ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は10/5(日)の開催。前売り発売は9/15です

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大西洋クロマグロが、ついに禁輸か!?
……と、世の中ではなんだかちょっとした騒ぎになってるようですね。

[葛西臨海水族園のクロマグロ]
イメージ 1

マグロがあまり好きじゃないカンチョ家は、べつだん困るワケでもないのだけど、お造りと寿司にはマグロがなくちゃ始まらないというご家庭もあるのでしょうなあ。

でもね、もし世の中からマグロの量が半分以下になったり、値段が3倍とかになったとしても、食事ができなくなるとか言って真剣に困る人はほとんどいないと思うの。
きっと、喫煙場所が半分以下になったり、煙草の値段が3倍になるかもと困ってる人の方がはるかに多いw。
つまりまあ、マグロ神話なんちゅうのは、その程度のことなワケなのですよ。

ただ、すごく困る人もいることはいる。それは水産物の輸入業界。
さらに実は、大西洋クロマグロや、ミナミマグロは、漁獲量の制限が厳しくなってきているので、日本から遠洋漁業に出かけている水産業者はすでに大きな打撃を受けています。

しかしですよ! 日本のみなさん、もうマグロは高嶺の花でええやありませんか。
以前に、魚水さんだったかのコメントに答えて話したことがありますが、スーパーの目玉商品に「天然本鮪」とか、回転寿司に「本鮪大トロ」とか、そんな高級品がお値打ち価格で普通に並んでいることがおかしいのですよ。

『お寿司やさんでドキドキしながらきばってトロを頼む、あの「時価」という文字の恐ろしさ。』
それこそが、このピカピカと巨大で美しいクロマグロやミナミマグロをいただくに値する所作なのです。


マグロがいっぱい!東京人はマグロ好き。[葛西臨海水族園]
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別に、マグロ神話、トロ神話を捨てなさいなんて言いたいわけやないのですよ。>東京のみなさま。
神話なのだからこそ、「いつでも、どこでも、お値打ちに」なんて常識をやめませんか?と言いたいのです。

もし、マグロの価格が今の3倍になったらね、
漁獲量が半分にまで制限されても、水産業としては採算が取れる。さらに労働は半分でいいことになります。
クロマグロは無駄にたくさん死ななくてよくなってきっと喜ぶし、漁業者の将来だって、いつまでも操業ができて安泰じゃないですか。
お寿司屋さんでは、1勘1万円なんて大トロ伝説が復活します。お客さんのあのドキドキ感も復活です。
水族館のクロマグロは、今よりももっともっと観覧者から称賛されるようにもなり、葛西の値打ちも上がります。

ほ〜ら、いいこと尽くめやないですかw。
輸入禁止、漁獲量制限、ちっとも悪くない!


さて一方で。水産業界では、養殖マグロに力を入れようという動きがあります。

[名古屋港水族館では最近、近大養殖マグロを展示]
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近畿大学水産学部では、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功し、今ではヨコワ(クロアグロの若魚)の大きさまで養殖して各地の養殖業者に卸しているのです。
尚、本当の養殖マグロは世界で日本だけ。スーパーで見かける養殖マグロは、若魚を獲って餌を与えて育てる「畜養マグロ」で、問題になってる大西洋マグロの多くもそれです。

さすがニッポン!完全養殖だったら、天然資源に影響を与えないし、そのうちハマチやタイのように安くなるぞ! …とお思いのみなさんも多いでしょう。
確かに、今はまだ高価な養殖マグロも、だんだん歩留まりがよくなって安くなると思われます。

しか〜し!ちょっと待った〜!
マグロが大きくなるにはエサを食べなくちゃいけません。
かつて養殖業者から、「養殖ハマチを1kg育てるのに、イワシやアジなどを9kg与えなければならない」と聞いて、愕然としたカンチョは、それからはハマチ一人前をいただくときには、そのハマチの命と、エサになって死んでくれたイワシさんたち10尾くらいを頭に思い浮かべて「いただきます」と言うようになりました。

ところがですよ!養殖マグロの場合は、それがなんと20kg必要なんやって! どひゃ〜!
ていうことは、100gの養殖マグロお造りに対して、2kgのイワシさんたちに「いただきます」を言わなくちゃならん。
いただきますを言ってる間にますます腹が減る(^^;

そんなにたくさんの命をいただくわけだから、養殖マグロだって絶対に安くちゃいかんのです。
それにもしですよ、養殖マグロのエサになったイワシやアジやサバたちをそのままいただいていたら、20倍の人たちがお腹を満たすことができるのです。
この飢餓で2秒に一人が死んでいるという世の中で、もうめちゃくちゃ贅沢な話やないですか!


