閑山子余録

閑山子こと川平敏文のブログです。近世文学・思想研究情報を中心に発信します。

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「雅俗」第18号

『雅俗』第18号が発刊しました!

表紙の画像は以下のとおり。

イメージ 1

編集後記も転記します。

▼『雅俗』一八号をお届けする。まずは巻頭に「この三冊」と題する連載コラムを新設した。
回ひとりの研究者に、不朽の業績と思う論文(研究書)、自分の思い入れのある古典
作品(資料)、後進にぜひ薦めたい論文(研究書)を一篇ずつ紹介してもらうという企画。
無理難題かもしれないが、その一番手を佐藤至子氏が引き受けて下さった。

▼この手の記事は、商業誌が相ついで廃刊してしまった今、なかなか読めなくなってき
ている。そこでわが『雅俗』の出番だ。研究者の人柄やヒストリーが分かるようなエッセ
イやコラム、そういう研究者コミュニティの潤滑油になるような記事を充実させたい。
それができるのが、同人誌の自由さである。他にもやりたいことはあるが、少しずつ。

▼今回も本誌初登場の方を中心に紹介する。「論考」では、青山稿。桜山文庫本『春雨
物語』の書写者とされる正住弘美の伝を追究した。井上・西田両大人の、年齢による衰
えを感じさせないネバリとキレのある論文には、本当に頭が下がる思いである。「研究
ノート」では、服部氏の殿村篠斎の資料紹介。翻刻は割愛したが、読者の「わ本」リテラ
シーに期待する。「スポットライト」は、河村氏。芭蕉の書簡と発句解釈に関する力作を
寄せていただいた。地に足が着いた安定感がある。「私の研究履歴」は渡辺氏。靴箱の
語彙カード、若い頃九州で出会った研究者との思い出話など、興味をそそられる内容だ。

▼仏教の正法・像法・末法ではないが、文学研究はいま、末法の世に入ったように見え
る。道の本質は普遍でありながらも、それに相応しい弘通の方法があるのであろう。そ
れは何なのか。そんなことを考えながらこれを書いている。

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読本論考

私よりも少し年上で、当然、論文集が出てもよいのに、まだ出ていないという方が
数人いらっしゃる。
田中則雄氏もその一人であった。近刊予告を見て楽しみにしていたが、ようやく
待望の著書が上梓された。『読本論考』(汲古書院、2019年6月)である。

田中氏の論文で私が初めて接したのは、『近世文藝』に載った「近世初期の教訓
意識と宋学」だ。大学院生でこのような高レベルの論文が書けるものかと、ほとんど
驚愕したのを覚えている。

如上の論文で、十七世紀にも中野三敏先生並みの研究をする人が現れたのだなあ
と思っていたら、田中氏の研究の中心は上田秋成や都賀庭鐘といった、十八世紀の
読本作家であると知った。そこで再び驚愕した。

第一期『雅俗』の編集に携わっていたとき、氏に増穂残口の論考を寄稿していただいた
ことがある(その論考は本書にも収録されている)。
そのとき校正ゲラに、引用文のルビの組み方(位置)を、いちいち丁寧に指示しておられた
のが印象的であった。

それはあたかも、論証や文体の緻密さと連動するかのようであったが、事実、それは
連動しているのであろう。そのような細心の注意が為されるからこそ、氏の論文は、
論証も文体も見た目も、均整がとれて美しいのだ。

刊行予告の期日を少しオーバーして完成したこの著書だが、それは氏の誠実な
姿勢の現れであったに違いない。大学の要職に就かれているというのももちろん
あるが、恐らく氏は最後の最後まで、校正ゲラの引用文に赤を入れていたのでは
ないか。これは私の勝手な推測である。

ともあれ、学界待望の著書の刊行を、心から喜びたい。

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足で稼ぐということ

これまで郵送されていた国文学研究資料館の季報「国文研ニューズ」が、今号から
WEB版だけになった。→WEBページはこちら

当方も「足で稼ぐということ―伊藤栄治関連資料をめぐって―」と題するエッセイを
寄稿した。
特に若い人に、資料調査の意義や醍醐味、具体的なノウハウを継承するような
内容を、との依頼であった。
拙稿は、ネット情報は整備されてきたが、結局、自分の足を使わないと、リアルな
感動や有用な情報は得られないということを書いたつもりだ。原本の手触り、
書誌の細部といった問題だけではない。時に驚くべき新情報を提供してくれる、
文庫の学芸員との信頼関係なども、ネットではけっして構築できないものである
からだ。

