ブログ水族館/中村 元

超水族館ナイトが贈る映画『ビハインド・ザ・コーヴ』上映会4/13(木)開催。チケット発売は3/13の10:00〜です。

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一枚の絵のような、うみたまごの水槽。
大分の水族館うみたまごは、美術館に迷い込んだような錯覚を覚える。

●スプートニク1号     
イメージ 1

イトヒキアジ水槽での一枚。

青い背景をバックに銀色に輝きながら滑り行くイトヒキアジの姿に、青から漆黒の闇へと続く宇宙を、たった一機だけで飛んだ人工衛星スプートニク1号を思い出した。
その頃は、大気圏外の空間に他にはまだだれもいなかったのだ。

若い人は知らないだろうけど、スプートニクの姿って、イトヒキアジにそっくりなのです。



●スプートニク2号
イメージ 2

たしかスプートニク2号には、ライカ犬が乗せられていた。
世界初の生体宇宙飛行だ。ただし帰還のない旅…。
もちろんライカ犬本人は、宇宙旅行を望んでなかったし、世界初を嬉しく思ってもいなかった。
それでも、初の宇宙飛行士として人々からは愛され、英雄になったライカ犬。

この犬のことを思うと、ボクの心の中では、ライカ犬が水族館の動物たちに重なってしまう。
水族館人のボクらは当時のソ連の宇宙開発者で、イルカや魚たち展示動物はライカ犬。
ライカ犬がみんなに愛されたように、水族館の動物たちも愛される。
でもやっぱり、ライカ犬と同じように、イルカや魚たちは望んで水族館にやってきたわけではないのだ。
そして、海への帰還のない旅でもある……。


●黄金の目
イメージ 3

透明なキンメモドキが、キサンゴの緋色に染まる水槽。
キンメモドキの黄金色に輝くの目は、ボクたちに、魚を食糧資源としてだけでない命として見せる魔力がある。

スプートニクのライカ犬にとっても水族館の動物たちにとっても、ヒトの考えることは迷惑な話だ。
でも、ライカ犬が人々の心に、宇宙への扉や未来への希望を開いてくれたように、
水族館の動物たちは人々の心に、ヒト以外の命の美しさや尊さを教えてくれる。
それはきっと、迷惑をこうむった彼らにとっても、未来への希望を開く力になるはずだとボクは信じている。


●生きる
イメージ 4

カタクチイワシの水槽で、アクリルに貼り付いていると見える光景。
目刺しにされたり、カツオ釣りや養殖ハマチの餌にされたりする魚弱な鰯が、生きるために開く口は驚くほど大きくて素早い。

全国の水族館で流行りの、群が自由自在に変化する展示ではないけれど、青い奥行き感と上下から当てられた光に、イワシたちの顔が間近に見えるのがこの水槽の魅力。
小さなイワシたちの輝ける肖像画……。


●輝くふたり
イメージ 5

大勢の群の中で、寄り添い輝く2つの命。
この2尾、もちろんカップルではないし、実のところ寄り添ってさえいない。
でも、ヒトは想像するから人なのだ。
水族館で科学的でないことを想像したっていいではないか。
水槽は想像力によって海より広くなり、巨匠の書いた絵と同じくらいさまざまな真実を見せてくれる。

かつて某超水族館をプロデュースしたとき、カンチョは美術館をライバルとして水族館づくりをした。
美術館に並ぶ絵が人の心を打つように、水族館に並ぶ水槽も人の心に感動を与えるべきで、
画家のあふれる感性が私たちに何かを見せてくれるように、水族館は観覧者に何かを伝えなくてはならない。

解説や言葉でなく、水槽という作品だけで、一枚の絵と同じように人を感動をさせ何かを伝える力を持った展示。
実は今でもそれは、ボクの水族館づくりの基本の、最も大切にしている一つなのです。


●大分マリーンパレス水族館 うみたまごのその他の記事はコチラ→九州沖縄の水族館の記事リスト

◆トークライブ中村元の水族館ナイト4(友情出演:荒俣宏さん)の報告→水族館ナイト4満員御礼!
◆参加者レポートも続々!
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しろねこさん→ねこの食べあるき
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□オススメの水族館本(中村元著・監修)→水族館の本
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考えさせられる記事でした。
人間と水族館につれてこられた魚たち…
時にはそういったことも考えながら水槽を眺めたいと思いました。
水槽のなかの生き物たちは“動”の美しさを教えてくれますね。
絵とは違って一瞬一瞬が唯一無二の画となるのですから。
人が水族館に夢中になる理由はそこにあるのかもしれないなぁ。
秋の夜長は考え事にもってこい、あんぱんなでした。 削除

