宇宙とブラックホールのQ&A

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アストロアーツ5月28日付記事、元は北海道大学です。
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10640_pluto

概要>冥王星の内部海が凍結しない理由として、地下にメタンハイドレートが存在していれば説明可能であることが数値シミュレーションで示された。巨大な盆地や窒素の大気の存在も説明できるという。

地球上でも新たなエネルギー資源として注目されているメタンハイドレートですが、これは太陽系の最果てを回っている冥王星での話題です。
ちなみに、英語の綴りはmethane hydrateです。

>木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスなど、氷を主成分とする氷衛星のいくつかには地下に厚い氷があり、その下に「内部海」と呼ばれる凍らない海を持つことが、惑星探査機やハッブル宇宙望遠鏡の観測などから明らかになっている。

この氷というのは、水H2Oの氷のことです。(地上では当たり前だけど、宇宙では当たり前のことではありません。)
水H2Oは常圧下では 0℃≒273Kで凍り、この温度つまり水の融点(氷点という)は圧力が相当低下してもほとんど変わりません。
ちなみに、水の三重点の圧力は 0.006 気圧で、同じ温度でこれより圧力が低くなると気体の水蒸気になり、同じ圧力でより温度が低くなると氷になります。
宇宙空間では、液体の水は存在しないのです。

内部海が凍らない理由としては、素直に考えると熱源の存在を思い付きますが、巨大衛星のエウロパでは木星重力による潮汐熱が考えられるけど、エンケラドスは小さいのでどうなんでしょうね。
なお、予告しておくと、今回の冥王星に関する研究で発見されたのは、熱源ではなく「断熱材」の方です。

>巨大ガス惑星の衛星だけでなく、地表温度がマイナス220℃と極寒の氷天体である冥王星にも内部海が存在していることが、NASAの探査機「ニューホライズンズ」の観測データから示されている。冥王星の、ハート型模様に見える地域の左半分は、窒素の氷河で覆われた白い巨大な盆地となっているが、この盆地が赤道付近に存在するという事実は、盆地の地下の氷が薄く内部海が厚いことを示している。もし厚い内部海が存在していなければ、この盆地が極に向かうように冥王星が回転してしまうはずだ。

マイナス220℃は、絶対温度では53Kです。
まさに「極寒の氷天体」ですが、そんな天体に「内部海が存在している」ことは驚き以外の何物でもありません。

冥王星のハート形模様は太陽系名所?の一つとして有名ですが、その左半分が巨大な盆地となっているというのは初めて知りました。
組成が一様で比較的球に近い天体であれば、自転に対して安定的になるためには、出っ張った部分は赤道付近に、くぼんだ部分は極付近に位置するようになるはずです。
それなのに巨大盆地が赤道付近にあってなぜ不安定にならないのかというと、氷よりも液体の水の密度の方が高いからだと思います。
ちなみに、普通の物質であれば固体の方が液体よりも密度が高いので、水はその意味でかなり特異な物質といえます。

>氷衛星よりも冷たく熱源にも乏しい冥王星の内部海がなぜ凍結していないのかという謎について、北海道大学の鎌田俊一さんたちの研究グループは、主にメタンを閉じ込めたガスハイドレートが内部海と氷地殻の間に存在するという新たなアイディアを提唱し、数値シミュレーションを行った。

冥王星の内部海が凍結していないという謎を解明するために、新たなアイディアでシミュレーションを行ったのですね。

>ガスハイドレートとは、水分子でできた「かご」の中に気体分子を閉じ込めた氷のような物質だ。とくに、メタンを閉じ込めたメタンハイドレートは地球の海底にもあり、天然資源として近年注目されている物質でもある。鎌田さんたちはメタンハイドレートが通常の氷と比べて、熱伝導性が悪く高い粘性をもつことに着目した。

メタンハイドレートはいわば「燃える氷」で、人工的につくったものは白いということですが、地球上に自然に存在しているものは土のような外見だそうです。
「熱伝導性が悪く高い粘性をもつ」ということは、天然の断熱材ですね。

ここで、アストロアーツ掲載の真ん中の画像をご覧ください。
「今回のシミュレーションで用いた冥王星の内部構造のモデル」です。
巨大盆地の下では氷の地殻が薄く、その分、内部海が厚くなっていることが分かります。

>まず、太陽系が形成されてから現在までの約46億年間に及ぶ冥王星内部の熱・構造進化シミュレーションを行ったところ、メタンハイドレートが存在しない場合は何億年も前に内部海は完全に凍結するが、メタンハイドレードが存在する場合には断熱材として機能し、表面は極寒でも内部海はほとんど凍結しないことがわかった。

