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浦島太郎の乗ったカメはメス。 というのは、水族館の仕事を始めて半年後の発見で、自分なりにスゴイ大発見!と思っている。 なんで、こんなことを考えついたのかと言うと・・・。 当時その水族館では、飼育係が団体客をガイドするというシステムがあり(30年も前にこれを考え出した当時の館長はスゴイと思う)、解説の内容も先輩から教えられていた。内容といってもまあ、そんなに覚える必要はなく、水槽の一つ一つに解説すべきことが書かれていて、それを丁寧にやればいいだけ。例えば、「縦の縞の魚は横縞です。それはヒトと同じように頭を上にして見るからです」みたいなこと。 ところが、自分の担当でもあったウミガメのコーナーでの解説が客からまったくウケない。そりゃまあ、当然のことで、教えられていたのはアカウミガメとアオウミガメとタイマイの見分け方の解説で、そんなもん、普通のお客さんが聞きたいわけがないのだ。 だいたい、当時の旅行スタイルといえば、バスの団体旅行、おっさんもおばさんもバスの中でしこたま飲んできて、酔っぱらっているのが普通で、ガイドしてるそばから「で、美味いのか?これ」「帰りのツマミに釣ってくか」ぎゃははー!である。 ウミガメのところでは、「あの大きいの、乗れそうやな!」と、冗談ですめばいい方で、ホントに乗ろうとするニイチャンが居たりして・・・、そんなところで、アカウミガメとアオウミガメとタイマイなんか、どうでもいいに決まってる。 でも、やっぱりちょっと関西系のボクとしては、しゃべってることがウケないのはどうしても嫌で、すごく考えたのである。 そこで、お客たちが、ウミガメと言えば「浦島太郎が乗った」ことしか頭にないことに目を付けて、浦島太郎が乗ったカメはどれなのかを言えば、ちょっとは聞いてくれるかもと考えたワケだ。 動物学など学んでなかった新米飼育係のボクにでも、答えは簡単に見つかった。浦島太郎が乗ったのはアカウミガメだ。 浦島太郎伝説は、どうやら西日本が発祥らしく、本州に産卵にやってくるウミガメはアカウミガメしかいないから、これはまあ間違いない。こりゃ、けっこうな発見だ。 しかしそこで、さらに気付いたのだ。「産卵!」そうだ、子どもたちにいじめられていたのは、わざわざ陸に上がってきたからではないか、すると、産卵で上陸するメスしか、子どもたちにも浦島太郎にも会えるわけがない。 この自分的には超大発見を、次のガイドの時に直ぐに使ってみた。 「はいはい、みなさん。浦島太郎が乗ったのは、オスの亀かメスの亀か、どっちだったでしょう?」 酔っぱらいのおっちゃんが直ぐに答える「メス、メス!浦島太郎がオスだからー!」ぎゃははは! で、「せーかい!でも、理由は違います。かくかくしかじか・・・・・・」 よっしゃー!みんな、説明を聞いてくれている。 客の方から、「どれがアカウミガメや?」「どれがメスなん?」と、見分け方を、向こうから聞いてくれるのだった。 さらに追い打ちを掛ける「メスとオスの見分け方は簡単。オスの方が尻尾が大きくて太いんです。なぜなら、オスの尻尾には、オチ**************」へ〜!やだー!どれや〜! これでもう、ウミガメプールの前は、押し合いへし合いの人気プールになったのだ。 この時に、よ〜く理解できた。 動物や科学を勉強をしようなんて考えて水族館を訪れる人は、ほとんどいない。 でもその人たちに、日常の興味や、面白いだけの話しから入って、科学的な興味を起こすことはできる。 実は、「浦島太郎の乗ったカメはメス」の発見なんかより、それによって発見したこの事実こそが、ボクの水族館人生における、最大の発見だったのである。 というわけで、ボクの、水族館を自然科学系博物館純粋培養から旅立たせる計画は、エノスイにおいても着々と進んでいる。この夏、エノスイの展示がちょいグレードアップします。お楽しみに。 photo:姫路水族館のアカウミガメ。
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2006年06月12日
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