宇宙とブラックホールのQ&A

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最近は△印のQ&Aがなかなか書けないので、書評屋さんになってしまっています(^^;
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『図解 宇宙のかたち』1:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70917514.html
『図解 宇宙のかたち』3:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70927424.html
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 第8章 バリオン音響振動
宇宙の晴れ上がり以前の宇宙では、通常物質はプラズマ状態にあり、光とほとんど一体となって運動していました。
そして、プラズマ物質と光には圧力が働きます。
物質に圧力が働く場合、空気と同じく圧縮と膨張が交互に波として伝わっていく振動現象、つまり音波が発生します。
音波の原因は、宇宙の最初にあった密度ゆらぎです。
宇宙には通常物質以外にダークマターもありますが、ダークマターには圧力は働かないため、音波となって振動することもありません。
ダークマターでない通常物質をバリオンと呼ぶため、宇宙初期に起きたこの音波振動のことを「バリオン音響振動」(Baryon Acoustic Oscillation,BAO(ビー・エー・オーと読む))と呼びます。
ちなみに、バリオン音響振動という日本語訳は松原さんが考案して広めたとのことです。

宇宙初期、密度の濃い部分では圧力が高く、そこから外向きの音波が放射状に進んでいきます。
しかし、宇宙の晴れ上がりの後は、光とプラズマでなくなったバリオン物質が切り離されて、光は直進するようになります。
その光は宇宙を延々と旅して、現在の私たちに宇宙マイクロ波背景放射として観測されます。
一方、バリオン物質は圧力を失い、波が伝わらなくなります。

こうして、最初に密度の濃い部分があると、宇宙が晴れ上がるまでに音波が伝わった距離を半径とする球状の範囲に、バリオン物質の少し濃い場所ができます。
一方、ダークマターの密度ゆらぎは波としては伝わらないので、密度の濃い場所はそのまま残り、周りの物質を重力で引っ張って、密度はより濃くなります。
宇宙の晴れ上がり後は、ダークマターの密度ゆらぎもバリオン物質の密度ゆらぎも同じように重力不安定性で成長し、最終的には宇宙の大規模構造のパターンを作り出します。
いろいろな場所からの波が重なり合って空間中に複雑なパターンを作り出すので、宇宙の大規模構造のパターンを見てもバリオン音響振動の痕跡を目で確認するのは難しいのですが、統計的に処理した相関関数を測定すると、実際に痕跡を確認できます。

宇宙の晴れ上がりまでに伝わるバリオン音響振動の半径は、膨張後の現在の宇宙の距離に直して5億光年ほどです。
銀河の相関関数は、1億光年程度までの距離ではべき関数のように振る舞い、距離とともに小さくなっていきます。
これは、大きな距離ほど銀河の群れ集まり方が小さくなっていくことを意味します。

SDSSのLRG(明るく赤い銀河)から求めた赤方偏移空間の相関関数(角度方向は平均して距離だけの関数にしたもの)のグラフをみると、105h−1Mpc≒5億光年付近で少し盛り上がっており、これがバリオン音響振動の痕跡です。
パワースペクトルに現れるバリオン音響振動の痕跡はいくつもの振動パターンとして分散してしまうのですが、相関関数では一つしか現れないのでバリオン音響振動の解析にはこちらを使うのが便利です。
2次元相関関数では、カイザー効果も神の指効果も表れますが、半径5億光年の距離に現れるバリオン音響振動の痕跡はそれらの効果の影響を受けず円状の構造となります。

2次元相関関数に現れるバリオン音響振動の痕跡は半径がほぼ一定の円として現れるため、半径の分かっている球が宇宙のそこかしこに置かれているのと同じことになります。
これは天然の物差しとして使えるため、近傍宇宙から遠方宇宙までいろいろな場所で相関関数に含まれるバリオン音響振動の痕跡を測定すると、宇宙膨張の歴史を推定することができます。
赤方偏移空間の2次元相関関数を理論的に予想して描くと、赤方偏移が1を超えると、見かけ上バリオン音響振動の円構造が縦方向へかなり歪んで見えます。
実際には今のところ赤方偏移が1を超える領域で、バリオン音響振動はそれほどはっきりとは観測されていませんが、将来的には観測できると予想されます。

バリオン音響振動は宇宙の物差しになるので、宇宙の曲率も細かく測ることができます。
半径の決まったバリオン音響振動の球を遠方から見込むことは考えます。
空間曲率が負の場合、平坦な空間の場合に比べて球を見込む角度が小さくなります。
逆に、空間曲率が正の場合、球を見込む角度は大きくなります。
一つの距離に置かれた球の見込み角だけでは、曲率の効果と宇宙膨張の効果の区別がつきません。
しかし、バリオン音響振動はいろいろな距離に観測できるので、十分な遠方から近傍宇宙までのバリオン音響振動を測定すれば、宇宙膨張の様子と曲率を同時に決めることができます。


 第9章 ダークエネルギーと大規模構造
第9章の前半では、宇宙項、加速膨張、ダークエネルギーなど宇宙論の基礎的な事柄が説明されますが、ここでは省略します。

ダークマターの性質を調べるのによく使われるのは、ダークマターの圧力と密度の比をパラメータにして、それに制限をつけるという方法です。
(以下、記号と数式は大部分karaokeによる。)
通常の気体では、閉じた空間内の気体の圧力pは、外から力を加えて体積Vを減少させたときの、エネルギーEの増加分を体積の減少分で割ったものに等しくなります。
  p = −△E/△V
ダークマターが宇宙項である場合も、この点は同じです。
ただ、その場合にはエネルギーの密度εが体積によらず一定なので、エネルギーの増加分を体積の減少分で割ると、エネルギー密度にマイナス符号を付けた値となります。
  ε = E/V → −△E/△V = −ε
したがって、宇宙項の圧力は、エネルギー密度にマイナス符号を付けた値となります。
∴ p = −ε

ダークマターが宇宙項と異なる場合には、上の式は必ずしも成り立ちません。
圧力をエネルギー密度で割ったものを状態方程式パラメータと呼び、w という記号で表します
宇宙項の状態方程式パラメータ w は、ちょうど w=−1 となります。
しかし、ダークマターが宇宙項でなければ、w は−1 からずれる可能性があります。
アインシュタイン方程式によれば、w<−1/3 であれば宇宙は加速膨張します。

現在のところ、バリオン音響振動サーベイとして質の良いデータはSDSSIIIのBOSS(Baryon Oscillation Spectroscopic Survey)によるものです。
プランク衛星のデータとBOSSにより測定された赤方偏移空間の相関関数のデータの両方を用いて、ダークエネルギーの状態方程式パラメータ wde と宇宙の物質密度パラメータと呼ばれる量Ωmの値を求めると、Ωmは約0.3であり、wde は wde=−1 すなわち宇宙項とみなして矛盾はありません。
しかし、wde の値にはまだ10%程度の誤差があるので、さらに精度のよい測定が望まれます。


