」という名は出てこず、ただ母親の言い付けに従ってヨハネの首を望んだだけ、と書かれているようです。


さてビアズリーですが、仕事上や私生活で色々と問題をおこしており、自尊心の高い、皮肉屋であったことが伺えます。

この作品の挿絵を描くようビアズリーに勧めたのは作者ワイルド自身でしたが、ビアズリーはワイルドを揶揄する内容の挿絵を描いてワイルドを怒らせてもいます。

「ヘロデ王の目」のヘロデ王、「月の中の女」などがそうですね。

ベルレーヌやランボーに代表される時代の風潮(デカダンス)といったものもあったでしょうが、幼少の頃から病弱で常に死というものを意識していたであろう彼の、厭世的・自虐的な心が描かせた作品なのかもしれません。


*下記のサイトに他の挿絵もあります。
ttp://www.geocities.jp/riped_sin/beardsley.art.html

【その他参考】


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