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最近、名前が変わった魚たちがいる。 メクラウナギ、オシザメ、セムシカサゴなど。彼らの姿や特徴を、差別的な蔑称を使うことで現されていた魚たちだ。 ただし、この改名は、魚たちのための改名ではない。 かつて蔑称として使われていた言葉が、魚の名前に関しては今も大手を振って使われていることに、嫌な思いをする人もいるはずだからである。 さて、上に上げた彼らの新しい名前は、メクラウナギ→「ホソヌタウナギ」、オシザメ→「チヒロザメ」、セムシカジカ→「ニライカサゴ」となった。 細いヌタ(=沼田)のウナギ、千尋のサメ、ニライ(=常世)のカサゴ、どれもなんだか神に祝福されているような素敵な名前ではないですか。なかなかいいね〜。 そして、今回の写真、旧名イザリウオの仲間たちである。 彼らが新たにもらった名前は、どーん!『カエルアンコウ』 はぁ?カエルアンコウ? いや、ちょっとね、他の改名組に比べて、いまいちアレじゃありません? 改名にご尽力いただいた日本魚類学会の説明では、「形態がカエルを連想させ,また英名がfrogfish」だからと言うのだけど、こんなカエルいないし! それに、英名に影響を受けるというのも、なんだかね〜。 実のところ、水族館関係者は今回の改名を喜んでいるはずだ。 少なくとも、ボクらのように、解説を書いたり、メディア向けの文章を作ったりしているスタッフはありがたい。 今まで、いくら種名とはいえ、単独では放送禁止用語にもなっている言葉を、堂々と言葉にするのが嫌だった。 最近ではメディア側も諦めていたが、20年ほど前は、テレビやラジオで名称を口にすることを止められたことがよくあったほどなのだ。 そんな経験をしているだけに、なおのこと、やっぱり今でもしゃべったり書いたりするときには、心のどこかでひかかっていた。 改名は英断とも言うべきだろう。 にしてもだ。カエルアンコウはな〜。 でもまあ、しょうがないか、もう付いちゃった名前やもんね。 種名というのは、戸籍の名前と同じで、一度付けられたらそうそう変更できないものなのである。 さて、このカエルアンコウたちは、名前の通りアンコウの仲間だ。 口が大きいのはもちろん、口の上についた「エスカ」と呼ばれる疑似餌を使って、エサになってくれる魚を釣る。 まあ実際に釣るわけでなく、おびき寄せて巨大な口でバクリとやるのだ。 下の写真でカエルアンコウの頭から伸びてる、しおれた花か聴診器みたいなのがエスカ。 本人は空気が抜けた風船みたいなだらしない姿勢だけど、エスカは立派に立ってますね〜。 というわけで、実は、イザリウオの語源は、イサリウオ=漁り魚ではないかという説もある。 でもその説はあんまりいただけない。 「漁り」が訛って「イザリ」になるほどの期間があった昔に、彼らがエスカで釣りをしていることを観察していた酔狂な人が、たくさんいたとは思えないんだもの。 だいたいその頃には、水族館もスキューバダイビングもなかったんだからね。 そんな説がまかりとおるのだったら、エスカの形や動きがまるで聴診器を当てているみたいだから、医者魚(イシャノウオ)と呼ばれ、それが訛ってイザリウオになったんやって!というボクがたった今考えた説だって、まかり通してやるのだ。 それにしても、ひどい姿勢ですな〜。もうちっとシャキッとしてほしいぞ!カエルアンコウ。 ※改名について詳しく知りたい方は、日本魚類学会のHP |
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私もカエルアンコウだけはピンとこないんですよね・・・。でも悪い名前ではないですからいいですけど。とぼけた顔していますが、餌を食う時には物凄くすばやいです。好きな魚の一つです。
2007/3/7(水) 午前 7:27
カエルアンコウ・・・。いきなりカワイイ名前になりましたね。 小さな子供にはなじみ易い名前です。でも、なんでもかんでもカエルってのはちょっと・・・(^_^.)
