宇宙とブラックホールのQ&A

Q&A、書評、天文を中心とした科学ニュース、俳句・短歌などを掲載しています

相対論

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特殊相対論の初歩は扱わないので、悪しからず。
あと、相間的書き込みはブログのどこであれ無条件に削除します。
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このブログの看板である△Q&Aを整理したものです。
現在、全部で69問ありますが、今回はC.時間論(2)、D.相対論(15)、E.素粒子(1)、F.天文一般(13)、G物理一般(4)の計35問を掲載しています。
Dの相対論にはA宇宙論,Bブラックホール,C時間論のいずれにも分類しづらいもの、Fの天文一般にはA〜Eに分類しづらいもの、Gの物理一般には天文現象以外にも関連するものを入れています。
各問の後ろの日付はこのブログに掲載した日付です。


C.時間論(2)
△相対論の時間遅れはどう計るの?       09/5/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/51993222.html
△相対論の時間遅れって矛盾しないの?    09/5/12
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/52188141.html


D.相対論(15)
   光と光速度編
△光速を超えることは本当にできないの?    07/7/8
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/12153993.html

△加速系からみた光速度は?            07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8491146.html

△ドップラーシフトはどこで起こるの?       07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8492790.html

△光のドップラー効果って音と同じなの?    08/5/31
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/39046029.html

△光って質量があるの?               07/6/24
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/10494789.html

△亜光速で移動したときの景色は?        07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8498260.html

   時空編
△光速に近い宇宙船の前後の時間は?     09/11/15
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/56871014.html

△高速回転円盤の時間は?             07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8496907.html

△高速回転円盤の空間は?             07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8497318.html

△月や人工衛星では時間はどうなるの?     07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8500306.html

△等加速宇宙船の時間、距離、速度は?     07/6/19
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/9933403.html

   重力編
△重力レンズって普通のレンズと違うの?    07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8498707.html

△相対論でも潮汐力は出てくるの?        07/6/17
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/9691317.html

△重力って波なの?                  07/7/8
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/11561010.html

△特異点では相対論は成り立たないの?     07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8497793.html


E.素粒子(1)
△ニュートラリーノって何のこと?          07/11/7
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/25497190.html


F.天文一般(13)
   惑星・衛星編
△太陽からみた月の動きはどうなるの?     12/7/16
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/65523674.html

△月の公転には太陽は関係ないの?        07/6/7
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8599023.html

△月は地球から遠ざかっているの?        07/7/19
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/13590595.html

△惑星の軌道の形は何で決まるの?        08/1/17
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/30582234.html

△惑星の数は増えることがあるの?         08/11/16
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/46250056.html

△人工衛星の追越はどうやるの?          12/4/15
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/65144661.html

   恒星その他編
△星にはどんな種類があるの?           07/6/6
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8499597.html

△星はどうやって生まれるの?           12/8/26
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/65690915.html

△超新星爆発ってどういうものなの?        08/8/17
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/42666395.html

△星間物質とか星雲て何のこと?          10/11/14
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/62155476.html

△変光星ってどんなものなの?            12/10/15
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/65898296.html

△新星とその仲間ってどんなものなの?      13/1/28
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/66232574.html

△降着円盤ってどんなものなの?          12/10/18
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/65909301.html


G.物理一般(4)
△潮汐力ってどういうものなの?           07/6/4
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8299283.html

△運動量ってエネルギーと違うの?         08/12/25
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/47627972.html

△黒体放射って何のこと?             15/2/28
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/68303163.html

△輝線や吸収線て何のこと?            15/3/2
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/68305377.html

Q 光速に近い宇宙船内の時間は地球からみて遅れるということですね。
ところで、同じ宇宙船内でも宇宙船の先の方と後ろの方とで時間に差が生じるのでしょうか?

