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次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

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『中村元の超水族館ナイト2018秋〜水族館でアトムの正義を語ろう〜』のお知らせです。
公式告知 ⇒ 東京カルチャーカルチャー告知(チケットもこちらから)

超水族館ナイトを始めてから10年延べ30回、今回は超水族館ナイトの新たな幕開けとも言える31回目です。
今回のテーマは「水族館でアトムの正義を語ろう」
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ハリウッド映画がそうであるように、あるいは宗教やイデオロギーがそうであるように、世の中は「正義」と「悪」が対峙して、時にはそれが対立を生み、時にはそれが戦争に発展し、身近にも時にはそれでSNSが炎上したりしとります。
それはもうなによりも、正義と悪の二極しかないという考え方によるもので、自分が正しいと思うことが正義で、そうでないことが悪やと決めつける人間の性質がそこにあるだけの話なんよね。

オオカミは悪者、ヘビは悪魔の使い、サメは狂暴……。これらは全て人の「正義vs悪」の文化が生んだ妄想で、八百万の神々が好きなボクにはそういう「正義vs悪」な発想がなんかすごく解せない。日本神話に正義が語られてないがごとく、正義と悪は立場によってひっくり返るし、そもそも正義と悪の間にいろんな状態もあるやろし、つまり何が正義で何が悪かは決まりがないわけです。
そういう正義と悪との間でめちゃくちゃ悩んでいたのが、あの昭和のヒーロー鉄腕アトムでした。彼はロボットであるにも関わらず、しょっちゅう敵のロボットが本当に悪なのか?戦うのは正しいのか?と悩みながら戦ってた。鉄人28号がリモコン持ってる方が正義として暴れてたのとはえらい違い。アトムのそれが昭和の少年やったボクたちに共感されたわけです。

そして今は水族館。水族館には多様な生物がそれぞれ多様な正義を信念にして、精いっぱい生きてる。
強い奴は捕食の正義、小さい奴は数で勝つ正義、弱い奴は隠れたり掃除したり寄生したり盗んだりの正義。そのどこにも悪はおらへんよ!
水族館では、多様な真実の正義を感じることができる、世の中で最高の施設であると、この水族館プロデューサー中村元は主張するのであります!

そして第二部のゲストは、そんな「正義vs悪」の世界で、海の狂暴な極悪人とされてるサメを愛してやまない、シャークジャーナリストの沼口麻子さん。
タイムリーなことに今年、彼女の処女作『ほぼ命がけ サメ図鑑』が上梓されたところです。
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正直言うと、サメなんかに命かけるとか、サメなんかに一生を捧げてるとか、あんまりせん方がええんちゃうか?と思うんやけど、沼口さんにとっては「サメなんか」というサメは存在しません!人食いざめも存在しません!のです。

この『ほぼ命がけ サメ図鑑』、再びサメなんかにこんなに分厚い本作ったらあかんのちゃうか?と思ってしまうなんと383ページ(厚さ2.5cm)。読むのもマジ命がけ。
ところが売れてるんですこの本。やっぱり八百万の神々の国日本には、「正義vs悪」の世界を超越した多様な世界観の読者がいっぱいおったってことなんやろねw。

シャークジャーナリスト沼口麻子さんに敬意を表して、告知画像とは違うサメの写真も添付してきましょう。
水族館好きなら誰もが知ってる、世界最大の魚類ジンベエザメ。
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日本刀みたいな模様が、歯の切れ味を象徴してて格好いいイタチザメ。
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今回は、沼口さんを中心としたサメ好き軍団シャーク団の面々も大勢参加されるそうなので、いつも以上に売り切れ必至。発売開始3日後に半分以上のチケットが売れました。お早目のゲットをお勧めします。
チケットはこちらから ⇒ 東京カルチャーカルチャー公式告知

中村元の超水族館ナイトは、特に水族館好きでないお客さんが半分ほど、初参加に女性のおひとり様も多い、文化的で安心楽しいトークライブです。
たくさんのみなさんのお越しをおまちしてます!