第10章と第11章については省略します。
(第10章で扱っているニュートリノの質量問題とパワースペクトルの関係は面白いのですが、くたびれました。)


以上、ある程度丁寧に要約したつもりですが、文章では「図解」と銘打つほど豊富な図版の魅力はお伝えしようもありません。
ご興味の湧いた方はぜひ本書を直に手に取ってみることをお勧めします。

『図解 宇宙のかたち』1:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70917514.html
『図解 宇宙のかたち』2:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70918736.html
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 第6章 大規模構造の形状
相関関数は銀河の群れ集まり方を数値的に表していますが、大規模構造に含まれる泡構造やフィラメント構造などの複雑な形を特徴づけてはいません。

大規模構造の形を特徴づけるため、銀河の数密度がある程度濃い部分を取り囲む面を考えると、一般に境界のない閉じた面になります。
閉じた2次元の面のトポロジーは表面に空いた穴の数(ジーナス数と呼ぶ)で分類できます。
球面のジーナス数はゼロで、ドーナツやコーヒーカップのジーナス数は1、2つ取っ手の付いたバッグのジーナス数は2です。
一つの閉じた面があれば、その面ごとにジーナス数があります。
大規模構造の場合、空間の体積を増やせば、平均的にはそれに比例して閉じた面の数も増えていきます。
そこで、単位体積当たりにあるジーナス数から閉じた面の数を引いたものを「大規模構造のジーナス統計」と呼びます。
ジーナス統計の値が大きいほど、穴の数が多くて複雑な形をしていることになります。
ただ、ジーナス数は、密度がどれくらい濃いところを取り囲む面を考えるかで、結果が違ってきます。
密度が平均密度程度のところを取り囲む面の形は複雑になる傾向があり、ジーナス統計の値も大きくなります。
一方、密度のかなり濃いところを取り囲む面はジーナス数がゼロ、つまり球面と同じトポロジーになりやすく、閉じた面の数を引いたジーナス統計の値はマイナスになります。
SDSSの観測から描かれた図が示されているのですが、文章にはしづらいのが残念です。

横軸に境目となる数密度を指定する数値をとり、縦軸にジーナス統計をとってグラフ化したものを、ジーナス曲線といいます。
つまり、ジーナス曲線とは、ジーナス統計が数密度の濃さに応じてどのように変化するかを示すものです。
ジーナス曲線のグラフでは、横軸は数密度(正確にはその関数)を表し、左へ行くほど数密度が小さい面、右へ行くほど数密度の大きい面に対応します。
図の中央は全体の体積を二分する密度の値になっています。
ジーナス曲線の形は、中央に大きな山をもち(形が一番複雑)、その両側に2つの谷をもつような形になることが多いということです。
ただし、その形は左右対称ではなく、右の谷の方が深くなっています。

振幅が十分小さい宇宙初期の密度ゆらぎや、大スケールの密度ゆらぎについては、ゆらぎの性質がガウス型ゆらぎに近くなり、密度の濃い部分と薄い部分は対称的な性質をもちます。
この場合には、ジーナス曲線も左右対称な形になるはずです。
しかし、一般にはジーナス曲線は左右非対称となるため、ガウス型ゆらぎではありません。
1994年ころ、松原さんは世界で最初にガウス型でないゆらぎに対する数式を発見し、同時にジーナス曲線の左右非対称の主原因も突き止めました。
主原因には、3点相関関数が関係しているとのことです。

密度ゆらぎから数学的に求められる量に、ミンコフスキー汎関数というものがあります。
ミンコフスキー汎関数は3次元の銀河分布においては4種類の量からなり、いずれもジーナス統計と同様に、銀河の数密度が空間的に与えられたとき、ある数密度より濃い部分を取り囲む境界面を考えます。
ミンコフスキー汎関数の1つめは、全体の体積に対して、その境界面が取り囲む体積の比です。
境目となる数密度を最小値から最大値まで変化させると、その値は1から0まで単調に減少します。
2つめは、境界面の面積です。
境目となる密度を変化させると、その値はゼロから徐々に大きくなり、その後また小さくなってゼロに戻ります。
3つめは、境界面の平均曲率と呼ばれる量を面に沿って積分した量です。
4つめは、境界面のガウス曲率と呼ばれる量を面に沿って積分した量で、ジーナス統計の符号を逆転したものになっています。
したがって、ミンコフスキー汎関数はジーナス統計を含み、その一般化となっています。

ミンコフスキー汎関数もジーナス統計と同様グラフで表され、横軸はやはり数密度(の関数)を表し、中央が全体の体積を二分する密度の値となっています。
ガウス型のゆらぎが対称的であることも、同様です。
2000年ころ松原さんは、ガウス型でない場合の非対称性の原因が3点相関関数にあることを突き止めたとのことです。


 第7章 赤方偏移空間
宇宙膨張にともなう銀河の赤方偏移の初歩的説明は省略します。

一般に、銀河までの距離は遠すぎて、本当の距離を直接測定することはできません。
そのために、赤方偏移から距離を推定します。
赤方偏移の値zは、その銀河からやって来た光(電磁波)の波長の伸び率を表します。
  観測された波長 = (1+z) 元の波長
あるいは
  z = 観測された波長/元の波長 −1
比較的近傍の宇宙では、赤方偏移zの値は 1 より十分小さいので、宇宙膨張により銀河が遠ざかる速さvは、赤方偏移の値zに比例します。
  v = cz
ただし、cは光速度。
ハッブルの法則とは、「銀河までの距離rが銀河の遠ざかる速さvに比例する」というものです。
  v = H0
ここで、比例定数H0をハッブル定数と呼びます。
この関係式を使えば、赤方偏移により銀河までの距離が推定できます。

しかし、ハッブルの法則は近傍の宇宙にだけ適用されるものです。
つまり、赤方偏移zの値が 1 より十分小さい場合にしか使えません。(0.1より小さければ、おおむね正しい距離を与える。)

銀河は,宇宙膨張によって遠ざかるだけでなく、宇宙空間の中で独自の運動をしています。
こうした独自の運動の速度を、銀河の特異速度といいます。
もし特異速度がなければ、銀河の赤方偏移から距離を正しく求めることができます。
しかし、個々の銀河は特異速度をもっているため、その運動によるドップラー効果で宇宙膨張による赤方偏移が少しずれてしまいます。
視線方向上で、より奥へかより手前へとずれてしまうのです。
観測できるのは、宇宙膨張による赤方偏移の効果と,特異速度によるドップラー効果が組み合わさった量であり、2つの効果は基本的に分離できません。
銀河の地図は、視線方向の位置を赤方偏移の値から推定して作られます。
(k:これまでの章で出てきた多くの大規模構造に関する地図も、すべてそのように作られています。)
こうした地図で表す空間のことを「赤方偏移空間」と呼びます。
一方、実際の観測とは対応しませんが、視線方向に正しい銀河の位置を使った地図を表す空間は「実空間」と呼ばれます。
両者のずれの量は、特異速度の視線方向成分に比例します。

