宇宙とブラックホールのQ&A

Q&A、書評、天文を中心とした科学ニュース、俳句・短歌などを掲載しています

天文・物理・化学一般

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他の書庫にどうしても入らない雑多なQ&Aと文章です。
潮汐力、角運動量、恒星の分類、原発事故関連などを扱っています。
以前は、科学ニュースをこちらに入れていましたが、それらは書庫を新設して移しました。
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マンダラの天文神

目次
 0.はじめに
 1.密教と曼荼羅
 2.胎蔵曼荼羅最外院の天文神
 3.七曜・九曜
 4.二十八宿と十二宮
 5.十二天の日天・月天


 0.はじめに
10連休なので、東京上野の東京国立博物館でやっている特別展「国宝 東寺−空海と仏像曼荼羅」を見に行き、カタログの他にマンダラに関する本を2冊買いました。
・縮刷版 曼荼羅図典(大法輪閣)
・カラー版 図解・曼荼羅の見方(大法輪閣)
マンダラには天文神という尊格が登場するので、カタログを含む3冊の書籍を基にして天文神の紹介をしたいと思います。
図画を言葉で解説しようとするかなり無理な試みではありますが、このブログではよくあることです(^^;


 1.密教と曼荼羅
密教とは秘密仏教の略であり、インドで7世紀初め以降に体系化された後期大乗仏教を意味します。
中国に伝えられた密教は、空海(774〜835)によって日本にもたらされ、真言宗として広められました。
密教の教えはとても深い(甚深じんじん)ため、経や論という言語による表現の解釈だけでは表面的な理解に留まってしまいます。
このため、多数の仏たちを視覚的に図示して密教の教えを「いろと形」で表現したマンダラと呼ばれる図画が不可欠とされます。

マンダラ(mandala)はもともとはサンスクリット語で、サンスクリット語のアルファベット表記としてはnとdの下に点を打ちます。
曼荼羅などと漢語に音写されています。
元来は「円形の」という意味の形容詞で、名詞にも使われて「円盤、環、車輪;群、集団、全体;地域、領域」などの意味をもちます。
以後は、漢字の曼荼羅を使うことにします。

空海は、中国・唐から多数の経典などとともに、曼荼羅も招来しました。
空海の招来した曼荼羅を現図(げんず)曼荼羅といいますが、それには胎蔵(たいぞう)曼荼羅と金剛界(こんごうかい)曼荼羅の2種類あり、合わせて両部曼荼羅あるいは両界曼荼羅といいます。
真言宗では、『大日経(だいにちきょう)』(詳しくは『大毘盧遮那成仏神変加持経(だいびるしゃなじょうぶつじんぺんかじきょう)』)と『金剛頂経(こんごうちょうきょう)』(18種の経典の総称)を根本経典と位置付けます。
簡単にいうと、大日経を図画化したものが胎蔵曼荼羅、金剛頂経を図画化したものが金剛界曼荼羅です。
どちらも最中心には大日如来が座しています。
大日如来は、密教で宇宙一切を司るとされる宗教的人格です。
サンスクリット語では「マハー・ヴァイローチャナ・タターガタ」といい、マハーは大、ヴァイローチャナは光、タターガタは仏・如来を意味します。
大毘盧遮那如来(だいびるしゃなにょらい)あるいは大毘盧遮那仏という別訳は、ヴァイローチャナを音写したものです。

曼荼羅は図画なので、見てもらわないことには始まらないのですが、胎蔵曼荼羅にしろ金剛界曼荼羅にしろ、全体は正方形でその中に多数の仏たちがびっしりと描き込まれています。
このため、本の1ページあるいはパソコンの画面に全体を表示すると、仏たちの一々は小さくなりすぎてはっきり見て取れとれず、拡大図が必要です。

胎蔵曼荼羅は、中央の中台八葉院(ちゅうだいはちよういん)と呼ばれる部分を仏たちが幾重にも取り囲んでいる構図となっています。
一方、金剛界曼荼羅は、会(え)と呼ばれる9つの正方形部分から構成されているため、九会曼荼羅(くえまんだら)とも呼ばれます。


 2.胎蔵曼荼羅最外院の天文神
これまで曼荼羅に描かれている尊格を仏たちと一括して呼んできましたが、細かくみると次のような区別があります。
如来(にょらい) : 悟りを開いた後の姿。質素な身なりであり、互いによく似ている。男女の別なし。狭義の仏。
菩薩(ぼさつ) : 如来になるため修行中の姿。装身具を身に付けている。男女の別あり。
明王(みょうおう) : 仏法の敵(欲望の化身など)と戦うため、恐ろしい憤怒の姿をとった仏。
天(てん) : もともとヒンドゥー教の神格だったが、仏法に帰依(きえ)して仏法の守護者となったもの。男女の別あり。
如来や菩薩には頭を中心とする後光である頭光(ずこう)と体を中心とする後光である身光(しんこう)の両方がありますが、天には頭光しかありません。