46億年も凍結を防いだ断熱材ですか。恐れ入りました(^_^
また、46億年分のシミュレーションを行えるというのも、凄いと思います。

ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。
冥王星内部の熱・構造シミュレーションが、メタンハイドレートの有無でどう違ってくるかを表しています。

>また、氷地殻の厚さが均一化するのにかかる時間を算出したところ、メタンハイドレートが存在しない場合には100万年程度だが、存在する場合には10億年以上かかることがわかった。

ハート形左半分の巨大盆地が存続しているのも、メタンハイドレートのおかげというわけです。

>地下にガスハイドレート層が存在すると考えると、冥王星の大気に窒素が多く一酸化炭素が少ないことも説明がつく。メタンや一酸化炭素はガスハイドレート層に取り込まれやすく地表にあまり出てこないが、窒素分子は取り込まれにくいので表面に出てくることができる。ガスハイドレート層がいわば分子吸着フィルターのような役割を果たすということだ。

断熱材だけでなく、分子吸着フィルターの役割も果たすのですか。
ただ、メタンや一酸化炭素が取り込まれるのに窒素分子が取り込まれない理由が分かりません。

>今回の研究成果は内部海の長期維持メカニズムを新たに提唱するものであり、内部海を持つ氷天体が想定以上に多く存在する可能性を示すものである。また、内部海の存在は特徴的な大気組成として観測されうることも示している。宇宙における海や生命の研究において重要な示唆を与える結果であり、地球外生命の探査という点でも大きな意義がある

冥王星なんて太陽系に7つある巨大衛星のどれと比べても大きさも質量も小さくて、準惑星に格下げになったし、いいとこなしの天体だと思っていたのですが、凍らない内部海の存在というのは面白い事実です。
系外惑星でも同様の惑星、衛星があるに違いなく、今回の研究は重要だと思います。

5月の訪問者数

今年(2019年)に入ってから毎月行っている、このブログの訪問者数の分析です。
もともとの予定では、今頃はYahoo!以外の会社のブログに移行しているはずですが、移行ツール提供がひと月遅れて6月4日(火)からの予定となっています。
これ以上遅れないでほしいものです。
各代表値の計算方法と性質については、次の記事をご覧ください。
さまざまな平均1:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/69524832.html


 1.月平均の訪問者数
最初に月次の数値を挙げておきます。

 月平均の訪問者数(2018年12月〜2019年5月)      単位:人、件
.  算術平均 中央値 最頻値 幾何平均 調和平均 最大値 最小値 記事数 .
12月 115.5  116.0   117   113.0    110.5    152    67    23
1月  155.6  156.0   152   151.9    148.0    258    76    26
2月  113.4  111.0   117   112.1    110.8    143    73    24
3月   96.8   97.0    97    95.7     94.5    128    65    24
4月  161.2  136.5    67   141.0     127.0    607    67    18
5月  136.6  135.0   147   134.4     132.1    191    91    16 .
(注)1.最頻値は5刻みでとっており、末尾(一桁目)の数字は必ず2か7になる。
  2.中央値は、必ず整数値か半奇数値(小数点以下一桁目が5)になる。

算術平均、中央値、幾何平均、調和平均の4つが130台です。
昨年12月は参考までに載せているので、それを除くと、
算術平均、中央値、幾何平均、最大値は今年第3位です。
最頻値と調和平均は今年第2位です。
最小値は今年第1位です。
ジェットコースターのようにアップダウンした4月と比べると、5月は狭い範囲で安定していたことが分かります。
毎月150以上を期待したいところですが、それはさすがに欲張りすぎでしょうから、130台であればとりあえずは文句のない数字です(^_^
記事数が4月よりさらに減っているのは、毎年この時期に仕事が忙しくなるためもありますが、努力のしようがなかったのかどうか反省点はあります。


 2.週平均の訪問者数(2019年1月1日〜)
今年に入ってからの訪問者数を、火曜始まりの週ごとの代表値で整理します。
今年は元日が火曜なので、1月1日始まりになっています。