実空間と比べた赤方偏移空間での変形のし方は、銀河群や銀河団のように比較的小さな構造の場合と、超銀河団や泡構造のように比較的大きな構造の場合の2種類に分類できます。

比較的小さな構造の場合、個々の銀河はその中で比較的バラバラな運動をしており(これにより銀河団が重力で潰れない、遠心力に相当)、それが特異速度になります。
その結果、実空間で球形に近い銀河団は、赤方偏移空間では視線方向に引き伸ばされて楕円体もしくは針のような形になります。
赤方偏移空間におけるこの特徴は、「神の指効果」と呼ばれます。
神様が多数の指で私たちを指しているように見えるからです。
銀河の群れ集まり方の指標である相関関数やパワースペクトルの値は、実空間では方向依存性はないのに、赤方偏移空間では視線方向に小さくなるという方向依存性が現れます。

一方、超銀河団やそれより大きな構造では、まだ構造が作られている途中であり、密度の濃い場所に物質が集まる、つまり多数の銀河が落ち込むという動きをします。
重力の中心より手前側にある銀河は遠ざかるように動き、向こう側にある銀河は近づくように動きます。
この結果、実空間で球形をした銀河の集団は、赤方偏移空間では視線方向に潰された形となります。
この効果は、初めて発見した天文学者の名前をとって「カイザー効果」と呼ばれます。

赤方偏移空間では、銀河団程度の小さなスケールでは神の指効果により視線方向に構造が引き伸ばされて見え、超銀河団より大きなスケールではカイザー効果により視線方向に構造が潰されて見えます。
これらは逆の効果ですが、実際には複雑な大規模構造の中でこれら2つが入り混じることになります。
赤方偏移空間では視線方向が特別な方向になるので、相関関数は非等方的な関数となり、銀河の距離rと視線方向に対する角度θの関数ζ(r,θ)となります。

中心に銀河をあって、その周りにどのくらいの密度で他の銀河がありやすいかという確率を相関関数を使って等高線で描いたとき、実空間であれば等高線は同心円になるはずです。
しかし、赤方偏移空間では、縦軸に視線方向の距離、横軸に視線方向に垂直な距離をとると、縦に潰れた玉ねぎを切ったような形になります。
中心に近い部分では神の指効果で縦に細長い形ですが、外側に行くほどカイザー効果でどんどん横に太っていきます。

赤方偏移空間の相関関数には、銀河の特異速度に関する情報が含まれています。
銀河団の中で銀河が行うバラバラな運動の速度が大きければ、神の指効果も大きくなって縦に大きく伸び、逆に速度が小さければあまり縦に伸びません。
大きい銀河団ほど重力が強く、バラバラな運動の速度も大きいので、神の指効果が大きくなります。
銀河の種類ごとに神の指効果を観測すると、たとえば活動性の低い銀河では神の指効果が大きく、活動性の高い銀河では神の指効果が小さいことが分かっています。
これは、活動性の低い銀河ほど大きな銀河団に属している傾向にあり、活動性の高い銀河ほど小さな銀河団や銀河群に属している傾向にあることを意味します。

一方、カイザー効果は密度の濃い中心部に落ち込む運動により生じるので、重力に関する情報を含んでいます。
そのため、たとえば一般相対論の検証に有効とされます。

------------------------- 続 く -------------------------

『図解 宇宙のかたち』1:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70917514.html
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 第4章 宇宙の初期ゆらぎ
宇宙の大規模構造は、宇宙初期のわずかな密度ゆらぎから成長してきました。
この初期ゆらぎがいつどのようにしてできたのかを、宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎや宇宙の大規模構造の性質から理論的な推論によって探ることができます。

密度ゆらぎの性質を特徴づける数値の一つに、パワースペクトルがあります。
任意の関数は、波長と振幅と原点の異なるさまざまな正弦波(k:サインカーブ)を適当に重ね合わせることで再現できます。
この分解のし方は一意的(一通りに決まる)であり、「フーリエ級数展開」といいます。
ある関数をフーリエ級数展開して、波長ごとにその振幅と位相(原点の位置の違い)を求めることを「フーリエ変換」と呼びます。
(次の書評が参考になると思います。
『キーポイント フーリエ解析』1:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/43504138.html
1次元の場合はよく知られていますが、3次元の場合も同様に3つの方向に変化する正弦波の組合せでどんな関数でも再現できます。

密度ゆらぎのパワースペクトルとは、フーリエ級数展開した正弦波の振幅の2乗を、波長ごとの関数とみなしたものです。
通常は、波長の代わりに2πを波長で割った「波数」というものが使われ、「k」という記号で表されます。
つまり、波数は単位長さ当たりの波の個数を2π倍したものです。
パワースペクトルはP(k)という関数で表され、どの波長のゆらぎがどれだけ強いのかを表します。
パワースペクトルを図示するときは、横軸に波数をとりますが、通常、h/Mpcという単位で表されます。
その逆数はh−1Mpc(エイチインバースメガパーセク)という長さの単位となり、約480万光年に対応します。
波数が小さい左側ほど波長の長い大スケールのゆらぎに対応し、波数の大きな右側ほど波長の短い小スケールのゆらぎに対応します。

パワースペクトルのグラフをみると、波数0.02h/Mpcあたりを頂点にした山形になっています。
この頂点より右側(小スケール側)では、光やニュートリノなどの圧力のせいでゆらぎが成長できない期間が長いために、パワースペクトルが小さくなっています。
一方、頂点より左側(大スケール側)では、そのような期間がなく、初期のゆらぎがそのまま反映されています。
初期ゆらぎのパワースペクトルは、波数にほぼ比例するという性質をもち、「ハリソン・ゼルドビッチ・スペクトル」あるいは(特徴的なスケールをもたないので)「スケール不変スペクトル」と呼ばれます。

初期ゆらぎの生成について、現在もっとも有力な説は、宇宙のインフレーション中に生成された量子ゆらぎを起源とするものです。
(この後、インフレーション理論が宇宙の一様性問題と宇宙の平坦性問題をうまく解決できるという説明が続きますが、今回は省略します。)
何がインフレーションを引き起こしたのかについては決着が付いていませんが、空間が膨張しても薄まらない何らかのエネルギーが一時的に空間に広がったと考えられています。
空間に広がったエネルギーは「場」と呼ばれますが、よく知られている電磁場は空間が膨張するとエネルギーが薄まってしまいます。
空間が膨張しても薄まらないという性質をもつ場は、場所ごとに異なる値を一つずつ持つ「スカラー場」と呼ばれるものです。

スカラー場の値は、特定の形をした斜面で摩擦を受けながら転げ落ちる様子にたとえることができます。(k:この斜面というのは、現実の空間における運動とは無関係です。)
インフレーションを起こすスカラー場をインフラトン、それが転がる斜面を「インフラトン・ポテンシャル」といい、インフラトンのもつ位置エネルギーと考えられます。
インフラトンが坂を下まで転がり落ちると、インフレーションを引き起こしていた空間のエネルギーがなくなり、インフレーションが終了します。
そして、インフラトンがもっていたエネルギーは宇宙全体を「再加熱」し、これによりビッグバンにつながっていきます。