ところで国文研ニューズ。
WEB版だけにして紙に刷らないというのは、経費削減のためということである。
たしかに印刷費や郵送費、その手間(人件費)などを考えれば、これは一つの
選択としてありうる。
ただ、このことはどれだけの人に周知されているのだろうか。

国文研のHPを見ても、かなり下のほうの「お知らせ」のところで、
「国文研ニューズNo55を掲載しました」という報告があるだけで、これまで
この季報が届いていた方々の多くは、恐らく見逃してしまうに違いない。

紙媒体で、あの判型で届いていたからこそ、PCを立ち上げる間とか、
コーヒーを入れる合間にパラパラめくっていたのであって、
わざわざ国文研のHPにアクセスし、このページに遷移し、画像を拡大しながら
隅々まで読んでくれる人は、いったいどれほどいるのだろう。

いっそレイアウトも変更し、メール・マガジン的なものとして、配信希望者には
その他のいろいろな情報も付加して「送りつける」ような、積極的な戦略も
あってよいのではないか。

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近世文学会

鶴見大学にて日本近世文学会春季大会が行われた。
ストレスなく過ごせたと同時に、見ごたえのある展示も行われた。
開催校には心より感謝申し上げます。

委員会の席でも話題になったが、近世文学会だけではなく、国文系の
学会全体が岐路に立たされている。
年2回の学会の開催、2日間の日程、個別発表中心のプログラム、
「近世文藝」のコンテンツ……
2、30年前のシステムでは立ち行かなくなっていることは明らかなので、
いろいろとドラスティックな改編が行われなければならないのかもしれない。

今回の発表に関して言えば、彫刻刀で細い線を描くようなものと、マサカリで
丸太を割るようなものとがあった。

前者にかんしては、研究全体のなかの一部を拡大して見せているのだと
思うが、やはり全体が見えないことには、その報告がどんな結論に向かって
いるのかが分からない。
後者にかんしては、推論や仮説を裏付ける証拠が少ないと、ぼんやりした
可能性だけに終わってしまう。「勘」(センス)は大事であるが、それだけでは
「論」にはならない。
とまあ、このへんのことは研究者であれば基本の「キ」なのであろうが……。

発表会や総会での質疑応答で、やや気色ばむような場面が何回かあった。
緊張感があるのはよいのだが、くれぐれも、相手を貶めるようなやりとりに
ならないことを望む。下品な「炎上」はネットでたくさんだから。

ただそれもこれも、最初に書いたような学会の制度疲労的な問題が、遠因と
なっている面がある。発表者の減少は、発表のスキルや質にも当然影響を
及ぼすであろう。問題は根深い……

最後に。若手が近世文学会賞を目指して頑張ることは、けっして悪いこと
ではない。学会賞を取ることを目標に、よい論文を書いてほしいと思う。


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宗因先生こんにちは

ひと月ぶりに、こんにちは。

書き下ろしの仕事に熱中するあまり、なかなかこのブログに手が
廻らないこの一ヶ月でした。この状態、秋くらいまで続きそうです。

さて、深沢眞二氏・深沢了子氏『宗因先生こんにちは
―夫婦で『宗因千句』注釈(上)』(和泉書院、2019年)が出ました。

オモシロいタイトルだなあ。
以前、ここでも紹介させていただいたことがあるが、深沢シンジ・ノリコ
の夫婦漫才、ではなくて夫婦注釈である。
内容も、山下達郎と竹内まりやの『サンデー・ソングブック』(東京FM)の
「年忘れ夫婦放談」ばりに面白い。

宗因の連句を注釈したものだが、何がありがたいかといえば、時に
夫婦で違う解釈を示してくれること。
連句の詳注そのものがそんなに多くないと思うが、やはり一人の
研究者がつけたものを読んでいると、「よく読めるなあ。すげえなあ」と
感心することがある半面、「ん?そうかなあ?そこまで読めます?」と
思うこともときどき出てくる。しかし、こうして両論併記してくれると、
ちょっと安心するのである。

前口上に載る、尾崎千佳氏のコメントもさすがとうならされる。
連句にはさまざまな作法があるが、宗因はときどきミスを犯している。
だが、それは「ミス」なのか。連句は連歌とは違って、その緩さ、自由さが
身上。二刀流の宗因にとって、それは「ミス」とは言えないのではないか、
ということ。

連句とは何かを考えさせられる本だ。

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