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共生・・・。種の違う生き物同士が、助け合って生きているかのように称えられることが多いけれど、ボクは、実はどちらか一方のワガママ勝手が強いように思えてならないのです。 でも、そんなうがった見方をするボクでさえ、これはすごい社会システムだ!と感心するのが、掃除魚ホンソメワケベラと他の魚類たちとの共生です。 バカ殿さま顔のクエくんだけど、殿さまのマユゲになっているのがホンソメワケベラ。 ホンソメワケベラがクエの体にまとわりついて、さ〜てどっからやるかな〜。なんて考えているところ。 「オレっち、口の中を磨いてほし〜んよ。早く降りてきてくれよ」なんて訴えているようなクエの目がかわいい。 言うまでもないけれど、ホンソメワケベラは、他の魚の体に付いた、寄生虫や病気の皮膚、あるいは口やエラについたエサの残りカスなどを食べる魚。 掃除魚と呼ばれているけれど、どちらかといえば、皮膚科と歯科の両方をやってる医者魚みたいなものだ。 なにせ、ある海域でホンソメワケベラを全て捕獲するという実験をやったら、近所に住む魚類の病気率がアップして、そのうち魚がみんなどっかへ引っ越してしまったというのだからスゴイ。 そんなワケで、この小さな魚たちは全ての魚たちに敬意を表され、食べられるということはない。 それどころか、巨大なクエなどの口から入って行って、エラから出てくるなんてことまで平気でしちゃうのだ。 相手の魚は誰でもOK! こんな小さな、スミレナガハナダイにでもクリーニングはするし、時には自分と同じくらいの大きさの魚をクリーニングすることもある。 水族館では、クエやマハタ、ウツボと一緒にいることが多いのだけど、それは、「あっ!食べられちゃう!・・・・いえ大丈夫。」という演出をしたいからだ。 仲良くしていた動物番組の企画で、ホンソメワケベラが人間にもクリーニングをするか?という、おバカな実験をしたことがある。 最初は大失敗。大水槽でやってみたら、ホンソメワケベラが顔の回りにきてくれるまで、息が持たなかったのねw。当たり前です。ヒトはエラ呼吸できません。 それで、いざとなったら鼻だけ出せば呼吸もできる小さな水槽でやってみた。 すると!見事にホンソメワケベラは、スタッフの口の中をついばみはじめたのでした。なんでも良かったんだ〜・・・・。 実際、ホンソメワケベラは、それでエサを食べてるわけだから、食べられそうなものがあれば、相手が魚だろうがヒトだろうが、宇宙人だろうが、なんでもいいのでしょう。 ホンソメワケベラは、自分がホンソメワケベラであることを知らせるために、いつもクネクネ踊りを踊っている。 クネクネ踊りをすることで、「掃除魚だから食っちゃダメ!」というサインをしているのと、「さあ、いらっしゃい!今なら手(口)が空いてるよ!」と広告をしているのだ。 ホンソメワケベラの仲間は他にもいるのだけど、実はみんな、こういった目立つ黒のストライプ模様を身にまとっている。 このストライプがクネクネしている様子、ボクには、理髪店の前で回っているグルグルサインに見えるのだけど、見えません? もしかしたら魚もヒトも、ストライプがクネクネしていると、さっぱりしたくなってくるのか? だとしたら、歯磨きチューブをホンソメワケベラ模様にすれば、きっと爆発的に売れるはずだ! でも、こんな色と踊りが役に立たないこともある。 水族館の飼育係から聞いた話では、なんとホンソメワケベラを食べちゃう魚も時々いるらしい。 おそらく、生まれてこの方、ホンソメワケベラなるものを見たことも聞いたこともなかった魚に、食べられてしまうのだろうと思われる。 そうしてみると、このホンソメワケベラと魚たちとの社会は、本能ではなく、ひとつの文化なのである。 さてしかし、文化のある社会には、それを利用して悪どく儲ける悪い奴が出てくるのも世の常だ。 このホンソメワケベラ文化にもそういう輩がいる。そいつの名前は、ニセクロスジギンポ。 なんとホンソメワケベラそっくりのギンポ。そっくりの形とそっくりの色と、そっくりのクネクネ踊りをして、お客さんを待っている。 そして、すっかり油断したお客さん魚の、なんと肉をかじって食べちゃう!という不届き者なのである。 これをやられた魚たちは、ホンソメワケベラのことも二度と信用しなくなる。そりゃ痛いもんね〜。 水族館にも、時々、ホンソメワケベラに混じって入っていることがあって、よく調べずに展示するとそりゃまあタイヘンなことになる。 もちろん、この失敗をした飼育係も、その後、ホンソメワケベラを入手する業者を信用しなくなるw。 なので、水族館の水槽を撮影している限り、そのしたたかな魚、ニセクロスジギンポの写真は撮れないのが、ちょっと残念ではあります。 どっか、ニセクロスジギンポの展示してくんないかな〜w。 |
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ホンソメワケベラは魚界のすきま産業なのだ。単品でみても綺麗な魚ですよね〜。食べ応えなさそうだな・・
2007/3/5(月) 午前 0:07
スマスイでは岩の陰にホンソメエリアがあって、そこに他の魚が来ては体を掃除してもらう・・・といったシステムが確立しているのが見られます。結構気持ち良さそうです。
2007/3/5(月) 午前 0:33 [ べる〜が ]
カナーさん、食べ応えとかの話ではありません。ホンソメワケベラ食べないで下さい。きれいなのは確か。小さくてもちゃんと目立ってます。ホンソメワケベラの仲間以外にも、掃除するエビがいますが、こちらも赤と白で目立っていますね。
2007/3/5(月) 午前 4:51
べる〜がさん、さすが須磨のことは隅々まで知ってるな〜。今、エノスイでも、大水槽の魚影が薄いところにホンソメエリアを作って、にぎやかにしようという計画を立てています。魚たちの文化を知っていると、集客施設を中心に建てるのと同じ、水槽づくりもまちづくりです。
2007/3/5(月) 午前 4:57
こういうシステムが確立されてるのがすごい! 人間の世界には、こんな場所とか、こんな方・・・・ そうか皆、有料だぁ・・・ 花粉で肺の中まで痒い・・誰かタダで掻いてぇ!