インフラトンが坂を転がるようだといっても、量子ゆらぎがあって、坂を少し上がったり下ったりというランダムな動きをしながら、平均的には坂を下っていくイメージです。
このフラフラした動きは宇宙空間の場所によって異なり、宇宙全体としては平均的に坂を転がっていくにしても、場所によりインフラトンが周りより先に進んだり遅れたりします。
ただ、ここまでは量子ゆらぎなので、量子論的にあいまいな状態だというのにすぎません。
しかし、インフレーションにより宇宙空間は急膨張しており、あるときまで光速で連絡が取れていた範囲も、すぐに連絡がとれなくなります。
この範囲をホライズン(地平線)といいます。
ホライズンを超えた距離にあるインフラトンの違いは、量子ゆらぎではなく、普通の古典ゆらぎのように振る舞い始めます。
これを量子ゆらぎの古典化といいます。
宇宙空間の場所によって、インフラトンの進み方にムラがあると、再加熱される時間が場所によって異なってきて、再加熱によってできる物質などの量が場所によって異なってくるため、密度ゆらぎが生成されます。

ゆっくり転がるインフラトンの量子ゆらぎが作り出す宇宙の初期ゆらぎは、現実の宇宙における初期ゆらぎのハリソン・ゼルドビッチ・スペクトルをほぼ再現します。
ただ、インフラトンは少しずつ転がっているため、初期ゆらぎのスペクトルはハリソン・ゼルドビッチ・スペクトルから少しずれます。
ハリソン・ゼルドビッチ・スペクトルでは初期ゆらぎのスペクトルが波数kの1乗に比例しますが、宇宙マイクロ波背景放射の解析によると、実際には波数kのほぼ0.96乗に比例することが分かりました。
これにより、インフラトン・ポテンシャルの形に制限を加えることができます。

宇宙マイクロ波背景放射の観測からは、比較的大きなスケール、つまり長波長の初期ゆらぎの性質は分かりますが、小さなスケールの温度ゆらぎは消されてしまっています。
小スケールの初期ゆらぎは、宇宙の大規模構造に刻み込まれています。


 第5章 大規模構造の定量化
宇宙の大規模構造の詳しい性質を知るためには、そのパターンを数値化して定量的に調べることが必要です。
大規模構造は銀河が群れ集まってできているので、銀河の群れ集まり方を数値化する方法を考えます。
ある銀河から距離rだけ離れた場所に、平均よりどれだけ銀河が見つかりやすいかという数値を求め、それをrの関数と考えて、相関関数ということにします。
具体的には、ひとつの銀河から距離rだけ離れたところに小さな体積を考え、その中に別の銀河が見つかる確率が、完全に銀河がバラバラに配置されていたときに比べてどれだけ比率が多いかを示す関数ζ(r)が相関関数です。
銀河がバラバラに配置されているときは、相関関数はどの距離rでもゼロです。

実際にSDSSで得られた銀河データの解析によって得られた銀河相関係数のグラフをみると、銀河の相関係数は距離が近いほど大きく、遠いほど小さくなっています。
距離が近ければ近いほど銀河の群れ集まり方が大きいので、中心部分ほど数密度が濃くなる銀河団が宇宙空間に点在していることを示唆します。
また、相関係数は、べき指数が約−1.84のべき指数に近い形をしています。
  ζ(r) = (r/5.59h−1Mpc)−1.84
ただ、10h−1Mpcの前後、すなわち4800万光年前後で多少べき関数の形からズレています。
明るい銀河と暗い銀河を区別して相関関数を計算すると、どちらもべき関数に近い形になるものの、明るい銀河ほど相関関数の値が大きくなる傾向にあります。
明るい銀河ほど群れ集まり方が強く、暗い銀河ほどより緩やかに群れ集まっているのです。

相関関数ζ(r) と前章で説明したパワースペクトルP(k)とは、互いにフーリエ変換の関係にあります(ウィーナー・ヒンチンの定理)。
相関関数は実際の空間、つまり「実空間」における群れ集まり方を特徴づけていて、パワースペクトルはゆらぎを波長ごとに分解した「フーリエ空間」における群れ集まり方を特徴づけているのです。
同じものを実空間でみるかフーリエ空間でみるかの違いであり、両者は数学的には同じ内容を含んでいるのです。

銀河の種類別にみると、銀河数密度の濃い部分には相対的に楕円銀河が多く、薄い部分には同じく渦巻銀河が多くなっています。
2dF銀河サーベイで赤い銀河(≒楕円銀河)と青い銀河(≒渦巻銀河)に分けてそれぞれのパワースペクトルをみると、赤い銀河の方が青い銀河よりもパワースペクトルが大きい、つまり赤い銀河の方がより強く群れ集まっています。
楕円銀河の方が渦巻銀河よりも強く群れ集まっているのです。
赤い銀河のパワースペクトルと青い銀河のパワースペクトルを比べると、形は同じで、前者は後者をほぼ波数によらず2.1倍した値になっています。
これは、銀河の個数密度のゆらぎがダークマターを含む物質の密度ゆらぎに関係していて、どんな種類の銀河のパワースペクトルも物質密度のパワースペクトルに比例していることを意味します。
  銀河のパワースペクトル = 比例定数×物質密度のパワースペクトル
銀河の種類によってその比例定数が異なるだけです。
物質密度ゆらぎのパワースペクトルは、直接測定できなくても、銀河のパワースペクトルにより振幅を除いた形が推定できるのです。

ただし、この性質は密度ゆらぎが十分小さい場合、具体的にはパワースペクトルの波長がほぼ3億光年より長いところでのみ成り立ちます。

銀河バイアスとは、銀河の種類によってパワースペクトルの振幅が違う効果のことです。
先に出てきたパワースペクトルの比例定数の平方根をバイアス・パラメータと呼びます。
  銀河のパワースペクトル = (バイアス・パラメータ)2×物質のパワースペクトル
バイアス・パラメータの値が大きいほど、銀河が強く群れ集まります。
相関関数も同様で、比較的大きな距離に対して次の関係が成り立ちます。
  銀河の相関関数 = (バイアス・パラメータ)2×物質密度ゆらぎの相関関数

銀河バイアスが生じるのは、簡単にいうと、銀河の数密度が必ずしも物質密度に比例せず、物質密度の高いところに銀河が選択的に存在するからです。

相関関数やパワースペクトルは大規模構造の特徴づけに便利ですが、それらだけでは大規模構造の性質を完全に定量化できていません。
相関関数は2つの銀河の距離を数えることで求められましたが、3つの銀河の距離を数えることで求められる量を3点相関関数といいます。(これに対し、今までのものを2点相関関数という。)
3点相関関数は、銀河3つがつくる三角形を対象とします。
まず、ある特定の大きさと形をもつ三角形をつくる3つの銀河が、完全にバラバラに配置された場合に比べてどれだけの比率多いのか少ないのかを求めます。
そして、そこから、2点相関関数から予想される成分を引いたものが、3点相関関数です。
3点相関関数は、2点相関関数と異なり、形に関する情報を含んでいます(3点相関関数の角度依存性)。
実際の3点相関関数のグラフをみると、グラフの中央付近、3つの角がどれも小さすぎない三角形では小さく、グラフの左右、三角形のいずれかの角が小さい潰れた三角形では大きくなっています。
これは、平均的に銀河の群れの形状が球状でなく、細長い楕円形やフィラメント状の構造をとっていることを反映していると考えられます。