A1.光速に近い一定の速度で航行する宇宙船を考えます。
特殊相対論によれば、この宇宙船の長さは地球からみると短縮しています。
また、宇宙船内の時計が示す時間経過は、地球からみて遅れています。

抽象的に議論しても分かりづらいので、具体例として宇宙船の航行速度を光速の8割としましょう。(速度が変化する場合は別問に回します。)

また、宇宙船の長さは、宇宙船に乗っている観測者が測って 2 光秒だとします。
このとき、地球からみた宇宙船の長さは 6 割に縮んでいるので、1.2 光秒です。

宇宙船の時計が示す時間経過は、地球からみて 6 割に遅れています。
地球で1分(=60秒)経過しても、宇宙船内では36秒しか経過しません。

2.次に、宇宙船の船首、中央、船尾の3箇所に時計を置いて、中央から船首と船尾に光信号を送って時間を合わせることにします。
時間の合わせ方は、中央の時計が t1 のときに光信号を発して、それを船首(船尾)で時刻tで受け取り、そのまま鏡で反射して中央に時刻 t2 のときに戻ったとします。
三つの時計は、いずれも同じ宇宙船内で同じ速度で運動していますから、相互には静止しています。
したがって、行き帰りの距離は同じですから、船首(船尾)で受信した時刻 t は t1 と t2 のちょうど中間の時刻、すなわち
   t = (t1+t2)/2
となるはずです。

今考察している宇宙船の長さは 2 光秒なので、中央から船首(船尾)までの距離はその半分の 1 光秒です。
中央から送られた光信号はその 1 秒後に船首と船尾に届き、鏡で正確に反射すれば 2 秒後には中央に戻ってきます。
以上は宇宙船の中での観測です。

時計合わせが終了しているとすると、中央で光信号を発したときの中央の時計を時刻0秒とすれば、三つの時計の時刻の関係は次のようになっているはずです。
・宇宙船内でみた時刻の整理 (単位:秒)
   船尾   中央   船首   備考
    0     0      0     中央が光信号を発した時刻
    1     1      1     船首と船尾が光信号を受ける時刻
    2     2      2     中央が返信を受ける時刻
ここまでは当然ですね。

3.さて、光信号による時計合わせが、地球からどのように観測されるか考えてみましょう。
ここで地球にも時計を置き、宇宙船中央から光信号が発せられるとき、地球の時計も時刻0秒に合っているとします。

中央から船首までの距離は 0.6 光秒で、船首は中央から送られる光から逃げる方向に光速の 8 割で運動していますから、光信号が船首に届くのは
   0.6/(1−0.8) = 3
つまり3秒後です。
中央は船首で反射された光信号に対して光速の8割で向かって運動していますから、光信号が中央に戻るには
   0.6/(1+0.8) = 1/3
つまり約 0.33 秒しかかかりません。
船首に送られた光信号が反射して中央に戻るのは、光信号を発してから約 3.33 秒後です。

次に船尾は、船首とは逆に中央から送られる光に向かう方向に光速の 8 割で運動していますから、光信号が船尾に届くのは
   0.6/(1+0.8) = 1/3
先ほどと同様に考えて、船尾に送られた光信号が中央に戻るのは光信号を発してから約3.33秒後です。

以上を整理すれば、次のようになります。
・地球からみた時間の整理(当初版)
 地球         宇宙船の         (単位:秒)
      船尾     中央    船首    備考
 0             0             中央が光信号を発した時刻
 0.33    1                     船尾が光信号を受ける時刻
 1.67           1              中央の時計が1秒を指す時刻
 3                    1       船首が光信号を受ける時刻
 3.33           2             中央が返信を受ける時刻

4.さて、上の表には穴がたくさん空いています。
まず中央の穴を埋めることにしましょう。
地球で0.33秒のとき宇宙船の中央では
   1/3 × 0.6 = 0.2
つまり 0.2 秒となります。
同じく地球が 3 秒のとき、宇宙船中央は 1.8 秒となります。

次に船首ですが、同じ宇宙船内なので中央と時間の進み方は同じですが、時刻はずれています。
船首が 1 秒のとき地球では 3 秒、先の計算により中央では 1.8 秒です。
ということは、「船首の時刻はつねに中央の時刻より 0.8 秒遅れている」ことになります。
同様の考察により、「船尾の時刻はつねに中央の時刻より 0.8 秒進んでいる」ことが分かります。
こうして穴をすべて埋めた表は次のようになります。

・地球からみた時間の整理(完全版)
地球          宇宙船の       (単位:秒)
        船尾     中央     船首       備 考
 0       0.8      0      −0.8       中央から光信号を発した時刻
 0.33      1      0.2     −0.6       船尾が光信号を受ける時刻
 1.67      1.8     1       0.2       中央の時計が 1 秒を指す時刻
 3       2.6      1.8      1        船首が光信号を受ける時刻
 3.33      2.8     2       1.2       中央が返信を受ける時刻

