ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

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会議終了後、次の待ち合わせまでに時間ができたので、今日は赤坂見附の喫茶店からUP。

『中村元の超水族館ナイト2010秋』にお越しいただいたみなさん、ありがとうございました〜!
そして、ユーストリームでご覧いただいたみなさんも、けっこういらっしゃったようで、とてもありがとうございます。

当日来られなかったみなさんのために、会場のスクリーンに映した画像の中から『深海系生物の和名は漢字で書くとスゴイ!』というエピソードに使った画像の一部をアップします。

日本人は、すべての生物に名前を付けたがります。
あんまりたくさん付けなくちゃならないから、ミナミ□□□とか、キタ□□□とか、はては□□□モドキとか、ニセ□□□なんて名前まであったりするのだけど、深海系の生物にはなんだか心惹かれる名前が多いように思うのですよ。

例えばこちら、ザラビクニン。

イメージ 1

ビクニンは、たぶん比丘尼の意味。

白い布を頭にかぶった尼さんの姿を想像したのだろう。
おそらくその名付け親は、どこかの地方の漁師さんたちだと思う。


しかしながら、命名者のセンスが光るのがここから。
こちらは、カイロウドウケツ+カイロウドウケツエビ

イメージ 2

今じゃ聞かないけれど、結婚式で「偕老同穴の契り」とか言われるのがこれだ。
偕老同穴とは、夫婦が共に老いて同じ墓穴に入るという故事成句。

そしてこの細長い籠のようなのが、カイメンの一種でカイロウドウケツ。
その中に、たいてい一対のペアのエビが入っていて、それがカイロウドウケツエビ。

このエビは幼生のうちに、カイロウドウケツに入り込んで、なぜだか1対となって成長するのだ。
もちろん大きくなったらどちらも出られない。
同じ穴の中で共に老いていくからというので、偕老同穴海老と名付けられたのだ。
生物学者の教養が忍ばれる。


美しいなあ…と思うのがコチラ。

イメージ 3

オトヒメハナガサ。
カタカナで書くとなんでもないけれど、漢字で表記すると美しさが際立つ。

しかもこの姿になんてぴったりな名前なのだろうかと思う。


深海の、化学合成系生物はさらに面白いよ。

おなじみ、ゴエモンコシオリエビ。

イメージ 4

もちろん、ゴエモンは大泥棒「石川五右衛門」の五右衛門。

石川五右衛門は、捕まって釜ゆでにされたというエピソードが有名だけど、海中で数百度という熱水が噴出するチムニーにいるこのコシオリエビを表すのに、五右衛門の名前を使ったというわけだ。


そして、ボクが生物名の中で最も感動したのがコチラ。

イメージ 5

さて、なんと読むのでしょーか!

見る限り、なんの変哲もない巻き貝。
しかしこの貝もやはり、熱水吹き出るチムニーのあたりに暮らしているのだ。

読み方は、ヨモツヘグイニナ。
黄泉=ヨモツ、竈食=ヘグイ、蜷=ニナ(巻き貝)。

黄泉竈食(よもつへぐい)とは、黄泉の国の食べ物で、それを食べると地上には出られなくなる。
日本に降り立った最初の神様、イザナギとイザナミのうち、イザナミが火の神様イカヅチを生んだときに大事なところを火傷して亡くなった。
イザナギは寂しくて、イザナミを迎えに黄泉の国に行くのだけど、イザナミはすでに黄泉竈食をしてしまったから地上には戻れないと言うのだ。

なんと、古事記からの命名ですぞ!
ボクの想像なのだけど、この命名者は、もともとは水面近くで太陽エネルギーによって生きている巻き貝が、深海にやってきて化学合成系の食物連鎖に入ってしまったので、もう浅い海では暮らせない…ということを名前に表したかったのではないかと思うのだ。

いやはや、こんな教養高く美しい名前ばかりだと、これから新種に命名しなくちゃならない深海生物学者たちはたいへんだなあと思う。
その話を今回のゲスト三宅先生にしたら、やっぱりとてもたいへんだとのことでしたw。

これから、いっぱい素敵な名前を付けてもらいたいものです。

お、そろそろ時間だ。それでは!

