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キムギドク監督作品、うつせみを観た。キムギドクは韓国の北野武と言われている、韓国では異端児で、だが国際的には評価が高い監督です。この作品で、ベネチア映画祭の監督賞を、同じ年にサマリアでベルリン映画祭の監督賞をダブルで受賞しています。 キムギドクは痛々しい映画を作る天才です。登場人物は拉致、暴力、売春、狂気、殺人などに関わってしまう痛い人たちです。どん底の孤独の中、どうやって人は繋がっていられるのだろうかをいつも模索しているような気がします。台詞もいつもほとんどありませんが、緊張が続く映画で、全く眠くなることはありません。初期の作品は演じている俳優さえも追い詰められているような厳しい作品だったと思いますが、だんだん痛々しさが静かな悟りにも近づいていると思われます。特に、春夏秋冬、そして春あたりから変わってきたように思います。激しい作品が多いですが、実は監督は敬虔なクリスチャンだそうなので、そこが映画に反映してきたのでしょうか。またスカーレットレターという映画を撮った後に自殺したイ・ウンジュさんのこともショックだったようで、スカーレットレターは監督の作品ではないのですが、俳優を極限まで追い込み映画を撮る手法を変えたところもあるようです。 で、うつせみですが、この作品は痛さよりも不思議さとユーモア漂う作品に仕上がっています。主演は国民的ドラマ初恋でペヨンジュンの初恋の人を演じたイムスジョン、相手は人気上昇中の若手ジェヒ。 留守宅を探しては忍び込み、お風呂に入り、食事をし、泊まっていくテソク(ジェヒ)。泊まっていくお礼のつもりか、洗濯をし、壊れた時計などを直して、記念撮影をしていく。毎日違う家に。留守だと思いいつもどおりにしている家に、じっとテソクを観ているソナ(イムスジョン)がいた。夫に暴力を受け、家に閉じ込められているソナ。驚いて逃げるテソクだが、寂しげだがじっと見つめる強いまなざしが気になり戻ると、入浴しながら泣いているソナがいた。着替えをだしてやるテソク。ソナとテソクはパートナーとなり、空き家をみつけては泊まっていく・・・。全編、全くふたりは無言。でも、通じ合うふたり。追いかける夫。なにか、不思議な映画でした。夫側からすれば、冗談じゃないふたりで、不法侵入という罪も犯しているわけで、あまり同情できない感じが、映画と距離感が生まれて、かえって面白い作品になったようです。いいことと思ってやっても、人に悲劇をもたらすこともあるとか、賄賂をもらう警官や横暴な刑務官などの偉ぶっている人物に報いが訪れるといいとか、キムギドクなりの社会への考えもえがかれていたり。主役のふたりのキャラクターも無言だったがよかった。 また、新作の弓が渋谷で公開中です。ただ、キムギドクは国際的には評価が高いけれど、儒教の国韓国では一般に受け入れられていなくて、興行が悪いようです。ポンジュノ監督のグエムルがたくさんの劇場を支配していると噛み付いたり謝ったり、オールドボーイのパクチャヌク監督と仲悪かったりと、もう韓国で映画公開しないと、最近話題になってました。みんな私が好きな監督なので、残念です。でも、キムギドク作品は人と一緒に仲良く観れないです、私も。ひとりでいつも観ています・・・。
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へぇ〜、キム・ギドクとパク・チャヌクって仲が悪いのですかぁ?!人間性は知りませんが、作品を観る限りふたりともひとクセ有りそうですものね。仲良く韓国映画界を盛り上げていって欲しいですが、あまり丸くならずトンガッた感性も持ち続けて欲しいです。キム・ギドクでは今のところ『悪い男』が1番好のみかも。
2006/9/22(金) 午後 9:32
あら、私は韓国映画の中で一番は「悪い男」なんです。衝撃うけましたが、好きでした。でも、本当にキムギドクは韓国映画界がいやになったらしいですね。パクチャヌクは「美しい夜、残酷な朝」でキムギドクを批判してたので、たぶん仲悪いんじゃないかなと
2006/9/22(金) 午後 11:24
キム・ギドクは「サマリア」と「春夏秋冬 そして春」しか観ていませんが,この作品も気になっています。でもキム・ギドク作品は気力があるときじゃないとキツいですよね。「悪い男」が一番ですか!気になりますねー。もう映画撮らない!というのは宮崎駿もよく言いますよね。そのうち何もなかったように新作が公開されるに違いない,とニラんでいます。
2006/9/25(月) 午後 11:53 [ wxrfd775 ]
だんだん、観客へのみせかたが巧くなっているような。その三本より前の作品はかなり痛いです。魚と寝た女は痛すぎて、もう観たくないかも。日本公開しているのでは、受取人不明だけ未見です。
2006/9/27(水) 午前 0:31
パク・チャヌク、ポン・ジュノとギドクこのトライアングルそういう関係になっているんですねw国内と海外ではまるっきりとられ方が違うというのはどっちにしてもツライでしょうね。あまり気にせず自分の道を貫いてほしいものです。TB失礼します!