地球の時刻が 0 秒のとき、船首の時刻が−0.8 秒、船尾の時刻が 0.8 秒となっているのは中央の時刻を 0 秒に合わせたからです。
船首でも船尾でも、時間経過は同じように地球の 6 割に遅れていることを確認してください。

5.今度は、中央と比べた時刻の進み・遅れが中央との距離によってどう変わるかを考えてみましょう。
中央と船首・船尾の中間点(中央まで 0.5 光秒の地点)にもう一つ時計を置いて、これまでと同様の考察を行えば、次のような表が得られます。
・地球からみた時間の整理(船首・船尾までの距離が 0.5 光秒の場合)
地球            宇宙船の     (単位:秒)
       船尾      中央     船首        備 考
 0      0.4       0      −0.4       中央から光信号を発した時刻
 0.17    0.5       0.1     −0.3        船尾が光信号を受ける時刻
 0.89    0.9       0.5      0.1        中央の時計が 1 秒を指す時刻
 1.5     1.3       0.9      0.5       船首が光信号を受ける時刻
 1.67    1.4       1       0.6        中央が返信を受ける時刻

したがって、「時刻の進み・遅れは基準点からの距離に比例する」ことが分かります。

6.さらに、宇宙船の速度と時刻の進み・遅れの関係を考えてみましょう。
これまでは宇宙船の速度を光速の 8 割としていましたが、それを光速の 6 割に変更して表を作り変えてみます。
光速の 6 割で航行する宇宙船では、地球からみてその長さは 8 割に収縮し、その時間経過も 8 割に遅れます。
・地球からみた時間の整理(光速の 6 割の場合)
地球           宇宙船の     (単位:秒)
        船尾      中央      船首        備 考
 0       0.6       0      −0.6       中央から光信号を発した時刻
 0.5      1        0.4     −0.2       船尾が光信号を受ける時刻
 1.25     1.6        1       0.4       中央の時計が 1 秒を指す時刻
 2       2.2       1.6      1        船首が光信号を受ける時刻
 2.5      2.6       2       1.4       中央が返信を受ける時刻

これから、「時刻の進み・遅れは宇宙船の速度に比例する」ことが推測できます。

7.以上をまとめると、次のようになります。
光速に近い一定速度で航行している宇宙船内では、時間経過は地球のそれよりも遅れています。
ですから、ある時点で時計を合わせても、宇宙船の時計は地球の時計よりもどんどん遅れていきます。

次に、同じ宇宙船内の進行方向前方(船首方向)と後方(船尾方向)の時刻を地球からみて比べると、前方の時刻は後方よりもつねに一定時間遅れています。逆にいうと、後方の時刻は前方よりもつねに一定時間進んでいます。
ただ、その進み・遅れは一定であり、どんどん大きくなったりすることはありません。
また、進み・遅れは進行方向の距離と宇宙船の速度の両方に比例します。

8.以上で示したのは単なる数値例であって、もちろん厳密な証明ではありません。
ただ、これまでの流れをご理解いただければ、ローレンツ変換の数式を用いて一般的な場合に拡張することは難しくはないでしょう。
その式を載せておきます。

宇宙船座標系での位置、時刻をx,tとし、地球座標系での位置、時刻をx'、t'とします。
ローレンツ変換は次の式で表されます。
   t' = γ (t −vx/c2)
   x' = γ (x −vt)
ここでローレンツ因子γは
   γ = 1/√(1−v2/c2)

速度vが光速の 8 割であれば、v=0.8cを代入して、γ=1/0.6 となりますから、
宇宙船の時間経過が 6 割に遅れ、宇宙船の長さが 6 割に収縮することが分かります。
同じく光速の 6 割であれば、v=0.6cを代入して、γ=1/0.8 となります。

宇宙船の中央の位置を x0=0、船首を x1=1、船尾 x2=−1として、4.の結論の一部を導き出してみましょう。
宇宙船中央の時刻を t0、船首の時刻を t1 とします。
   γt0 = γ(t1−0.8x1)
これを解けば、
   t0 = t1 −0.8x1
     = t1 −0.8
ということで、船首の時刻 t1 が中央の時刻 t0 より 0.8 秒遅れていることが分かります。

他の結論も同様に導くことができます。

Q よく相対論の解説で例示として光速に近い速度で走る列車が出てきますが、その列車の車輪を地上からみるとどうなっているのでしょうか?