この記事で紹介する天文神も、天の一部です。
多数の天文神が描かれているのは胎蔵曼荼羅であるため、本稿では胎蔵曼荼羅の天文神をご紹介します。

胎蔵曼荼羅の一番外側を取り囲んでいる4辺を最外院(さいげいん)あるいは外金剛部院(げこんごうぶいん)といいます。
最外院に描かれている尊格は200強で、より内側に描かれている尊格が200弱であるのと比べ数が多いのですが、その分大きさの小さいものも多くなっています。
曼荼羅の4辺は東西南北に対応していて、上辺−東、右辺−南、下辺−西、左辺−北となっています。
4辺とも真ん中にある門によって2分されます。

天文神とは、七曜(しちよう)・九曜(くよう)・二十八宿(しゅく)・十二宮(くう)などをいいます。
主に、密教の経典の一つである宿曜経(しゅくようぎょう、すくようぎょう)に基づいているようです。
(宿曜経は日本に入って、宿曜道(すくようどう)の基となりました。)
七曜とは、日曜、月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、土曜ですが、現代的な一週間の曜日の意味ではなく、太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星という各天体のことです。
九曜とは、七曜に羅睺(らご)星、計都(けいと)星を加えたものです。
二十八宿とは、天空における月の通り道にある星たちを28分割したもので、月が星を宿として天空を進むと考えた詩的な名称です。
中国で使われていたのは知っていましたが、もともとインド起源だったのですね。
十二宮は、太陽の1年間の運行を12分して12の星座に相応させたもので、古代ギリシアから現代にいたるまで占星術で使われている黄道十二宮と同じですが、名称はやや異なります。


 3.七曜・九曜
七曜・九曜などの方角は次の通りです。
東方(上辺右側) ・・・ 日曜、計都(彗星)、流星
南方(右辺上側) ・・・ 火曜、木曜、羅睺星
西方(下辺右側) ・・・ 月曜、水曜、土曜
北方(左辺上側) ・・・ 金曜

日曜 : 赤肉色で、右手に日輪をもち、左手は腰に伏せ、天衣を着け、三頭の白馬に乗る、というより座っています。日曜の右側には、日曜眷属がいます。
月曜 : 肉色で、右手を挙げ、ウサギを乗せた半月をかかげる、左手は拳にして胸に当てて、円座に座っています。
火曜 : 肉色で、秘儀手は股に当て、左手は戟(げき)を執(と)って構え、円座に座っています。
水曜 : 肉色で、合掌し、星月のある冠をかぶり、円座に座っています。
木曜 : 白肉色で、右掌を上にして中指と薬指を親指と合わせ、左手は拳にして腰に置き、円座に座っています。
金曜 : 肉色で、天衣を着け、右手は胸に当て、左掌を上に向け四指を曲げて、円座に座っています。
土曜 : 肉色の老仙人で、上半身は裸体、豹皮の裙(くん、スカートのようなもの)を着て、右手に仙杖をもち、歩く姿。土曜を含め、立ち姿の天には頭光はありません。

天衣(てんね)というのは、肩掛け(ストール)です。
七曜の中で土曜だけが違う姿ですが、惑星の中で公転周期が一番長いので、ゆっくり歩く老仙人の姿をとっているのでしょう。

羅睺星はサンスクリット語ではラーフといい、日食、月食を引き起こすと考えられた架空の天体です。
曼荼羅では頭だけで表現されます。
白肉色で、忿怒の顔、頭髪は逆立ち、両手を耳に当てています。
ヒンドゥー教神話によると、神とアスラの戦いで不死の霊薬アムリタが神の手に入る前にラーフが一口なめてしまい、日・月がそれに気づき報告を受けたヴィシュヌ神がその首をはねたが、口の中にあった霊薬の力により頭だけが生き残り、告げ口をした日・月を恨んで日・月食を起こすといいます。

一方、計都星の方は、異なる解釈があります。
一つは、インド天文学で、黄道(太陽の通り道)と白道(月の通り道)の交点のうち、昇交点を羅睺、降交点を計都としたというものです。
九曜というまとめ方は、計都と羅睺が同種だとすれば、納得いきます。
もう一つは、彗星つまりほうき星だとするものです。
曼荼羅に描かれている姿は、肉色で、雲の間から半身を現し、右手を胸にあて、左手をかかげています。
人魚の下半身を魚ではなく雲にしたようにも見えます。
明らかに彗星という解釈で描かれていますね。
曼荼羅では彗星のすぐ右側には、流星が描かれています。
こちらも肉色で、頭上で合掌し、素早く飛ぶ童子形です。
曼荼羅を見る限り、彗星と流星は同種のものとして一緒に描かれています。
(もちろん、現代天文学からすると両者に共通点がないことは中学生でも知っていますが。)
ただ、計都が彗星だとすると、彗星を九曜に入れながら、流星を外す理由が分かりません。


 4.二十八宿と十二宮
二十八宿は次の通りです。
東方(上辺右側)・・・
 昴(ぼう)宿、畢(ひつ)宿、觜(し)宿、参(しん)宿、井(せい)宿、鬼(き)宿、柳(りゅう)宿
南方(右辺上側)・・・
 星(せい)宿、張(ちょう)宿、翼(よく)宿、軫(しん)宿、角(かく)宿、亢(こう)宿、氐(てい)宿
西方(下辺右側)・・・
 房(ぼう)宿、心(しん)宿、尾(び)宿、箕(き)宿、斗(と)宿、牛(ご)宿、女(じょ)宿
北方(左辺上方)・・・
 虚(きょ)宿、危宿、室宿、壁宿、奎(けい)宿、婁(ろう)宿、胃宿

