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ドル・コスト平均法とは、一定金額ずつリスク資産を購入していく投資手法です。
有効な投資手法の一つとして、広く知られています。
特に、一定口数積立と比較し、有利な投資手法であるという説明が散見されますが、どうなのでしょう。
平均取得価格に注目し、数学的に考えてみます。
まず、投資信託を考えます。
基準価額は、
1回目の購入時に a(1),
2回目の購入時に a(2),
…
n回目の購入時に a(n)
と変動するものとします。
また、これ以降で和の記号・積の記号を
Σ(f(i)) = f(1) + f(2) + ・・・・ + f(n)
Π(f(i))= f(1) ・f(2) ・・・・・・ ・f(n)
と定義します。
1.ドル・コスト平均法での平均取得価額
この投信を h 円ずつ定額積立をした場合、
積立総額は h [円] × n [回] で hn [円] …①
一方で i 回目に積み立てる口数は、 h [円]÷a(i) [円/10,000口] ですから、
1〜n回目までに積み立てた口数は、Σ(h/a(i)) [10,000口] …②
したがって、10,000口当たりの平均取得価額は、①÷②より
hn / ( Σ(h/a(i) ) ) = 1 / ( Σ(1/ a(i))/n ) [円/10,000口] …③
2.一定口数積立の平均取得価額
毎回10,000口ずつ積み立てた場合、
i 回目の積立金額が a(i) [円/10,000口] ですから、
積立総額は Σ(a(i)) [円] …④
一方で、積立口数は、10,000[口]× n [回] = n [10,000口] …⑤
したがって、平均取得価額は、④÷⑤より
Σ(a(i)) ÷ n [円/10,000口] …⑥
3.どちらがお得?
③ = 1 / ( Σ(1/ a(i)) / n )
≦ 1 / (Π(1/a(i)))^(1/n) ←相加平均≧相乗平均 ※1 より 1/相加平均≦1/相乗平均
= (Π(a(i)))^(1/n)
≦ Σ(a(i)) ÷ n ←相加平均≧相乗平均 再び
= ⑥ ※2
したがって ③≦⑥
すなわち ドル・コスト平均法は、一定口数積立よりも、平均取得価格を安く抑える事ができるのです。※3
また、ほぼ同様の議論で、
売却時は 「一定金額ずつ」 よりも、「一定口数ずつ」 が有利 であることが分かります。
また、スポット買いによる取得単価の期待値 は ドル・コスト平均法の平均取得価額を上回る、すなわち、スポット買いは不利であることが分かります。※4
―――つぶやき―――
ところで、ブロガーの間で「ドル・コスト平均法は、有利でも不利でもない」との主張が良く聞かれます。
あれって、なんなのでしょうね。何を仮定し、どう論理展開すればそうなるのかが不明です。
そもそも何と比較して、有利・不利なのかさえ分かりません。
―――――――――――――――――――
※1
証明は↓のリンクのpdfファイル4枚目以降を参照。
※2
この不等式の変形は↓の記事を参照しています。
※3
他の手法と比較した上での有利・不利の議論であり、完全に手法についてのお話です。
儲かるかどうかは、積立対象次第です。ここでは言及していません。
※4
基準価額の値動きが予想できないと仮定した上での期待値のお話です。基準価額の値動きが予想できる投資家であれば、積極的にスポット買いを行うべきです。
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↓のような値動きをした(仮想の)投資信託について考えます。
この投信、基本的に成績は悪いですね。
基準価額は、設定時の2007年1月に10,000円でしたのに、2011年1月には20%も下落した、8,000円となっています。
ですが、この投信、成績優秀に見せかけて、素人投資家に売りつける事ができます。
売り手の売り言葉は
「年平均リターン1%、預金よりも有利な金融商品ですよ!」
です。
なぜこのような表現が可能となるのでしょう。
仕組みを見てみます。
平均リターンは、年間上昇率の平均値で、年間1%、
基準価額が20%も下落したのに、平均リターンはプラスと計算することができます。
どういうことでしょう。
基準価額は、1.4倍→0.57倍→0.75倍→1.33倍 と動いています。
リターンに注目する場合、平均リターンは相乗平均で
( 1.4 × 0.57 × 0.75 × 1.33 ) ^ (1 / 4 ) = 0.946 倍
すなわち 年平均で 5.4% 減っていると計算するべきです。
ところが相加平均で
( 1.4 + 0.57 + 0.75 + 1.33 ) / 4 = 1.01 倍
と計算し、リターンを良く見せることができます。
これが、売り手のトリックです。
「平均リターン」は胡散臭いものが大半です。
投信のパフォーマンスは、自分で吟味するべきだと思います。
