ブログ水族館/中村 元

次回『中村元の超水族館ナイト』は2019年2月24日(日)の開催。前売り発売は1/24です

命をいただきます食堂

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ハタハタしょっつる

今回の男鹿半島は、GAOが目的ではなく、男鹿の観光再生のお手伝いで、講演をするだけじゃなく、男鹿半島の魅力を地元のボランティアの人たちと再確認しながら回った。

すごいね、男鹿。
自然がいっぱい。自然がいっぱいすぎて、足腰がガクガクになるくらい歩いたのだけど、自然の豊かさがこんなに残っている観光地は、日本にはもうそれほどない。

イメージ 1例えばこれ、原生林の傾斜の中のそこかしこに、ぽかりぽかりと穴が空いているのだけど、それが湧水の穴。
こんなふうに、大木の根っことか、石の脇とかに穴があって、ボゴッボゴボゴッと音を立てながら冷たくて美味しい清水がわき出しているのだ。
男鹿半島の付け根に、寒風山という火山があって、その火山岩の間を20年かけて通ってきた水なのだとか。
付近の上水は、この一帯「滝の頭水源」からの湧水を集めて使っているのだそうだ。

でも、このいただきます食堂では、水はメニューではない。
今回は「しょっつる」、しょっつる鍋のしょっつるだ。
しょっつるは塩汁が語源とかで、魚を塩につけて発酵させた醤油、つまり魚醤である。

実はボク、しょっつる鍋とか秋田料理とか味の濃さがちょっと苦手だったのね。ナンプラーなんかもやっぱり苦手だったので、きっと海のない田舎育ちだったから、魚醤が苦手なんだと思いこんでいた。
ところが、今回の1泊目の宿で出てきた、あまりにも美味しいしゃぶしゃぶの汁でガビーンと来た。
昆布ダシなの、でもただもんの昆布ダシではない、なんかじわっとくるコクが素晴らしい。それで、これいったい何が入っているの?と聞いたら、「しょっつる」だったのです。

しょっつるは、調味料として使うと、とっても上品なコクが醸し出されると、旅館の主に教えてもらった。
しかも、最近すごくいいしょっつるがあって、それが、ハタハタだけで作られたしょっつるだとのこと。
その旅館では、それを使っている。
すげーなー、ハタハタのしょっつる、どうやってつくるんだろー?と思っていたら、これがまた天啓のように、次の日の男鹿半島の魅力のツアーの中に、唯一ハタハタのしょっつるを造っている「諸井醸造所」が入っていた。
ハタハタは漢字で「鰰」神の魚、今回の旅は、ハタハタ神の導きによる旅だったのではないか?と思ったカンチョなのでした。
さてさてここが、諸井醸造所のしょっつるづくりの現場。
イメージ 2

諸井醸造所では、かつての伝統的なハタハタのしょっつるが途絶えようとしていたのを、試行錯誤の上で復刻し、より完成度の高いものにまでしたのだそうだ。
イワシやアジでつくったしょっつるは、魚臭さや癖が強いのが、ハタハタでつくるととても上品なしょっつるに仕上がる。それが、前夜にいただいたしゃぶしゃぶのダシ汁の隠し味だったというわけ。

ここでのしょっつる造りは、実にシンプルで美しい。
原料はなんと、ハタハタに天然塩だけ! 工場には機械らしい機械もない。
見せてもらったのがこれ、左が半年前の12月に漬けたハタハタ。右は8年貯蔵もの。
イメージ 3

ハタハタは発酵しながら溶けて液体になり、3年目に漉して熱を加えればしょっつるになる。
8年醸造したこの味噌みたいなのを舐めさせてもらったら、ぜんぜん魚の匂いもしなくて、そのまま野菜とかに付けて食べたら美味しそうなお味でした。
(尚、8年醸造は、味の変遷やいつまでもつかなどの実験のためだそうで、しょっつるは3年で美味しくいただけます)

さてところが、原料のハタハタ、まったく獲れなくなってきていたのですね。
それを、3年間のハタハタの禁漁という大技で、なんとか取り戻したのが、漁業者や関係者たちの偉いところ。
漁獲高を数字で表すと、数10年前までは毎年1〜2万トン→1991年にはなんと70トン!→禁漁後3千トンと、絶滅が奇跡的に止まったことが分かる。
魚の禁漁は世界的にも例がないのだそうで、そのことが評価されるとともに、諸井醸造所の努力によってしょっつるの伝統の味が途絶えなかったということで、このハタハタしょっつるは、イタリアに本部のある世界スローフード協会が、世界的に希少価値がある食品として指定する『味の箱船』という栄誉ある認定を受けたのだそうだ。

