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・巨大原始星の周りに一酸化アルミニウムを発見
アストロアーツ5月8日付記事、元は東大とアルマです。
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10612_alo
概要>オリオン座大星雲の中にある巨大原始星から吹き出すガスの中に一酸化アルミニウム分子が見つかり、その空間分布が明らかにされた。惑星の材料がどのように作られるのかを理解する手がかりとなると期待される。
>恒星がどのように誕生し、その周囲に惑星がどのように作られるかという問題は、太陽系や地球、生命の誕生と進化にもつながる重要なテーマであり、生まれたての恒星や惑星を観測したり、小惑星から持ち帰られたサンプルを分析したりして研究が進められている。
>東京大学および宇宙航空研究開発機構の橘省吾さんたちの研究グループは、1400光年彼方のオリオン座大星雲の中に位置する原始星「オリオンKL電波源I」のアルマ望遠鏡による観測データを解析し、そこに含まれる物質とその分布を調べた。オリオンKL電波源Iは太陽の数倍以上の質量を持つとみられる原始星で、周囲の原始星円盤から回転しながら吹き出すガスの流れ(アウトフロー)が存在する。
橘省吾(たちばな・しょうご)さんは1973年生まれなので、今年46歳。
Wikiによると、宇宙化学・宇宙鉱物学が専門の惑星科学者とのこと。
現在、東大院の教授。
はやぶさ2のサンプリングにも携わっているそうです。
ググるとお写真も見つかりますが、お若く見えます。
オリオンKLは、大質量星形成領域の一つで、その種のもののうち太陽系から最も近い天体として知られています。
このアウトフローは「原始星円盤から回転しながら吹き出すガスの流れ」とあるので、ブラックホールのジェットのように円盤に垂直な2方向にではなく、円盤の接線方向に吹き出していると読めるのですが、それでよいのかな?
>データ解析の結果、アウトフローの中に一酸化アルミニウム分子が存在することが示され、分子の空間分布も明らかになった。一酸化アルミニウム分子が進化末期の年老いた恒星から吹き出すガス中に存在することはこれまで知られていたが、誕生直後の若い原始星の周囲に存在するのか、存在するとしてどのように分布しているのかは不明だった。
酸化アルミニウムというと、通称アルミナと呼ばれる Al2O3 が思い浮かびますが、これは明らかに「一」酸化アルミニウムではありません。
一酸化アルミニウムというのは、酸化アルミニウム(II)のことのようです。
Wikiによると、
・2価のアルミニウムの酸化物
・化学式は AlO で表される
・酸化アルミニウムAl2O3を 3 260℃に加熱することで得られる
・通常は気体として存在するが、熱力学的に不安定
とのことですが、融点、沸点などの記載はありません。
ここで、アストロアーツ掲載の画像をご覧ください。
色は青から赤くなるにつれて、一酸化アルミニウム分子の分布が濃くなります。
楕円状の等高線は、塵が放つ電波の分布です。
アルマによる観測ですから、一酸化アルミニウム分子の振動状態遷移や回転状態遷移に伴うミリ波・サブミリ波領域の吸収スペクトルで検知しているわけです。
>さらに、一酸化アルミニウム分子の分布が、アウトフローが吹き出す根元付近に限られていることも明らかになった。同じくアウトフローに見つかる一酸化ケイ素分子などの分布に比べて、一酸化アルミニウム分子の分布が極めて局所的なのは、この分子の揮発性が低いためと考えられる。高温のガスがアウトフローとして広がる過程で冷却されると、ガス中の一酸化アルミニウム分子がダストとして凝縮し、ガスから取り去られて残った可能性が高い。
宇宙空間では、一酸化アルミニウムはダストつまり固体になっているのですね。
一酸化アルミニウムの融点、沸点は分かりませんが、一酸化ケイ素 SiO の方は融点 1 702℃、沸点 1 890℃です。
>太陽系で最初に作られた固体物質はアルミニウムやカルシウムなど揮発性の低い元素に濃集した鉱物からできていることが隕石の研究から知られている。これらは惑星を作る材料となった物質だが、その鉱物がどのような環境でどうやって作られたのかは充分には理解されていない。原始星の周囲で一酸化アルミニウム分子がダストとして凝縮する可能性を示した本研究の成果は、原始星周囲での惑星材料の進化の一般的な理解を進めるとともに、太陽系で惑星の材料が作られて惑星へと進化した過程を理解するための手がかりとなると期待される。
気体の一酸化アルミニウムのままでは惑星を作る材料にはならないのでしょうから、ダストとして凝縮することを示した点に本研究の意義があるのでしょう。
>くわえて、様々な質量の原始星周囲のガスを観測して明らかになる惑星材料に関する知見と、隕石や探査機が持ち帰ったサンプルからわかる太陽系に関する知見とを比較することで、太陽系の形成・進化過程が天の川銀河内の他の惑星系と似ているかどうかの議論もできるようになると期待される。
太陽系や系外惑星系の形成・進化の過程を明らかにするためには、惑星材料となる分子の正体を解明することが不可欠なのですね。
私もちょうど最近、高校化学の勉強を最初からやり直し始めたところなので、励まされた気になります(^_^
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