  週平均の訪問者数           単位:人、日
.日にち 算術平均 中央値 最大値 最小値 150以上の日 .
1/1〜1/7  166.7  186   258    76    4
1/8〜1/14  141.0  143   156   125    2
1/15〜1/21 159.9  165   184   118    6
1/22〜1/28 158.6  167   180   124    5     .
1/29〜2/4  135.1  132   159   116    2
2/5〜2/11  123.3  127   142    99    0
2/12〜2/18 104.0  109   122    73    0
2/19〜2/25 110.0  111   125    99    0     .
2/26〜3/4  102.3  100   128    79    0
3/5〜3/11  100.4  104   117    78    0
3/12〜3/18 103.7  104   119    93    0
3/19〜3/25  95.6   97   107    68    0     .
3/26〜4/1   80.9   78    99    65    0
4/2〜4/8   90.7   91   113    67    0
4/9〜4/15  279.4  238   607   109    6
4/16〜4/22 169.6  168   218   139    4
4/23〜4/29 123.9  131   171    75    2     .
4/30〜5/6  137.3  124   191    91    3
5/7〜5/13  152.0  163   188    99    4
5/14〜5/20 122.7  126   140   100    0
5/21〜5/27 131.6  129   147   117    0     .

4月の第2週以降の波が5月の中旬に去ったと見ればよいのでしょうね。
また来て欲しいけど(^_^


 3.曜日ごとの訪問者数(全期間平均)
次に、全期間の曜日ごとの算術平均と中央値を2月末、4月末の数値と比較します。
3月は毎年、年間最低なので飛ばしています。
基準値は昨年中頃に努力目標として適当に設定した数値です。

  曜日ごとの訪問者数              単位:人
.  期間     火   水   木  金  土  日   月 全体 .
算術平均
〜2019/2/28 101.7 101.8 102.5 92.5 78.2 88.8 102.5 95.4
〜2029/4/30 102.3 103.7 105.3 94.1 79.7 89.5 103.5 96.9
〜2019/5/31 103.2 104.6 106.1 94.7 80.5 90.3 104.6 97.7
中央値
〜2019/2/28  99.0  99.0 101.0 89.0 73.0 87.0  99.0  93.0
〜2029/4/30  99.0  99.0 101.0 90.0 75.0 87.0 100.0  93.0
〜2019/5/31  99.5 101.0 101.0 91.0 75.0 87.0 100.0  94.0
基準値     100  100  100   90  75  85   100   92.9 .
(注) 基準値の「全体」は、曜日ごとの基準値の算術平均。

算術平均は97.7で、対前月差で+0.8と改善しています。
しかも、どの曜日も改善しています。
ここまで来れば、「1日当たり訪問者数平均100」を名乗っても嘘とは言われないでしょう(^_^

中央値も+1.0と改善しています。
中央値はその性格上なかなか動かないものなので、嬉しいです。
曜日別には火曜が+0.5、水曜が+2.0、金曜が+1.0改善しています。

基準値との関係をみると、中央値の火曜を除き、いずれの曜日も基準値以上になっています。
目標達成といってよいでしょう。


 4.機器ごとの訪問者数

 訪問者数とPVの機器別内訳(算術平均)
     訪問者数      PV
.   全体 PC スマホ 全体 PC スマホ .
1月 155.6 78.4 77.3  284.0 171.9 112.2
2月 113.4 57.7 55.7  225.1 146.2  78.9
3月  96.8 48.2 48.7  233.5 168.0  65.5
4月 161.2 73.9 87.4  286.4 162.9 123.6
5月 136.6 64.9 71.7  246.1 147.5  98.6 .
(注) スマホは、スマホ/タブレットの略

訪問者数の機器別内訳は、3月までは「PCとスマホ/タブレットがほぼ半分ずつ分け合っている」という状況だったのですが、4月、5月は明らかにスマホの方が多くなっています。
理由は分かりません。
PV(アクセス数)、特にPCの方は、投稿に伴う私自身のアクセスが何度もカウントされるため、参考程度にお考え下さい。


 5.人気のある記事と20代以下の割合
最後に、以前から人気のある記事2つの1日当たりアクセス数と年代別内訳における20代以下の割合について1〜3月の数値をみておきます。
 人気のある記事と20代以下の割合
.  訪問者数 △黒体 △光の 20代以下の割合 同実数 .
1月 155.6   16.1  10.5     16.4       25.5
2月 113.4    8.7   9.3     11.7       13.2
3月  96.8    6.0   8.1      7.0        6.8
4月 161.2   16.0   9.4     12.6        20.3
5月 136.6   15.7  13.2     16.0        21.9  .
(注)1.訪問者数は算術平均、「△黒体」は「△黒体放射って何のこと?」の略、「△光の」は「△光のドップラー効果って音と同じなの?1」の略、「20代以下」は年代別内訳の20代と10代を合わせたもの。10歳未満のアクセスは全くない。