さてハタハタの減少、ボクはなんとな〜く過剰漁獲によるものだろうと思っていたのだけど、地元ボランティアの方々の話を聞けば、どうやらそれは違うらしい。
港に建つハタハタの供養碑が、それを物語る。「供養費は獲れすぎたからですか?」と聞いたら、なんと「いえ、本当はこのあたり一帯がハタハタのブリコ(卵)が大量に流れ着く場所だったのを、大規模な港湾整備で潰してしまったからです」という答え。

港湾整備、国と建設系資本による巨額な無駄遣い行政施策の一つとされているけれど、漁港を整備するために、漁獲物の産卵場所を根絶やしにしてしまうなんておバカなこと、いったいどんな仕組みでできちゃったのだろう?
地元の有識者は猛反対したらしいのだけど、地元の人には見えている本当のことが、世の中を動かしている人たちには、どうやっても届かない・・・。そんな悲しい日本の現実です。
きっと、建設省の役人も、県の役人も、政治家たちも、ハタハタが神の魚だってことを知らなかったのだろうね。
でも、神罰は下っちゃうのです、それも地元の庶民にだけに。

この日、先の「滝の頭水源」の源となっている寒風山に、ヒーヒー言いながら登った。
そして、男鹿半島の付け根の方を望んだのがこの写真。左上に見えているいびつな形の池は、あの八郎潟の残骸だ。
イメージ 4

八郎潟の干拓は、国家事業として巨額の干拓費を使った、生態と国土の破壊、そして事業目的の不完遂と、将来に渡って取り返しのつかない失敗の記念碑であることは、たいていの人の見方だ。
それを横に見ながら、再び港湾整備で、ハタハタを絶滅に追いやってしまいかけたことに、ボクはちょっと悲しくなった。
男鹿の自然豊かな土地には、国から落ちる程度の補助金や建設の仕事よりも、将来にまで残せる財産がいっぱいあるのだもの。

ショウブの花を摘んで帰ろうとする人に、ボランティアの人たちは「とっていいのは写真だけですよ〜」と諭していた。
そんな風に、花一本を、後からくる人に見せるためだけにでも、残しておきたいと考える人もいる。
この人たちが、まちの将来を提案していくことができれば、たぶん、八郎潟もハタハタもなくならなかったのだろうと思う。

と、なんだか「命をいただきます食堂」らしくなく社会的なことになってしまったけれど、もちろん今回のお土産はハタハタしょっつるでした。

●諸井醸造所は通販もしてるみたいです→諸井醸造所のHP(広告料をもらってるワケじゃありませんw)

●生きているハタハタの写真はこちら→「ハタハタがいっぱい」でGAOのハタハタ展示


ウナギと鰻の蒲焼き

東京暮らしを始めて5年。
実はカンチョ、食生活でとっても不満なことがある。
それは、イチビキの「献立いろいろみそ」がスーパーで売ってないことと、鰻の蒲焼きが柔らかいことだ。
イメージ 1

イチビキの「献立いろいろみそ」は、三重の実家から送ってもらえばいいし、その気になれば自分で作ることだってできる。
でも、鰻の蒲焼きはどうにもならない。
関西では腹開き、江戸では武士が切腹に通ずるのを嫌って背開き、なんてことは、正直言ってどうだっていい。
問題は、白焼きにして蒸すというようなヤワないただき方。これがどうにもなじめないのだ。
あんなふわふわしたものをいただいていたら、切腹をする前に、体がヘナヘナになってしまうと思わなかったのだろうか?

子どもの頃、ボクは蒲焼き当番だった。
年に2回くらいしかいただけない高級品のウナギを焼かせてもらっていたのだから、子どもなりにすごい緊張感を持って焼いていた。
裏庭に七輪をセットしてもらって、タレをたっぷりつけて焼く。焼いては、またタレに漬け、また焼く。
それを4〜5回繰り返せば、皮の側がぐにゅると盛り上がった、ぎんぎんの蒲焼きが焼き上がるのだ。

ウナギは肉よりも歯ごたえがある!それがうち流の焼き方だった。
もしかしたら、肉こそめったにいただくことができなかったから、ウナギで代用してたのかもしれないけれど・・・。