■今回のUst配信はコチラ⇒東京カルチャーカルチャーUstream 10/23/11





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閉じる コメント(33)

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おはようございます
カタカナだと舌を噛みそうで読む気も失せてしまいますが
漢字だとなんとなく意味も分かるので興味が出てきますね^^
でも、読めませんが(^^;

2011/10/26(水) 午前 8:33 YUSIS

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今回も楽しく素晴らしい濃い内容をありがとうございました。

ましてや今までだと普通にカタカナ表記しかされていない深海の生き物達の名前を漢字+意味まで加えて聞かせていただいたので感動します。
まさに「世界一受けたい授業」ですね、いや本当にそう思います。
こんな授業が毎日受けられる大学になら、もう1度学生をやりたいですね。(笑)

それと、今回の感じ表記を見ていてやっぱり展示パネルも変えて欲しいって思いました。
日本人ですからねぇ・・・やっぱり漢字に親しみがわくと思います。
全国の水族館でえのすいのように漢字表記!
そして桂浜水族館とか竹島水族館のようにスタッフの凝った内容の解説!!
これで絶対に水族館の集客アップすると思います(笑)

英語の成績は最低なので、読めない表記は外して欲しいですね。。。(T_T)

2011/10/26(水) 午後 0:05 [ Elpaso ]

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いつもながら楽しいお話、ありがとうございました

三宅先生のお話は、潜水艇で実際に潜っていらっしゃる方ならではの、貴重なワクワクする内容でありました

「黄泉竈食」は初めて聞いた言葉で、インパクト抜群でした
古事記の神話世界の話、カンチョさんの教養が滲み出ましたね

「五右衛門」は自分的には、剛毛がポイントに感じています

2011/10/26(水) 午後 11:02 [ min*_or*a ]

tomokeyさん。いつもお越しありがとうです。
深海生物のマニアックさは、姿形と住んでいる環境、それに和名が加わると、スペースオペラのような面白さに変わるなあと常々思っていました。
次回のイルカトレーナーは、恒例の参加水族館スタッフによる「特ネタ大爆発」その3です。お楽しみに!

2011/10/27(木) 午前 1:30 kapaguy

maruさん。深海と深いを掛けてきましたかw。和名みたいに奥が深うござんす。
カタカナの読みにくさに比べて、漢字の読めなさは、読めなくても意味が伝わるという点でなかなかいいもんです。
リュウグウノツカイ(竜宮の遣い)も素敵な名前ですね。そもそも竜宮城のエピソードがある日本が嬉しいです。
深海生物研究者のみなさんには、一般的な生物学者にはないロマンがあるのかもしれないですねえ。
ポチン、ありがとうございます!

2011/10/27(木) 午前 1:30 kapaguy

ゆきりんさん。日本の神様たちは元々、理解を超える森羅万象の魂として生まれてきたものだから、こんな風に理解を超える生き物たちが神様に見えるのは不思議なことではないかもね。
ポチ☆ありがとうです!

2011/10/27(木) 午前 1:31 kapaguy

YUSISさん。カタカナ表記はホントにもったいないですねえ。
漢字なら読めなくったっていいんです。意味があることの方が大切。
だってさ、人の名前だって、たいてい正しく読めへんもん。
それでも、親が願いを込めた意味とかはなんとなく分かるもんねw。

2011/10/27(木) 午前 1:31 kapaguy

Elpasoさん。いつも早くから並んでくれてありがとうございますw。
あんな授業を毎日やってる大学では、ろくな仕事を得られないと思うけど…w

漢字表記の魚名板ね、ボクもホントになんとか変えたいと思ってるん。
水族館や動物園が、生物学者起点ではなくお客様起点になれば、あるいは、展示側が飼育起点ではなく展示起点になれば変わると思う。
この仕事を引退するまでに、なんとかそのエポックメイキングをしたいなあ。