「△黒体放射」は1月、4月、5月がほぼ16、2月と3月が一桁です。
一方、「△光のドップラー効果」は5月が一番多くなっています。
一層人気が出てきたということなのでしょうかね。

この2つ以外は継続した記録は取っていないのですが、5月は次の記事が目についたように感じています。
「△ブラックホールの密度は?」 : 4月の訪問者数爆発の原因となった記事ですが、5月もしばらくは人気が続いたものの、今は落ち着きました。
「ロケットとミサイルの違い」 : 北朝鮮のミサイル?発射の直後にアクセス数が急増しています。
「△運動量ってエネルギーと違うの?」 : 継続的に人気のある記事としては、「△黒体放射」と「△光のドップラー効果」に次いでいますが、わざわざ記録をとろうと思うほどの数字ではありません(^^;

一方、年代は自己申告であり、正確に申告していない人も結構いるかもしれないのですが、ここでは正しいものとして分析しています。
20代以下の人数は、やはり1月が一番多くて25.5人、2月、3月と落ち込んで、4月と5月は20人を少し上回る程度です。


 6.さいごに

来月こそはよそのブログでご挨拶できるよう期待しています。
そちらでもご愛顧のほどよろしくお願いしますm(_ _)m

今回の「など」は改元と将棋です。

読売新聞2019年5月20日(月)
歌壇
 岡野弘彦 選
   われらいま令和元年一億の胸ひきしまる五月一日
                        (武蔵村山市) 阿部 長蔵
・選者評:画仙和紙の葉書に、謹直な字でこの賀歌が書かれている。私も宮中の御世替りの御儀に召されて後この選評を書いている。久しぶりに胸にひびく感動を老いの心に刻んで。


毎日新聞5月20日(月)は該当なし。


朝日新聞2019年5月19日(日)
俳壇
 長谷川櫂 選
   行く春や宇宙の果てに黒き穴  (箕面市) 櫻井 宗和
・選者評:鬱然たるブラックホール。人間の幽(かす)かさを思い起こすよすがとなる。
・ブラックホールの俳句としては二句目。鬱然(うつぜん)と言われても、困ってしまうのですが。

 高山れおな 選
   重ならぬやうに潤みて春の星  (東京都) 望月 清彦
・選者評:「重ならぬやうに」が巧い。


毎日新聞2019年5月13日(月)
歌壇
 伊藤一彦 選
   「銀行員急募」記事を見てAIが名乗り出る日も来るかもしれぬ
                        (高知市) 藤原 靖子
・AIで人間は失業するという見方もありますが。


読売新聞2019年5月13日(月)
俳壇
 宇多喜代子 選
   藤棚の下の将棋を覗き込む  (神戸市) 岸下 庄二
・縁台将棋という言葉も死語になったような時代ですが、藤井聡太君によるブームで復活か。

 小澤實 選
   月明に野積みの土管猫の恋  (東京都) 天地 わたる
・猫の鳴き声のやかましい春の月夜。

歌壇
 小池光 選
   犬つれて家をいづれば山のうへむかしながらの春の満月
                        (東大阪市) 山本 隆
・「むかしながら」というその「むかし」はいつのことでしょうか。犬のいなかった頃か。


朝日新聞5月12日(日)は該当なし。


★ 二週間分を合わせてもこれだけです。少ない時期なのかな。

・60年前の扇形オーロラと巨大磁気嵐の関連
アストロアーツ5月23日付記事、元は国立極地研究所です。
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10641_aurora

概要>1958年に日本各地で目撃されたオーロラのスケッチや連続写真などの分析から、扇形に広がったオーロラの実態や大規模な磁気嵐との関連性が明らかにされた。

>オーロラを描いたと思われる絵や図のなかには、大きく広がった扇形の描写が見られるものがある。1770年9月に京都から見えたオーロラを記録した絵図や、1872年3月に出現したオーロラを描いた絵画には、北の空に放射状にのびる白い光の筋が大きく広がった様子が表されている。

というわけで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。
2枚の絵図ですが、特に左の京都のものは恐竜の背びれ?にこんなのがあったような(^_^

>1770年9月のオーロラについては史上最大規模の磁気嵐に伴うものであることが研究で明らかになっており、こうした扇形オーロラは巨大磁気嵐の際に見られるものと考えることができるが、印象風景として実際よりも大げさに描かれた可能性も否定できない。また、実際に関連があるとしても、白い筋は通常のオーロラに見られる緑のものと同じ発光なのかどうかなど、他の謎も残されている。