でも、あの脂ぎって、身がはちきれんばかりにぎんぎんのウナギの蒲焼きでなければ、精など付かないだろうし、夏も乗り切れないんじゃないかと思うのだ。
ごんぎつねのごんだって、兵十が病気のおっかあに食べさせようと思って獲っていたウナギを盗んだから、鉄砲で撃たれた。うなぎじゃなかったら、兵十も鉄砲までは持ち出さなかったと思う。
ごんぎつねの作者、新美南吉は三河で生まれ育っているから、絶対に肉より歯ごたえのあるウナギを思い浮かべていたはずだ。

で、まあ、ボクは東京で、白焼きにしないもちろん蒸してもない「鰻の蒲焼き」を探しているのだけど、見つからないのです。
だれか知ってたら教えて!

イメージ 2


さて、その鰻の蒲焼きが値上がりの危機にあるのだとか?
ウナギは川の魚でありながら海で産卵する。
どこで産卵するのかは長く解明されていなくて、日本のウナギでさえ、2年前にやっとマリアナ海峡で繁殖していると裏付けられたばかり。
そんなわけで、養殖が盛んといっても、川に上ろうとしている幼魚つまりシラスウナギを捕まえて、それを育てているわけだ。

で、その養殖ウナギ、今は中国から大量に輸入されているのだけれど、中国で養殖されている多くが大西洋のヨーロッパウナギ。
そのヨーロッパのウナギが乱獲のために激減したため、捕獲が制限され輸出禁止と決まったのだ。
そしたらもちろん、中国でのウナギ養殖は激減する。そのウナギは日本のスーパーに来ていたから、こちらも自動的に消える。
ウナギは品不足で、値上がりするということになる。

でもさ、いいんじゃないですかね〜、それで。
ウナギは年に何度もいただけないくらい高級だからウナギ。
子どもながらに、七輪で真剣に焼いたくらい大切だからウナギ。
ごんぎつねが盗んだら鉄砲で撃たれるくらいだからウナギ。
マリアナ海峡から日本にやってきて、川を上り、またマリアナ海峡まで繁殖にいくくらいだからウナギ。
ウナギはそもそも、庶民には贅沢品なのです。
というか、やっぱりそんな感覚が、「命をいただく」に繋がるのだと思う。

これでみんなもボクと同じように、鰻の蒲焼きを食べられなくなればいいのに・・・と思っているワケではありません。w

ところで、ウナギには付き物の「肝吸い=肝の吸い物」と「骨煎餅」
あれは、あまり食べない方がよろしいようです。
ウナギの肝って、ホントはあんなに大きくないし、ウナギの骨ってホントはもっと強くて硬いらしい。

養殖ウナギには、抗生物質をバンバンぶち込んだりしているので、それで肝臓が肥大し、骨に蓄積されて骨が柔らかくなるのだそうだ。
「だから、私たちは肝と骨は絶対に食べませんよ」と、もう20年以上前に養殖の研究に携わる人たちから忠告された。
あれから、肝吸いの肝、小さくなるどころかますます大きくなってるものな〜〜〜。
さらに、最近食についてはかなり危険度が高いとされる中国での養殖。。。
ウナギが値上がりする前に、ウナギの暴れ食いだ〜!と思ったみなさん。
蒲焼きだけにしておきましょうね。

photo:ウナギって高級魚なんだけど、どうにも絵にならないのね〜。
上が姫路水族館にて、下がなかがわ水遊園にて撮影。


ハタハタがいっぱい!

一昨日、秋田に着いたとたん、昼食で歓待された。
あらゆる秋田名産がちりばめられた郷土料理の趣向で、ブリッコ入りのハタハタも!
ハタハタの産卵の季節は過ぎているのだけれど、秋田と言えばハタハタにブリッコなので、冷凍して準備しているとのこと。
※秋田県民じゃない皆さんのために。ブッリッコというのはハタハタの卵。1粒2mmくらいあって、魚の卵としては異様に大きいのが特徴。しかも硬くて、食べるとブリブリ音が出るのだ。それでブリッコ?