2011/10/27(木) 午前 1:32 kapaguy

miniorcaさん。ご参加いつもありがとうございます。
三宅先生の話は、稀少な実体験や知識だけでなく、深海のようにクールなスタイルがボクと対照的でいい感じだなあと思ってました。
古事記はねえ、ボクは日本人ならとりあえず読んでおこうよって思ってるのですよ。
正しい正しくないということ以前に、日本人のアイデンティティーの基礎になってきた話なのだから、せめて小学校の副読本として読むべきじゃないかなあ。
アメリカの大統領とかが聖書に手を置いて宣誓するのを見ると、うらやましくてしょうがないボクです。

2011/10/27(木) 午前 1:33 kapaguy

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先日も楽しいお話ありがとうございました♪
10回目と言ってもあっと言う間の10回でした
次は20回目までがんばりまーす(^o^)/

今回の深海のお話もとっても楽しかったです
子供の頃、わくわくしながら深海の図鑑を見ていたのを思い出しました。
ン十年前に比べたら技術は格段に進歩してるんですねぇ

和名も意味を考えながら見るのは楽しいですよね
神話のお話も楽しかったので、帰ってから思わず古事記の
本をネット注文してしまいました(笑)

2011/10/27(木) 午前 7:16 [ - ]

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和名の面白さ。

洋の東西の深海だけでなく武蔵國「埼玉縣」の我が地元の森や草はら、朽木をよーく目を凝らし散策し各學会に発表すれば
キタインノウスチャマイマイ(喜多院の薄茶マイマイ)
ゴンゲンヤマキセルガイ(権現山煙管貝)
ドウカンタケ(道灌茸)粘菌のシュッセイナリホコリ(連雀町)といった和名の新種がみつかるかも知れません。オーストンガニとかミツクリザメとかワタナベボラなるものが深海にいるのですから。仙波東照宮の森は当地第一の緑が残ります♪コケや粘菌など探せば新種もみつかる可能性大です。ちなみオーストンガニとミツクリザメ以外は未だ見つかってません あしからず(^ ^)

2011/10/27(木) 午後 7:00 [ タマちゃん ]

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脱字訂正 和名の面白さ。

洋の東西の深海だけでなく武蔵國「埼玉縣」の我が地元の森や草はら、朽木をよーく目を凝らし散策し各學会に発表すれば
キタインノウスチャマイマイ(喜多院の薄茶マイマイ)
ゴンゲンヤマキセルガイ(権現山煙管貝)
ドウカンタケ(道灌茸)粘菌のシュッセイナリホコリ(連雀町・出世稲荷)といった和名の新種がみつかるかも知れません。オーストンガニとかミツクリザメとかワタナベボラなるものが深海にいるのですから。仙波東照宮の杜は当地第一の緑が残ります♪♪♪ コケや粘菌や陸生貝など小さな生き物は探せば新種もみつかる可能性大です。ちなみにオーストンガニとミツクリザメとワタナベボラ以外は未だ見つかってません あしからず。(^ ^)

2011/10/27(木) 午後 7:06 [ タマちゃん ]

黄泉竈食蜷さん。その姿を暴いたしんかい6500はさしずめイザナギノミコトが櫛の歯でともした灯りかな?
Ustream拝見しました。
化学合成系生物のお話、鯨骨(げいこつ)生物群集の話と合わせて、すごく面白く聴かせていただきました。
深海は上から沈んでくる有機物質だけでなく、チムニーから噴出する熱水の成分で独立した生態系が構成されているなんて、改めてびっくりです。
五右衛門腰折蝦さんは、木星でなら生息可能かもしれないというお話を聞いてから改めてお写真を拝見すると余計にかっこよさが増しますね。
放射能耐性菌もそうですが、化学合成系生物の生態系の研究はどんどん夢が膨らみますね。
現地では解明が難しい深海生物の生態が水族館で分かってくるなんて、凄い!
ポチ☆