今のように写真で撮っているのであれば実物通りですが、絵図なので大げさに描かれた可能性を否定できないわけです。

>巨大磁気嵐そのものが100年に1回程度しか起こらない珍しい現象であることから、扇形という形態に着目した研究はほとんど行われてこなかった。国立極地研究所の片岡龍峰さんたちは、巨大磁気嵐と扇形オーロラの関連を検証する手掛かりを求めて、他の出現例や記録を探した。

巨大磁気嵐が100年に1回程度の珍しい現象ならばそれだけ興味深いわけですが、データ不足では研究はできません。

>片岡さんたちは、1958年2月11日に発生した記録的な巨大磁気嵐に着目した。この際には日本各地でオーロラが観測されたことから、扇形オーロラの記録も残されているのではないかと考えて調査を進めたところ、北海道にある気象庁地磁気観測所の女満別出張所で職員が描いた手書きスケッチの中に扇形オーロラが見つかった。

その手書きスケッチについては、アストロアーツ掲載の2番目の画像をご覧ください。
なお、女満別は「めまんべつ」と読み、女満別空港で知られていますが、かつての女満別町は2006年3月に合併して今は大空町となっています。

>当夜、女満別では日本で初めて、オーロラの分光観測と連続全天写真観測も行われており、片岡さんたちはその連続写真も分析を行った。さらに新潟県の気象庁相川測候所から見たオーロラの手描きスケッチも加えた研究から、オーロラの色や動き、位置、時間帯を解明した。
・色:分光データによれば、扇形オーロラの白い筋に当たる部分は主に酸素原子の緑色発光、扇面に当たる背景は酸素原子の赤色発光である
・動き:連続写真の分析によると、扇形オーロラは磁気嵐が最も激しくなる時間帯、かつ発光強度が最も明るくなるタイミングで10分間ほど出現し、全体の形状を大きく変えずに西へ移動していく
・位置:新潟と女満別のスケッチで描かれたオーロラの仰角の違いをもとに判断すると、扇形オーロラは磁気緯度が約38度の磁力線に沿って高度約400kmまで伸びている
・時間帯:1770年、1872年、1958年のいずれも、扇形オーロラは真夜中より前に発生するという共通点がある

酸素原子の緑色発光は波長557.7nm、同赤色発光は波長630.0nmの輝線スペクトルです。
それも含め、オーロラについては次のサイトに丁寧な説明があります。
オーロラと低緯度オーロラの解説:
http://stdb2.stelab.nagoya-u.ac.jp/member/shiokawa/aurora_kaisetu.htm

目に見えるオーロラの分析によって、直接は目に見えない磁力線のことが分かるのですね。

>これらの観測事実はすべて、近年の磁気圏物理学で整合的に理解することができ、宇宙空間において真夜中前の激しいプラズマの流れが作る不安定構造の発達が可視化された結果だと解釈できる。扇形オーロラは大規模な磁気嵐における基本的な特徴と考えられることが、古典籍や絵画、60年前のマイクロフィルムなどから解き明かされた。

60年前のマイクロフィルムですか。
その頃は、「将来はすべてマイクロフィルムに収められるので、紙の本はなくなる」という予測がありました。
半分当たって半分外れ、くらいでしょうかね。

>今回の研究は、過去の限られたデータを探し出して見直すことで、まれにしか起こらない巨大磁気嵐中の磁気圏や電離圏で発生するプラズマ現象の安定性や複雑さを理解するための重要なヒントを得たという、興味深い成果である。また、古い記録を保存しておくことの意義も強く示すものでもある。巨大磁気嵐は電力網や通信など現代インフラへの障害を引き起こすものであり、今回の研究はこうした現象等の正確な予測に貢献することも期待される。

藤原定家の明月記が超新星爆発を記録していた例もありますしね。
地球科学にとっても天文学にとっても古い記録は大事です。


★ 梅雨入り前から真夏の暑さというのは、本当に参ります。冷房の効いた部屋に閉じ籠もってばかりでは運動不足になるので、スポーツクラブに通うくらいはしようと思っているのですが。

・高解像度で解剖、遠方宇宙で成長中の銀河
アストロアーツ5月22日付記事、元はすばるです。
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10639_uss1558

概要>すばる望遠鏡による観測で、110億年前の宇宙に存在する成長中の銀河の内部が高解像度でとらえられ、銀河の星形成領域が星の分布よりも外側まで広がっていることが明らかになった。

