kariokaの「極楽鳥シネマ」

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カミュなんて知らない

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カミュなんて知らないを観た。十九歳の地図、さらば愛しき大地の柳町光男監督の久し振りの作品です。柳町光男監督は早稲田大学で学生に映画論を教えていたようで、その学生たちとの映画作りをモデルにした映画のようです。撮影許可は立教大学だったので、登場するキャンパスは立教です。(綺麗な大学なんですね〜。映画うつりが良いキャンパスですね。)

大学の映画科の学生たちが、元映画監督の教授(本田博太郎)に、愛知県で実際に起きた高校生による老女殺害事件を元にしたシナリオで映画を撮るようにと言われた。人殺しをしてみたかったからという理由で行われた殺人。アルベール・カミュの小説、異邦人も、ママンが死んで太陽が眩しかったからというだけの理由で殺人が行われた。彼は正常だったのか、異常だったのか。現代版の不条理殺人者のムルソー(異邦人の主人公)なのか。殺人者の気持ち、表情、背景などで、討論し対立もしながら、映画製作は進められていく。

映画を作る学生たちの話なので、様々な映画の話が出てきます。まず冒頭、長回しの話をしているんですが、しながらこの映画もキャンパスの様子を長回しで見せ続けるのです!面白い。そして、吉川ひなの演じる女の子はこの映画を監督している彼(柏原収史)にフランソワ・トリュフォー監督のアデルの恋の物語のアデルのようにつきまとい、本田博太郎演じる教授は、キャンパスで見かけた美しい女の子(黒木メイサ)にヴィスコンティ監督のベニスに死すの老作曲家アッシェンバッハのように恋焦がれる。(ベニスに死すは美少年が相手でしたけれどねー。)映画の中でもこのふたりはアデル、アッシェンバッハと学生たちに呼ばれてます。このふたりがいいですねー。私はこのふたつの映画が大好きなんですが、実際近くにこの人たちがいたら、こんな感じなのかーと思わされました。ひなのちゃんはアデルに、本田博太郎は珍しく普通の役?と思っていたらやはり老作曲家に、どんどん近づいていくのです。そこがとても面白かった。

映画作りと同時に、学生たちのキャンパスでの生活、恋愛模様も描かれています。映画のことを四六時中考えてるだけのようで、就職試験のことや将来のすすむ道に悩んだり、映画作りの苦しみから恋愛ごっこ?のような行為をしてみたり、衣装をつけたまま池袋の街を疾走してみたり・・・。それほど深刻にもならず、ちょっと変な自分をわざと晒してみたり。映画サークルの学生たちの雰囲気がリアルに描かれてるなーと感心しました。(しかし、前田愛はいつもモテモテの役ですねー。妹の亜季ちゃんもだけれど。この役は女子には反感買うでしょうね〜。この年頃ってこういうことしたくなるのかもしれないけれどね。玉鉄が登山部の彼でゲスト出演。誰よりもかっこいいのに・・・ねー。)

老女を殺した主人公の気持ちを、映画で演じる演劇部からスカウトした男の子が、異邦人を読んだり、事件のノンフィクションを読んだりして、考えて役作りをしていくんだけれど、その討論の様子と、その子のお芝居の仕方が映画に写しだされて、とても興味深かったです。異常な心理状態でのことなのか、冷静で表情も変えずに行ったのか、高揚感を演技で表すべきなのか。討論しながら、映画での彼は、殺人者としてリアルになっていく。芸のために恋愛するという役者さんもいるようですか、では殺人者の役のために殺人をした役者はいるのでしょうか・・・とそんなことまで考えてしまうようなラストシーンでした。そこまではいつもの柳町監督らしからぬ軽いトーンだったのですが、ラストがいつもの生々しいリアルさがあらわれて緊張感が漂いました。さすがです。この役を演じた中泉英雄という俳優さんは、不気味さがあって良かったですね。(でもこの役、個人的には成宮寛貴君が演じる役だなーと思ってしまった。成宮くん好きなんだけれど、最近あんまりいい役ないので。)不条理殺人について、この大学生たちや、観客側も考えるように問題提起もされているのでしょうか。人を殺してみたかったから殺す・・・なんとも恐ろしいシーンでした。(本当にあった事件ですよね。)

映画自体は面白く観ることができました。邦画はテンポが悪くて退屈だったりすることも多いんですが、さすが柳町監督、飽きさせない興味深い映画でしたよ。柳町監督のさらば愛しき大地って、どんどん覚せい剤に手をだして破滅していくもともと農家の郊外の男女を描いて秀逸で、私は印象に残っている映画です。私の日本で一番好きだった根津甚八と秋吉久美子のコンビだし。(ふたりともどんなアイドルよりも好きでした!)重くて暗い映画ですが・・・。

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偶然です〜!「異邦人」を読んでみようと思って先週買ったばかりです!今さらって感じですが、私は学生時代にあまり本を読んでなかったから・・。来年早々、本を読む時間ができそうだから、今集めてるとこです(笑)読んでない本ばかり溜まってます。このレビューを読んで、楽しみになりました!他にもお勧めの本があったら教えて下さいね〜!映画とは話が逸れてごめんなさぃ!