■最近の『超水族館ナイト』ライブレポート。

30回 中村元の超水族館ナイト2018夏「ラッコの道標」2018/6/17
 ⇒Ustreamのアーカイブ(最初の3分ほど音声だけです)






□オススメの水族館本(中村元著・監修)→水族館の本
『中村元の超水族館ナイト2018夏〜ラッコの道標〜』のお知らせです。
公式告知 ⇒ 東京カルチャーカルチャー告知(チケットもこちらから)

なんと!超水族館ナイトの定期開催、この回で30回目を迎えます。年3回開催なのでちょうど10年経ったわけです。
いつも満員御礼の参加者のみなさんに支えられてここまでやってきました。ていうか常連のみなさんにはずいぶん迷惑な回数だったでしょう。本当にありがとうございます。

記念すべき30回記念となる今回のテーマは「ラッコの道標」
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かつては「動物園のお魚版」とか言われてた水族館、はっきり言って動物園より2ランクくらい落ちな施設のように思われていたのが、シャチやイルカなど動物園のゾウやライオンに匹敵する生物が展示されるようになった水族館は動物園並みに認識されはじめ、ついにはパンダに匹敵する動物として現れたのが、動物ブームの大スターとして燦然と輝いたラッコでした。

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ラッコが現れてから水族館のメディア露出は動物園並になり、ラッコを展示する水族館の入館者数は倍増。おかげで全国各地の水族館でラッコの飼育展示が始まって、最盛期には日本にいるラッコが122頭にもなるという、ちょっと異常とも思える社会現象にさえなりました。
さらに!実はそのタイミングでリゾート法が制定され、空前の再開発ブームが起きたため、水族館は集客力が高く成功する可能性が高い施設として(実はラッコのせいだったにも関わらず)、日本中の海浜地区再開発に巨大水族館が次々と誕生したという現象にまで繋がったのです。なんと巨大水族館のブームの影にラッコがいたという大人の事情。

そして、そんな大人の事情を生んだいわゆる「ラッコブーム」を、日本国民のほぼ全員がラッコを知らない時代から急速に立ち上げたのが、何を隠そう今は水族館プロデューサーなどという胡散臭い職業を名乗ってる、当時もけっこう胡散臭い企画室長とかやってたワタクシメであったわけですわ……w。

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ラッコブームを作り上げるのに、どんな手を使ったかって言うと、まず最初はラッコの貝を割る行動を映像でバンバン出して驚かせ、次にはラッコの顔や仕草による可愛らしさを最前面に出してアピールしまくりました。
ところが実は、誰が見てもラッコが可愛いと思えるのは、水族館がオープンしてる時間内では一日3時間程度の顔が乾いてる時だけ。しかもその半分以上の時間は寝てる。
貝をお腹の上で叩いて割るなんてハイライトにいたってはほぼ一瞬。
それを、ラッコを知らない全国のみなさんにどうやって伝え、来館されたみなさん全員に見た気持ちになってもらえるか。そんなことばっか、35年前のボクは毎日考えてはいろいろ実行してたわけです。

そんな準備をする課程で、ボクは『銀色ラッコのなみだ』という本を見つけました。
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『銀色ラッコのなみだ』は、第2部のゲストにお願いしてる岡野薫子先生が、それまでの放送作家から児童文学作家となられたデビュー作です。
ラッコについて詳しく書かれた生物図鑑さえなかった当時、ラッコの姿やその暮らしぶりが生き生きと書かれ、さらに人とラッコやアザラシなど野生生物との互いに生きるための関係、そしてラッコの毛皮という商業資源としての悲しい関係までもが、読みやすい物語となって描かれていたのです。

これはもうこの作者に会わなくちゃと思い、もうどうやってだか忘れたけれどけっこう苦労して岡野薫子先生の居場所を探し出して会いに行きました。
そして、その後も今に至るまで岡野先生とはお付き合いさせていただき、昨年久々にお会いして「そうや!超水族館ナイト30回記念には岡野先生に来ていただこう!」と決意するに至ったのです。

