ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

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インフルエンザで調子を崩している間に、新江ノ島水族館の新しい水槽がオープンしていた。
いまだに頭の回転数が通常の8割くらいの速さのため、昨日出かけるまで、そのことをすっかり忘れていた。まずい、なんだか、アルジャーノン状態だ。
イメージ 1

新しくオープンした水槽というのは、世界初の深海水槽。
海底から湧き出る硫化水素を食べる、化学合成による生態系の生き物たちの水槽だ。
地球上の99%以上の生き物は、太陽のエネルギーを光合成でタンパク質にする植物を元に連鎖する生態系の環の中で生きている。
もちろんボクたちもその一つで、ようするに地球の生き物は、太陽がなければ存在できない「光合成生態系」なのである。

イメージ 2ところが、太陽の届かない深海底に、光合成生態系とはまったく別の、地球から出る成分をエネルギー源にして生きている生き物が見つかった。
光合成をする葉緑素の代わりに、化学合成をするバクテリアと共生する生き物たちだ。
化学合成をするバクテリアは、海底から噴き出す硫化水素などをエネルギーにして生きている。
そのバクテリアを体内に取り込んだり、食べたりすることで、生活し繁殖する生き物たちが、この水槽の主役なのである。

もちろん今までも新江ノ島水族館では、海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究によって、それらの生物たちを飼育展示してきたのだけれど、今回は水槽内にその環境も再現し、化学合成生態系の生物たちの生態解明に迫ろうというもの。

この水槽の仕組みを、とっても簡単に紹介すれば、水槽の水温は深海の水温に合わせて4℃前後という低温にしながら、左のチムニーからは、硫化水槽の混じった60℃ほどの熱水が常時出ている。
今のところ、まだ水槽が本調子でなくて、熱水ではなく温水くらいしか出ていないのだけど、これから調整し、今まで深海潜水艇の乗組員しか見ることのできなかった、もうひとつの地球の生き物たちが、次々にここで披露されることになる。
小さいけれど、水族館に新たな歴史を刻む水槽なのである。

●photo上:深海コーナーの新しい水槽
赤い照明が使われているのは、深海生物たちが光として感知していない色のため。
左上の水温表示は、今後の水温調整で、左が5〜60℃、右が4℃前後に落ち着く予定。

●photo下:ゴエモンコシオリエビ
海底に積み重ねられた泥(これも硫化水素を発生させる)がまだ落ち着いていないので、ゴエモンコシオリエビに泥が降り積もっている。

こちらは以前に紹介したユノハナガニ。熱水の噴き出すチムニーに群がっている。
これから、こんな生き物たちが、続々とこの水槽で紹介されることになる。楽しみだ。

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