エサ食うど〜![名古屋港のマグロ]
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さらにさらに、養殖にはもう一つ問題があります。
『養殖は魚を育てるけれど、海を死滅させる』という現実。

養殖では、生け簀の中ですごい密度で畜養する魚の全員に、エサを腹一杯食べさせなくてはならないので、ホントに食べられるエサよりもはるかに大量のエサを投餌するのです。
そのため、生け簀の下は落ちてきて腐った残餌の山。さらに、食べられたエサだってフンになってやっぱり生け簀の下にモリモリたまります。
だから、養殖や畜養をしている生け簀の下は、命のかけらさえ見えないヘドロの海です。(某水隣の生け簀に潜らされて唖然!)
これなんか、環境に対する滅茶苦茶贅沢な話やないですか!


なので、カンチョは断固提案します。
もし養殖マグロの価格が安くなったら、贅沢税を課す!
そしたら、天然マグロの価格も下がらないでしょう。
めでたしめでたし。ですなw。



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今日本屋で、「イワシがきえた」というタイトルの本をみかけましたが、マグロ養殖が盛んになるとそうゆうこともありえますね。

養殖といえば、カンチョさんはもしかしたらご存知かも・・・ですが、温泉養殖「温泉とらふぐ」もあるようですね。

2010/3/15(月) 午後 7:28 [ フンボ ] 返信する

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クロマグロの養殖は、負荷が掛かるのですね(゚O゚)
考えて見れば、ピラミッドの上の方に居る生き物を食べているのだから、欲張ってはいけませんね。
それに、御馳走を、薄利多売にすると有難みが薄れてしまって、つまらないです! 削除

2010/3/15(月) 午後 10:50 [ Kazuki ] 返信する

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蓄養にしろ、養殖にしろ、
狭い網の中にかなり人(魚?)口密度の高いところに餌をドッサーー!!と放り込んでるのを見て、
「そこの海底ってどうなってるんやろ??」ってちょっと気になっていたのですが、やはりヘドロ状態なんですね…。
養殖にすると、餌にする魚をこれまた必要以上に獲らないといけないわけですから、その餌にされるイワシたちも絶滅の危機になるかもしれませんね…。
マグロもイルカもクジラも、食べないといけないものではないし、
どれも高嶺の花で充分、存在価値のあるものだと思います。
カンチョの意見に賛成です!!

2010/3/15(月) 午後 11:51 [ waccha2004 ] 返信する

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私も、そんなにお寿司にまぐろが入ってなくても
クロマグロじゃなくても、ビンチョウマグロでもあんまり
気にならない人なので、制限のお話も他人事のように聞いてました(^-^;;

でも、養殖にそんなにイワシが必要なんですね!
イワシ好きなので、最近のイワシ高騰化はがっかりしていた
ところだったのに、また高くなっちゃう(^-^;;
いやいや、そんなことより養殖でそんなに海が汚れてしまうとは・・
やっぱり人間って業の深い生き物なんですね。

2010/3/16(火) 午前 1:50 [ しろねこさん ] 返信する

maruさん。贅沢ってお金かけることやないんですよね。それより今では、お金かけずに自分の満足を満たしてしまうことの方がはるかに贅沢な時代です。
「いただきます」って、深くて美しい言葉だと思いません?
ポチン☆、ありがとうございました〜!
あ、そろそろmaruさんは起きる時間やねw。

2010/3/16(火) 午前 4:41 kapaguy 返信する

ミストラルさん。同じコトを考えていた人がいたって、うれしいなあ。
これもやっぱり水族館文化が日本に浸透しているせいなのか?
マグロの前に、サバやイワシがいなくなるって、マジであるかもしれないですよ。
ヒトって自分たちがなかなか死なないから、みんなもそんなに簡単に死なないだろうと思ってしまってるのでしょうなあ。

2010/3/16(火) 午前 4:51 kapaguy 返信する

ミーサン。はい、勝手な想像、許す!
そしてはいはい、マグロの世界は甲子園!ヒトは優勝者ですじゃw。

お造りは嫌いやったん?ボクの妹といっしょやなw。
親が妹にお造りを食べさせるために、醤油マヨネーズで食わしてたん。
そしたらそれが妙に好きになったらしくてね、52歳の今でも、お造りは醤油マヨネーズでいただいてるよw。