さらに、4点相関関数、5点相関関数、・・・など高次の相関関数もありますが、省略します。

一般にゆらぎはガウス型のゆらぎと非ガウス型のゆらぎに分類できます。
ガウス型のゆらぎは、正規分布、つまり左右対称なつりがね状の形をしています。
自然界に現れるゆらぎはガウス型に近いことが多く、たとえば宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎは非常に精度のよいガウス型のゆらぎであることが知られています。
しかし、大規模構造の密度ゆらぎは、密度が平均値の周りに左右対称に分布していないため、ガウス分布ではありません。
泡構造のようなものは密度の薄い部分に特徴的な形であり、フィラメント構造のようなものは密度の濃い部分に特徴的な形だからです。

宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎがガウス型のゆらぎであることは、それが放射された宇宙年齢38万年ころ宇宙の密度ゆらぎもガウス型だったことを意味します。
それから138億年経った現在、密度ゆらぎは非ガウス型になっていますが、これはこの間に重力不安定性が働き続けたためです。
ガウス型のゆらぎでは2点相関関数だけがゼロでない値をもち、3点相関関数、4点相関関数など高次の相関関数はすべてゼロになります。

----------------------- 続 く ----------------------

★ この後はまだできていないので、次の掲載は1週間以上後になると思います。
少々お待ちください。

書評です。
松原 隆彦 著 『図解 宇宙のかたち』 光文社 光文社新書 280頁 2018年10月発行 本体価格¥920(税込¥994)
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334043742
副題は「「大規模構造」を読む」。

松原隆彦さんは1966年生まれなので、今年53歳。
宇宙論の専門家で、以前から宇宙論のテキストをネット上で公開していました。
アマチュアの宇宙論好き(私以外に何人いるかは知らないけど)でも、松原さんの名前を知らなかったらモグリと断言できます。
2017年3月までは名古屋大学教授でしたが、現職は高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所教授です。
宇宙論の研究者なのに、素粒子の研究所に勤めているというのは、ちょっと不思議ですよね。

著書は、専門書としてはサイトの内容をまとめた『現代宇宙論』、『宇宙論の物理(上・下)』(いずれも東大出版会)、『大規模構造の宇宙論』(共立出版)、
本書と同じ光文社新書として『宇宙に外側はあるか』、『宇宙はどうして始まったのか』、『目に見える世界は幻想か?』を出しています。
『宇宙に外側はあるか』の書評は次をご覧ください。
https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/65089908.html
『現代宇宙論』は買ったのですが、難しすぎて書評が書きませんでした(T T
また、『目に見える世界は幻想か?』は、今回調べてみるまで知りませんでした。

本書の目次は次の通り。
 まえがき
 第1章  宇宙の階層
 第2章  大規模構造の発見
 第3章  大規模構造の形成
 第4章  宇宙の初期ゆらぎ
 第5章  大規模構造の定量化
 第6章  大規模構造の形状
 第7章  赤方偏移空間
 第8章  バリオン音響振動
 第9章  ダークエネルギーと大規模構造
 第10章 宇宙の性質と大規模構造
 第11章 宇宙はどこまで解明できるのか

本書は、初心者向けの啓蒙書を書き尽くした松原さんが「その先」について展開しているので、縦書き右開きの新書とはいえ、半端ではない内容です。
本来数式で表すべき事柄を、無理やり日本語の文章で表現していると感じるところもあります(以下の要約では言葉の式にしている)。
また、「図解」と銘打たれている通り画像やグラフも豊富に含まれていて、しかも一部はカラーなのですが、この書評では残念ながら当然再現できません。
ただそれらは、どちらかというと、分かりやすい絵解きというよりも、それ自体読解を要する代物が多いです(^^;


 第1章 宇宙の階層
第1章は、私たちの身近から始まって、天の川銀河、大マゼラン雲・小マゼラン雲、アンドロメダ銀河、局所銀河群と視野を広げていきます。(この辺の記述は常識的なので略。)
「局所銀河群」の図とは別に、「天の川銀河を取り巻く矮小銀河たち」の立体図が出てくるのが丁寧だと思います。

私たちの一番近くにある銀河団は、おとめ座銀河団です。
約1300〜2000個ほどの銀河の集団で、大きさは差し渡し1500万光年ほど、中心は地球から5400万光年の距離にあります。
一般に、銀河団は数十個程度から数千個程度の銀河の集まりであり、大きさは数百万光年〜数千万光年ほどです。
(と書いてありますが、数十個程度なら銀河群だと思うけど。)
それより大きい銀河の集団は超銀河団と呼ばれます。

私たちが住んでいる局所銀河群は、おとめ座超銀河団の一部です。(「超」が付いていることに注意。)
おとめ座超銀河団は銀河団や銀河群を100個以上含んでいて、差し渡し1億光年ほど、おとめ座銀河団はその最も大きなメンバーです。
ただ、超銀河団は銀河の集団といっても、重力的に束縛された天体ではありません。
約1億光年より大きなスケールで比較的銀河が密集しているところを超銀河団と呼んでいるのです。

地球から見ると天の川に隠された方向に、周りの銀河が引き寄せられている大きな重力源が存在し、グレート・アトラクターと呼ばれています。
グレート・アトラクターは地球から2億光年ほどの彼方にあり、じょうぎ座銀河団という銀河団を中心とする場所にあるようです。
グレート・アトラクターを中心として、おとめ座超銀河団や付近にあるいくつかの超銀河団や銀河団などをまとめて、ラニアケア超銀河団という名前で呼ぶことが提案されているとのことです。


 第2章 大規模構造の発見
それでは、超銀河団より大きなスケールで宇宙はどのような構造をしているでしょうか。
宇宙全体を俯瞰してみたとき、単に超銀河団が点在するだけではなく、複雑な姿をしています。
この複雑なパターンを宇宙の大規模構造といいます。

銀河分布の3次元地図をみると、1億光年以上にも及ぶ銀河のほとんどない、もしくは極めてまばらにしか存在しない領域が存在します。
このような領域を「ボイド」といいます。
また、銀河、銀河群、銀河団は、孤立して存在しているわけではなく鎖状につながっています。
このような鎖状の構造をフィラメント構造といいます。

米ハーバード・スミソニアン天文物理学センター、通称CfA(Center for Astrophysics)において、特定の天域における銀河の後退速度を系統的に観測するプロジェクトが進められました。
これをCfA赤方偏移サーベイといいます。
赤方偏移サーベイとは、多数の銀河の赤方偏移を系統的に調べてそれらの後退速度を決定する観測のことです。
CfA赤方偏移サーベイの最初の結果は2400個の銀河に対する後退速度を調べたもので、1982年に発表されました。