2009/11/5(木) 午後 10:38 [ あんぱんな ] 返信する

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水族館は科学であると同時に
芸術でもあるんですね…(#^.^#)
はアートが、こもっているからね☆ 削除

2009/11/5(木) 午後 10:52 [ ずぅ ] 返信する

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今回、深いっすね…

ライカ犬とかしらないけど、確かにそうです!

いや〜深いいです☆

ってか、カンチョさんお久しぶりです♪ 削除

2009/11/5(木) 午後 10:53 [ ミーサン ] 返信する

どひゃ〜!5連続ポチとは……!
いや、5ポチもらったことも今までにないからな〜。4でさえないしw。
これはまた感激です。
カンチョもやればできるってことかしら?w

2009/11/6(金) 午前 1:55 kapaguy 返信する

わかめさん、お久しぶりですね〜。
しかもポチ。ありがとーございます。
つうことは、ポチもらえるくらいのことを書かねば、コメントももらえないってことですな。
はい、これから頑張ります。

実際に見てても、心眼を開けば、こんな風に見えるんですよ。マジで。
だって、こんな風に見えたから、それを写真に撮ろうと思うんやから。
でも、それが伝わって嬉しいです。

2009/11/6(金) 午前 1:59 kapaguy 返信する

maruさん、ボクは動物たちに対していつも「こいつら迷惑してんのやろな〜」と思っています。
で、だからこそ、イルカが好きというだけでトレーナーをやりたいということや、魚類飼育が好きというだけで飼育係をやっていることに、ぜんぜんいい印象が持てないのです。
水族館は、展示してナンボ(見せてナンボ)なんだから、動物たちに迷惑かけてる分、展示による何かを来館者に伝えなくてはならないと思ってます。
そう、動物たちを人々の心の中で輝かせてあげることこそが、水族館人としての使命なのですね。
ポチン、ありがとうございます!

2009/11/6(金) 午前 2:07 kapaguy 返信する

ghanaさん、お久しぶりですね。
今回以外はいつも浅くてスミマセンですw。
今回はちょっと酔ってたからね、まあ、地が出ちゃったというところ…ということにしておきましょうぜ。
いつものカンチョがかりそめの姿。今回が本物のカンチョなのだ!なのだ!なのだ!にょほ!
傑作ポチ、ありがとうございました〜!

2009/11/6(金) 午前 2:11 kapaguy 返信する

魚水さん、そうなのですよ、水族館の水槽も芸術なのですよ。
それは、いかに芸術的に組み立てるかではなくて、いかに自然や命のことを理解してそれを表現するかという、水族館人としての哲学による芸術なのです。
そういうことをやっている水族館というのは、全国的にもほとんどないのだけど、これからの水族館は(動物園も博物館も)、そのような哲学を持ていれば、いくらでも進化するだろうと思うのです。
これからの水族館、楽しみですね〜。
ポチありがとうごいました。

2009/11/6(金) 午前 2:18 kapaguy 返信する

眼とろんさんの指摘どおり、このメタリックは地上では考えられません。
他には甲虫くらいかな。
キサンゴの緋毛せんは、ボクもそのように思いました。あまりにキレイなんやもん。

それにしても、スプートニクのメタリック色のこと、よく知ってましたね。
1号はボクが生まれた頃に打ち上げられたので、物心付いたときから、人工衛星はみんなこんな形で色だと思いこんでいました。
ポチ、まいどです。ありがとうございます。

2009/11/6(金) 午前 2:25 kapaguy 返信する

あんあぱんなさん。
水槽をジッと見てるとね、宇宙に関する謎よりもたくさんの謎を発見できるの。
ダイビングもいいけど、各地の水族館にもときおり出かけようではありませんか。

2009/11/6(金) 午前 2:27 kapaguy 返信する

ずぅさん。
水族館は科学であると同時に、芸術でもある。…はいその通り。
で、「はアートが、こもっているからね☆」ですか…(^^;
水族館は、駄洒落の殿堂でもあるわけですなw。

