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先日、裏版!!水族館ガイドの「室蘭水族館今年も開館」で、macraeiさんから、古い水族館はダメなの?という質問をいただいた。 もちろん、そうでないことはお答えしたけれど、巨大な水槽や、凝った擬岩などで環境表現がされた水槽など、最新の技術で展示がなされた新しい水族館でなくても、グイグイと迫ってくる展示はある。 というより実は、小さくてなんのデコレーションもないシンプルな水槽の方が表しやすいことがある。 それが、飼育係の「顔」だ。(なんのこっちゃー?ですね) 建設時に入念に計算されてできた水槽は、展示意図は定まっているし、それを実現するための技術的な検討もし尽くされている。完成度はかなり高い水槽だ。でも、それは、プロデュースをした人物の考えによる展示意図であり、あるい意味で、さらなる完成にまで導く手段は少ない。さらに、巨大な水槽ともなると、空間的な大きさからも、バックアップシステムの条件によっても、飼育係が手を入れられる範囲は狭い。 ところが、小さな水槽、何もないシンプルな水槽は、飼育係が自由に手を入れることができる。 手の入れ方は様々だ。例えば・・・、 ○水槽の中に自由に岩組みをしたり、砂を入れたり、照明に工夫することもできる。 ○苔を生やしたり、海藻を植えたり、そのための波を起こす装置を工夫することができる。 ○水位を変えたり、水温を変更したり、海水と淡水を入れ替えることも不可能ではない。 ○いくつかの水槽をまとめて、コーナーのテーマをまるごと変更することもできる。 これらはつまり水槽の進化。 小さな水槽は、当初の考えとは違った形にさえも進化させることだってできるのですね。 展示を進化をさせるのは、飼育係の仕事だと、以前「いい水族館【5】進化する水族館」に書いたけれど、そういった、飼育係の目標や工夫、そしてたゆまぬ努力が、最も現れやすく劇的に面白くなるのは、そりゃあもう、小さな水槽、シンプルな水槽に限るわけだ。 そして、そんな水槽を見かけると、飼育係の「顔」を感じる。顔を感じるから、知らない飼育係の気持ちになってさらに深く水槽を見たくなってくる。 ボクとしては、そういうのすごく感激するんだけど、ちょっとマニアックかしら? 古い水族館が面白くなくなっていくのは、そういった工夫や進化をさせていないからであって、展示が進化している水族館であれば、水槽が古くても小さくても、とても面白いとボクは思う。 さて、写真は飼育係の顔を感じた水槽たち。(他にもあるのだけど、そういう意図で写真撮ってなかったの、ごめんなさい) ●photo上:なぎさ水族館の水槽。はっきり言ってこの水族館はホントに小さい。全て置き水槽だし、今までにこの水族館に行ったことのある人と会ったことがないw。でも、この石組みと付着生物の様子はどーよ! すべての水槽がこんな調子で並んでいる。水槽が小さいから、ギンポだとか、ナントカベラだとかにまで目が行って、30分で写真撮って出ようなんて失礼なこと思っていたのが、1時間たっぷり楽しんでしまったのでした。 ●photo中:前にも紹介した佐賀県の宇宙科学館。有明海の水槽の中には、「有明海の水中を見せてやる!」という強い意志が渦巻いている感じ。大型の家庭用プールみたいな大きさの水槽なのだけど、すごい迫力だった。 ●photo下:おなじみカンチョのホームAQ井の頭自然文化園水生物館。どの水槽の写真を紹介しようか迷ったけれど、これもカンチョ好みのカエルの水槽にした。水位や、大小の石、植栽、頭上から水を垂らして生やした苔と、カエルを飼うより、水槽を飼っているという感じ。
このリアリティーのおかげで、ボクは生まれ育った故郷を思い出すことができる。 先日、この水槽の顔ともいうべき水生物館長にお会いできたのだけど、それからすぐに転属されたとか。でもまた顔を想像するのもまた楽しです。 |
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2006年05月21日
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