ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

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ノリさんが、チューブワームとシンカイヒバリガイを見たいと言うので・・・。
えいっ!と、ヘイトウシンカイヒバリガイ(と言うらしい)。
イメージ 1


イメージ 2←そしてこちらが、チューブワームの仲間サガミハオリムシ。
きっと、ノリさんが見たいのは、ガラパゴスで発見された大型のジャイアントチューブワームとか呼ばれているやつでしょうね。
ボクもぜひ見たい。でも、今のところは、小型のサガミハオリムシで我慢しておいて。

チューブワームは、ゴカイの仲間なのらしいのだけど、口も無ければ胃などの消化器官もない。
サンゴやタコクラゲが褐虫藻を体内に飼っているように、あるいは、植物が葉緑素を体内に持っているように、チューブワームは化学合成バクテリアを体内に住まわせている。

その体内に、筒から出したベロみたいな部分で、硫化水素や二酸化炭素、酸素などを取り入れて、化学合成バクテリアに与えせ、バクテリアが化学合成するときに発生するエネルギーを得ているのだ。
地球の生命体でありながら、宇宙人みたいなものだ。

でも、そんな宇宙人みたいなすごい生物をつかまえて、チューブワームとかハオリムシなんて、虫扱いはちょっとひどいよな〜と思う。
実は、深海生物は新しく発見されることが多いので、けっこう気の利いた名前が多いのだ。例えば、ユノハナガニ(温泉の湯ノ花から)とか、ゴエモンコシオリエビ(五右衛門風呂から)とか、どちらも海底からの熱水が噴き出している雰囲気が出てますね。
そして!最近ボク的にすごくハマったのが、このなんの変哲もない茶色の貝の名前なのだ。

イメージ 3その名も、ヨモツヘグイニナ。→
タニシやん!と思ってはいけない。この貝もやっぱり水深1600〜2500mという深海の熱水噴出域で採集された貝。
ハオリムシと同じように、化学合成バクテリアを体内に持っているのだ。

で、ヨモツヘグイとは漢字で「黄泉戸喫」。
これ、日本神話に出てくる言葉で「黄泉の国の食べ物を食べる」こと。
イカヅチを産んで死んだイザナミが死者の国である黄泉に行ったのを、イザナギが連れ戻そうと黄泉を訪れるのだけど、イザナミはすでに「黄泉戸喫=よもつへぐい」しちゃったからこの世には戻れないと言うのですね。

つまり、このヨモツヘグイニナの名前には、地底にある黄泉の国ほどの深海底に住んでいるという意味だけでなく、化学合成生態系の食べ物を食べてしまったので、太陽の世界の生態系では生きられない体になってしまった、という意味まで込められているというわけ。

そう、化学合成生態系の生き物は、みんなヨモツヘグイな生き物なのね。
命名者は科学者なのに、こんなすごい名前付けるなんて、いいセンスしてるな〜!と思いません?

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