こうした研究によると、ボイドを取り囲むように多数の銀河がシート状に分布していて、シートが交わるところがフィラメント状になり、さらにフィラメントの交わるところが銀河団や超銀河団になっている、という像が描けます。
このような様子を、宇宙の泡構造と呼びます。

1985〜1995年に行われた第2次CfA赤方偏移サーベイでは、最終的に約1万8000個もの銀河の後退速度が調べられ、銀河地図の範囲が広げられました。
地球から約2億光年離れた位置には、視線方向に大きく広がったグレート・ウォール(CfA2グレート・ウォール)と呼ばれる構造が発見されました。

ただ、CfA赤方偏移サーベイでは、銀河の赤方偏移を一度にひとつずつ測定し、また使った望遠鏡も口径1.5mと当時でもあまり大きくないものだったため、作成された銀河地図の奥行きは約10億光年程度にとどまりました。
このような広い天域を浅く調べる観測手法に対して、逆に狭い天域を深く調べる観測手法をペンシル・ビーム・サーベイといいます。
このやり方では、あまり時間をかけなくても、遠方銀河の赤方偏移サーベイが可能です。
1990年に発表されたペンシル・ビーム・サーベイでは、天の川銀河の円盤に垂直な2方向、北銀極と南銀極に向けた直径0.5度の狭い天域で観測を行い、6億光年に及ぶ大きなボイド構造があることが分かりました。

その後、1996年に最終結果が発表された奥行き20億光年のラス・カンパナス赤方偏移サーベイ、同2003年発表で奥行き36億光年の2dF銀河赤方偏移サーベイなどが行われました。

現在のところ、史上最大の銀河赤方偏移サーベイが、 スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)です。
全天の4分の1の天域にある100万個近い銀河の赤方偏移を測定して、宇宙地図を作ることを目的とした国際協力プロジェクトです。
米ニューメキシコ州にあるアパッチポイント天文台に、口径2.5mの専用望遠鏡を建設してこのサーベイの目的だけに使っています。
赤方偏移サーベイ専用望遠鏡は、これが初めてです。
SDSSは、2000〜2005年観測のSDSSI、第2期として〜2008年観測のSDSSII、第3期として2008〜2014年観測のSDSSIII、さらに2014〜2020年観測のSDSSIVと続けられています。
通常の銀河だけでなく、LRG(Luminous Red Galaxy)という明るく赤い銀河やクェーサーという非常に明るくて遠方にある天体の赤方偏移サーベイも行い、宇宙地図をつくっています。
SDSSにより発見された構造の一つであるスローン・グレート・ウォールは、地球から約10億光年離れたところにあり、その横方向の長さは約14億光年にも及びます。
形はCfA2グレート・ウォールに似ていますが、大きさは2,3倍大きいことが分かります。

SDSS以降、また将来の銀河赤方偏移サーベイもいくつも紹介されていますが、ここでは省略します。
(別途、まとめてご紹介するかもしれません。)


 第3章 大規模構造の形成
前章でみたSDSSなどの銀河赤方偏移サーベイで分かったことは、「泡構造を超える広い範囲で宇宙を平均してみれば、宇宙には目立つ構造がない」ということです。
ただ、だんだん小さなスケールに目を転じるにつれて、泡構造、超銀河団、銀河団などの構造が目立つようになっていきます。
これらの構造がどうやってできたのかが、本書の重要テーマです。

初期の宇宙は物質が混ざり合った状態でほぼ均一に広がっていたため、目立つ構造はありませんでした。
また、今の宇宙は絶対温度で2.7K(ケルビン)(−270℃程度)という極低温ですが、宇宙膨張に伴い宇宙の大きさに反比例して温度が低下してきているため、昔の宇宙に遡れば宇宙の温度は高かったことが分かります。
宇宙年齢40万年頃、宇宙の大きさは今の1/1000で宇宙の絶対温度は1000倍、2500℃ほどでした。
宇宙が始まってから0.00001秒くらいまでは、さまざまな素粒子がバラバラの状態でほぼ均一に宇宙空間に満ち溢れていました。
そして、0.00001秒時点で1兆℃と非常に高温だったのです。

宇宙誕生から0.00001秒後ころ、クォークが結び付いて陽子や中性子がつくられました。
そして宇宙誕生から4分後、温度は8億度くらいのときに、中性子がすべて陽子と結びついてヘリウム原子核(2個の陽子と2個の中性子からなる)ができるようになりました。
陽子と中性子の違いにより、陽子の数が中性子の数の7倍ほどあったので、割合としては、14個の陽子と2個の中性子から1個のヘリウム原子核と12個の水素原子核(陽子そのもの)ができたことになります。
水素原子核とヘリウム原子核の割合は、数では12対1ですが、質量では3対1です。
宇宙開始から数分後の世界にあったのは、水素原子核、ヘリウム原子核、電子、ニュートリノ、光子で、これらが空間にほぼ一様に存在していたのです。

宇宙年齢が28万年ころには、水素原子核やヘリウム原子核に電子が徐々にくっついて、中性の水素原子やヘリウム原子ができてきました。
それまでは、電子と光子が相互作用するため直進できなかったのですが、自由電子が少なくなると光が直進できるようになりました。
これが宇宙年齢38万年ころのことで、「宇宙の晴れ上がり」といいます。
このとき存在していた光のほとんどは、晴れ上がり後直進を続け、現在のわれわれの周りにも降り注いでいます。
ただし、晴れ上がり直後は可視光が主成分でしたが、その後宇宙の膨張とともに波長が約1000倍に伸びて、今は絶対温度2.7ケルビンに相当する電波として観測されます。
これは宇宙マイクロ波背景放射と呼ばれ、宇宙のどの方向からも同じようにやってくることを宇宙マイクロ波背景放射の等方性といいます。
宇宙マイクロ波背景放射は地球を中心とした半径約460億光年の球面(k:粒子的地平面)上からやってきたもので、その等方性は宇宙全体が晴れ上がり時点でどこも同じような状態だったことを示しています。

宇宙が晴れ上がり時点でどこも完全に同じ状態だったならば、その後の宇宙に今のような構造はできません。
しかし、最初にわずかな物質量の濃淡(密度ゆらぎ)があれば、その濃淡は重力によって時間とともに拡大していきます。
このことを密度ゆらぎの重力不安定性といいます。

宇宙晴れ上がりの時点でわずかな密度ゆらぎがあったために現在の宇宙の大規模構造ができたのであれば、宇宙マイクロ波背景放射も完全には等方的でなく、温度の非等方性として現れるはずです。
宇宙マイクロ波背景放射の温度は正確には約2.7255ケルビンであり、この温度を平均値として方向により温度が典型的には0.00003 ケルビン程度ゆらいでいます。
つまり、宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎは10万分の1程度です。
ただ、密度ゆらぎは温度ゆらぎの原因ではあるが、両者の関係は比例関係のような単純なものではないということです。