2009/11/6(金) 午前 2:31 kapaguy 返信する

ミーサン、ほんとに久しぶりやん。
ボクはちょっと心配してて、そろそろメールでも出して、ミーサンの身辺に困ったことでもないのかと…。
でも、そんなワケやないみたいね。
お仕事、お疲れさまです。

2009/11/6(金) 午前 2:34 kapaguy 返信する

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こんにちは。初めて投稿します。宜しくお願いします。

うみたまごの写真と文章・・・すごく考えさせられます。
ありがとうございます。
水族館の飼育員を目指す私ですが、
動物の幸せとは?といろいろ考えます。
答えは無限大に感じますが・・
まだまだ水族館について学びたいです!


水族館のお客さんには満足して頂けることが一番ですが、
それだけではなく動物達の存在や、野生での生活環境、
動物や魚達が秘めている魅力をもっと伝えることができたら・・・
水族館人は奥が深いですね!
素敵です!! 削除

2009/11/6(金) 午後 3:51 [ みっきー ] 返信する

みっきーさん(みっきーくん?)、ようこそです。
どっかで見かけたハンドルネーム……。
水族館の未来を背負おうと努力していてくれてありがとう。

飼育員ではなく、展示員になることを目指して下さい。
そうすれば、飼育展示している動物たちのための一番大切なことに近づくことができるはずです。
水族館では、今、名前だけは「展示課」とかなっていても、その本当の意味は理解されていないことが普通です。
展示員であることの意味が分かった人だけが、ホンマモンの水族館人になれます。
頑張って下さい。

2009/11/7(土) 午前 1:43 kapaguy 返信する

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はじめまして

先日、うみたまごのお魚さん達をTVで見た4歳の娘が『行ってみたい!』と録画を何度も見ていました。


魅せること、から興味が生まれ 心や知識を育む素敵なチカラとなるのだと思いました。 削除

2010/8/5(木) 午後 10:30 [ 蒼い空の月 ] 返信する

蒼い空の月さん。ようこそです。
子どもの感性って、かなりすごいですよね。
ボクは、水族館の展示において、「子ども向けの展示」ということにあまり興味を持ちません。
ていうか、子ども向けなんてものは必要のないことだと思うのです。

なぜなら、大人と同じものを見て、子どもなりに考えることが必要だし、実のところ、子どもの方が大人よりも多くのことを感じる力があるからです。
大人に対して見せる力のある展示が、子どもにもより多くの心や知識を育む力を持っているのですね。
さっそく、お子さんを水族館に連れて行ってあげましょう!w

2010/8/7(土) 午前 4:29 kapaguy 返信する

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お返事が頂けるなんて、嬉しいです

ほんと、おっしゃられる通り…子どもの感性は素敵なものですね!

水族館によって見られるお魚が違ったり、また展示の仕方によって 同じお魚でもずいぶん印象が変わるんですね


新江ノ島水族館はわりと通いやすい距離(?)にある水族館なので、幼い頃からフリーパス握りしめ娘と2人、楽しませて頂いております
娘の最近のお気に入りは、深海コーナーのようです。


いつか、うみたまごにも 連れて行ってあげたいな…と そう想います

ありがとうございます。 削除

2010/8/26(木) 午後 8:48 [ 蒼い空の月 ] 返信する

蒼い空の月さん。来年には、サンシャインにもお越し下さい。
今、新エノスイに次いで、私がプロデュースをしているところです。

それと、ぜひこのブログのTOPにもお越し下さいね。
http://blogs.yahoo.co.jp/kapaguy
そしてまた、コメント下さい。

2010/8/27(金) 午前 1:52 kapaguy 返信する

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サンシャイン水族館、行ってみたいなと思います
どんなふうにイメージをされ出来上がってゆくのか、とても楽しみであり
心のなかに勝手に描く淡い夢のようなものでもあります・.゚。*

新しいblogも拝読させて頂くことができました! ありがとうございます 削除

2010/8/31(火) 午後 8:27 [ 蒼い空の月 ] 返信する

ぜひお越し下さいね。
新水族館が誕生するまでの様子は、このブログでも随時お知らせしたいと思っています。

2010/9/1(水) 午前 2:18 kapaguy 返信する

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