(前回の超水族館ナイトに来ていただいた岡野薫子先生と↓)
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というのも、岡野先生との出会いは、ボクの水族館人生に大きな転機をもたらしたからです。おそらくこの出会いがなかったら、ボクは今ほど本を書いてはいなかったと思うのです。
『銀色ラッコのなみだ』他、岡野先生のご著書を読んだり、先生と話をしたりしているうちに、ボク自身も水族館で飼育している動物をつかって生物学だけでなく、いろんな哲学を伝えたり問題提起したりしてみたいと思い始めたのですね。

ボクの30冊に及ぶ水族館本著作は、岡野先生との出会いがあったからと言えるのですが、そんな中に、ラッコのことだけを書いた『ラッコの道標』もあります。
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『ラッコの道標』は、ジュゴンのことを書いた『人魚の微熱』、アシカのことを書いた『生きるものの哲学』との3部作で、水族館や動物園の生物展示を、動物学や理科の範疇だけで考えるのはおかしい!と思い始め、それを実行した3部作でもあります。それで、今回のテーマを「ラッコの道標」としました。

動物園水族館関係者はよく「動物を擬人化したり、可愛いさを前面に出すのはいけない」と主張し、それはまあボクも動物を人間の価値観で考えるのはいけないとは思うのです。
でも、動物を使って何かを伝えることができるときや、展示にお客さんの興味を引きつけようとするときには、擬人化も可愛らしく紹介することも必要なことであり、そうでなければむしろ、生きている野生生物を閉じ込める動物園や水族館は必要ないだろうとさえ思うことがあります。

…とまあ、そういうことも含めて、第30回となる記念すべき超水族館ナイトは、ラッコから始まる水族館論を熱く語り、そしてめったに聴けない岡野薫子先生の、動物を主人公にした物語に込める思いをみなさんと一緒に拝聴したいと、ヤル気満々で待ち構えています。

さて、『中村元の超水族館ナイト2018夏〜ラッコの道標〜』の開催は来月6月17日ですが、前売りチケットの発売はもう明日5月17日10:00からです。席は自由席、チケット番号の若い順から順番に入場となりますので、いい席に座りたい方は発売初日お昼までに前売り券のゲットをされるのがオススメです。
チケットはこちらから ⇒ 東京カルチャーカルチャー告知

あっ!そうや!
30回記念ということで、ご参加のみなさんには、ボクの水塊手拭の新作『うねる水塊』手拭をもれなく差し上げる予定にしてます。ていうことは、今回は超お得回でもあります。ぜひみなさんお誘い合わせの上万障繰り合わせてお越し下さい。お待ちしてま〜す!


■最近の『超水族館ナイト』ライブレポート。






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■水族館を選ぶなら→WEB水族館:決定版!!全国水族館ガイド
中村元の超水族館ナイト2018春 〜伝えるということ〜(vol.29)
東京カルチャーカルチャー(渋谷)にて、2月18日開催/1月18日前売り発売

2018年、明けましておめでたい!と思っていたらもう直ぐに2月。2月と言えば…そう!中村元の超水族館ナイト春の開催月ではないですか。
今年も、元気いっぱい!わがままいっぱい!失言いっぱい!年間3回! しっかり開催してまいる所存でございます。

さて、2018年最初のお題は、ちょっと気取ってみたった『伝えるということ』

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「展示物とは情報である」とは、博物館関係者は錦の御旗のように掲げているテーゼで、それは実に正しいことなんやけど、水族館プロデューサーはさらに言うわけです。
「そりゃ真実やけどな、相手に伝わらへんもんは情報って言わへんよ。見られへん展示、読まれへん解説、そんなもんはただの無駄データや」と。