光には重力不安定性は働かず、宇宙の晴れ上がり以前は、通常物質(k:宇宙論ではバリオンと呼ぶ)は光とぶつかり合うので、密度ゆらぎは大きくなれません。
しかし、宇宙には通常物質以外に、ダークマターと呼ばれる正体不明の物質が通常物質の5倍程度存在します。
ダークマターは光と衝突しませんが、初期にはダークマターよりも光やニュートリノ(通常物質とほとんど反応せず、ほぼ光速で飛ぶ)のエネルギーの方が大きいので、ダークマターの密度ゆらぎも発達できません。
宇宙膨張の結果、ダークマターのエネルギーが光やニュートリノのエネルギーを上回る宇宙年齢5万年頃から、まずダークマターの密度ゆらぎが発達し始めるのです。
そして晴れ上がり後、それまでダークマターが集まっていたところに、通常物質が急速に集まってきて、通常物質の密度ゆらぎもダークマターの密度ゆらぎの大きさに追いついてきます。
つまり、宇宙の密度ゆらぎは主にダークマターが作ったことになります。

宇宙初期のわずかな密度ゆらぎから、重力不安定性によって宇宙の大規模構造が作られた様子を視覚的に分かりやすく示すのが、コンピュータ・シミュレーションです。
コンピュータ上に仮想的宇宙を構成し、物質のある場所をN個の粒子で表して、それらの間に働く力を計算し、粒子の場所の変化を追っていくのです。
この方法をN体シミュレーションといいます。
粒子の数Nは大きければ大きいほどよいのですが、コンピュータの計算能力によって制限されます。
最初はほとんど一様に物質が分布しているように見えますが、わずかな密度ゆらぎが仕込まれていて、密度の濃淡が徐々に大きくなっていき、宇宙年齢138億年の現在の宇宙では、泡構造などの大規模構造がはっきり形成されます。
複雑なネットワーク構造をもつこのような宇宙の様子は、コズミック・ウェブ(cosmic web.宇宙の蜘蛛の巣構造)と呼ばれています。

ダークマターの密度の濃い部分に集まってきた通常物質は、ダークマターよりさらに凝縮して星や銀河ができます。
一方、ダークマターは重力だけを感じることができ、ダークマターどうしや通常物質、光ともそれ以外の作用を及ぼし合うことはありません。
このため、通常物質と違って、一か所にまとまることはできないのです。
したがって、銀河の周りにはダークマターが銀河より大きく広がっています。
また、銀河団の中にはダークマターが満ちています。
ダークマターの中に星や銀河があるのです。

アインシュタインの一般相対論によると、物体(質量)の存在が生み出す時空間の曲がりは物体を引き寄せる(重力)だけでなく、光の進路も曲げる効果をもっています。
これを重力レンズ効果といいます。
銀河団などに付随するダークマターの塊は、その奥にある多数の銀河からの光の軌道を曲げ、光はダークマターの塊をすこし迂回する経路を進んできます。
ダークマターの量が多いと、光の進路が大きく曲げられて、奥にある銀河の像が2つ以上に分裂したり、大きく引き伸ばされて見えたりすることがあり、これを強い重力レンズ効果と呼びます。
それほど効果が強くなくて、奥にある銀河の見かけ上の形がすこし歪んで見えることを、弱い重力レンズ効果といいます。
遠方銀河の重力レンズ効果による歪みを測定し、それを分析することにより、その間にあるダークマターの様子を調べることができるのです。

--------------------- 続 く ---------------------

★ 今年2冊目の書評ですが、かなり長くなりそうです。

『海と陸をつなぐ進化論』1:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70907002.html
『海と陸をつなぐ進化論』2:https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/70907848.html
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渦鞭毛藻(うずべんもうそう)は、植物なのか動物なのかよく分からないプランクトンです。
現生で2000種以上が知られ、珪藻と同様、陸水から海洋まで幅広く分布します。
その約半数の種は葉緑体をもたず、他の植物プランクトンやバクテリアなどの微小生物を捕食するので、動物プランクトンに分類されることもあります。
渦鞭毛藻の中で最も有名なのが、沿岸で赤潮を形成する代表的な種である「ヤコウチュウ(夜光虫)」で、葉緑体をもたず他の生物を捕食して暮らしています。
渦鞭毛藻の細胞は、鞭毛が複雑な動きをすることで遊泳します。(ただ、海流などの大きな流れに逆らって移動することはできないため、プランクトンに分類されます。)

分子系統解析によると、渦鞭毛藻の起源は約9億年前とされます。
その種の多様性は、ジュラ紀から白亜紀にかけて爆発的に増加しましたが、白亜紀/古第三紀境界で多くの系統が絶滅しました。

渦鞭毛藻には、その生活史のある時期に「休眠接合子(休眠シスト)」と呼ばれる特殊な細胞をつくって、海底で一時期を過ごす種があります。
渦鞭毛藻の休眠シストは、珪藻の休眠胞子と同じく、栄養細胞が生存できない厳しい環境を生き延びるための耐久細胞として形成されます。
休眠シストや休眠胞子の休眠期間は、内因性休眠と外因性休眠に分けられます。
「内因性休眠」とは、周囲の環境が発芽に適した状況になってもすぐには発芽せずに、自発的に眠り続ける休眠です。
内因性休眠の期間は、渦鞭毛藻の休眠シストでは数週間〜半年程度と、珪藻キートケロス属の休眠胞子の数日〜数週間よりずっと長くなっています。
これは、発芽能力を獲得するタイミングが通常の細胞の増殖に適した環境(渦鞭毛藻の休眠シストでは水温)になったときに合うようになっている、つまり毎年同じような水温になる時期を逃さないということです。
渦鞭毛藻は、水温や環境が季節的に変化する場所に適応して、より確実に生き延び、数を増やすための戦略を採っているのです。
内因性休眠の期間が過ぎた後の休眠シストの発芽は周囲の環境に依存します。
この期間の休眠を「外因性休眠」と呼び、光や栄養塩の濃度、水温などの条件が整えば短い時間で発芽を開始し、増殖できます。
同じように休眠する植物プランクトンでも、渦鞭毛藻は季節的に湧昇が起こる環境で特に繁栄しているのに対し、珪藻キートケロス属は季節的には湧昇が起こらない、つまり不定期に湧昇が起こる不安定な環境に適応しているのです。

3大プランクトンの3番目である円石藻(えんせきそう)は、ハプト藻と呼ばれる真核微細藻類の仲間で、そのうち「コッコリス(円石)」と呼ばれる炭酸塩(CaCO3)でできた鱗片(りんぺん)をもつグループの総称です。
「石灰質ナノプランクトン」と呼ばれることもあります。
円石藻は2〜数十μmほどのサイズで、細胞の周りを複数のコッコリスが囲んで球形をつくり、この球形全体を「コッコスフィア」といいます。
2〜5μmの大きさのコッコリスが、堆積物中に化石としてよく保存されています。
コッコリスの形は種によって異なり、海底に堆積したのちにコッコスフィアがバラバラになっても、コッコリスの形で種を見分けることができます。