二十八宿は数が多いのですが、頭の向きや手の形、持っているものは異なるものの、いずれも頭光があり円座に座っているので、個々の紹介は省略します。
二十八宿が現代のどの星座に対応するのか、この機会に合わせて紹介しようかとも思ったのですが、面倒なので、これまた省きます。
なお、wikiに載っている日本で使われていた二十八宿の分類と比べると、方位が必ずしも一致しません。

十二宮は次の通りです。
参考までに、右側に対応する西洋占星術由来の名称と星座名を載せます。
東方(上辺右側):
 牛密(ごみつ)宮 ・・・ 金牛宮 ・・・ おうし座
 白羊(はくよう)宮 ・・・ 白羊宮 ・・・ おひつじ座
 夫婦宮 ・・・ 双児宮
南方(右辺上側):
 賢瓶(けんびょう)宮 ・・・ 宝瓶(ほうへい)宮 ・・・ みずがめ座
 双魚(そうぎょ)宮 ・・・ 双魚宮 ・・・ うお座
 摩竭(まかつ)宮 ・・・ 磨羯(まかつ)宮 ・・・ やぎ座
西方(下辺右側):
 秤(ひょう)宮  ・・・ 天秤(てんびん)宮 ・・・ てんびん座
 蝎虫(かっちゅう)宮 ・・・ 天蝎(てんかつ)宮 ・・・ さそり座
 弓(きゅう)宮  ・・・ 人馬宮 ・・・ いて座
北方(左辺上方):
 師子(しし)宮 ・・・ 獅子宮 ・・・ しし座
 少女宮 ・・・ 処女宮 ・・・ おとめ座
 蟹(かい)宮  ・・・ 巨蟹(きょかい)宮 ・・・ かに座

訳語としては、二文字で揃えている方が統一感を感じますね。
曼荼羅と西洋占星術で、まったく同じ漢字と読みは双魚宮と白羊宮の2つだけです。
もっとも、同じ「宮」でも左側では「くう」、右側では「きゅう」と読みます。
牛密宮は赤黄色の牛、白羊宮は白色の羊がそれぞれ足を曲げてすわった姿、蝎虫宮はサソリの姿、師子宮は金色のライオンが跳躍する姿、蟹宮はカニの姿、賢瓶宮は宝瓶に蓮華のささった姿です。
人間以外の場合は、頭光がありません。
摩竭宮は海の怪物で、口を張り尾をあげた大魚として描かれ、シャチかサメらしいということですが、星図に描かれるやぎ座はギリシア神話に基づき上半身が山羊、下半身が魚の姿です。
秤宮は肉色、裸体の老仙人で、左手は胸に当て、右手の秤を目の高さに挙げて、歩行する姿です。
弓宮は肉色で、右手に矢をもち、左手で弓を抱えもち、歩く天人の姿です。
二本足なので、人馬宮のケンタウロスとは異なりますが、ケンタウロスの姿のものも伝わっているとのことです。
夫婦宮と双児宮も、全然違いますね。
夫婦宮は、男女二人が別々に円座に座っている姿が描かれています。
秤宮と弓宮は立っているので頭光がありませんが、夫婦宮の二人にはいずれも頭光があります。

同じ辺にいる天文神たちが並ぶ順序も紹介しようかと思ったのですが、面倒なのでやめておきます。
お知りになりたい方がもしいれば、リクエストしてください。


 5.十二天の日天・月天
以上で紹介した天文神たちとは少し異なるのですが、日天と月天も紹介しておきます。
天文神と同じく最外院に属す尊格として十二天という神々がいます。
十二天とは八方天に四天を加えたもので、それぞれの方角に配され仏法を守護します。
(八方天)
 北東 − 伊舎那(いしゃな)天
 東方 − 帝釈(たいしゃく)天
 東南 − 火(か)天
 南方 − 焔摩(えんま)天
 南西 − 羅刹(らせつ)天
 西方 − 水(すい)天
 西北 − 風(ふう)天
 北方 − 毘沙門(びしゃもん)天
(四天)
 上方 − 梵(ぼん)天
 下方 − 地(ち)天
 天空東 − 日天(にってん)
 天空西 − 月天(がってん)
ただ、四天は現図曼荼羅に立体的に描くことはできないので、地天・日天は東方(上辺左側)、梵天は東方(上辺右側)、月天は西方(下辺左側)に配されています。
帝釈天のように人気のある神は数個所に描かれています。
焔摩天は、もともとヤマというインドの神で、中国に入って閻魔(えんま)大王となりました。
焔摩も閻魔も、ヤマの音写です。

日天は赤肉色で、天衣を着て、左右の手に蓮華をもち、五頭の馬がひく車に乗っています。
太陽を神格化した尊格です。
日天の両側には、左に惹耶(じゃや)、右に微惹耶(びじゃや)という姉妹の妃がいます。
両者は太陽の徳を神格化したものとされます。
月天は白肉色で、右手を腰に当て杖をもちますが、その先に半月があります。左手は胸に当てています。三羽のガチョウに乗っています。
月の光は暑さを忘れさせる清涼の輝きをもっていて、煩悩の熱を冷ます如来の慈光にたとえられます。
月天の左にも月天妃がいて、月天の徳を受けもちます。(こちらの妃は一人だけ)