うん、そう。「展示」とは見せて伝えること。伝える中身も大切だし、伝え方も大切で、その中身の理念と伝え方の技術のことをボクは「展示学」として、学芸員の必修コースとして教えたりしとるのです。
まあ、今までの超水族館ナイトでも、何度も細切れに言ってきたことではあるけれど、今回はその「伝えること」を切り口にして、水族館や動物園の展示について切り込んでみようかと思ってる。

と、こんなこと言い出すと、まるでお堅い講義のように思うかもしれんけれど、そこはそれ、展示の極意とは、遊びや暇つぶしに訪れる多くのお客さんに、興味や好奇心を起こさせることと考えてばかりおる水族館プロデューサーやからね、ここを切り口にすると、今までになく深部暗部にハラハラドキドキ到達する冒険の旅になることを保証します(笑)。

そして、見せて伝えると言えば、芸術家の世界。
ボクは常々、優れた芸術家の仕事は、優れた展示に通じるって思ってて、輝く作品の持つ伝える力をなんとか水槽展示でも実現したいと日々努力しとるわけです。
そんなわけで、今回は、異世界である水中世界の美しさや、輝く命の生き様を一枚の写真によって、見せ伝えてくれる水中写真家の吉野雄輔さんをゲストにお願いしました。

吉野雄輔さんはマリホ水族館のオープン告知ポスターの写真を使わせてもらった写真家で、
それが、このポスター。
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実は吉野雄輔さん、もうかれこれ25年ほども前に、ボクが某超水族館で刊行物やらポスターやらをバンバンつくって発表していた頃のお付き合いでした。
久しく会ってなかったのだけど、マリホ水族館のポスターをつくるにあたり、マリホ水族館のテーマ『生きている水塊』を、世の中に伝えるには、生き生きとした水中写真を使わなくちゃあかん!ということで、久々にお仕事させてもらったのです。

そして雄輔さん、出版された大型写真集「世界で一番美しい 海のいきもの図鑑」が今、超ビッグヒット中でもあります。
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世界で一番美しいって、それはちょっと吹きすぎやろ〜!て思いながら開いたら、いやコレはガチで世界で一番美しかった。写真集としても図鑑としても超素晴らしい。だから写真集としても図鑑としても超売れてるんやろなあ。
※コチラの[動画]のところクリックで中の写真も見られます ⇒ 「世界で一番美しい 海のいきもの図鑑」創元社
この本もうホントに大人気でね、しょっちゅう入荷待ちや売り切れになって、増刷したりしてるんやけど、大丈夫!心配ありません!
当日は雄輔さんの奧サマ、スージーさんが会場で即売会やってくれるって。もちろん雄輔さんのサイン入り!
すでに持ってるかたも、重いの我慢してぜひお持ち下さい。サインしてもらえますよ。


さてそして、いつものことながら、開催日程の1ヶ月前、1月18日10時がチケット発売時間となります。
うわっ!明日やん!11時間後やん!さあさあみなさんチケットゲットのために今夜はもう寝ましょう!
てなことまではせんでもええけれど、超水族館ナイト時には1日で売り切れることもあるので、できるだけ早めにお願いします。
尚、会場は自由席で、チケット番号の若い順つまり早く購入された方からの入場になるため、いい席に座りたい方は10時にゲットして下さい。オッサン3人のユニットなんか席は遠い方がええくらいやわ!という方は、11時過ぎる方が回線が混み合わずサクサク取れます。
チケットはこちら公式サイトのイープラスかチケットぴあで ⇒中村元の超水族館ナイト2018春

お待ちしてま〜す!

