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昨年の12月、TCA(東京コミュニケーションアート専門学校)の学生を使って、観覧者行動調査を行ったのだけど、昨日はその分析と発表を学生たちにさせた。 調査は、サンシャイン国際水族館の協力をいただいて、学生たちが、特定のお客さんの入館から退出までの行動をつぶさにチェックするという方法。 この調査方法は25年ほど前から個人的にやりはじめた、おそらく水族館界ではボクしかやってないだろうと思う調査方法で、「尾行調査」最近では「ストーカー調査」と呼んでいる。 この25年間、ボクはいろんな水族館でこのストーカー調査をやってきたのだけど、入館から退出までということは最初の数回以外にはやったことはなく、さらに記録を付けていたワケでもないので、統計的な数値としての情報は持っていなかった。 でも今回、学生の授業に組み入れることで、丸2日分、総サンプル数110数本の、非常に詳しいデータを取ることができた。 明るい水槽は、立ち止まって見る人が多い(サンシャイン国際水族館) 学生にあらかじめ渡してあった調査票には、どの展示を見たかというだけでなく、それぞれ何秒見ていたか?と、解説板をどのくらい読んだか?が逐一チェックできるようにしてある。 また、調査対象のグループ構成や休憩の時間なども書き込むようにしてあるので、グループ構成による観覧や時間の使い方の違いなども数値としてはっきり浮き彫りになる。 詳しい内容は明かせないが、ボクがよく言う「お客さんは展示の半分も見ていない」ことや「お客さんは動物よりも水中感を楽しみに来ている」ということが数値として見事に証明されたり、家族連れとカップルでは特徴的な違いがあることがわかったりもした。 水族館関係者の読者も多いようなので、一つだけ具体例を挙げると… どうやら、お客さんは、暗い水槽は意図的に避けて、明るい水槽を選ぶ傾向が強いらしいよ。 暗い水槽は、意図的に避けられるようだ(サンシャイン国際水族館) この尾行調査の目的はただ一つ、いつも言っている「カスタマーズ(観覧者)起点による展示」のための基礎マーケティングだ。 以前にも書いたけれど、お客さんの意見をアンケートなどで取っても、カスタマーズ起点の意味はほとんどない。 なぜなら、購買心理とか、満足への過程の心理とかいうのは、本人が自分の心を分析しながら動かしているものではないからだ。 また、お客さんが要求することを満たすのがカスタマーズ起点というのも誤りだ。 なぜなら、お客さんはそれぞれの想像の範囲の中でしか要求ができず、展示の面白さはお客さんの想像を超えるところにあるからだ。 だから、お客さんの無意識の中の行動を追って、それを分析することにこそ、カスタマーズ起点の本質がある。 というのがカンチョ説なのであるw。 低い水槽は小さな子どもしか見ない(サンシャイン国際水族館) カンチョのTCAでの講義名は「水族館・展示と運営のデザイン」 今回の調査と発表によって、学生たちは、座学で教えられるよりはるかに印象的に、カスターマーズ起点の展示と運営という意味が理解できたようだ。 さらに、サンシャイン水族館側としては、まともにやろうと思ったら莫大な金額を請求されるような調査データが手に入り、学生の発表を聞きにきてくれたことで、さらに詳しい観覧者の行動特性や、満足不満の度合いなどまで知ることができた。 そしてボクは、水族館プロデューサーとして、自分の考え方を裏付けることのできる貴重なデータを得ることができた。 三人一両損という言葉があったけど、これは三人三両得! サンシャインでは今月、別の学生を使って、角度を変えた観覧者行動調査を行うことにしているが、さらに来年度は、タイプの違う別の水族館でも同様の調査を行う予定だ。 そうすれば、比較分析もできて、これはなかなかいい授業のやりかたを発明したもんだと、一人悦にいっているこの頃なのですw。 尚、そんなにいい調査なら、ぜひウチでやってよ!という水族館があればこっそりご連絡下さいw。 |
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こんにちは。
そこの水族館の常連さんの後につくと穴場もしくは水槽の見方を
知ることができそうですね。
2010/1/11(月) 午後 2:18 [ フンボ ]
場所は違いますが よく売れるスーパーなども
無意識に行動するお客さんの動きに合わせて
売り場も工夫されてますよねぇ。
日常、無意識に行動してる自分も分析したら
面白いかも〜♪
さっすが〜カンチョさん^^ポチン!