2010/3/16(火) 午前 4:55 kapaguy 返信する

わなげいぬさん。『養殖は魚を育てるけれど、海を死滅させる』という現実のこと、一般的に知らなくて当然ですよ。
だって、だれもそんなことは報道せえへんのやもん。
そもそも、困った事態というものは、ほとんどの人には知られないように隠すようにされるようになってるんです。
だから、水族館では、そういうことが自分で発見できれば、すごい儲けもんなワケなんですよ。
そしてそういうことを発見する人が増えれば、世界はもっとよくなるでしょうね。そう、ヒトの力はひどく大きいものなのです。

2010/3/16(火) 午前 5:05 kapaguy 返信する

フンボさん、温泉トラフグ知ってますよ〜。
温泉だけに限らず、最近では内陸でいろんな魚の養殖がなされてます。
なんとなくこれだと、海もヘドロにならないからいいんやないかと思われがちなんですけど、ここにも大きな難点が!
飼育水を循環したり運び入れたりするのに、えらい額の光熱費や海水運搬費がかかり、つまりCO2の排出にも一役買ってたりするわけです。
なんだか、石油を使ってバイオ燃料をつくってるみたいな本末転倒の話ですね(^^;

2010/3/16(火) 午前 5:13 kapaguy 返信する

Kazukiさん。「ご馳走」そう、その言葉です!ボクが言いたかったの。(最近、欲しい言葉が出てこない病のカンチョw)
ご馳走を「いつでも、どこでも、お値打ちに」という考え方事態がもういろんな意味で逸脱してしまってるワケです。
(また、いろんな意味でとかで誤魔化してるボクw。いろんなにはどんなんがあるんや?>オデ(T_T)

2010/3/16(火) 午前 5:19 kapaguy 返信する

wacchaさん、おこんばんわ。
マグロの話は、それをいただかなくちゃ生きていけないとかいう議論ではなくて、商業がなりたたなくなるという枝葉末節のところで議論してることが問題だと思うのですよ。
クジラにしてもマグロにしても、別に今は日本の文化ってほどではないですね。そもそも江戸時代には、マグロはぜんぜんダメ魚やったそうだから。
嗜好品なんて、だいたいそんなもんなんですよw。

2010/3/16(火) 午前 5:26 kapaguy 返信する

しろねこさん。ホントヒトって業が深い生き物です。
業が深くなった一番の原因は、ヒト社会に「お金」ができたことですよ。
肉のように腐らないから、持ってれば持っているほどいいと思う風潮ができてしまったんですね。

サバやイワシ、マジで高級魚の仲間入りしてきましたねえ。
一昨年は、水族館に入れるイワシが獲れなくて、もう取り合い状態でした。
ただこれは一概には乱獲の影響とは言えないのが、見えない海中の謎なところで、それだけに未来がどうなるのかますますわからない。なんだか恐いことですね。

2010/3/16(火) 午前 5:55 kapaguy 返信する

最近、畑に行くようになって思うことがあります。
その季節に食べられるものを
食べられるだけでいいではないか。
そしてつぎの季節を楽しみに生きよう。と...

魚屋さんにも行きます。
生け簀のこれ、食べてみたいけれど買えません。
でもいつか食べられるときでいいと思います。
もう少しその魚が海のなかで増えればいいのですから。

商売「お金」のことを考えるなら、
地球のことを考えずにビジネスは成立たない。
そういう時代になったんだと思います。
地球上の生き物としての命の繁栄。
命をつないでこそ「文明」なのだと思います。

2010/3/16(火) 午前 11:33 [ - ] 返信する

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カンチョの意見に大賛成!
マグロ神話はつられたものだと思います。
あの脂っこい大トロをもったいぶっていただく習慣(?)も・・