■過去の『超水族館ナイト』のテーマ↓。リンクが付いているのは東京カルカル公式ライブレポートがあります。


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新設!マリホ水族館その3『うねる渓流の森』

この記事は、新設!マリホ水族館その2『輝くサンゴの海』からの続きです。

さて、マリホ水族館の紹介もこちらで最終章でクライマックス、日テレ『真相報道バンキシャ!』の水族館プロデューサー密着でしっかり登場した『うねる渓流』。


マリホ水族館のコンセプト『生きている水塊』を最も強く表していて、テレビなどにも最もたくさん紹介されたのが、こちら『うねる渓流の森』の水槽だ。
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暴れる龍のごとくうねる渓流を再現する世界初の展示によって、「生きている水塊=躍動する水塊」を最も分かりやすく表していることもさることながら、ここに泳ぐイワナが、広島県の天然記念物であるゴギという特別な魚であることにも、広島のマスコミのみなさんから食いついてもらえたからだ。

しかし本来、水族館で最も不人気なのが日本の淡水魚の展示だ。各地の水族館で様々な展示がなされるが、観覧される時間は短い。そもそも立ち止まる人さえも少ないのが日本の淡水魚なのだ。
水族館に詳しい人なら、そんな日本の淡水魚をよくマリホ水族館の主砲的あるいは横綱的水槽にしたものだと思われるに違いない。

でもそこが狙いだった。規模も予算も小さなマリホ水族館では、他の水族館に勝てるような展示はなかなかできない。それならば、他館でうまくいかない分野で一番になればいい。つまり横綱をはれそうな土俵が日本の淡水魚だった。
今までのところ、日本の淡水魚という土俵での横綱は、自分で考案した北の大地の水族館の「滝壺水槽」だけ。それと同等か良い勝負をする水槽をつくって、滝壺を東の横綱に、マリホ水族館に西の横綱をつくればいいと考えた。

しかもそうすることで、日本の淡水魚水槽という土俵が以前よりも盛りあがるはず。一人横綱よりもやっぱり東と西の横綱がおらんとね。(実は相撲のことはよう知らんのやけど…w)
で、滝壺とオショロコマに対抗するのが、このうねる渓流とゴギだったというわけだ。

これがゴギ。(ショージキ言うて、ボクには普通のイワナとの違いがまだよく分からんのやけど…)
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日本の淡水魚の展示が人気がない理由は、多様で美しく巨大な海水魚や熱帯淡水魚に比べて地味だ…というのが大方の意見だ。
でもボクの分析はちょっと違う。おそらく日本に川と橋が多く、しかも水が透明なために、河原からでも橋の上からでもいくらでも水中が見渡せるからだと思う。いつでも無料で、川の中の魚影はもちろん川底まで見ることができるのに、入館料の必要な水族館なんだから、見たことのない海中や大河の魚や光景を見る方が大切だという意識が働いてしまうのではないか。

だからたとえ日本の川の展示でも、みんなが「見たことないけど、見てみたい」と思うような水景を展示することができれば、行けるに決まってると考え実践してきた。
北の大地の「滝壺を下から眺める光景+オショロコマの群が輝く」や「凍る川を横から見る+じっと春を待つ魚たち」、「幻想的な北海道の湖の中+巨大なイワナが生きた小魚を追う」など、いずれも確かな手応えがあった。

しかし、その手応えと同じ効果を作るには、とにかく激流を作らねばならない。
そのために、実験は飽きるほど繰り返した。実はその実験のために、個人的にハイドロウィザードを2基購入した(正直けっこう高い買い物やったよw)。マリーナホップには、実験用の水槽を発注してもらった。その水槽がマリホ水族館所有の初の水槽になった。

まず、自分所有の小型のハイドロウィザードで実験。
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そして、大型ハイドロウィザードの試用機を借りて実験。
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館長になる前の宇井くんの顔が見えとるねw。

自分で描いた絵と、それを元にして作った模型。
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擬岩工場には何度も足を運んで、納得いくまでやり直しを繰り返し、
擬岩を設置してからは、ハイドロウィザードの取付位置と角度をまた納得いくまで微調整。
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この微調整作業で、新卒社員くんはいきなり胴長の中が水浸し(笑)。さすが宇井館長は胴長ベテランなところを見せつけた。

最終的に、ボクがテープで貼ったこの位置に水流の中心がぶつかるところまでこぎ着けて完成!
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ここまで来るのに、相当な時間がかかったよ。