A 
0.isaac_r_cさんのエクセルマクロ
この問題に関しては、2006年5月19日にisaac_r_cさんが車輪の実際の動きを示す素晴らしいエクセルマクロをYahoo!物理カテで発表されています。
ここではYahoo!科学板の歴史に残るisaac_r_cさんのエクセルマクロの動きについて解説したいと思います。
http://www.big.or.jp/~isaacrc/superscience/lorentz_wheel.xls
(セキュリティレベルが高いと、動かないのでご注意ください。)

isaac_r_cさんの元の投稿があったトピはすでに消滅していますが、その投稿が別のトピに保存されています。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&board=1835555&tid=a4ia43a4a8a4ada4a8a4bfa4abajbpc0admfdoc0a1a3&sid=1835555&action=m&mid=7140
半分から下の部分です。

isaac_r_cさんは光速cを1とする単位系を採用していますが、この解説では素人に理解しやすいように通常の単位系を使うことにします。

エクセルマクロそのものについて簡単に説明すると、
黒で描かれているのが列車系からみた車輪、赤で描かれているのがレール系からみた車輪です。
Startボタンを押すと、2つの車輪が回転し、赤い車輪は前方に進んでいきます。
黒い車輪の緑のスポークと赤い車輪の青のスポークは、同じスポークをそれぞれ列車系とレール系からみたものです。

これだけで理解できる方には、以下の解説は不要です(^^;

なお、「地上からみると」という点ですが、光速に近い速度で走るとすぐに地球を何周もしてしまうので、ここでは宇宙空間に真っ直ぐに敷かれたレールがあり、列車はそのレールに沿って進行するものとします。
また、地上の列車であれば重力があるので車輪を回転させるとレール上を走行するわけですが、ここでは重力がなくてもレール上の進行距離と車輪の回転とが対応しているものとします。


1.特殊相対論の復習
この解説で使う特殊相対論の式は、以下の4本です。

(1) ローレンツ変換
レール系と列車系はいずれも慣性系であり、お互いに対して速度vで運動しているとします。
このとき、レール系( t,x )と列車系( t',x' )とは次の式で結ばれます。
  x' = ( x −vt ) / √(1 −v2/c2)       ・・・ 第1式
     = γ ( x −βct )
   t' = ( t−(v/c2)x ) / √(1−v2/c2)    ・・・ 第2式
     = γ ( t −βx/c )
ここで、β=v/c、γ=1/√(1−v2/c2)=1/√(1−β2)。
したがって、0≦β≦1、γ≧1。
γ をローレンツ因子といいます。

(2) 速度の合成
レール系からみて速度 v1 で等速直線運動している列車から真っ直ぐ前方に向けて速度 v2 で弾丸が発射されたとすると、レール系からみた弾丸の速度 v3 は次のようになります。
   v3 = (v1+v2)/(1+v1v2/c2)          ・・・ 第3式

このように v1 と v2 が平行である場合の式は啓蒙書にも載っていてよく知られていますが、平行でない場合については意外と見かけません。
次のページは琉球大学の前野[いろもの物理学者]昌弘さんが2005年に行った相対論講義の一部です。
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/%7Emaeno/rel2006/rel8.html
上から1/3くらいの箇所に載っています。
より一般的には少し難しくなりますが、次のStrom_dorfさんのサイトの一番下あたりをご覧下さい。
http://home.p07.itscom.net/strmdrf/relativity01.htm

以下では単純化のため v1 と v2 が垂直な場合だけを取り上げます。
それらの記号を二重の意味で使いますが、特に混乱することはないと思います。
   v1 = ( v1,0,0 )
   v2 = ( 0,v2,0 )
ただし、成分は(前方向,左横方向,上方向)となっています。
レール系からみて速度 v1 で等速直線運動している列車から真横に向けて速度 v2 で弾丸が発射されるとすると、レール系からみた弾丸の速度 v3 は次のようになります。
   v3 = v1 +v2√(1−v12/c2)          ・・・ 第4式
ここでは√内の v1 を除き、v1,v2,v3 ともベクトルの意味で使っています。
平行な場合と異なり、v1 と v2 とが対称的でないことにご注意ください。
v3 を成分表示すると次のようになります。
   v3 = ( v1,v2√(1−v12/c2),0 )
さらに、ベクトル v3 の大きさは次のとおりです。
   |v3| = √(v12 +v22(1−v12/c2))