というワケで、GAOからお送りする「命をいただきます食堂」の一品はハタハタ。
イメージ 1

最近では冬になると、都心のスーパーでハタハタの干物が売られている。
こういうのって、大都市には秋田県民がたくさん出てきているから、その人たちの要望なんだろうと思っていたのだけど、どうやらそういうわけでもないらしい。
なぜなら、秋田の人たちは、ハタハタを干物でいただくなんてことあんまりしないそうなのだ。
しょっつる鍋やら、塩焼きやら醤油焼きやら、ハタハタ寿司やら、いろんな郷土料理がある。

実はボクは、秋田に友だちも多く、講演だけでもすでに5〜6回はしているほどで、出かける回数のとても多い県の一つなのだけど、そういや、干物のハタハタをいただいたことは一度もない。
初めてブリッコ入りの焼きハタハタをいただいた時には、卵塊というには異常な食感と粘りにちょっと往生したけれど、それ以来大ファンになった。

イメージ 2

今回のGAOには、ハタハタがたくさんいた。
前回訪れたときには、ハタハタ水槽にハタハタがおらず、とても寂しかったのだ。
実は、ハタハタは常に沿岸にいる魚ではない。
普段は、日本海の沖の水深200mくらいのところにいて、産卵の時にだけ沿岸にやってくるのだ。
その時期というのが、11月末から12月という、日本海側の東北地方では厳しい冬がやってこようという時。

産卵は、雷を伴うような時化の時なのだそうで、その理由を聞いたけれど、解明されていないとのこと。
でもそのおかげで、ハタハタがいっぱい獲れたかつては、海藻に産み付けられた卵塊が海岸に打ち上げられて、あるいはハタハタそのものも海岸に打ち上げられ、子どもでも拾い集めることのできる海からのとてつもない恵みとなっていた。
そうやって大量に獲れるハタハタは、麹漬けやら塩漬けにされて、冬を越す貴重な蛋白源になっていたそうなので、ボクが一昨日にお昼にいただいたブリッコ入りハタハタも、あながち季節外れのダメな食べ方ではない。

で、前回ボクがGAOにやってきたのは、その産卵が始まる直前のこと。
ハタハタは、鱗のない魚で、生態もよくわかっていないために飼育が難しい。それで、ハタハタが押し寄せる季節の前には水槽のハタハタが全滅してしまうこともあるのだそうだ。
今回は、12月にたくさんのハタハタが入ってきたばかりなので、まだまだ元気に大量にいたというわけだ。

ハタハタを展示している水族館はあまり多くないけれど、ハタハタに会ってどうしても感謝の言葉を述べたければ、12月中旬から数ヶ月の間がよさそうです。

マアジの干物と唐墨

イメージ 1

イメージ 2

昨日は、伊東の友人に頼まれたボランティアな講演だった。
彼にはかつて、「悪いけどさ〜、ちょっとモンゴルに行ってきてくれへん?」と頼み、行ってもらっちゃったことがあるので(しかもボランティアで)、寝ていないほど忙しかろうが、ボランティアだろうが、頼まれたら断れない義理があるのだ。

その彼からお土産にもらってきたのが、伊豆で獲れた魚の干物と唐墨(からすみ)。
昨夜は、それを肴に久しぶりに呑んだ。

干物は定番の、マアジとエボダイ。
そんなもん近ごろじゃ東京でも美味しいのがなんぼでも手に入るのだけれど、やっぱりねー、地元で消費される干物は、これがまたぜんぜん違う美味しさなのよ。
まず、地元の干物づくりの見立てがいい。脂の乗ったいい味を干物にしてあるのが分かる。
さらに、獲れてから干物にするまでの時間といい、干物ができあがってから売られるまでの時間といい、干物に鮮度を感じる。

そして、酒の肴には最高の一品である唐墨。
唐墨の製法は中国から伝わったので、九州の各地が唐墨の本場なのだけれど、福岡空港で買ったりするとあんまり美味しくない。
板前さんに聞いたところによれば、塩漬けして塩抜きしてという作業がかなり高度な技術を要するのだそうで、味としては、地域はちょっと寒いところの方がよく、さらに誰が作った唐墨かということが大切なのだそうだ。
そういう点では、もらってきた唐墨は、最高の一つだった。
脂の抜け方といい、卵の一粒一粒を感じることのできる食感といい、‫今までにいただいた唐墨の中で最も美味い部類でございました。

お味を楽しみながら、伊東の友人は、これらの美味しい食べ物を食べているだけで豊かなんだと思った。
久々に田舎暮らしがとってもうらやましくなった。
                                         
ところで、唐墨はなんで出来ているかご存知だろうか?
ボラの卵巣なのである。
ボラは昔からたくさん獲れた上に、河口の泥の有機物を食べるので身が泥臭く、あんまりありがたくない魚とされ、でも高級品の唐墨になる卵巣を持っていたメスだけが価値のある魚とされてきた。