でもほら、超いい感じになった!
日本の川土俵での西の横綱の誕生や〜!(あくまでも当社評価です)

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さて、この迫力のある怒濤のうねる水流は、オープン当初はこうでもなかった。
実は天然記念物のゴギが簡単に採集できるわけもなく、ここで飼育展示しているゴギは食用として養殖されているゴギなのだ。
養殖は流れのほとんどないところで行われ、餌も簡単に食べられるため、宇井館長によればたいへんなモヤシッ子ゴギだったのだとか。モヤシッ子の魚の特徴は泳ぐための筋肉が付いていないので、この激流に耐えきれずハイドロウィザードに巻き込まれたりするおそれがあるため、彼らの筋肉が付くまで、弱い水流からだんだん強くして、野生のゴギになるように鍛えていたのだ。
そんなわけで秋になってやっと、うねる渓流も最大の激流になって流れ始めているところ。
オープン直後にしか来られてないという方は、ぜひ今のシーズンに再度お越しいただきたい。

ところで、このうねる渓流には、『生きている水塊』の主砲だけでなく、もう一つの役割がある。
それは、全体的にギャラリーを暗く押さえてある館内の中で唯一、空を借景にした明るい展示にして、狭い館内を広々と見せることだ。
そのため、実はこの写真を撮った当日は曇りだったのだけど、パンフレットの写真とかは青空に置き換えたことを正直に告白します……(^^;。


『うねる渓流』の後は、熱帯淡水魚のコーナーで締めくくられている。
ゾーンとしてはマリホ水族館の1/3近くが淡水ゾーンということになる。

水草の水槽。
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なぜだか水草がばんばん生長して、訪れるたびに緑が増えている。
水槽背面には、新たに開発した水塊シートを貼ってるから、いつもそろそろ水草を剪定してくれって言おうかな…とも思うのだけど、いやいや水草の勢いがすごい水槽っていうのも面白いかもだし…とも思う。まぁここはスタッフたちに任せるのが一番よね。


こちらは、現在グングン成長中のバラムンディの水槽。
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この水槽が半水面になってるのには理由がある!
宇井館長に「熱帯淡水魚は任せるから、とにかく魚をジャンプさせてくれ!」とのメチャ振りをしたら、しっかり実現してくれましたがな。
水面上に延びた枝や垂れ下がる蔓草にコオロギを放す。
そのコオロギを目がけてバラムンディが大ジャンプするのだ!

そのジャンプの勇姿は、まだ写真に撮れてないのだけど、水槽横のモニターにはジャンプの瞬間が繰り返し流れているからご覧になって欲しい。
そして、蔓草の上の方に肥掬いがニュッと出てきたときには超チャンス。スタッフが新しいコオロギを枝に乗せてるときなのだ。
コオロギも樹上生活に慣れてないし、よもやその下に天敵がいるとは思ってないから、狙われやすいところに平気で出るし、バラムンディも今がチャンスとばかりに興奮してるみたいで、この時には次々にジャンプをする。

そしてこの水槽には、あとヒトリ人気者がいる。
ジーベンロックナガクビカメ
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まだ小さいけれど、これがなかなかいい味出してるんよね。
なんと言っても、マリホ水族館唯一の一生肺呼吸な生物。なんせ海獣もペンギンもおらへん水族館やからね、この子の次にヒトに近いのが、うねる渓流の前に展示された両生類のサンショウウオという世界では、カメはもしかしてヒトと心が通じ合うんやないの?とか思ってしまうくらいに愛らしい。


この最後のゾーンでは、他にもナマズとか特集展示とかあり、それを観終わったら、そのままエントランスの生きている水塊「波の向こうへ」の水槽に繋がってるので、再度気に入った場所を重点的に観てもらうのが、マリホ水族館をお得に満足度高く楽しんでいただける隠し技だ。