2010/1/11(月) 午後 2:23
確かに暗い水槽はオートフォーカスさえ合点しなくて写真は不可能ですし、よく見えないので明るい水槽ほど見ていないことが多いですね。
最近は写メをその場で友達に送って自慢する若い人が多いし、見方も様変わりしていますね。
それから、やはりメディアの影響は大きいですよね。葛西のアオヤガラの前で、「これテレビに出てた!」っていう声を結構聞きました。サンシャインもメディアに取り上げられたアリクイの親子が大人気でしたね。
タレントの中川翔子さんはクリオネの捕食時の触手が余程気に入ったのか、『バッカルコーン!』をテレビやブログで連発していますが、こんな専門用語はしょこたんが使わなかったら、普通知りませんよね。
アジの群泳が綺麗ですね!ポチ☆
2010/1/11(月) 午後 3:06
えのすいの深海コーナーもすごいのに、
立ち止まって見ているお客さんは少ない…
深海は、すごいけれども、
暗いし恐い…
水は神秘的だけれども、畏怖する気持ちもあるんですね…
2010/1/11(月) 午後 10:44 [ ずぅ ]
べる〜がくん、ボクがやろうとしている講座はゼミと同じやからね。
さらに、大学教授あたりでは持っていない隠し技のノウハウと、大学生あたりでは持っていない学生たちの真剣味があるから、実は研究所の方が近い。
大学のゼミでは到達できないステージにまで持っていくことができるよ。
2010/1/12(火) 午前 0:49
フンボさん、今回の調査で分かったのだけどね、常連さんと思われるお客さんは、たいてい見る水槽が少ないw。お気に入りが決まっちゃってるんやね。
だから、常連さんについていくと、ろくなことにはならないと思いますw。
2010/1/12(火) 午前 0:50
maruさん。デパートだけでなくコンビニとかの販売業種は、かなり早くからカスタマーズ起点をやってますね。
春物が揃うと、外はまだ真冬なのに、室温をぐっと上げて汗かかせて春を意識させるとか。
ライバルの多いところでは当然やんなくちゃいけないことなのだけど、水族館とか動物園、博物館なんかは、ライバルがいないのをいいことに、そういう感覚が芽生える状況になかったのです。
だから、しょっちゅうアンケートみたいなことをやってる(^^;
販売系ではすっかりすたれてしまった手法なのにねえw。
ポチ、ありがとうございました!
2010/1/12(火) 午前 0:58
眼とろんさん。水族館にとってメディアは唯一といっていいくらいの営業手法なんです。
かつては、旅行代理店へセールスに行くというのが主流だったのだけど、今じゃまったく意味はなく、セールスのスタッフなんて一人も必要ないのが現状です。
ボクがそれに気付いてメディア戦略を始めた25年前は、誰もそんなこと考えてなかったので、田舎の水族館でありながらメディア一人勝ちでしたw。
今はみなさんよくやってらっしゃるので、その一歩先を行くのはけっこうタイヘンです。でもおかげで、総体的に水族館がメディアに出る頻度が高くなりました。今では夏になったら水族館の話題が季節ネタみたいに多いですね。ありがたいことです。
ポチ☆ありがとうございまーす!
2010/1/12(火) 午前 1:05
ずぅさん。そう、あの深海コーナー、実に惜しいです。
目の前に明るい大水槽があるのも、暗さを強調しているのですね。だから、一つの部屋にしてしまえば、もっと見る人は増えるのだろうけれど、残念なことに部屋にするほどのスペースがないのですな〜。
でも最近、暗くても見てもらえる効果的な方法をいくつか発見しました。
そのうちどこかでお披露目できます。楽しみしていて下さい。
2010/1/12(火) 午前 1:10
なるほど…
一般消費財と展示とでは「商品」と顧客が求めるものの質が違いますからね。
顧客の態度変容プロセスと言っても「購買」という行動が伴わないから、展示にはそのまま適用できないし…
『お客さんはそれぞれの想像の範囲の中でしか要求ができず、展示の面白さはお客さんの想像を超えるところにある』
つまり、展示側は顧客の期待をある意味裏切りつつ、新しい驚きと感動を提供しなければならないという訳ですね。
驚きや感動の度合は数値では直接表せないけれど、その場にとどまる時間である程度定量的に推察できますね。
マーケティングはセオリーだけじゃない、現実に起こっていることを正確に把握し、分析すること、それから様々な角度から見つめることが大切なんですね。
学生さんたちにも貴重な勉強になったと思います。
私も勉強になりました!
授業料と言っては何ですが、☆ポチをお納めください!
