ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

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1品目:トラフグ!

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さて!いただきます食堂の1品目。
なんにしようかと色々悩んだけれど、やっぱり季節モノがいいだろうというのと、
何よりも第1弾だからして、景気よく奮発しちゃいましょう!
ということで豪華にトラフグ〜!(実際にいただくわけじゃないのだけどねw)

トラフグと言えば・・・、そりゃもうなんちゅうたかて大阪でんがな。
なぜか関西人はフグが好きで、大阪のまちには、そこかしこにフグ料理屋がいっぱいある。
ボクのトラフグ初体験も、大阪の従兄弟のお兄ちゃんに連れていってもらった高校生時代だった。
「フグはな、当たったら死ぬから鉄砲言うんや。ほやからテッサは鉄砲の刺身、テッチリはな鉄砲の鍋ゆうことや。」
なんて、いかにも大阪っぽいというか、大阪のおっちゃん風のフグ料理言葉を使う従兄弟を、大人やな〜と思いつつ、とても魚とは思えない鶏肉みたいな食感に感激してたらふくいただき、勧められるまま鰭酒なるものもいっぱいいただいた。

そして、すっかり酔い酔いのフグ腹になったボクは、従兄弟のお家にたどり着いたと同時に、全てゲロゲロ〜と吐き出してしまったのでした・・・。ぐすん。
それから社会人になるまで、トラフグなんて食えなかったというのに、四半世紀にたった1度のトラフグ様を、なんてもったいないことしてしまったのでしょう。

さて、Blog水族館的にトラフグと言えば、天下のフグ中心主義水族館しものせき水族館「海響館」だ。
なんで海響館がフグ中心になったかはみなさんご存知の通り、下関がトラフグの集積出荷の地だから。

しかもただの集積地ではない。天然フグの8割は下関に集まるのだそうだ。
10年ほど前、普段は東シナ海でたくさん獲れるトラフグの漁場が、黒潮の影響で、三重県、愛知県の沖にまで北上したことがある。
やった〜三重でもフグが安く食える!と思ったのは浅はかだった。その時には、西の方からのフグ漁船団がやってきて、下関に水揚げしていた。
地元の漁師が獲ったトラフグも、なんと陸送で下関に持っていくと聞いた。
その方が値が高く売れるし、なんせフグを扱うルートも、フグを捌く技能をもった人も、下関にしかないからだとのことだった。
今では、各地の水揚げ港町で、地元名を付けたブランドトラフグにして消費するようになってきたけど、それでも8割が下関なのである。
ダイヤモンドシンジケートみたいなもんなんでしょうね。

そうそう、フグと言えば毒の話をしなくちゃならない。
フグの毒はテトロドトキシン。食べる前に舌を噛んで死んでしまいそうな名前だけど、これがまた強力な毒で、煮ても焼いても晒しても抜けない。
種類によって毒のある部位が違うのと、せっかく毒のある内臓を取り去っても、作業の途中で内臓の毒が身に付いてしまったりするから、フグの調理には特別の調理師免許が必要だ。
でも、この免許に国際免許はないようで、かつて日本人がニューヨークだかにフグ料理店を開店したところ、当局より危険な食い物のレストランとして閉鎖させられた、という新聞記事を読んだことがある。(もう15年くらい前だけどね)

養殖のフグには毒がない。これは、フグが食べ物からテトロドトキシンの原料を摂取しているからで、毒性のない餌をあげていたら無毒のフグが育つというワケ。
海響館で詳しく聞いたところ、研究解明して発表したのは長崎大学。
それで、天然・養殖とも日本最大の水揚げ県である長崎県や、フグ業界などは、養殖フグをさらに安価に普及させるべく、養殖フグは無毒なのだからフグ調理師免許を持っていなくても調理できるようにしてくれと、政府に働きかけているらしい。

これも海響館の人に聞いた話だけど、かなりの達人でも、天然フグと養殖フグを味で見分けることはできないのだそうだ。
「だから下関の人は、みんな養殖フグを食べてますよ」とのことだった。
基本的に水族館飼育係系の人たちの味覚は信じない方がいいというのが、ボクの経験上の教訓なのだけど・・・・。
でも確かにフグの身にはそもそも味わうべき味がない。フグの旨さは、あのブリブリした食感だけなのだ。鍋で出るスープもあっさり上品だから美味いのだと思う。
だからきっと、天然も養殖も、我々がいただいて見分けられるものではないのに違いない。
もしTVで、叶シスターズが、目隠しして天然トラフグを当てたら、ヤラセを疑おう。

しかしそこで、はたと気付いた。
もし、養殖フグは無毒だからフグ調理師免許を持ってなくても調理してよろしい、となったとしましょう。
でも、見た目も味も、天然と養殖の見分けがつかないワケ。
それが、どっかで入れ違ったり、混じったり、そんなことは必ずあると思うのね。
結局、フグ調理師免許は必要なくなっても、天然か養殖か見分ける免許が必要になるのではないでしょうか?

●photo上:いただき頃のトラフグ。(海響館)
フグは漢字で河豚。ブタ顔ブタ体型だからというよりも、手で持つとブーブーと鳴くからだろう。
河なのは、中国の大河にはフグが入ってくるかららしい。
●photo下:海響館のトラフグ水槽。
こんなでっかい水槽にトラフグしか泳いでいない。さらに、小型のトラフグ水槽も併設。
おそらく今後、この水槽を凌駕するトラフグ水槽は出現しないだろう。

う〜ん、ちょっと長い読み物になっちゃいましたね。
1品目だから思わず気合いが入ったというのではなく、フグって書き始めたら面白いネタが多すぎるのです。まだ書き足りない気分。でもいきなり初回から2回に分けるのもなんだしね〜。
次回からは、もっとさらっといただきましょう。

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