2007/3/5(月) 午前 10:21
今日久しぶりにスマスイへ行ってホンソメエリア確認してみました〜。やはりクエは上客の様です。それよりなによりロングノーズガーの30歳にビックリしましたが^^; あとあと、今更ながら、カンチョさんのページを色々と見させてもらいましたが、カンチョさんって凄い方なんですねー!憧れます(^^♪ また色々とご教授下さい〜。
2007/3/5(月) 午後 9:22 [ べる〜が ]
ホンソメワケベラを真似れば、絶対魚の釣れないルアー作れるかな、 と考えたことが有りましたが、無理だったんですね。 本当に深い記事で、勉強になりました。 ニセクロスジギンポ是非見てみたいです。 偽魚展示コーナー面白そうです。
2007/3/5(月) 午後 11:20 [ KAZUKI ]
美容院の洗髪の『痒いところはございませんか』とか、マッサージで『腰の辺りを集中的に』といった世界ですね。魚も気持ち良さそうで、本人たちにとっては、食料と、病気予防という切実なギブアンドテイクの共生関係なのでしょうけど、とっても微笑ましい光景です。ギンポで懲りて、ホンソメワケベラも信用しなくなるっていうのは、まさしく学習で、文化ですね。でも、それって、ずっと根に持って覚えているのでしょうか?魚の記憶力って一体・・・。
2007/3/5(月) 午後 11:46
KAZUKIさん<新米飼育係の頃、先輩に見せてもらったのだけど、そもそもホンソメワケベラさえ名前を覚えたばかりだったので、違いがまるで分からずでした。ところで、ニセクロさんのニセは、なんとな〜くホンソメワケベラの偽物のニセのように思えますが、実は、クロスジギンポという名前の仲間がいて、そのニセのようです。でもニセクロの方が本クロよりも黒帯がはっきりしていて、ホンソメワケベラにはもちろんよく似ています。そして、ホンのないソメワケベラもいて、そっちはクロスジギンポにちょっと似てます。わけわかんない?
2007/3/6(火) 午前 6:09
眼とろんさん、やっぱり気持ちよさそうなの分かる?表情のない魚たちが、ホンソメワケベラにクリーニングされると、みんな気持ちよさそうな表情が出るのが不思議です。記憶力と言うよりも学習能力でしょうね。きっと生死に関わることは、忘れることの出来ない基本的な刷り込みとして残るのでしょう。ヒトは余計なことまで考えるから、記憶はしてても学習できないのですね。どっちがバカなのかわかんないですね〜。w
2007/3/6(火) 午前 6:14
あ、べる〜がさん、見落とすところだった。ロングノーズガー、須磨水の最高齢だそうですね。ところでボクはそんなに凄いい人ではありません。今日もエノスイのスタッフに、マンボウのお尻のヒレは、梶ビレじゃなく舵ビレじゃなかったですか?と指摘されちゃったw。はい、ここ20年くらいずっと間違えていたようです。恥ずかし・・・・。
2007/3/6(火) 午前 6:26
カンチョさん、テーマ水槽で「どこから見てもそっくりな魚」展やってください(笑) ベラからギンポまでならべて観てみたいです。体の色や模様ってどうやって似せていくのか不思議ですね。
2007/3/6(火) 午前 9:11 [ - ]
バカ殿さまのクエくん、、ナイスショットですね!ホンソメワケベラ、、この魚、食べられないのかといつも心配でみてましたが、、ここで勉強しましたよ^^潜っていて、クエなんかにくっついてるのを見てると、泳ぐアクセサリーみたいに見えます。
2007/3/6(火) 午後 6:04 [ カッパのまりっぺ ]
ghanaさん<そっくり魚展ね、今まさに、そんな検討もしているところなんですよ。そっくり魚展がすぐにあるとは限らないけれど、そういう興味ある話題を展示のカテゴリに入れることが、今年のえのすいの取り組みです。楽しみにしてて下さい。
2007/3/7(水) 午前 3:50
おぉ、まりっぺさん、バカ殿クエくんのナイスショットぶり分かってくれた?ボクには傑作だったのに、誰も面白がってくれないから、ちょっと落ち込んでましたw。それでまりっぺさん、ダイビングやるんだ!
2007/3/7(水) 午前 3:54