そして、充分楽しんで出口に行っても、広島人ならまだまだ気を抜いてはならない!
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そう!カープ鯉がいるからね。(えっとつまり、コイコイなんやけど、鯉の丹頂模様を赤ヘルとして見立ててるw)
これってちょっとした広島県民度テストいやカープ命度テストみたいなもんになってる。
カープファンはだいたいカープ鯉(あるいはその文字)に気付いて、バリバリ写真撮ってるもんね。
実際、広島県民のカープへの愛情…ていうか食いつき度ていうかには、未だに驚くことばかりです(笑)。これはもう広島のトップ大衆文化ですな……。




●マリホ水族館のWEB水族館紹介記事はコチラ ⇒マリホ水族館|WEB水族館 全国水族館ガイド


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中村元の超水族館ナイト2017秋 〜科学離れと水族館の理科教育〜(vol.28)

先日の中村元プレゼンツとなった『TOKYO妖怪ナイト』にお越しいただいたみなさんありがとうございました。昨年暮れにカルカルが渋谷に移転してから、ほぼ2ヵ月に一度はカルカルでイベントしてます。ヒマなんか?オレ?とちょっと悩んだりしてもおる今日この頃です。

さて、定例の超水族館ナイトは10月15日(日)に開催、『中村元の超水族館ナイト2017秋 〜科学離れと水族館の理科教育〜(vol.28)』
もう28回目になるんやなあ。なんか計算間違いしてるみたいな回数やねw。これにスピンオフやら出前やらテリーちゃんと一緒にやったトークライブを含めれば、この9年間のうちにもう35回くらいはやってるw。ボクもよう飽きやへんけど、参加いただくみなさんもよく飽きずにお越しいただき、ホントにありがたいことです。

さて、次回の第一部テーマは『〜科学離れと水族館の理科教育〜』

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日本だけではないにしろ、先進国各国では、国民の急速な科学離れが進んでいるのが通常だそうです。
そのため、水族館など科学系博物館なるものを表明している施設では「だからこそ水族館・科学館が必要なんじゃ!」とばかりに、理科教育、科学教育にたいへん熱を入れてらっしゃる。
そうです、だからこそ必要なのはその通り!
でもね、水族館や博物館の提供してきた理科教育・科学教育ってホントに効果があったんやろか?と常々疑問に思っていて。もしかしたら、科学離れの原因になってない?とか憂えてるワタクシです。

ちょっとね水族館、教科書に載っている学問を教える学校教育みたいに、生物学や自然科学の知識の押しつけが強すぎるところがあるのではないかしら?と思ったりする。
水族館とか動物園というのは、生きている生物をそのまま展示物にしてしまった非常に特殊な博物館同等施設であって、そういう施設には、生き物を閉じこめておくそれだけの意味がなくちゃあかんよね。
それは、教科書や図鑑に載っているような知識を解説することではないと思う。
ボクの個人的感想だけど、知識を教えようとすることが、最も大切な『科学する心』つまり科学的な探求心を奪ってしまうことになってると思うのです。

ボクの考えでは、生きている本物を観察することで最も有意義なことは、
●まず、その対象物への強い好奇心や興味がわくこと。
●そして、生き物を展示物とすることで、その生物の命や生をも展示してること。
そこから発見があり、想像があり、探求心が芽生え、解明したら次の探求へと広がる。それこそが『科学する心』。

そういう意味では、「可愛い!」も「美味しそう!」も、科学を述べる以前に意味がある。「可愛い!」から始まって、カワウソやイルカのことを調べまくった人はとても多いことを知っている。
「美味しそう」から、食い食われる地球生物の定めを確認して、そこから水産学や生物学の道に進むj人もいる。

ボクの「水塊」展示もそう。水中世界に興味を持ってもらうことから始まって、そこで何かを発見してもらう。発見する何かは、展示されている生物の命や人生のことであることも、自分自身の人生のことに繋がってもいい。
社会教育における教養や知識そして自分を取り戻すリクリエーションまでの全てを、生涯学習的に学べるところ、それが水族館なんではないかと思っとるわけです。……しつこいけどあくまでも個人的感想ですw。

