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ごぶさたでした〜! 伊勢志摩で今も理事長してる2つのNPOの新年会のために雪の三重県に行ってました。 片方のNPOは大雪のためにみんなが来られず、延期になっちゃったけれど…。 雪に慣れてない伊勢志摩の住民は、雪が積もるともうこもるしかないのです。 このところ、大きく変わったのが、暖流寒流のコーナー。 こちらは寒流系の水槽の一つ。 う〜ん、背景に壊れたカニ篭入れたのね。…くらいに思われるかもしれないけれど、 生のカニ篭を小さな水槽に入れたらまるでリアル感が失われるので、わざわざ壊して付着物を付け、泥に埋めたのがミソなのだ。 いい具合にエノスイのスタッフには、こういう細工の上手な人が多いのですよ。 さらに、この写真では分からないけれど、実は泥底をうんとかさ上げしてもらってある。 このように低層にいる動物を展示する場合、来館者の8割以上を占める大人には、普通の水槽では低すぎて、見て欲しいものを見てもらえなくなる。(展示者はまるで気づいてないのだけど) それで、底上げをしてできるだけ大人の目線に近づけてもらったというわけ。 じゃあ、子どもの目線はどうするんだ?とよく言われるのだけど、 子どもつったって水族館に来るような子はみんなかなり大きい。だからこれでちょうど目の真ん前に来ることになる。 すごく小さい子どもは? 大丈夫、見上げるのだ。見上げることによってさらにカニさんが大きく迫力を持って迫ってくるじゃない。 こちらは同じ水槽の左上部。 底面を上げるだけでは、混雑時に後ろの人から何も見えないことになるので、泥の海底にももしかしたらあり得るギリギリの情景を作ってもらったのだ。 もともと魚の種類とかに興味のない観覧者は、造形物などがアイキャッチとなる。 つまり、水槽が「ココを見て下さいね」と訴えかけるようになるのだ。 おかげで、寒流系の地味な生き物たちのこの水槽、以前はさらりと通り過ぎられていたのだけど、今ではかなりの時間、楽しんでもらえる水槽になった。 コチラは、深海コーナーの最後のちょっと外れた場所にある水槽。 コシオリエビとかエビスダイとか、けっこう不思議系の生き物たちがいる。 ところが、深海っぽさを出すために、照明がかなり暗いのと、通路みたいな場所にあるので、やっぱりあまりじっくり見てもらえなかった。 それで、コシオリエビがよくいるあたりに、いくつか赤いスポットライトを落としてもらったのね。(後ろがぼーっと赤いでしょ) たったそれだけのことで、水槽がずいぶん華やかになった。しかも深海のイメージを崩さずに。 そして、やっぱり赤いスポットがアイキャッチとなって、観覧者はなんか見なくちゃいけないみたいな気分になるのだ。 相模の海の大水槽も、近ごろずいぶん変わってきている。 岩にイソギンチャクがいっぱい貼り付いて、水槽が進化し始めたのだ。 その写真はうまく撮れなかったので、最近、大水槽で撮ったお気に入りの写真を…。 え〜、ミノカサゴくんの尻尾に隠れた向こうの方の岩に、実はイソギンチャクがいっぱい貼り付いて、ゆらゆらと揺れているんだと思ってくだされw。 新江ノ島水族館は、おそらく日本で最も年間パスポートが売れている水族館。 そもそも、周辺人口の多さを狙って、地元のリピーターを増やす戦略にしたから、年間パスポートがよく売れるだけでなく、その利用率もとても高い。 そんな人たちが、「あ、ここ変わったわね!」なんて言いながらご覧になっているのを見かけると、ボクはもうすっごく嬉しくなる。 1年間を満足して、次の年にも年パスを買ってもらうためには、水槽や展示がどんどん進化していることが大切だ…というのが展示監督としてのボクの当然な考え方なのです。 というわけで、最近、えのすいに来てないというかた、ぜひ進化しつつあるえのすいを見に来て下さいねw。 ■今年のカンチョ本2冊新発売! ◎みんなが知りたい水族館の疑問50」(サイエンスアイ新書)著・写真:中村 元 ◎The水族館(三推社◎講談社)監修ほか:中村 元。 □「水族館の通になる」(祥伝社新書)と「全国水族館ガイド 2006-2007」(SoftBank Creative) も読んでね!全国の図書館にも置かれてます。 |
いい水族館