2.亜光速列車の特殊相対論的効果
まず、車輪のことは考えずに亜光速列車の特殊相対論的効果に関する確認をしておきましょう。
ここではisaac_r_cさんの当初の設定に従い、列車の速度 v が光速度 c の 80%だとして各数値を計算します。v=0.8c。
このとき、ローレンツ因子 γ は γ=5/3 となります。

レール系からみると、列車系における時間経過はレール系の時間経過の 60%に遅れています(第2式による)。
また、レール系からみた列車の長さは、静止時の長さ=列車系からみた長さの 60%に縮んでいます(第1式による)。
一方、列車系からみたレールの長さは、レール系からみたレールの長さの 60%に縮んでいます。

さらに具体的イメージをつかむために、レール上にA駅とB駅があるとします。
           A駅                      B駅
=============== 列車→ ================

レール系でみて両駅の距離は 80光分だとします。
我らが亜光速列車は、光速度の 80%でA駅からB駅に向かいます。
ただし、列車はA駅でもB駅でも停止せず速度を保ったまま通過するものとします。
列車系からみた両駅の距離は、縮小しているので 80光分 ×0.6 = 48光分 です。
列車がA駅を通過するときに列車(系)の時計もレール系(A駅とB駅)の時計もちょうど 0時 0分を指しているとします。
レール系でみて列車は 100分後にB駅に到着しますが、列車系からみると 60分後です。
そのときB駅の時計は 1時40分を指していますが、列車の時計は 1時0分を指しています。
時間経過と距離の両方ともレール系と列車系で違いますが、列車の速度はどちらの系で測っても光速度の 80%で同じです。

3.車輪の形状:レール系からみると楕円形
列車系からみた車輪は、全体として移動していないので円形のままです。
車輪の半径を1mとすると、車輪の外周は2πm≒6.28mとなります。
(1mでは小さすぎるという方は、これから出てくるmをすべてkmに読み替えてください。それでも問題ないはずです。)

車輪は亜光速で回転しているので、車輪系(回転座標系)では周辺に行くほど強い遠心力が働きます。
この遠心力に耐えるだけの車輪材料物質が現実に存在するとは思えませんが、車輪が壊れてしまっては議論が成り立たないので、話の都合上、車輪は半径方向には伸長しないと仮定します。
もう一点、車輪系からみた車輪の外周の長さは、静止時より伸びています。
このため車輪がまったく伸縮しない剛体だとすると、半径方向に無数の裂け目が入ることになります。
(「△高速回転円盤の空間は?」http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8497318.htmlをご参照下さい。)
この点についてもご都合主義ではありますが、車輪は裂け目が入ったりせず円周方向に伸長すると仮定して話を進めます。
(車輪系が出てくるのは、このパラグラフだけです。)

レール系からみた車輪の形状は、列車全体の長さ同様、列車の進行方向に60%に収縮します。
しかし、高さ方向については不変なので、横からみると上下に長い楕円になります。
そして外周の長さは、列車系からみたそれよりも短くなります。
楕円の周囲の長さは簡単な関数で表すことはできないのですが、第二種完全楕円積分E(k)というものを用いると、4aE(k)と表されます。
E(k)の近似式は次の通りです(理科年表による)。
   E(k) = (π/2)(1−k2/4−3k4/64−5k6/256−…)
ただし、k=√(1−b2/a2) は離心率。
長半径 a=1、短半径 b=0.6 なので、k=0.8。
上の式に基づきエクセルで計算すると、4aE(k) ≒ 5.13mとなります。
収縮がない場合の 6.28mと比較すると、約 81.6%に縮んでいます。


4.レール系からみた車輪各部の速度
レール系からみた車輪外周の各点の動きはどうなるでしょうか。
まず、車輪とレールとの接地点では常に速度ゼロです。
接地点以外では列車速度と(列車系からみた)車輪の回転速度とを合成した速度で運動しています。
したがって、レール系からみた速度は上に行くほど大きくなり、またその方向は車輪左半分では進行方向上向き、車輪右半分では進行方向下向きで、下の方では垂直に近く、上に行くほど水平に近づきます。

車輪の最も上の点では、速度の方向は進行方向と一致し、その大きさは2v/(1+v2/c2)となります。
これはその点と車軸(車輪中心)との相対速度vと車軸とレールとの相対速度vとを第3式により合成した結果です。
列車の速度v=0.8cのときは、約0.976cとなります。