2007/3/7(水) 午後 7:21 [ べる〜が ]
名前はどっちでも海の中で会えれば感激です☆
2007/3/7(水) 午後 7:40
行動を考えるとカエルアンコウはいいのではと思いました。それにしても、違和感はぬぐえませんね。ついでに、「ニセ」「モドキ」も変えてはいかがかと思いませんか?
2007/3/7(水) 午後 7:59
魚類学会のHP見ました。沢山変わってるんですね。っていうかそういう用語を使われた種が多いのかな…。動物園界では、ピグミーチンパンジーがボノボと呼ばれるようになったっていうのはありましたが、コビトカバがそのまんまなのが未だに不思議なばったですぅ〜(・.・;)
2007/3/7(水) 午後 8:01 [ ばった ]
言葉の数からいっても英名にならってしまうのはもったいないですね。日本語でつけたほうがおもしろいのになぁ。そっくり魚ともうひとつ興味があるのが「名は体をあらわす?」展なんですけど(笑) 行動もふくめてその名前ほんとなのっていう生き物たちいますよね。
2007/3/8(木) 午前 4:00 [ - ]
カナーさんは、なんでもすぐに食べたがるね〜w。そういや「命をいただきます食堂」このところ品薄だものね、そのせい?この子たちは食用にするという話を聞かないけれど、オオモンカエルアンコウは、ちょっと美味しそうな体つきをしてます。
2007/3/8(木) 午前 4:07
makotoちゃん<実際、いざりが差別的蔑称だったことはすでに風化してるものね。実は、魚名がもしイザルウオだったら問題なかったのです。「アザラシは陸上ではいざって歩きます」は、ボクはよく使う表現です。でもいざりという形容詞を名詞にするのが、蔑称のよくあるパターンなんですね。こうやって普通の日本語が使えない言葉となっていくのは悲しいです。
2007/3/8(木) 午前 4:17
ノリさん、カエルアンコウたちの、素早さってホントに目にも止まらぬ早さですね。あれ普通のビデオでは、スロー再生してもちゃんと見えないんですよ。しかも微動だにしなかったのが、突然!だものね。どんな筋肉になっているのか。。。
2007/3/8(木) 午前 4:21
べる〜がさん<確かに!子どもにはなじみのある可愛い名前かもしんない。そう考えりゃ、カエルアンコウもいいか。う〜ん、ボクもだんだんなじんできたぞ!w
2007/3/8(木) 午前 4:23
MSKさん、初めまして!(ですよね)ダイビング三昧の日々?海の中のカエルアンコウ、可愛いですね。→http://blogs.yahoo.co.jp/m07s900kd/15004329.html
2007/3/8(木) 午前 4:31
Haro-aquaさん<「ニセ」と「モドキ」ね。これは差別的な言葉ではないから変わらないでしょうね。でも、ボク的にはちょっと変えたい気分です。名付けられた動物たちに失礼だものね。卵の化石を持っているように見えた恐竜の化石は「卵泥棒」と名付けられて、でも後でその卵は彼女の卵で守っていたということが判明。かわいそうに今も卵泥棒という名前です。
2007/3/8(木) 午前 4:38
ばったさん<ピグミーチンパンジーがボノボになったのは、英語圏で変更がされたからでしょう。日本ではピグミーが差別的蔑称ではなかったのにね。つまりチビクロサンボが葬られたのと同じ理屈。コビトカバは和名だから、ずっと使っていても国際的に平気だということなのでしょうね。でも水族館では、コビトペンギンを早くからコガタペンギンと言い換えています。
2007/3/8(木) 午前 4:42