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久しぶりに「いい水族館」の書庫で・・・。 さて、もうすでに2週間も前になってしまった九州の水族館紀行のトリは、前回、水槽前ストリートライブの写真をちらっと載せたマリンワールド海の中道。 でも、わずか1時間の滞在で、今回は館長への表敬訪問が主目的だったので、新しくできた場所を案内してもらいながら撮った写真しかない。 そんな中で、カンチョ的にはかなり惹かれた新展示、タッチング水槽。 元々タッチングの水槽はあったのだけど、改装されて、新しいタッチング水槽が新設されていた。 もともと水族館素人だけに、顧客起点のプロデュースにはかなりの自信を持っているボクなのだけど、それでもやっぱりどこか供給者起点(水族館起点)になってしまうことが多い。 それを矯正するには、来館者の反応を見るに限る。 そうやって見ていて、水族館はそろそろ気づかなくちゃいけないな〜と常々思っているのが、このタッチングのコーナーなのだ。 タッチングコーナーで一心に生き物に触っている子は必ずいる。でも、よく見てみれば、ちびっ子だけであったり、さらにちびっ子の中の一部であったりすることが分かる。 ところが、この海の中道のタッチング水槽には、他では見られないくらいの高い割合で、観覧者が立ち止まっていた。 その光景だけで、ボクとしては、その謎を解かなくちゃならない使命が生まれちゃうw。 まず、高さがいい。 わりあい高い高さは、大人も覗きやすく、ちびっ子は岩に乗ればいいようになっている。 さらに、この高さと足下に空洞を造ったことにより、車イスの人だって普通に近くに寄って、生き物を触ることが出来る。伊勢志摩バリアフリーツアーセンター理事長のカンチョとしては、そりゃもういたく感心。 そして、面白いな〜と思ったのが、中央に陣取っているちびっ子。 他の観覧者の方を向いて、まるで水族館のスタッフであるかのように、生き物を得意げに見せたりしているのだ。 車イスのおばあちゃんにも、ナマコを手にとって見せてあげていた。すっかりインストラクター気分。 この子がどこかに行ったら、すかさず今度は女の子が入って、二代目(いや今日だけでもう何十代目なのだろう)インストラクターになっていた。 穴ぼこ一つで、これはなかなか面白い。 そしてさらに、車イスを寄せられる足下の空洞は、裏から見るとこんな風になっている。 こういう展示(天井水槽)は、裏を見せたい動物の水槽だとかで時折見られるのだけど、今まで見た天井水槽の中で最も小規模なこの水槽が、その効果としては最も高い水槽であると断言できる。 なぜなら、わざわざ裏から見ようとする行動が楽しいし、さらにすごく近くに見ることができるからだ。 タッチング水槽とかタッチングプールというのは、触って体感するという触察体験だけでなく、観覧者自らの主体的行動が大切だ。自ら行動するという感覚が、タッチングの学習効果を上げるものなのだ。 ※昨日配信したメルマガにそのあたりのこと詳しく書きました。 さて、もう一つ、こちらも思わずニヤリとしてしまった水槽。 以前にタッチング水槽のあった場所は、スチール製の円柱で周りを囲まれていた。 そして円柱には、小さなスリット穴がいくつも開いている。そのスリットをのぞき込むと・・・・。 これは、本物の干潟の観察を体感する展示。 フィールドでは、葦の間からそっと見なければカニたちが逃げていってしまう。それと同じ効果を出すための円柱とスリットなのね。 なるほどこうすれば、飼育されているカニやトビハゼもおびえることなく活動できる。 そしてここでも、「そっと覗く」という、観覧者の主体的な行動が引き出されるのだ。 マリンワールド海の中道は、いかにも大衆受けするような派手な展示戦略は採っていない。 でも、水槽前ストリートライブといい、この展示といい、しっかりと大衆心理を掴んだ展示を目指しているな〜と感心した。 おそらくそれは、この水族館が学校や企業などさまざまな一般社会とコラボした活動を数多く行っているからじゃないかと思う。 さて、そんな活動を精力的にこなしておられる、海の中道の館長にご著書をいただいた。 「魚のつぶやき:高田浩二著」朝日新聞に毎週3年間連載されたコラムを1冊にまとめたものだ。 釣り欄の掲載で「魚のつぶやき」の題名なくらいだから、魚、魚、魚、ときおりマダコというほどに魚の本だ。それが、その魚からの自己紹介という形でつづられている。 実はカンチョもかつて毎日小学生新聞とかに3年間毎週連載したことがあるから分かるのだけど、毎週ってそりゃ大変。しかもボクは海獣からペンギンや無脊椎動物まで含めてのなんでもありで、それでもこれ以上はもう無理!と何度も思った。 それを魚だけで150回とは・・・。 そして、素人が読んでも十分面白い。 高田館長、さすが!なのである。 こうして人に何かを伝えることを、さまざまな方法で試みる高田館長の姿勢、それがマリンワールド海の中道の展示にもいきづいているからこそ、あのタッチング水槽が誕生したのだろうと思うのです。 ■今年のカンチョ本2冊新発売! ◎みんなが知りたい水族館の疑問50」(サイエンスアイ新書)著・写真:中村 元 ◎The水族館(三推社◎講談社)監修ほか:中村 元。 □「水族館の通になる」(祥伝社新書)と「全国水族館ガイド 2006-2007」(SoftBank Creative) も読んでね!全国の図書館にも置かれてます。 |