日天と日曜、月天と月曜の関係は、水天と水曜、火天と火曜の関係と同じだと書いてあるのですが、今のところ私にはよく理解できていません。
日天も日曜も数頭の馬に乗っていますが、日天の方が馬の数が多いです。
日天には妃が二人いますが、日曜にも眷属が一人います。
どうやら日曜より日天の方が偉そうに見えます。
また、月曜には眷属がいないのに、月天には妃がいるので、こちらも月曜より月天の方が偉そうです。
なお、日天、月天は男性ですが、日曜、月曜は性別なしなのだと思います。

最外院より内側には地蔵院に日光菩薩、文殊院に月光(がっこう)菩薩もいますが、薬師如来の脇侍として有名なので、説明は省略します。

Q 私たちの太陽系は銀河系に属しているということですが、銀河系などの銀河とは一体どのようなものなのでしょうか?



 1 銀河とは : 渦巻銀河と楕円銀河
宇宙には無数の星々(恒星)がありますが、星々はバラバラに分布しているのではなく、数千億個の星たちが重力でまとまって存在しています。
そうした星々のまとまりを銀河といいます。

たとえば、私たちの太陽系は、銀河系(the Galaxy、別名天の川銀河Milky Way Galaxy)に属しています。
また、アンドロメダ座にはアンドロメダ銀河(M31)がボヤッとした姿で見えますが、高性能の望遠鏡で観測すると、無数の星々が巨大な渦巻を形づくっていることがわかります。
私たちは銀河系の内部にいるので、銀河系を外から見ることはできませんが、アンドロメダ銀河と同様の渦巻を形づくっているものと考えられます。
こうした銀河を渦巻銀河または渦状銀河(spiral galaxy)といいます。
渦巻銀河は円盤形の形状をしています。

渦巻銀河の中には、中心部に棒状の構造をもつものが一定割合であります。
それらを棒渦巻銀河(barred spiral galaxy)といいます。
近年の研究では、私たちの銀河系も棒渦巻銀河とされます。
それに対し、アンドロメダ銀河や同様に肉眼で見える数少ない銀河の一つであるさんかく座銀河(M33)は、棒のない渦巻銀河です。

一方、宇宙には銀河系と同じくらいの大きさでも別の形の銀河もあります。
それらは楕円銀河(elliptical galaxy)といって、渦巻銀河のように平べったくなくて、楕円形に見えます。
銀河系の近くには楕円銀河は存在しませんが、おとめ座銀河団の中心にあるM87は楕円銀河の例です。

 2 渦巻銀河と楕円銀河の比較
それでは、渦巻銀河と楕円銀河を比較してみましょう。
同じくらいの大きさ(長径)の渦巻銀河と楕円銀河を比較すると、楕円銀河の方がずっと質量が大きいことが分かります。
これは、渦巻銀河は薄く平べったいのに対して、楕円銀河はどの方向にも太っていて星が密集しているためです。

渦巻銀河と楕円銀河はその形以外にも違いがあります。
銀河には、星だけでなくガス(星間物質)も含まれています。
渦巻銀河にはガスが存在しているのに対し、楕円銀河にはほとんどガスがありません。
星はガスの一種である水素分子雲から誕生するので、渦巻銀河では現在でも星形成が行われていますが、楕円銀河ではとうの昔に星形成が終わっているのです。

色の比較では、渦巻銀河は青っぽく、楕円銀河は赤っぽいことが挙げられます。
これは、銀河を構成する星々の色の違いを反映しています。
渦巻銀河は最近生まれた若い星を含んでいるので、短命で光の強い青い星が目立ち、楕円銀河は年老いた星ばかりなので、長命な赤い星しかないのです。

銀河を構成する星々は運動しています。
渦巻銀河では、銀河面の中心を垂直に貫く軸を中心に、銀河の星々全体とガスが回転しています。
渦巻銀河は全体として角運動量をもっているのです。
これに対し、楕円銀河では構成する星々がテンデンバラバラに運動しており、1つの軸を中心に回転しているわけではありません。

銀河団を構成する銀河は、中心に近いほど楕円銀河の割合が多くなります。
銀河団の中心には1つの巨大楕円銀河が存在している場合が多く、それをcD銀河といいます。
一方、銀河密度の低い領域にある銀河は、渦巻銀河の割合が多くなります。

 3 銀河の体系的分類
銀河について最初に体系的に研究したのは、アメリカの天文学者ハッブル(Edwin Hubble, 1989〜1953)です。
彼は、銀河を分類して次のように並べました。
                  渦巻銀河
  楕円銀河         ┌─ Sa ─ Sb ─ Sc ∖
  E0 ─ E3 ─ E7 ─ S0 ┤                 Ir 不規則銀河
                 └─ SBa ─ SBb ─ SBc /
                  棒渦巻銀河
楕円銀河ではEの後ろの数字が小さいほど球形に近く、多いほど細長くなっています。
(E1、E2など途中を省略しています。)
渦巻銀河と棒渦巻銀河では、aが付いているものが一番巻きがきつく、cが一番巻きが緩くなっています。
この図は途中から二股に分かれていて、音叉(おんさ)に似ているので、「ハッブルの音叉図」(Tuning-fork style diagram of the Hubble sequence)と呼ばれています。
その後、何人もの天文学者が銀河の分類を行いましたが、どれも本質的には音叉図の拡大・修正となっています。
また、この図のS0は渦巻銀河と同様に円盤状でありながら渦構造の見られない中間的な銀河で、レンズ状銀河(lenticular galaxy)とも呼ばれます。
ハッブルが音叉図を考案した当時は見つかっていなかったのですが、その後実際に発見され、ハッブルの慧眼が証明されました。