養殖も完全に原料に魚を含まないような配合飼料だけで生育させるとか・・・
だったらまた別の価値が出てくるのかも・・

いずれにしても、近海ものをそれなりの価格で流通させれば、特別食べたい人にとってはこれからも問題なく供給は可能なのですから。。。

ただ、業界としてこれを生業にされてた方には、ほんとに大変な事になりそうですが・・・・そこはなんとも辛い話です。

2010/3/16(火) 午後 5:45 ○丸ちゃん○ 返信する

まず、マグロを沢山食べるようになったのは冷凍技術が発達したからですね。
江戸時代の江戸っ子の好物は鰹で、女房質に入れても初鰹ですものね。
本当に大西洋のマグロまでというのどうかと思います。
ただ、近大が世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功したということは、日本のマグロ研究がトップレベルなわけですから、さして海洋生物に興味が無い国がいきなりワシントン条約を持ち出してくるのが疑問ですし、ネットで欧米の高級ペットフードを見ると、マグロが入っていたりするんですよね。それで、レストランで地球のためにマグロは食べないと言っているアメリカのおばちゃんの映像をみて吹き出しました。森林破壊した牧草で育った牛を食べているわけですから。

2010/3/17(水) 午前 1:30 眼とろん星人 返信する

保護で増えた鯨が希少種の鯨を圧迫したり、海産資源を食い荒らしている例もあるので、トータルの海洋資源保護が必要だと思います。
2012年には生き物の住めない川になる恐れがある世界最大の下水道=揚子江や 某国の原潜の海洋投棄の話はどこにいったのか?そのぶん米産牛肉の輸入再開しろということになるんじゃないか?とCO2の削減と同様、彼らが本気で環境保護を考えているのか大いに疑問です。
それから、ニュースでは葛西のマグロの映像が多用されていますが、それなら、『葛西臨海水族園』と表示して宣伝して欲しいものだと思いました。

2010/3/17(水) 午前 1:31 眼とろん星人 返信する

ghanaさん、RESが遅くなりました。
経済が現代の地球社会を動かしているのは、今もあまり変わらないのだろうと思います。
まぁ、それはそれで仕方のないことかもしれないけれど、その経済が熟考しなくちゃならないのが消費社会で、その消費社会をつくっているのは、他でもない我々一人ひとりなのです。
我々の常識を変えることが必要ですね。

2010/3/17(水) 午後 9:23 kapaguy 返信する

丸ちゃん。
》養殖も完全に原料に魚を含まないような配合飼料だけで生育させるとか・・・
それって、ジャングル大帝に似てますねw。
の肉じゃない肉を食べて、アフリカの動物たちがみんな仲良く暮らすという…w。
ボクは、命をいただくのは悪いことやないだと思うのです。
だって、地球上の生命はお互いに喰らい合って生きてきたわけだし、植物だって生き物ですもんねw。

海外には日本食もずいぶん広まって、このマグロやトロにしてもその一つなのだけど、世界で最も尊敬に値する日本食、そろそろ新しい時代の食文化を日本国民の新しい規範で生み出したいものですね。

2010/3/17(水) 午後 9:38 kapaguy 返信する

眼とろんさん。マグロというのは、本来は日本の近海魚だったところから出発してるのですよね。だから、傷みやすい赤身を運搬する技術ができるまでは、お造りの王者ではなく、庶民がしょうがなくいただく魚だったようです。
なので、言われるとおり、運搬技術が発達したからといって、大西洋の魚にまで手を出して魚食をしなくちゃいけないというのは、食文化的にもちょっとよくないなと思います。大西洋で足らなかったら、火星の運河でマグロ漁をしなくちゃならんもんねw。

ペットフード、いやはやホントにひどい話です。実はボク、拙著「寓話水族館」で、まさしくその話を寓話にしました。美しいマグロを食べるのは許さないとマグロ漁禁止令を出した世界政府の大統領が、ペットの猫ちゃんのキャットフードのために、やっぱりマグロ漁を許可したという話ですw。

2010/3/17(水) 午後 9:55 kapaguy 返信する

眼とろんさん。ボクも外国から日本人の「食」に対して、彼らの文化基準からあれこれ言われるのは気に入りません。
とりわけシーシェパードとか、近頃流行の映画で日本食批判をするのは、フザケんな!って言いたいですね。
日本人、全員が今でも鯨を食べてるワケじゃないし、実は日本人ほど鯨を愛している国民もいないのじゃないかと思います。

ただ、鯨やマグロを、日本の食文化だから守らなくては…という考えも、ちょっとヘンかなと思うのです。
日本人の多くが今では、いただく命に対して感謝や尊敬の念を忘れているし、実際のところ鯨食はすでに日本の文化ではなくなってきています。
外から勝手なことを言われるのとは別で、自分たちの新たな基準で、野生生物たちの未来を守ることができれば嬉しいなあと思うのです。

2010/3/17(水) 午後 9:55 kapaguy 返信する

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