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注. リターンは相乗平均で計算するべきと書きましたが、リスクや統計について詳しい人は、相加平均で算出したリターンも分析に活用しているはずです。
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2011年6月は、投資信託が買われたようです。
――――引用ここから――――
個人の資産運用ツールである投信への資金流入が堅調だ。6月も既設定の分配型を中心に7222億円が流入。なかでも高分配の海外REITファンドやアジア・オセアニア通貨建て海外債券などがけん引した。
(略)
<資金流入は順調、分配型が全体の約7割に、通貨選択型残高が9兆円超え>
野村総合研究所(NRI)によると、6月の追加型株式投信(含むETF)の純流入額は7222億円。リーマンショック以降では四番目の水準となった。個人マネー流入のけん引役となったのは毎月分配型で、6月の純流入額は7569億円。残高は追加型株式投信の約7割を占める36兆3781億円にまで拡大した。
――――引用ここまで――――
特に海外資産に投資する投信が買われたようです。
6月の円/ドル為替は、1ドル80〜82円程度と、前月より円高であり、逆張り傾向の強い個人投資家が「円高の今こそ海外投資のチャンス」とばかりに買い向かったのかもしれません。
また、毎月分配型の投信も根強い人気です。
毎月分配型は、、「分配利回りが10%超」など分配利回りが高い商品が多いです。
販売会社からすると、売りやすくて、更に手数料も実はよく儲かるため、販売に力が入るのでしょうね。まあ、「分配利回り10%超」といっても、収益を分配しているわけではなく、自らの資産を切り崩して分配金を捻出している投信が多いようです。(一概には言えませんが)
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日本株のリスクとリターンはどの程度でしょうか。
1987年から2010年までの24年間の日経平均株価の年間騰落率を使い、推計してみました。
結論から言うと、この分析では日本株のリスク・リターンは、
リスク: 23.4% / リターン: 0.07%
となりました。
以下、詳細を書いていきます。
1.騰落率分布
まず、年間騰落率分布を確認します。年間騰落率は以下の式を使い、算出します。
「年間騰落率(%) = (大納会終値 - 大発会始値) / 大発会始値 × 100 」
これを24年分算出し、年間騰落率分布を作成します。
結果は、以下のようになります。
意外と正規分布(ガウス分布)ですね。
株価のランダム・ウォーク性を壊すほどの大暴騰・大暴落は、少なくとも年間レベルの時間レンジでは、確認できません。
2.リスク・リターン
先ほどの年間騰落率ですが、平均値は +0.07%、 √(分散)は 23.4% となりました。
すなわち、リスク: 23.4% / リターン: 0.07% となります。
3.リスクについての所感
リスクについては、年金積立金管理運用独立行政法人(※1)による「基本ポートフォリオの検証について」(※2)で算出されている、リスク 22.25% (年率) と大きく矛盾しない結果となりました。日本株のリスクは、この程度と想定しても問題ないと思われます。
4.リターンについての所感
リターンについても、個人的には納得できる水準であると思います。
ただ、一般的に考えられている日本株リターンと比較した場合、少なめです。
要因を考え、原因を列挙してみます。
i ) 証券会社の販売資料にある日本株のリターンと比較し、少なめです
確かに証券会社や投資信託のサイトで提示される、日本株期待リターンと比較した場合、今回の結果は大きくマイナス乖離した値に見えます。が、売り手側のデータは所詮、売るのに都合の良いデータです。都合の良い期間の株価推移を使い、都合の良い計算方法でリターンを算出しているため、リターンは大き目に算出されます。
ii ) 年金積立金管理運用独立行政法人の期待リターンを比べても、少なめです
先ほどの「基本ポートフォリオの検証について」では、日本株の期待リターンを 4.8% としており、これとの比較でも多少の乖離が見られます。年金積立金管理運用独立行政法人は、企業の成長率をそのまま日本株の期待リターンとして計算、更に配当・消費者物価指数を考慮しており、すなわち根本的に計算方法が違います。このことが、期待リターンが大きく異なる原因となっています。
5.結論・余談
この分析において日本株の、リスクは23.4%、 リターンは0.07% と算出されました。
もし、この値を今後の日本株の、想定リスク・期待リターンとした場合、
明らかにリターンがリスクに見合いません。
私は現在、日本株インデックスファンドへの投資から撤退中なのですが、これは悪くない選択だと思っています。
※1 厚生年金と国民年金を運用している機関です
※2 数々のアセット・アロケーション分析ツールで数値が引用されている、有名な分析です。
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