少なくとも、生きている命が展示されているというのは、さまざまなことに興味を持つための大きなきっかけを提供できるってことで、その学問への入口をできるだけ大きく広げることが、科学離れだけでなくさまざまなことへの好奇心離れを防ぐのではないかと思うのです。
だから、水族館よ、科学館よ、みんなの科学する心を奪うような科学教育だけはやめてくれ!というのが、たかだか水族館プロデューサーの願いなわけです。


さて、そういう意味で、第二部にゲストに迎える金尾滋史学芸員の所属する琵琶湖博物館は、とても優れた展示をしとるのですよ。
なんと!
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琵琶湖の生物を展示したゾーンに、どーんと魚屋さんをつくってしまった!
しかも魚屋の屋号に、ちゃっかり自分の名前入れちゃっとるよ!この人。
(きっと、魚滋の滋は滋賀の滋です!とか理屈こねて企画書通したんやろなあ……w)
さらに、ドーンと右端に立ってる魚屋店主姿の人型は本人w。

それらはまぁいいとして、活きの良さそうな琵琶湖の魚たちが並んでる(もちろんレプリカやけど)。
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こうなったら、水族館の魚を見て「美味しそう」とか言うのはけしからん!とか、ちゃんちゃらおかしいよね。
琵琶湖博物館の水族展示はそもそも、琵琶湖の生物を、古代から人の生活を支えてきた水産資源というとらえ方で展示をしてるんだから。
そして、そのとらえ方こそが、琵琶湖博物館全体の大テーマ「湖と人間」への強い導入になっている。
「美味しそう!」が、生物への興味さらには琵琶湖の自然史文化史への好奇心を起こすというわけ。


そして琵琶湖博物館の水族展示には、生物だけでなく、滋賀県の人たちがふだんから目にしている光景がある。
よし原の光景もその一つ。
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ヨシをわざわざ水槽内に生育し、魚を獲るモンドリみたいなんも沈めてある。
さらに人の生活がつくった人工物の桟橋も展示物となっている。

食と同じように、見慣れた光景や生活に関係することには、誰しも興味を持ち好奇心を起こすのです。


ボクが大切にしてる「水塊」もちゃんとあるよ。
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この水槽を見ただけで「琵琶湖ってもしかしてめちゃ深いの?」と誰しもが思うだろう。 そして実際に深い!なんと水深100メートル以上。
そんな驚きの事実が、解説に書いてあるんではなく、一目で理解させてこそ、あるいは解説を読ませる引き金になってこそ本当の展示。好奇心を起こす展示ではないだろうか。

水族館の社会教育とは、読まれもしない解説をせっせと書くことではない(やるのはいいけど読まれようよ)。
まず、水中世界や生物への好奇心を持たせること。そして、それを展示でやること。
それができているのが、琵琶湖博物館の水族館展示だと思うのだ。

…というわけで、第一部から第二部への連携も完璧な、次回『中村元の超水族館ナイト2017秋』なのでありますよ。
ところで、この金尾滋史学芸員、チビッコ園館長会議の門下生でもあり、いつもカルカル超水族館ナイトイベントでアンケートを配布してる研究者でもあるので、次回の超水族館ナイトでは彼の「超水族館ナイトにおける考察」みたいな研究発表も期待できるよ。いろいろ楽しみや〜♪

前売りチケット販売は1ヵ月前の9月15日10:00〜。
予約と購入はコチラ公式告知からどうぞ⇒東京カルチャーカルチャー『中村元の超水族館ナイト2017秋 〜科学離れと水族館の理科教育〜(vol.28)』


■過去の『超水族館ナイト』のライブレポート
27回中村元の超水族館ナイト2017夏「最新水塊のレシピ」2017/6/18

□オススメの水族館本(中村元著・監修)→水族館の本

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