 4 その他 : 暗黒物質、矮小銀河、銀河間相互作用
a.銀河を構成しているのは、星やガスのような普通の物質(天文学ではバリオンbaryonという)だけでなく、暗黒物質ダークマター, dark matter)と呼ばれる物質も含まれています。
暗黒物質はバリオンの数倍も存在するとされますが、重力以外ではほとんど反応しないため、その正体はいまだ不明です。
詳しくは、次のQ&Aをご覧ください。
ニュートラリーノって何のこと?:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/25497190.html

b.銀河には銀河系よりも質量が二桁も小さいものも多数存在します。
それらは矮小銀河(dwarf galaxy)と呼ばれ、渦巻銀河や楕円銀河とはまた別の細かい分類があるのですが、ここでは省略します。

c.恒星どうしの距離は,連星系を除けば恒星自身の大きさよりもずっと離れており、相互に影響を及ぼすことはほとんどありません。
しかし、銀河どうしの距離は、銀河の大きさと比べてかなり近いため、銀河どうしの相互作用は宇宙では珍しくありません。
相互作用中の銀河は、単独で存在する渦巻銀河や楕円銀河とは異なる奇妙な形をしています。
同じくらいの大きさの渦巻銀河どうしが接近衝突すると、どちらの渦巻構造も破壊され、最終的には楕円銀河に落ち着くものと考えられています。


★ Q&Aの続編として渦巻銀河の内部構造について書きたいと思っていますが、例によっていつになるかは分かりません。

Q 天文学では、水素の21cm線というのが出てきますが、これは何なのでしょうか?
また、超微細構造遷移放射という難しそうな言葉も見かけるのですが、同じ意味なのでしょうか?


A 宇宙空間の水素といっても、水素分子H2、中性水素原子HI、電離水素HII(陽子と電子からなるプラズマ)という3種類があります。
このうち、中性水素原子HIは、陽子1個だけからなる原子核の周りを電子1個が回っています。
原子や分子はミクロの存在なので、量子論により決まったエネルギー準位しかとれません。
あるエネルギー準位から別のエネルギー準位に移ることを遷移(せんい)といいます。
原子や分子などは、高いエネルギー準位からより低いエネルギー準位に遷移するときに、その差に相当するエネルギーをもつ電磁波を放射し、これはスペクトル中の輝線として観測されます。
△輝線や吸収線て何のこと?:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/68305377.html
水素原子のエネルギー準位は基本的には1個しかない電子がどの軌道にいるかで決まり、遷移により紫外線、可視光、赤外線領域の電磁波を放射します。
しかし、低温の場合にはほとんどの水素原子はエネルギー準位が最低の基底状態にあるため、より低いエネルギー準位に遷移して電磁波を放射することはありません。

ところが、一つだけ例外があります。
量子論によれば、素粒子(電子など)や複合粒子(陽子など)はスピンという量をもちます。
スピンはマクロでいう自転に相当するのですが、量子論的な量なので、決まった値しかとれず、この場合は素粒子論で使われる単位で整数か半奇数(1/2が付く値)となります。
水素原子を構成する陽子と電子は、どちらもフェルミ粒子といって、スピン1/2をもちます。
水素原子内では、電子のスピンは陽子のスピンの向きと同じ(↑↑平行)か正反対(↑↓反平行)のいずれかです。
そして、水素原子のエネルギー準位は、平行の方が反平行よりわずかに高いのです。
このため、スピンが平行状態の水素原子は極めてまれに反平行状態に遷移し、その際に電磁波を放射します。
この電磁波は、周波数が約1 420MHz、波長が約21.106cmで、電波の領域にあります。
遷移までにかかる平均的な時間は約1000万年ですが、宇宙空間には水素原子が極めて多数存在するため、電波望遠鏡でこの21cm線を観測することにより、水素原子の多い領域を知ることができるのです。

水素原子の基底状態のエネルギー準位が、スピン平行状態と反平行状態に分かれていることを超微細構造といい、その間の遷移による21cm線の放射を正式には超微細構造遷移放射といいます。

Q 中性子星とはどんなものなのでしょうか?