沈降したコッコリスは、長い年月をかけて石灰岩になっていきます。
とくに有名なのが英仏間のドーバー海峡にある白亜の崖です。(白亜とはチョーク(白墨)の色)
そこの石灰岩地層から地質年代が設定されたのが「白亜紀」です。

円石藻は珪藻や渦鞭毛藻と比べサイズはずっと小さいのですが、海水1リットル中に数千〜数十万個体も存在しています。

円石藻は、水中にあるカルシウムイオンと炭酸水素イオンを使って、炭酸塩でできたコッコリスを形成します。
  Ca2+ +2HCO3 → CaCO3 +CO2↑ +H2
この時の二酸化炭素放出量と光合成での二酸化炭素吸収量のどちらが多いか、最近まではっきりせず、二酸化炭素を増加させ温暖化を推進しているのではないかと疑念をもたれていました。
研究の結果、濡れ衣は晴れ、現在では海洋表層から海底への二酸化炭素移動に大きな寄与を果たしていると考えられています。

また、円石藻は、海水を介して大気中に硫黄化合物を大量に放出しています。
(海藻や他の海洋植物プランクトンも同様に硫黄化合物をつくっていて、海苔(のり)の香りや海辺での磯臭い匂いはこれによります。)
この硫黄化合物は上空で雲の核となります。
それにより、雲が形成され太陽光が反射されているため、もし硫黄化合物の放出がなければ地表の気温は今より10℃は高くなるということです。
円石藻の繁栄は、地球の気候に大きな影響を与えているのです。

なお、円石藻の生活環は珪藻や渦鞭毛藻と比べて研究があまり進んでおらず、謎に包まれているということです。

植物プランクトンは目に見えない小さな生物ですが、その大発生は赤潮などと呼ばれ(円石藻では白潮)、ときには宇宙から確認できる規模になります。
赤潮などが発生した海域では、その下では光合成ができなくなり、また夜間は酸素を消費するため酸欠によって魚類などの動物が窒息死してしまいます。
また、毒をもつ植物プランクトンもいて、生物濃縮によりカキなどの食中毒の原因となります。

石炭は、主に古生代に陸上で栄えた巨木が地中に埋まってできたものです。
それと比べるとあまり知られていませんが、石油は過去に大量発生した植物プランクトン(と動物プランクトン)が分解されないままヘドロとして堆積して、地下の高温高圧によりできたものです。
特に、約1億年前に「海洋無酸素事変」という地球規模のイベントで大量に生成されたことが分かっています。


第3章と第4章では、須藤さんの壮大な仮説の紹介とその裏付けが行われます。
その仮説とは「珪藻-海生生物共進化仮説」というもので、それに含まれる「珪藻-クジラ類共進化仮説」、関連する「ウマ類-イネ科植物-珪藻類共進化仮説」というものも出てきます。
全地球規模のプレートテクトニクスによる大陸移動が仮説の起点となっている一方、各地の珪藻化石など細かい物証も挙げられています。
しかし、ここでは大部分省略し、骨子となる部分だけ簡単にまとめます。

約3390万年前、新生代古第三紀の始新世と漸新世のちょうど境界で、地球規模で環境が大きく変化しました。
始新世は北極や南極に氷が存在しない温暖な環境であったのに対し、漸新世は両極に氷が発達するような寒冷な環境に変化しました。
始新世までは、季節的に栄養塩の供給量が増減する環境であり、渦鞭毛藻と円石藻が繁栄しました。
ところが、漸新世になると急激な寒冷化により(いくつもの要因で)海洋の構造がまったく変化して、不定期に大量の栄養塩供給が起きるようになりました。
このため、渦鞭毛藻と円石藻に代わって珪藻類キートケロス属が繁栄するようになったというのが須藤さんの説です。

寒冷化の原因として重要なのは、南極大陸からオーストラリア大陸と南米大陸が離れたことです。
このため、南極大陸の周りを西から東に向かってぐるりと回る「南極環流(Antarctic Circumpolar Current:ACC)」という海流が発達しました。
これにより、それまで低緯度域から流れてきていた温かい海水や大気が、南極大陸周辺に届かなくなり、南極大陸が冷えて、氷床が発達し始めました。
いったん氷床ができ始めると、日光を反射するためさらに寒冷化し、正のフィードバックによって加速度的に寒冷化が進みました。
氷床の発達は北極域でも見られました。

このあと、クジラ類をはじめとする海生哺乳類の紹介部分だけは要約しようと思ったのですが、次の文章を打ったところで、要約できず丸写しになってしまうことが分かり、断念しました。

現在の海洋生態系の頂点に君臨するクジラ類は、地質学的には短期間で進化しました。
クジラ類の祖先は、現在のアフリカに生息しているカバと共通と考えられています。
インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突し、ヒマラヤ山脈が隆起するまで、その地域には「テチス海」と呼ばれる浅い海が広がっていました。
クジラ類の祖先は、約5400万年前に陸から水中へと進出して(帰って)いったのです。
インド亜大陸に生息していた原クジラ類は、漸新世に入ってそれまで暮らしていた河畔から海洋へと生活の場を移し、以降の数百万年程度の間に二つの種類に分かれていきました。
イルカやマッコウクジラのように歯をもつ「ハクジラ」類と、ミンククジラやシロナガスクジラのようにヒゲ板でプランクトンを濾(こ)し取って食べる「ヒゲクジラ」類です。

以下、特に私が興味をもった記述だけまとめておきます。

アシカ科、アザラシ科、セイウチ科からなる鰭脚(ききゃく)類は、以前は異なる祖先種たちから収斂(しゅうれん)進化したと考えられていましたが、現在ではDNA解析の結果から単系統(同じ祖先種から進化した)とされているとのことです。

ジュゴンとマナティからなる海牛類は、いずれも暖かい地域の浅い海に生えるアマモなどの海草類を主なエサとする草食性の動物です。
ウシと同じく、胃の中でエサを発酵させるため、大量のガスが発生するので、潜水や遊泳は不得意とのことです。
始新世に出現しましたが、始新世/漸新世境界でおきた急激な寒冷化によりエサがなくなって、多くの種が絶滅しました。
10トンにもなる大きな体をもつステラーカイギュウも海牛類に属しますが、寒流系に多く生息するコンブ類などの海藻類に食性を広げ、冷たい海に適応していました。
海藻類を食べる海生哺乳類は、この仲間を除きほとんど知られていません。
しかし、乱獲により1741年の発見からわずか27年で絶滅しました。


この書評では、須藤さんの主張したい後半部分はほとんど紹介できませんでした。
また、豊富に含まれる美しい写真やうまく整理された図版も理解を深めるのに重要ですが、当然ご紹介できていません。
興味の湧いた方は、ぜひ本書を手に取ってご覧になるようお勧めします。

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