2011/10/27(木) 午後 7:52 眼とろん星人

しろねこさん。よっ!10回連続強者! ありがとうございました!
20回まで、ぜひ頑張って下さい。ボクも続けられるよう頑張ります。
さらに、古事記を読んでくれようとしているのですか。それは何にも増して嬉しい!
水族館で世の中に影響を与えるというのがボクの密かな「世界征服」の目的なので、ちょっと達成できたかなw。

子どもの頃に見た深海生物の図鑑はおもしろかったですねえ。子どもながらにめちゃくちゃ誇張されてると思ってたのだけど、実はそれ以上だったのを大人になってから知り、深海あなどれずと思ったボクです。

2011/10/28(金) 午前 0:17 kapaguy

チビッコ園館長会議幹事長コバッチことアピストくんの、超水族館ナイトレポート。
いつもながらというよりも、いつも以上に面白いよ。
http://www.junkstage.com/kobayashi/?p=473
笑いすぎて涙がちょちょぎれておりますなう。

2011/10/28(金) 午前 0:36 kapaguy

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ビクニンって和名だったんですね〜
尼さんが由来とはスゴイです(^^)/
ビクニンっていうから、
ゲームのキャラみたいだと思っていた(^^)
そういえば、
カンチョさん
えのすい、でも、魚類の感じ表記にこだわっていましたね☆
さすがです〜(^_^)v
くわばらくわばら〜(^^;)

2011/10/29(土) 午後 10:51 [ ずぅ ]

ずぅさん。そーなんです!
しかしボク的には、ずぅさんが「びっくにんしたな〜!」とどこにも書いてないのが、もっと意外でした〜!w

エノスイでは、漢字表記にすごくこだわりました。
やっぱり「ニッポンの水族館」のキャッチを付けたわけだし、いろんなところで海や自然に対する日本のテイストを感じ取ってもらいたかったのです。

2011/10/31(月) 午前 4:44 kapaguy

眼とろんさん、Ust見てくれてありがとう!
ヘンな話なんやけどね、ボクもいつもついつい見ちゃうのですよ。そして、うわっ!何?何言うてんのこの人!とか思っちゃうw。
なんか超水族館ナイトは、自分で意識してない自分が出てきちゃういいテンションになれる場所なのですなあ。だから、一度来てねw。

》深海は上から沈んでくる有機物質だけでなく、…
おーっ!その話ね、実はそういう、太陽光が届かない深海生物でも太陽によって生きている命が多いという話を知らない人がわりと多いから、「この話はするからね!だからフォローでちゃんと解説してよ」と三宅さんにも宣言してあったのですよ。
なのに、すっかり忘れちゃったw。
ポチ☆ありがとうございま〜す!

2011/11/1(火) 午後 9:58 kapaguy

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お久しぶりです。ビクニン画像がかわいいです。

以前富山のほたるいかミュージアムで、来館者が自由に触れる海洋深層水を満たした池にナントカビクニンがいたんですが、来館していた子供が同じ池に入れられていた深海性イソギンチャクでビクニンをいじめていてかわいそうな事するなぁ、と思わされました。イソギンチャクの触手で触られると、魚は痛いんですよね確か。

2011/11/2(水) 午後 9:19 [ &oh ]

&ohさん。おひさしぶり。
ビクニンは可愛くも見え、もののけ風に恐ろしくも見える魚ですね。

ほたるいかミュージアムでの子どものいたずら。そりゃ痛いですよ。
けど、子どもの頃にいろんな昆虫たちを対決させて面白がっていたのを思い出し、ちょっと息苦しくなりました(^^;。
たぶんその子はイソギンチャクに毒があるって、どのくらいの毒なんだ?という好奇心から始めたのでしょうね。
子どもは残酷です。でも、それでいろんなことを覚えていくのでしょうねえ。

2011/11/2(水) 午後 10:58 kapaguy


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