A 0.中性子星とは?
中性子星(neutron star)とは、文字通り中性子からできている天体のことです。

中性子(neutron)とは陽子とともに水素以外の元素の原子核を構成する複合粒子で、3個のクォーク(これは素粒子)からできており、電荷は中性で、これが名称の由来です。
中性子は単独で存在する場合は不安定で、平均寿命約15分で陽子、電子、反電子ニュートリノに崩壊します(ベータ崩壊)。
しかし、原子核内に存在する場合や中性子星内部に存在する場合には、安定的です。

中性子星は極めて高密度で、強い磁場をもち、高速で自転しています。
中性子星が実際に発見されるのは、ほとんどが、電波を短い間隔で周期的に放射するパルサーとしてです。
中性子星を支えているのは、高密度下の中性子どうしの反発力(斥力ともいう)です。
(以前は中性子の縮退圧で支えられているとされていましたが、現在ではこの核力の方が主(ずっと強い)と考えられています。)
以下でみるように、中性子星はいろいろな面で極限的な状況にあって、ブラックホールとは別の意味で非常に興味深い天体です。


 1.誕生
約10太陽質量以上の大質量星は、中心部の核融合が終了した後に重力崩壊型の超新星爆発を起こしますが、中性子星はその跡に誕生する天体です。

大質量星の中心部では、水素からヘリウムへ、ヘリウムから炭素・酸素へ、そして酸素・ネオン・マグネシウムへ、さらにケイ素から鉄へと核融合が順次進んでいきます。
しかし、核融合が鉄まで進むとそれ以上は進まず、中心部は電子の縮退圧によって支えられながら重力によって収縮していき、密度、温度、圧力が高まっていくだけになります。
大質量星の中心部の温度が約100億Kにまで達すると、鉄原子核がガンマ線光子を吸収して一挙にヘリウムにまで分解し、さらに水素に分解します。
これにより、中心部の圧力が急激に低下し、外側の物質が中心に向かって落下する重力崩壊が始まります。
重力崩壊により中心部の密度が原子核密度(1立方cm当たり約3億t)を上回ると、核子(陽子と中性子)どうしの反発力により、崩壊は停止します。
これほどの高密度では陽子は電子を吸収して中性子となり、また鉄の分解過程でも多数の中性子が生じて、中性子を主成分とする高密度天体が誕生します。
これを原始中性子星といいます。
原始中性子星の表面に外側からさらに落下してくる物質がぶつかって衝撃波が発生しますが、外に向かう衝撃波と物質の落下が途中でつり合って、あまり動かない定在衝撃波となります。
重力崩壊により解放された位置エネルギーは原始中性子星の熱エネルギー(内部エネルギー)となり、その温度は1000億K程度にまで達します。
しかし、そのほとんどは10秒程度でニュートリノ放射により持ち去られ、原始中性子星は中性子星に落ち着きます。
ニュートリノ放射のごく一部は衝撃波の再加熱に使われ、復活した衝撃波が元の星の表面にまで達すると、超新星爆発となります。(ただ、この過程の詳細は未解明です。)
ニュートリノ放射が持ち去るエネルギーは1053ergのオーダー、このタイプの超新星爆発で観測される典型的な爆発(運動)エネルギーは約1051ergです。
爆発時の星の質量が十分大きい場合には、原始中性子星がさらに重力崩壊し、中性子星ではなくブラックホールになります。


 2.大きさ、質量と密度
中性子星の半径は10km程度です。
ちなみに、太陽の半径が70万km、白色矮星が約1万km、地球が6400km、月が1700kmなので、いかに小さいかよく分かりますね。

中性子星の質量は1〜2太陽質量程度と考えられており、連星中性子星では1.3〜1.4太陽質量程度のものが多く観測されています。
これに対し、白色矮星の典型的質量は0.6〜0.7太陽質量程度です。
中性子星の最大質量は2〜2.5太陽質量程度で、それを超えると重力崩壊してブラックホールになります。
しかし、中性子星の状態方程式(密度と圧力の関係を示す式)が分かっていないため、質量の精確な上限はまだ求められていません。

大きさと質量が分かれば、密度を計算できます。
  密度 = 質量/体積
中性子星の密度は、太陽密度の100兆倍以上です。
これは、角砂糖1個の大きさで(1立方cm当たり)1億t以上です。
ちなみに、白色矮星の密度は、太陽密度の30万倍程度と考えられています。


 3.構造
中性子星の主成分はもちろん中性子ですが、全体がすべて中性子というわけではありません。
表面近くは密度が低いため鉄あるいはより重い原子核から構成されていますが、それらの原子核は通常よりも中性子が過剰となっています。
少し深くなると、中性子過剰核から中性子が漏れ出します。
表面から1kmくらいの深さから下では、密度が高すぎて原子核が分離したままでは存在できず、大部分が超流動状態の中性子となります。
この領域を核といいます。
核には電子や超伝導状態の陽子も数%存在します。
さらに中心部では、ハイペロン(ストレンジクォークを含む重粒子)やボース凝縮した中間子なども存在すると予想されていますが、はっきり分かってはいません(状態方程式の解明と連動)。
.厚み  名称    成分                            密度          .
0.3km 外殻 中性子過剰原子核、電子                1t/cm3〜43万t/cm3
0.6km 内殻 中性子過剰原子核、超流動中性子、電子      43万t/cm3〜2億t/cm3
9.7km┌外核 超流動中性子、超伝導陽子、電子         ┐ 2億t/cm3
    └内核 中性子、陽子、電子、ハイペロン?、凝縮中間子?┘ 〜13億t/cm3
(注) 厚みと密度の数値は、特定の状態方程式を仮定して計算したもので、参考程度に考えるのがよいと想います。

