宇宙とブラックホールのQ&A

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福島第1をμ粒子で透視

・<福島原発>溶融燃料160t容器底部に残存か
河北新報7月29日付記事です。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160729_63018.html

少し古い記事ですが、気がついたので、記録のために載せておきます。

概要>東京電力は28日、福島第1原発2号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の位置を把握するため、宇宙線を使って透視した原子炉内の調査結果を公表した。溶融燃料の大部分が圧力容器の底部に残っている可能性が示された。

福島原発の内部をミュー粒子を使って透視するという話は数年前にあったものの、うまくいかなかったのかと思っていましたが、それなりの成果はあったということです。

>東電と高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)などが3月から調査。宇宙線から生じる「ミュー粒子」の性質を利用し、レントゲン写真を撮るように圧力容器を撮影、溶融燃料など物質の分布状況を測定した。

宇宙から飛んでくるのは主に陽子で、それが上空で大気の成分と衝突して、まずパイ中間子を生じ、それが直ちに崩壊して、ミュー粒子となります。
ミュー粒子の寿命は短いのですが、高速で飛んでいるために特殊相対論の効果で寿命が伸びて、地上にまで到達します。(これは特殊相対論の例証として有名です。)
ミュー粒子は物質透過力が強いのですが、原子炉内の密度の高いところでは吸収されるため、これを使ってその内部を「見る」ことができます。
ただ、解像度はきわめて低いです。

>解析の結果、燃料があった炉心域に20〜50トン程度、圧力容器底部に約160トンの高密度の物質が存在していることを確認。燃料集合体や制御棒といった事故前にあった物質量は約210トンで、溶融燃料の大半が圧力容器底部にとどまっていると推定された。

数字を見る限り、「溶融燃料の大半が圧力容器底部にとどまっている」ことは間違いなさそうです。

>溶融燃料の位置が推定できたことで、取り出し工法の絞り込みが進む可能性がある。ただ、ミュー粒子による調査は最大60トン程度の誤差があり、圧力容器を包む格納容器の状況も把握できていない。東電は年度内の実施を目指すロボットによる調査などで、溶融燃料の位置特定を進める。
>原発事故では1〜3号機が炉心溶融した。ミュー粒子による調査は1号機でも行ったが、圧力容器底部まで観測できたのは初めて。3号機を調査するかどうかは未定。

おそらく私は1号機の調査があまりうまく行かなかったという記事を読んで、ミュー粒子による原発透視が失敗したという印象をもってしまったのですね。
壊れた原発の解体処分のためにはまず現状を正確に把握する必要がありますが、強い放射能の下でそれを行うのは難題です。
ミュー粒子の利用を含め、さまざまな方法で知恵を出していかなければならないでしょう。
強い放射線を浴びても簡単に壊れないロボットが作られて、調査を行い、さらには人間の代わりにさまざまな作業もしてくれればよいのですが。

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