2010/1/12(火) 午前 1:51
>お客さんはそれぞれの想像の範囲の中でしか要求ができず、展示の面白さはお客さんの想像を超えるところにあるからだ。
そのとおりですね笑。
カンチョさんのお話のなかでも水族館の
マーケティングにかかわるお話はとても興味があります。
エノスイのコアコンピタンスの記事を読んで以来、
水族館にもカンチョさんのような発想を持った人たちが
もっといてほしいなと思っています。
ぼくも授業を受けたいですね笑。
2010/1/12(火) 午前 10:31 [ - ]
魚水さん。
》驚きや感動の度合は数値では直接表せないけれど、その場にとどまる時間である程度定量的に推察できますね。
そうなんです。そのサンプルが目の前にあるのに、それを利用してこなかったのが水族館です。
その理由も魚水さんの推察通り、水槽前では「購買」という行為が伴っていないので、展示者の経験値が上がっていかないわけです。店員さんなら、どこにマネキンを置くのがいいとか、どうやって勧めれば買うとか、どんどん経験値があがっていくのだけどね。
まぁ、単純な話、客側に出て、自分の展示がどんなふうに見られているのかに興味のある展示係が少なすぎたワケです。それは展示係ではなく、ただの飼育係ですね。
授業料☆ポチ、まいどありがとうございま〜す! (売れた!w)
2010/1/12(火) 午後 11:29
ghanaさん。水族館はマーケティングをせずに伸びて来た業界なので、ボクのマーケティング論が斬新に思えるのでしょう。
でも実のところ、ボクしかやってないからボク程度の稚拙なマーケティング論でも成功するというのが実情ですw。
水族館のコアコンピタンスもね、他業種では当然のようにやっている方法を水族館に使っただけの話なんよ。
ただまあ、水族館には水族館のとても特殊な事情や環境があるから、マーケティングの専門家がいきなり水族館をやっても、まず100%失敗します。
そんな非常識と常識の間の実に細い狭間の中でやっているから、ボクはたった一人の業界、水族館プロデュース業をやっていくことができるというワケです。
いやあ運がいいというか、ツボにはまったというか、ありがたいことですわw。
2010/1/12(火) 午後 11:40
実に面白い調査ですね!
詳しい結果(データ)が知りたいです!笑
僕は本当に低い水槽は
のぞくのが大変なので
ほぼ座り込んで見たり、写真とります(^^;)
2010/1/13(水) 午前 10:44 [ けーいちいわし ]
ストーカー調査のお話、とても興味深いです。
私もぜひカンチョさんの講義を聴いてみたい!
実は大学を休むかしてTCAのアクアリスト専攻に行こうかと悩んだ時期もあった私です。
私は低い水槽の前では子供たちにまじってしゃがみこんで見ちゃいますが、一緒に行く友人は恥ずかしいみたいです(^^;)
2010/1/14(木) 午前 1:17 [ あんぱんな ]
けーいちいわしくん、詳しいデータは企業秘密だよんw。
低い水槽、わりと腰を落として見てる人多いよね。
ボクは写真撮る時以外は、めんどうなのであまり見ないなw。
2010/1/14(木) 午前 5:56
あんぱんなさん、大学生の聴講制度もあるといいのだけどね。
最近の水族館はけっこうおしゃれして行けるから、特に女性はスカートはいていたりするとしゃがむのはやりたくないんやろねえ。
2010/1/14(木) 午前 6:00
カンチョさん、すごい〜^^
お客さんはそれぞれの想像の範囲の中でしか要求ができず、展示の面白さはお客さんの想像を超えるところにあるからだ。
ほんと、名言です!!
「確かに」って言っちゃいました^^:
私も、ストーカーされたりしてるんですかね??キャーo(^o^)oウキ
2010/1/30(土) 午前 10:32
あ、暗い水槽ってのは…
目が悪い人が多いからかな?って思います。興味ってのもあるとは思いますが、頑張ってみても見えにくいからかな??
少々目が悪くてもメガネやコンタクトなしで生活している方、多いですよね〜
私は目がいいのでちょっとわかりずらいのですが…
どこに隠れているでしょう?みたいなものだったら、意地でも見つけようとしますけどね…私^^;
2010/1/30(土) 午前 10:35
みーさん。ボクかボクの授業に出くわさない限り、ミーサンがストーカーされることはないと思います。
でも、可能性はあるからね、せいぜい水族館に出かけててw。
ミーサンの水族館の回り方は、きっと参考になると思う。ていうか、面白いサンプルになりそうな気がするねえ。
暗い水槽を無視する人が多い理由が「目の悪い人が多いから」というのは、すごい新説!
学生たちの誰からもそんな発想はなかったなw。
でも確かに、中が見にくいと、それだけでイヤになるもんな。
星の明かりで闇夜を見渡せる人たちなら、見てくれるかもやなあ。
2010/2/1(月) 午前 2:33