ghonaさん<ねえ、生き物の名前は日本人の方がいい名前つけると思うよ。「名は体をあらわす?」展か、それはけっこう楽しいけれど、めちゃくちゃ多くの生き物がその枠に入っちゃいますね。ということは、特別展ではなく「ヘンないきもの展」みたいに、常設展に「特別解説」を付けるという方法がいいでしょうね。でも良いアイデアです。
2007/3/8(木) 午前 4:47
差別語狩りって私は基本的に賛成できないんですよ。メクラウナギの盲にしても、『目が見えない』状態を指すニュートラルな言葉で、『盲窓』と同様の用法です。『盲』と『目が不自由』なら、後者の方が直接的で差別の度合いが強い表現ですからね。障害の度合いの『全盲』って言い換えようがないし、恋は盲目を、恋は目が不自由って言ったら余程差別ですから。落語にも東海道中膝栗毛にも盲の話は出てきますし、『盲』がすべて蔑称だっていうことになると、盲という言葉を使っていた時代の人は全て差別主義者になります。
2007/3/9(金) 午前 1:12
言葉は文脈の中で意味が出てくるのであって、その単語だけを狩ればこと足れりというのは、結局面倒に巻き込まれたくないという役人的事なかれ主義・思考停止が道理を駆逐したってだけでしょう。こういう風潮が、逆に人権問題はややこしいといった偏見につながるんじゃないかっていう危惧を私は持ってしまうのです。商売繁盛の恵比寿神である蛭子は重度身障者ですが、身体的欠損、業病の聖性というのは日本に限らず世界に見られます。言葉を狩ることで失う代償の大きさを考えずにはいられません。
2007/3/9(金) 午前 1:12
それはおいといて、3匹とも、素晴らしい造形の仲間たちですね。名前は使う人にとって意味があるので、本人のあずかり知らぬものです。オオモンカエルアンコウの浮遊感は観ているだけで体が軽くなります。私は足が痺れていざってあるくことが度々あるので、イザリウオには親近感があります。クマドリカエルアンコウのデザインの粋なことといったら!カエルアンコウは水木しげるさんが描きそうな造形ですね。五体満足な人間の標準的な体型が、いかに無数のパターンのうちの一つであるか思い知らされます。
2007/3/9(金) 午前 1:13
言葉と差別。問題は、個人を表す代名詞として、身体的特徴や出自で表現することなのですね。かつてはそうして一般人に足らない人という扱いがまかり通っていたのです、その時言われる方は猛烈な差別感を感じる筈です。そんな風に使われていた言葉だから、今はみんなが使わないようにしようとしているわけです。動物名であっても、一昔前ならその言葉に該当していた障害者など本人は、自分が呼ばれているわけでなくても嫌な気分になるでしょう。それでボク自身もメクラウナギとかイザリウオとか口にするのが嫌でした。
2007/3/9(金) 午前 4:31
ボクも無意味な言葉狩りは好きではないです。でも、その呼び方で傷つく人がいくらかでもいる限り、さらに使わないでも特に問題がない限りは、動物の改名は賛成です。「いざる」は有効なのだし。ただ、イザリウオについては、命名者が「いざる魚」のつもりだったのか「イザリの魚」のつもりだったのか?前者なら問題はないのですよね。メクラウナギの方はそもそもメナシウナギにすべきだったですね。さて一つ心配は、今では誰も嫌な思いをしていない、ザトウクジラの座頭にまで改名の手が及ぶこと。それは勘弁して欲しいです。
2007/3/9(金) 午前 4:47
カエルアンコウたちは、泳げるし、いざれるし、さらに釣り道具も持っている上に岩にも化けられるわで、魚としちゃ六体満足みたいな体なんですねw。速く泳ぐよりも楽に生きられる進化です。車イスの友人は、平地では徒歩より早いし、立食パーティーの時なんか疲れ知らず。地球生物が誰も持ったことのない「輪」の歩行具を獲得したからです。生き物には、標準なんてものはないのでしょうね。
2007/3/9(金) 午前 5:09