構造の英語名は次の通りです。
 外殻(outer crust)、内殻(inner crust)、外核(outer core) 、内核(inner core)


 4.自転、磁場、年齢など
中性子星は高速で自転しており、典型的な自転周期は1秒程度で、0.1秒〜数秒の範囲に収まるものが大部分です。
一般に、天体が最も高速で自転しているときの周期、つまり理論的な最小自転周期は、天体表面の重力と遠心力が等しくなる場合で、それより速く自転すると遠心力で天体自体が壊れてしまいます。
中性子星の理論的な最小自転周期は約0.5ミリ秒とされ、表面での回転速度は光速度の約40%にもなります。
ちなみに、白色矮星の理論的な最小自転周期は1秒程度、太陽規模の恒星では3時間程度です。(実際の太陽の自転周期は約26日)
誕生直後の中性子星は、周期10ミリ秒程度と考えられています。
電磁波放射やパルサー風により自転エネルギーが徐々に失われていくため、自転は少しずつ遅くなっていきますが、その程度は1秒につき1000兆分の1秒程度です。

また、中性子星は強力な磁場をもっています。
その典型的な磁場は1兆ガウス程度で、多くは1000億〜10兆ガウスの範囲に収まりますが、その理由は分かっていません。
ちなみに、太陽の磁場は黒点近くで1000ガウス、それ以外では10ガウス以下であり、また地球の平均的な磁場は0.5ガウス程度なので、磁場についても極限的状況といえます。

自転周期1秒程度、磁場1兆ガウス程度の典型的な中性子星の年齢は、誕生後数百万年と推定されます。
中性子星の自転周期は徐々に長くなっていきますが、周期がある程度以上になると、放射強度は急激に下がり、最終的に観測できなくなると考えられます。
これを中性子星の寿命と考えれば、それは数億年程度と推定されます。

なお、以上で説明した典型的な中性子星とは異なるタイプの中性子星として、ミリ秒パルサー(別名リサイクルパルサー)やマグネターと呼ばれるものがありますが、それらについては次のQ&Aの後半をご覧ください。
△パルサーってどんなものなの?:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70775075.html


・縮退に関する補足
中性子星の核では、中性子や陽子は超高密度のため量子論的な縮退状態となっています。

中性子、陽子、電子などのフェルミ粒子は、複数の粒子が同じ状態をとることができません。
このためフェルミ粒子は、十分温度が低く高密度な環境では、一番低いエネルギー準位から順次高い方へと詰め込まれていきます。
これを縮退といい、最もエネルギー準位の高い粒子の準位をフェルミエネルギーといいます。
縮退しているとき、中性子たちはフェルミエネルギー付近にある中性子どうしが核力(引力)で対をつくり、摩擦ゼロでサラサラと流れ続ける超流動の性質をもちます。
陽子も同様に、縮退しているとき陽子どうしで対をつくり、電気抵抗ゼロで電流が永久に流れ続ける超伝導の性質をもちます。
(電子もフェルミ粒子で縮退していますが、超伝導状態にはありません。)
中性子が対をつくる低いエネルギーの基底状態と、対が壊れたエネルギーの高い励起状態の間には、エネルギーのギャップが存在し、このギャップエネルギー以上のエネルギーを与えないと縮退は解けません。
ギャップエネルギーは、内殻では約1メガ電子ボルト、核では約100キロ電子ボルトで、温度換算ではそれぞれ100億K、10億Kに相当します。
(この違いは、対となる中性子のスピンが反平行↑↓か平行↑↑or↓↓かによります。)
中性子星内部の温度がこの臨界温度以下になると、熱エネルギーではもはやギャップを超えて中性子を励起できなくなります。
また、中性子星の自転周期が約10ミリ秒以上ならば、回転による中性子の運動エネルギーはギャップエネルギー以下となり、運動エネルギーで中性子を励起できなくなります。
この結果、中性子たちは基底状態に留まり続けるのです。


★ 参考にしたのは、柴田大、久徳浩太郎著『重力波の源』、柴崎徳明著『中性子星とパルサー』です。
本当は、渦糸についても記述したかったのですが、長くなりすぎるので見送りました。
パルサーのQ&Aと比べ、縮退の説明が難しくて、時間がかかりました。

Q 重力波の観測に成功したと聞きましたが、重力波とは一体どういうものなのでしょうか?


A 一般相対論によると、天体が存在するとき、その質量(エネルギー)により時空が曲がります。
天体が運動すれば、時空の曲がり方も変化します。
曲がり方に変化が生じると、それが微小な時空歪みのさざ波として光速度で周りに伝わります。
それが重力波(gravitational wave)です。
いったん発生した重力波は物質と反応しにくいため、距離による減衰を伴いつつ宇宙空間を遠方までずっと伝わっていきます。

重力波は、進行方向に垂直な方向に働く横波の一種です。
薄い円盤を垂直に貫く重力波は、円を縦に引っ張り横に押しつぶして縦長の楕円にし、次には逆に横に引っ張り縦に押しつぶして横長の楕円にし、また縦長の楕円にし、という変化を繰り返させます。
すなわち、重力波とは潮汐力の変動の伝搬です。
縦長・横長の変化というモードを+で表すことにすると、重力波には+以外にそれと角度が45°斜めにズレた×で表されるモードも存在します。
このことを、重力波には2つの自由度がある、と表現します。
一般相対論によれば重力波には2つの自由度しかないため、それら以外の自由度が発見されれば、一般相対論が否定されて他の重力理論が正しいことになります。
しかし、これまでのところデータは一般相対論の正しさを裏付けています。