2006/12/8(金) 午前 11:33 R*alph

カミュの「太陽が黄色かったから人を殺した」(うろおぼえ。。)みたいな事柄が入っているのでしょうか。興味津々。。機会があったら是非観てみますね〜♪

2006/12/8(金) 午後 2:14 恋

異邦人、高校生の頃読んだんですが、不条理殺人だということしか覚えてないんです。捕まった後の裁判の内容が重要みたいですね。また読んでみようかな?ラルフさんの最近の御覧になった映画に通じるところがあるかもしれませんね。(ナチュラルボーンキラーズ、カリフォルニア、エレファントなど)私、エレファントは観たんですが、他の2作レンタルしたのに時間なくて返して、それきり観てません!観たかったんですが。理由なき無差別殺人者たち・・・今の私には観る勇気いりそうです。

2006/12/8(金) 午後 6:26 かりおか

現代は人を殺してみたかったとか、強い自分に生まれ変われるかもしれないからという理由で、恨みもなく人を殺してしまう若者も出てきて、事実が小説を超えてしまってます。カミュを知らない若者たちなんですが。そこを学生に題材にさせることで、不条理について、殺人について考えさせたかったのでしょうか?でも、そんな重いトーンの映画じゃないです、この映画は、恋さん。

2006/12/8(金) 午後 6:30 かりおか

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60年代フランスで大流行した実存主義をある程度理解していないと、不条理が本当に単なるただの「不条理」になってしまうと思います。そういう意味では5、60年代には実存主義的映画も多く排出されていますけど、ルイマルの「鬼火」なんかがその代表的な作品と言えるんじゃないでしょうか。わしは大好きです!でもって、この映画は未見です(TзT)

2006/12/12(火) 午後 4:24 [ mas*yan*197* ]

実存主義を知らないような若者たちが、カミュの異邦人を読むことによって、人を殺してみたかったというだけの理由で殺人を犯した彼の心理を考察していくのですが、結局はよくわからないんですね。思い出したのが、つかこうへいの熱海殺人事件で工員の犯人に太陽が眩しかったから殺したと言え!と強要した刑事たちのことが思い浮かびました。刑事は実存主義や不条理殺人ということにして痴情のもつれにしたくなかった。美学が許さないとかで。カミュの異邦人というとこのお芝居が浮かんでしまいます。鬼火は未見。ルイ・マルは好きですが。

2006/12/12(火) 午後 11:46 かりおか

この映画、ずっと気になってました。新聞に載っていた、柳町監督のインタビュー記事がきっかけです。「異邦人」はその昔読みましたが、さて、本はどこへやら〜。ルイ・マルでは「さよなら子供たち」が好きですね〜。

2006/12/18(月) 午前 0:47 [ yumiko ]

私も本を探してみました。ありましたよ〜。いろいろ線引きとかしてありました。でも、詳しい内容を覚えてないので(特に重要とされる裁判のところが)また読んでみようかな?さよなら子供たち、悲しいお話でした。死刑台のエレベーターと恋人たちを2本立てで観て、ジャンヌ・モローに惹かれました。突然炎のごとくや小間使いの日記も観てしまいました。今も映画で存在感あるのはさすがです!ルイ・マルはダメージも観てます。ジェレミー・アイアンズが好きなので・・・。

2006/12/18(月) 午後 8:23 かりおか

観てみました。これはなかなか難しいお話でもありますよ〜やっぱりとりあえずカミュの不条理、という考え方を漠然とでも知らないと、変な人たちが変な事をして。。みたいに受け止められるかも。。中泉英雄さんは凄いですねぇ。。最後は、観た側が判断すればいいのでしょうか?かりおかさん。おっと、訳わかんないレビューになりましたが、トラバさせて下さいね。

2007/1/12(金) 午後 9:58 恋

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これは感想を書くのにとても困りました。それこそ私は「カミュなんて知らなかった」ので(笑)少しお勉強しないといけなくて・・^^;しかしなかなか奥の深い作品ですよね。若い人だけでなく充分大人でも見応えのある映画だと思います。池田の役は私もふと成宮君を思い浮かべましたよ。TBさせてくださいね。

2007/1/13(土) 午前 9:58 choro

不条理と言われても、この映画サークルの学生たちのように気持ちが本当はわからない!と、なってしまいますね。変な人たちが変なこと・・・そう受け止めて理解不能にしたほうが安全なのかも。殺人者の心情にのめりこむあまりに・・・と言う風にラストは見えて実はという作りにどきっとしました。リアルでした。

2007/1/14(日) 午後 2:54 かりおか

この映画は、私は演劇研究会に実はいたので、とても近い感じがして、観ていて興味深かったんですよ〜、Choroさん。(映画と演劇の違いもあって、もっとおかしな人が多かったんですが…。)討論しながら、自分でも考えながら映画を作り上げていく。のめりこむあまりに…と見えましたが、そう見せた監督の力に驚かされました。成宮くん、最近はあんまり私が観たい作品に出てくれないようです…。

2007/1/14(日) 午後 3:00 かりおか

かりおかさん、演劇研究会だったんですね。それなら、なおさら、この映画には、親しみを持たれたでしょうね〜。私は、柳町光男監督作品は、初めてだったのですが、映画の話が満載で、楽しめました。

2007/5/7(月) 午前 10:54 kuu

そうなんですよ、kuuさん、自分の学生時代もあんな議論ばかりしていたなーと。役についての考察も興味深かったです。衣装着たまま街を駆け抜ける・・・みたいなこともありましたし。もっと変だったかもしれません^^; 映画の話が多いところが、キネ旬で邦画10位だったのかな?と思ってしまいました。ラストはドキドキしましたね。TBありがとうございます。

2007/5/8(火) 午前 9:14 かりおか

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