2007/3/8(木) 午後 3:05
弓は一週間も経たないうちに韓国では打ち切りになったそうです。絶対の愛の記者会見ではもう韓国では自分の作品は公開しないと引退宣言までしました。女性蔑視だと韓国内のフェミニズムの団体から攻撃をうけたり。パク・チャヌク、ポン・ジュノ、キム・ジウンなどは仲がいいらしいですが、キム・ギドクだけ異色らしい。30歳まで映画を観たことがなかったそう。コンプレックスの強い人らしいですが、海外での評価は高いので・・・。日本でも今ユーロスペースで特集してますね。
2007/3/9(金) 午前 1:13
コメント&TBをありがとうございました。
【悪い男】も観ましたよ!でも分かんない…全然分かんない。それは愛なのっ!?えっっ!?どうなのよ!!??とギドクの胸倉を掴んで揺さぶりたい感じでした。
それに比べると【うつせみ】は感情移入の先は定まっているし,痛々しさとかは全然ないですね。でもソナがですね,わたしにとっては何で逃げないのっ,ダンナぶちのめしてでも逃げろよっ!というタイプの女性で,テソクに救われるだけっていうのがちょっと腑に落ちなかったのですが,ギドクはそこまでも計算していそうですよね。
でもギドクは結構素直ないい人のような気がしてきています。わたしもTBさせてください。
2007/12/7(金) 午前 0:36 [ wxrfd775 ]
「悪い男」は一番最初に観たギドク作品だったので、もう、ちょっと息も止まるくらいな感じでした。確かに胸倉つかんでいたくなるかも。「社会の底の底まで堕ちていく勇気があれば幸せになれる」と語るギドク。坂口安吾の堕落論に心が救われたこともあったし、勇気がないのでギドクの映画を息を呑んで観てしまうのかもしれません。放浪する男女。世間のほとんどない放浪する男女に純愛を観てしまうのかな、日常生活を送ってると。最近はいろんな関わりあっての人生かなって気もするけど、ギドク世界は惹かれてしまいます。
「悪い男」のチョ・ジェヒョンも凄みあってびっくりでした。「うつせみ」のジェヒはちょっとタイプじゃなかったので(笑)客観的に観れたかもしれません。「絶対の愛」観たいけど、自分が何を感じるのかも怖いところがギドク映画にはありますね、wxrfd775さん。
2007/12/10(月) 午後 7:21
かりおかさん、「うつせみ」ようやく見ましたよ。
やっぱり良かったです。心にひたひたと沁みますね、ギドクは。
TBさせてくださいね。
2008/4/18(金) 午後 5:44 [ パリは恋人 ]
激烈な毒を見せる方向から、ちょっと変わったのかなーと思えるような映画でしたね。静かに心に染みる、不思議な映画でした。
ただ油断してると「絶対の愛」では打ちのめされそうになってしまって。。。やはり目が離せない監督ですね。
lesaventuliersさん、TBありがとうございました。
2008/4/21(月) 午後 5:55
きゃりおかさんTBありがとうございました。
女性蔑視と攻撃ね〜。あの国なら批判も強烈でしょうね〜。これなんて、ソフトですから韓国でもうけそうですけどね。ジェヒ君はイケメンだし。初期作品ではトガリきってた監督が変わっていくの面白いです。
2008/8/4(月) 午後 2:16
saramiさん、ギドク祭り開催中ですね〜。
衝撃的だけれど、癖になる監督ですよね。自分に正直な感じだし。
オダジョー主演の「非夢」はどんな映画になってるんでしょう?
全部観てしまったので、ギドクはそれまで待ってます。
2008/8/6(水) 午前 7:27
たしかに異端児、って感じの作風ですよね。 まだキム・ギドク初心者ですが、この映画は気に入りました〜。
セリフ少なくて静かな映画なのに、なぜかぐいぐい惹きこまれるものがありました。
TB、お願いします。^^
2009/5/18(月) 午後 11:05
ギドク映画の中では、比較的ユーモラスなところもあって、ソフトな感じでしたね〜。台詞が出来るだけ少ないほうが、かえって緊張感があり面白いのかもしれないです。
他の作品は痛々しいのも多いですが、とてもひきつけられるものがあると思います、サムソンさん。TBありがとうございました。
2009/5/19(火) 午前 3:29
私もギドク作品はひとり気に入って観ています・・・というか、こちらでは劇場後悔はまずないので。。
敬虔なクリスチャンなのですね〜彼は。。
それで『サマリア』がまた一段と近くなって来た気がします ^^
トラバさせて下さいませ。
2009/12/16(水) 午前 0:02
この作品で毒は薄くなったような気もしましたが、その後の作品を観ると油断できないなーと思いました^^;
絵的にも美しいですよねー。「悲夢」なんかもまた観たくなりました。一番心に残ってる「悪い男」とか何度観ても感想書けないくらいの衝撃作ですね。。。次はどんな作品を撮るんでしょうねー。
ギドク本の「贖罪の山羊」が読みたいのですが、絶版で高いみたいです。残念。。。でも探してみようかしら?
TBありがとうございました、恋さん。
2009/12/30(水) 午前 2:54