車輪最前方の最右点では列車速度と車輪の回転速度は垂直ですから、第4式により(v,0,−v/γ)となります。
その大きさはv√(2−β2)ですから、列車の速度v=0.8cのときは、約0.933cとなります。
車輪最後方の最左点のレール系からみた速度は、(v,0,v/γ)となり、後は最右点と同じです。

---------------------- 続 く ----------------------

名著『相対論の正しい間違い方』の共著者の一人である木下篤哉さん、ハンドルネームAXIONさんが、ご自分のHPで「人工衛星の時間とスペースシャトルの時間」という記事を書いておられます(2007.8.24付)。
http://homepage2.nifty.com/AXION/contents/relativity/004.html

内容は、地上300km程度のスペースシャトルでは特殊相対論の効果が優越するために地上よりも時間が遅れるが、地上20000km程度のGPS衛星では一般相対論の効果が優越するために地上よりも時間が進む。
それでは、両方の効果がちょうど釣り合って地上と時間の進み方が同じになるのはどの高度か、という問題を取り上げておられます。

その答はAXIONさんの記事を読んでいただくとして、その本文の3行目に私のブログ(もちろん元は時間トピに投稿した文章)が引用されています。
以前解いた問題を私のブログを見て思い出した、というだけなのですが、尊敬する先生に読んでいただいたというだけでも、大変光栄なことです。
(一年近く経ってからようやく気がついたのですが、それは言わないということで(^^)

ちなみに、私のブログの該当する記事は↓「△月や人工衛星では時間はどうなるの? 」で、
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/8500306.html
そこにも書いたように元々はdionaeamusさんの文章です(^^;

なお、『相対論の正しい間違い方』の書評は↓です。
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/9694599.html

http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/39046029.html

 5.音程と色の具体例
(1) 音の例として、音楽で基準となっている振動数440Hz の「ラ」の音を取り上げます。クラシックの音楽会で始まる前に音合わせに使う音程です。
ここで、"Hz"(ヘルツ)は1秒あたりの振動数を表す単位で、440Hz であれば1秒間に440回振動することを意味します。

この「ラ」の音の振動数がドップラー効果により半分になる(fo = 0.5 fs の場合)と、ちょうど1オクターブ下の「ラ」の音になります。
この音も人間の耳に聴こえる範囲内です。

(2) 光の例として、波長500nm、振動数600THz 程度の緑色光を取り上げます。
ここで、"nm"(ナノメートル)は1mの10億分の1の長さであり、"THz"(テラヘルツ)は1秒間に1兆回振動することを意味します。

この緑色光がドップラー効果により赤方偏移してその波長が2倍になる(fo = 0.5 fsの場合)と、波長1μm、振動数300THz となります。("μm"(マイクロメートル)は1mの100万分の1の長さです。)
これは赤外線とマイクロ波の境目あたりなので、もちろん人間の目には見えません。

 6.補足
(1) ドップラー効果に関する音と光の比較を表の形にまとめておきます。
以下で同一、可変と書いているのは、発生源と観測者とで同じ値であるか変化して観測されるかの違いを表します。
         波長  振動数  速度  媒質 .
音        同一  可変   可変  有り
光(真空中)  可変  可変    同一  無し

(2) なお、光に関しては以上で説明したドップラー効果と類似した現象で「重力赤方偏移(青方偏移)」や「宇宙論的赤方偏移」というものもあります。
後者については次の△FAQをご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/36325453.html
前者については別途解説する予定です。(当てにしないで待っていてください(^^;)

(3) 波一般のドップラー効果の相対論的表式については、Eight_wallさんが時間トピmsg2962で示しておられるので、上級者向けのご参考として紹介しておきます。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1835547&tid=bbfe4va4ka4da4a4a4f&sid=1835547&mid=2962
なお、記号等の違いにご注意ください。


★ 時間トピmsg2947,2952,2954に載せた原案に対して、cqf02343さんとEight_wallさんからご意見をいただき、それに基づいて追加等を行ったものです。
ご意見をいただいたお二人に改めて感謝申し上げます。
でも、原案を時間トピに載せたのが4月下旬だったので、すでに一ヶ月も経過していますね(^^;


参考
△Q&A一覧:http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/68743060.html

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