>東北大学の鈴木智子さんたちの研究チームが、約110億年前の宇宙に存在する、へび座の方向の原始銀河団USS 1558-003をすばる望遠鏡で観測し、銀河の内部の様子を明らかにする研究を行った。

「東北大学の鈴木智子さん」は東北大学天文学教室の研究員の一人で、次のメンバー表の下から6番目です(笑顔の写真付き)。
https://www.astr.tohoku.ac.jp/member/index.html
ご専門は「銀河形成・進化の光赤外線(と電波)による観測的研究」。
「光赤外線」の光とは可視光のことですね。
より詳しくは、ホームページ(英文)によると、赤方偏移z=2〜4(特にz=3〜4)の銀河形成・進化をすばる望遠鏡などの観測データを使って研究しているとのこと。
https://sites.google.com/view/tlsuzuki

百聞は一見にしかずというわけで、ここでアストロアーツ掲載の一番上の画像「原始銀河団USS 1558-003の全体像」をご覧ください。
個々の銀河の拡大図は高解像度です。

>観測では地球大気の影響による像のボケを補正する補償光学装置と、一部の波長のみを透過する狭帯域フィルターとを組み合わせた新しい手法が用いられ、すばる望遠鏡の大口径と合わせることによって高解像度を達成することに成功した。遠方宇宙に存在する銀河内部の星の分布だけではなく、星形成領域の分布も0.2秒角(視力300相当)という解像度でとらえられている。

遠方銀河の「星の分布」と「星形成領域の分布」を同時に捉えたという点が成果なのですね。

ここで、アストロアーツ掲載の真ん中の画像をご覧ください。
補償光学装置と狭帯域フィルターとを組み合わせるとどのくらい解像度が上がるか、よく分かる対比となっています。

>今回の観測では一度に11個の星形成銀河について、星と星形成領域の分布が明らかになった。このうち、星質量の大きい星形成銀河では、星形成領域が星の分布に対してより広がっていることがわかった。この結果は、外側に新しい星を作ることによって銀河の構造(星の分布)は内側から外側へと広がっていき、銀河のサイズが大きくなっていくということを示唆している。

星の分布よりもこれから星ができる領域の方がより広いというのは、星が外側に向かってどんどん増えていくことを意味するわけです。

>この傾向は、銀河同士の相互作用や銀河外縁部のガスの剥ぎ取りといった周辺環境からの影響を受けない、孤立した同時代の銀河にも見られる。つまり、約110億年前の宇宙では、銀河が高密度で存在する原始銀河団領域であっても、大質量の星形成銀河は周囲から何らかの影響を受けて進化しているというよりは、むしろ自身の星形成によって主にその構造を成長させていることを示唆するものである。

星どうしの距離は、同時に形成された連星以外は、互いに遠く離れていて相互作用しませんが、銀河どうしの距離は銀河の大きさに比べてかなり近くて、いったん形成された銀河どうしが相互作用する例はいくらでもあります。
今回の研究は、「約110億年前の宇宙では、銀河が高密度で存在する原始銀河団領域であっても、大質量の星形成銀河は周囲から何らかの影響を受けて進化しているというよりは、むしろ自身の星形成によって主にその構造を成長させていることを示唆」しているということです。

それを示しているのが、アストロアーツ掲載の一番下のグラフです。
「太陽の100〜1000億倍の質量を持つ星形成銀河内部における星質量密度(破線)と星形成率密度(実線)の平均的な半径方向の分布」です。
銀河中心からの距離が10kpcあたりだと、星の分布密度は低いが、星形成率はかなり高いことが分かります。
なお、1kpc(キロパーセク)=約3 260光年、10kpcだと約3万3千光年なので、わが銀河系だと太陽あたりになりますかね。

>「銀河内部の星形成領域の分布は、銀河に働く物理過程を理解する上で鍵となる情報です。より詳細な研究のためには、銀河の平均的な構造を調べるだけではなく、個々の銀河について星形成領域の構造を調べる必要があります。次世代広視野近赤外線装置『ULTIMATE-Subaru』が完成すれば、様々な環境に属するより多くの銀河について個々の構造成長の様子を詳細にとらえることが可能になるでしょう」(鈴木さん)。

次世代広視野近赤外線装置の名称は「究極のすばる」ですか。
かっこいいですね。
宇宙初期の銀河形成・進化のさらなる解明が進展することを期待します。

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