重力波を検知するにはどうしたらよいでしょうか?
1点を観測していても、重力波による時空の変化は分かりません。
2点間の距離を測定することが必要です。
ただ、重力波は大変微弱なため、大規模でかつ極めて精度の高い観測を行う必要があります。
たとえば、銀河系の中心で質量が太陽の10倍の星がブラックホールに重力崩壊してうまく重力波が発生しても、地球で観測できるのは長さ1kmの棒が10−12cm程度伸縮するだけであり、これは原子半径よりはるかに小さく、原子核半径の10倍程度です。

重力波を検知するためには、「レーザー干渉計型重力波望遠鏡」というものを使います。
2018年時点で本格稼働しているのは、アメリカのAdvanced LIGOと伊仏共同のAdvanced Virgoで、2015年9月14日に最初の重力波を検知して以降、後でみるように実績を積み重ねています。
日本でも、岐阜県神岡鉱山跡の地下に建設されたKAGRAが2019年から本格稼働する予定です。
今後は、宇宙空間、具体的には地球軌道上に3台の衛星を打ち上げて、それらからなるレーザー干渉計型重力波望遠鏡を構築するというLISA計画も実現に向けて進められています。
宇宙には地面振動による雑音が存在せず、また地上では実現不可能な水準の真空が実現されているため、レーザー干渉計を構成するのに都合がよいのです。

天体の運動が重力波を発生させるといっても、天体が球対称の変動を行うのでは、重力波は発生しません。
また、重力波は極めて微弱なので、遠方で検知できるためには、大質量の天体が激しく運動する必要があります。
検出可能な重力波を放射する「重力波源」となりうるのは、以下の3条件を満足する限られた天体現象だけです。
(1) 大量の重力波を放射すること。多くの重力波源の場合、重力波のエネルギー放射量は電磁波の放射量より多い。
(2) 与えられた検出器で十分な頻度の検出が期待できること。具体的には、1年に数回程度は検出可能である。
(3) 発生する重力波の波形が理論的に予測できること。これは重力波があまりに微弱なため、目的とする波形があらかじめ分かっていないと、背景雑音と区別できないから。
これらをみたす重力波を検知できる天体現象として、
・ブラックホールや中性子星などがつくる連星系の合体
が挙げられます。

ブラックホールや中性子星からなる連星の合体により生じる重力波の変動は、次の3つの段階に区分されます。
a.連星は相互の周りを回転しながら、重力波を放射し、それにより回転エネルギーを失って相互の距離が短くなるとともに、周期が徐々に短くなっていきます。
この段階では、チャープ波形と呼ばれる準周期的な重力波が放射されます。
準周期的というのは、連星周期の短縮とともに重力波の周波数が徐々に高くなっていくからです。
合体直前には振幅も大きくなります。
b.合体時には、両星の種類と質量に応じて特有の高周波数で高振幅の重力波が数サイクル放射されます。
c.新たに形成されたブラックホールの事象の地平面の歪みが減り、定常状態に近づくと、ブラックホールの準固有振動に由来する減衰振動の重力波が放射され、最終的には重力波放射が止みます。

30太陽質量のブラックホール2つからなる連星ブラックホールが誕生してから合体するまでの概略と重力波の特徴的な周波数に関する計算例を挙げます。
.          軌道半径    周波数   .
誕生時      1千万km程度 0.1mHz
円軌道になる  2,000km程度  10Hz
軌道が不安定化 450km程度  90Hz
合体   バースト的重力波放射 300Hz
 カーブラックホール

以下、表の補足です。
誕生時の軌道半径がおよそ3,300万km以内であれば、宇宙年齢(約138億年)以内に合体可能です。
離心率は軌道長半径の約19/12乗に比例して減少し、軌道半径が2,000km程度でほぼ円軌道になります。
現在稼働中の重力波検出器は約10Hz〜1kHzの範囲で感度が良いので、上の例では軌道半径が2,000kmになった時点で観測可能になります。
それから合体するまでの時間はわずか約6秒です。
別の計算例として、1.35太陽質量の中性子星2つからなる連星中性子星では、軌道半径が約710kmになったときに重力波の周波数が10Hzになり、それから合体までの時間は約18分間です。

2018年3月までに実際に重力波により検知された天体現象は次の通りです。
・連星ブラックホールの合体(5例):
  GW150914,GW151226,GW170104,GW170608,GW170814
・連星中性子星の合体(1例):
  GW170817
ここで、GWは重力波イベントを意味し、後の数字は2桁ずつ分かれて年、月、日を表します。
今後検知数が増えて、1日に何度も検知されれば、さらに桁が増えるのでしょうね。
ブラックホールと中性子星の連星もあるはずで、今のところ発見されていませんが、いずれはその重力波も検知できると期待されます。


★ 柴田大、久徳浩太郎著『重力波の源』(朝倉書店)の該当する箇所を私なりに要約しました。
★★ われわれ日本人としてはKAGRAに期待しましょう(^_^

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