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実はカンチョ、今月から滋慶学園グループという専門学校の教育顧問に就任し、毎週1回、東京コミュニケーションアート専門学校(TCA)のドルフィントレーナー専攻のクラスに講義もすることになりました。(この書庫の前ログ、特別講義が縁でそんなことになっちゃった) 水族館職員以前の段階から、展示スタッフづくりに関わろうという魂胆なのねw。 (新江ノ島水族館の仕事は、展示監督という形で継続してます) で、ちょっと置いていた「いい水族館」の書庫も、その講義と並行して記事載せようと意気込みだけは持ち始めているところw。 さてさてそんなこんなに関係して、下の3つの写真、みなさんはどれ(どの雰囲気)がお好みですか? これ、すべて八景島シーパラダイスのシロワニの水槽。 ここに来ると、まずほとんどの人たちが「サメ!サメだ〜!!!うぉ〜スゲ〜!」と大はしゃぎ。 シロワニは顔が精悍で図体もデカイから、とても目に付きやすくて、さらにたいていの人たちがこの水槽で立ち止まる。 するとアオリイカを発見するのね。 で「イカ、イカがいた〜〜!あぁきれい〜〜〜ウットリ」となる。 ここまでくるのがだいたい半数の人たち。 でも、イカを発見した半数の人たちの、この水槽での滞留時間はとたんに長くなる。どうやらまったりするらしい。 そして、そんな人たちが、頭上にきらめくイワシの群に気づくわけ。 でも今度は気づいても「イワシ、イワシがいる〜!!」とはならずに、ただただまったり度合いを深めて、すごく長い時間ここにいたり、まあ千人に一人くらいは床に座り込んでしまったりということになる。 だからこの水槽はとてもいい水槽。 単純に、異種を混合飼育することで、海の様子や生態を知らしめるというだけではない。いやむしろそんな結果はあまり期待できなかったりもする。 まず、たった一つの水槽で、水族館に「未知や発見の刺激を求める人」「癒しを求める人」「動物画好きな人」などどのような観覧者にも対応できていること。 さらに、観覧者の期待感を、満足から新たな満足へと移り変わらせることで、期待されてもいなかった知的好奇心を起こしつつ、より大きな満足感を呼び起こすことができるということ。 つまり、カスタマーの満足度を提供という点で、カスタマーズ起点的にすごくいい水槽なわけです。 こういうのって、単なる展示テクニックなのだけど、実はそれをテクニックとして学び、さらにそのテクニックを駆使していい展示を実現するのはとても難しい。 そもそも、この水槽も、テクニック的なことを考えて完成したのではなく、飼育スタッフたちの「あれも見せたい」「自分はこれが好き」というようなのが重なってできたのじゃないだろうか。(テクニックだとしたら八景のみなさん、失礼しました) だからTCMの講義では、多様な観覧者の観点に立って、展示やインタープリテーションをすることを、一番最初の課題にしているところ。 そんなワケで、上の3枚の写真、みなさんはどの雰囲気が好きなのか尋ねてみたのです。 今後の参考にもしたいので、ぜひ順番つけるなり、どれかを選ぶなりして、教えていただければ幸いです。 えっと、ボクの好みは、イワシ群→イカ→シロワニの順。 多分、シロワニをいろんなところで見過ぎているのと、ボクが水族館に求めているのは、普通の人に最も多いと思われる「癒し」や「水塊」そのものだからですね。 なので、実はこんな感じ↓が一番好きな雰囲気です。 |