と言うわけで、
photo上:美味しそうなアジ(なかがわ水遊園
photo下:唐墨の親であるボラ。つっても写真はそのボラの若魚だけどね。(虹の森公園おさかな館

さて、今日は秋田にいる。
秋田で講演をして、その後、秋田の友人を呼び出して呑んだ。というか奢らせたw。
そして明日は男鹿水族館GAOに立ち寄ってくるつもり。
シロクマ豪太くんの水槽がリニューアルされたそうで、とても楽しみなのです。
高熱ハードボイルドを引きずった頭で、写真整理してて、ふと目についたのがオーストラリアオオガニ。
すごいでしょ、この腕。
ハサミじゃなくて「腕」それもプロレスラーの腕みたいな力強さがハードボイルド。
イメージ 1

さてこのカニ、水族館ではオーストラリアオオガニと呼ぶのが普通のようなのだが、ボクの頭の中ではタスマニアオオガニ。
なぜボクが、タスマニアオオガニなのかというと、かつてタスマニア展なる特集展示を企画開催。
その準備にタスマニアに渡り、カモノハシやらオットセイやらシードラゴンやらの水中撮影をし、このカニにいたっては撮影だけでなく、展示用に買い付けて、さらに、タスマニアのレストランでいただいてきたからだ。

でっかい甲羅をボウル代わりに、生野菜とボイルした身がどっさり入ったサラダ。
とっても美味しかった。
その時以来、ボクの中ではタスマニアオオガニなのだ。

でもね、オーストラリアの人たちも、タスマニアン・ジャイアントクラブと呼んでいたし、そもそも、タスマニアを中心といした海域がこのカニの生息域で、特にこんな風に大きい個体は、タスマニアでしか獲れないはず。
あ、失礼!「こんな風に大きい」とか言っても、写真じゃ分かりにくいですね。この写真のカニの甲羅の幅で30cmくらいあります。

これでもまだまだ成長途中で、最大級だと60cmにもなると言われている。重さはなんと15kgを超えるとか。
ボクがタスマニアで、撮影用に漁師さんから買い上げたのだって、甲羅の幅が45cmほど重さも10kgくらいあった。

30cmとか45cmとか簡単に書いちゃうと、まあまあ大きいかな程度に思われるだろうが、あなどってはいけない。
カニの甲羅の30cmと言えば、世界最大のタカアシガニの、両足広げて3mクラスの甲羅に匹敵するのだ。45cmともなればもう、甲羅だけなら世界最大の甲殻類となる。それが5〜60cmときたら、カンチョにはその迫力を想像することもできない。

甲羅だけでなく、ハサミ腕の大きさもまたすごい。
こちらも長さだけならタカアシガニに負けちゃうけれど、重さなら、片方のハサミだけで、タカアシガニの2本分を凌駕する。
まあ、考えても見て欲しい。この比率で、甲羅の幅が5〜60cmあったとしたら、ハサミの長さはそれ以上、太さもヒトの太ももくらいになるはずだ。
バルカン星人を除けば、地上最強のハサミを持つ生き物が、タスマニアオオガニなのである。

さて、腕みたいなハサミというカニは、実は日本にもいる。アミメノコギリガザミだ。
イメージ 2

大きさは、タスマニアオオガニにとても敵わないしけど、腕っ節に関してはなかなかのものだ。それにこれでも甲羅の幅は20cm近くあるから、カニとしてはかなりの大型。
さらに、喧嘩っ早さという点においては、おそらくカニ族一の好戦的な性格。

水槽をのぞき込んだりするだけで、グワシッと両腕を広げ、ガラスをバシッバシッと叩いてくるのだ。
きっと、タスマニアオオガニ相手でも、戦いを挑むだろうな〜。無頼ガニです。

で、そんな無頼ガニも、やっぱり人間様には、茹でられて美味しく食べられてしまう。
ノコギリガザミは、フィリピンでよくいただいた。やっぱりハサミが一番美味しい。
なぜ高熱ハードボイルドなボクの目が、彼らのハサミ腕で止まったのか、それは、ボイルしたハサミの美味しさのせいだったのですね。
どちらのカニさんも、お命、ごちそうさまでした。

●photo上:オーストラリアオオガニ(アクアワールド大洗
●photo下:アミメノコギリガザミ(京都大学白浜水族館

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