ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

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マリンピア松島水族館へ、再開後初の訪問をしてきた。
4月2日に罹災お見舞いに訪問してから3週間とちょっと。
マリンピア松島は、とても元気に復旧していた。
復旧作業のときにもすでに活き活きとしていたスタッフのみなさんが、さらに明るい笑顔で迎えてくれたのが無性に嬉しかった。


なので、生き物たちの"元気!"な雰囲気をみなさんに伝えたいと思いながら写真を撮ってきた。
というわけで、マリンピア松島の元気!シリーズ。まずは前編『西條直彦社長、不滅の強運』から。


マリンピア松島と言えばイロワケイルカ。(もう何度も書いているフレーズやけどw)
母子が元気にビュンビュン泳いでいました。
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そしてイロワケイルカと言えば、以前にマゼラン海峡で大嵐の中で、遭難した話をしたことを覚えていただいているだろうか。⇒イロワケイルカとマゼラン海峡(07/7/15)

その時に一緒だったマリンピア松島の西條直彦社長(館長の兄上)は、実は今回の大津波にまともに呑み込まれたのだ。
ところがしかし、社長はその現場から、奇跡的にかすり傷だけで生還されたのである。

それは大震災の直後、西條社長が仙台港の近く多賀城を車で走っている時だった。
ラジオの津波情報と、車の窓から見えるジャスコの屋上に避難している人たちの仕草で、すぐそばにかなり大きな津波が迫っているのが分かったのだそうだ。
しかし、道は渋滞して車は動かない。外に出て逃げるかどうか迷っているうちに津波はやってきた。

前に並んでいた車は、津波によって次々とひっくり返ったのだが、西條社長の車はたまたま横に街路樹があったので横転せずに浮いたのだ。しかし、そのまま車は流されてしまったのである。
そのままおよそ200mも流されると、前を流れている車が次々に横道への激流に吸い込まれていくのが見えた。
あの急流に巻き込まれたらもうお終いかも…と思っていたら、社長の車だけは奇跡的に平屋建ての家の前に吸い寄せられ止まったのだ。
しかし、車はまだ浮いたままである……。
社長はそれでも冷静に、生きるための算段を考えていた……。


マリンピアと言えば、熱帯淡水魚。
ピラルクーも元気ですぞ。
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松島湾内の津波が比較的低かったとはいえ、この水槽のあたりは1.5mほど水没し、水が引いた後はヘドロがいっぱいだったそうだ


さて、車中の西條社長、車はだんだん沈んできて、車内の空気はすでに顔までしか残っていない。外からの水圧でドアも窓も開かない。
そんな絶体絶命のピンチのときにふと後ろを見たら、リアウインドウに何かが当たったらしく窓が割れていたのだ。それでリアウインドウまで泳いで外へ。

しかし、隣の家の屋根に渡るにも、車から少し離れていて移ることができない。
ところがまた運のいいことに板が流れてきたのだという。西條社長はその板をなんとか拾って、車と屋根との間に橋を架けて乗り移ったのだ。


ドラドも、金色にビカビカ光って元気に泳ぎ回っていました。
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平屋建ての屋根に乗り移った西條社長のその後。
車から脱出できたはいいのだが、全身ずぶ濡れで凍える寒さのところに雪まで降ってきた。その状態でブルブル震えながらおよそ1時間。津波の水はまだ引いていく気配もない。
このままでは凍死する…と思っていたところに、隣の二階建ての窓が開いて声が掛かったのだ。

しかし、避難している屋根と隣の間は離れていて、雪で滑る上に体力も落ち、飛び移れるかどうか微妙なところだったのだそうだ。
それで、電気の延長コードを持ってきてもらい、腰に巻いて命綱にしてから飛んだ。
案の定、飛び移れずに海に落ちてしまったらしい。(それは雪のせいばかりではなく、社長の体力的な要因も大きかったのでしょうけどねw)
しかし、命綱のおかげで流されることなく助かったのである。


大水槽のタマカイ。いつも、水底にデーンと居座っているのに、この日はグングン泳いで大サービス。
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ところで、前回のお見舞い時には、西條社長とは会えなかったので、今回が震災後初のご挨拶だった。

社長はボクの顔を見るなり「マゼラン海峡以来の危機だったよ」とおっしゃったのだが、いやそれはずいぶん違う。
マゼラン海峡では、船長の諦めない気持ちと行動だけが我々の命運を開いてくれた。
しかし今回は、西條社長の諦めない気持ちと行動が、何度も何度も運を拾い、その積み重ねで奇跡の生還を遂げたのだ。

マリンピア松島の今回の超早期復旧とオープンも、その気持ちの延長線上にある。
水族館の正面玄関の上には、『マリンピアは不滅です!』と書かれた横断幕。
不滅なのは水族館ではなく人なのだ。
この奇跡の運を切り開いた社長以下、館長や館員のみなさんの不滅の精神がマリンピアを不滅にした。
そして、そうのような不滅な心を持つ人たちが、水族館を通して多くの人々の不滅な心を支えることができる。

訪れた日は平日だったが、おそらくほぼ全員が宮城県民のとても多くのお客さんたちが訪れ、弾けるような笑顔で楽しんでいらっしゃったのが印象的だった。
水族館が人々に伝え与えることのできることは限りない。と、確信したのでした。


アオッアオッ、アオッ!♪ 元気に行進するアシカたち。
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アシカたちの獣舎は最も海に近いところにあって、完璧に水没したのだけど、さすが海獣。
同じ時刻の社長の危機一髪も知らず、「うひょっ!プールが広くて深くなったぞ〜い!」とか言いながらはしゃいでいたのかもしれないなあw。


さて、今回、なんで西條社長の強運危機一髪物語を詳しく載せたのかというと、
一度ならずこれだけ修羅場をくぐり抜けるだけの、精神力と運を持った人だから、仙台水族館計画も必ずや成就すると言いたかったのw。
しかも、マゼラン海峡危機一髪をくぐり抜けてきた相棒のボクがプロデュースなんやから、強運+悪運のよさで、もう鬼に金棒、ダースベイダーにライトセーバーみたいなもの。

不滅のマリンピア松島から、東北の人々の心と未来を支える水族館の誕生へ、一気に駆け抜けますぞ!…の予感なわけです。



●マリンピア松島水族館の、これまでの記事と写真のリストはコチラ ⇒東北地方の水族館記事リスト



恥ずかしながらTwitter始めてみました…。
□オススメの水族館本(中村元著・監修)→水族館の本
■水族館を選ぶなら→WEB水族館:決定版!!全国水族館ガイド
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