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で、内容は、「学芸員の穴を目指せ!」=ホンマもんのキュレイター(学芸員)になれ! キュレイター(curator)は、日本語では「学芸員」ということになっている。 学芸員なら、どの水族館にもいるし、実際には学芸員になるためには大学で教員課程に近い履修をした上で資格試験に合格しなくちゃならない。 でも、日本の水族館(博物館や美術館も)の学芸員には、欧米でいうところのキュレイターの仕事をしている人は驚くほど少ないのだ。 ボクはこれを、「学芸員の穴」と呼んでいる。 つまり、学芸員資格などなくても、ホンマもんのキュレイターがいないのだから、誰だってそこに納まることはできるのだ。 用語としての「学芸員」とは、博物館法に基づいた博物館の専門員のことだ。 ざっくり言えば、普及活動や、展示物の管理、調査研究などを専門的に行う知識技能を持った職。 水族館での展示物は生物だから、普及活動に、生物の飼育、生物の研究などのことだ。 そして水族館の本分は「展示」そのものにある。 だから、本来、学芸員なるものは、展示のために、飼育し、研究するべきなのである。 ところが、ほとんどの学芸員は、本分たる展示による「普及活動」がなんたるものかを知らないように思える。(あくまでも「ほとんどの」であって、まっとうな学芸員も何人か知っていますよ) 普及活動の専門職とは、水族館にやってくるごく一般的な大衆に、何を伝え、どうやれば伝えられるかを研究し、それを実行する職だ。 これが、ちゃんと機能していないから、水族館の魅力は半減してしまっている。 この傾向は美術館にとても顕著だ。 例えば、美術館の解説の難解なこと。これはホントに現代日本語か?と思うくらいに、専門用語をちりばめ着飾り、意味不明で滑稽でさえある。 例えば、美術館の敷居の高さ。あまねく人々に、芸術の素晴らしさを広めるのが美術館の大きな使命ではないのか?まるで大衆は来るな!と宣言しているようだ。 芸術を鑑賞するのがとても好きなボクだが、こんなことじゃ、日本に美術文化は根付かないだろうと心配している。 そしてこの責任のかなりの部分が、館長と学芸員にあると思うのだ。 そして、それと同じことが水族館にも起こっている。 たいていの場合において、解説などが学芸員が書くのだけど、たいていの場合において、その解説の面白くないことといったらない。 それは、自然科学のことしか勉強していない学芸員の知識で、大衆の興味を引こうという努力をせずに書かれているからだ。 (何度も言うけれど、全ての学芸員ではないですよ。あくまでも「たいていの」ですから) 水槽の作り方もそうだ。 学芸員の仕事の一つである「展示物の管理」は、水族館では生物の飼育だから、飼育の方法にばかりに目が行く。 すると、その水槽で何を伝えようとするのかが、おろそかになってしまっていることが多い。 調査や研究をしても、数少ない水族館関係者が読む論文を書くことには、たいへんな時間と労力をかけるのに、その成果を大衆に伝える努力は忘れてしまっている。 ボクが(大衆が)学芸員に望むのは、展示の質を高め、展示の手法を開発することだ。 そのために、研究をしてもらいたいのである。 例えば、米国の水族館では、擬岩をつくるのが専門のキュレイターがいてびっくりした。 彼は、水槽が表そうとしている環境や生物の生態を、客にいかにリアルに伝えるかどうかを研究して、それを実現していたのだ。なるほど理にかなっている。 ところが日本では、その水槽の造作を、設計士や擬岩デザイン専門の会社に委託してしまっていることが多い。おかげで、どの水族館のアマゾン水槽も、同じつくりになっている。 ボクの水族館プロデューサーという職は、日本でもそんなことは水族館のスタッフでしようよという気持ちから始まっている。 実は今年から、新江ノ島水族館では肩書きを改め「展示監督」となっているのだが、本来のキュレイターの意味には「監督」という意味合いがとても強い。 (※展示監督の話はまた別の機会に) このような仕事をする人がいない日本の水族館の現状が「学芸員の穴」なのだ。 あぁそうか、ある意味ボクの仕事は、隙間産業だったんだ・・・・。 そしてこの仕事は、別に学芸員の資格などなくてもできるのだ。 いや、おそらく、学芸員の資格がない方が、いろんな展示手法を考えやすいのかもだ。 現実に、いい展示を行っている水族館の中心人物は、学芸員の資格を持っていないスタッフに多いのだ。ちなみにボクは学芸員の資格を持っていない。 やる気と努力と、ちょっとしたセンスさえあれば、誰にでもなれるホンマもんの学芸員。 学芸員の資格を持っている人も含め、ぜひ水族館のすべてのスタッフに目指してもらいたいものです。 この2日間特別講義をしてきたTCAの卒業生から、そんな未来の水族館スタッフが育てば嬉しいものだと期待しているところです。
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ボクがよくお世話になっている温泉旅館がある。まともに支払えば一人ウン万円の高級旅館だけど、ワケあって毎回タダで泊めてもらっているw。 |






