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硫黄島からの手紙を観た。上映終了直後、後ろの方からこんな声が聞こえた。 「イーストウッド、凄い映画、作っちゃったね。」 本当にその通り。その人は思わず言ってしまったんでしょうね。 私もクリント・イーストウッド監督に驚きました。父親たちの星条旗と一緒に観ておいてよかったです。どうしても、日本が攻撃されてると、敵のことが嫌になってくる。でも、攻撃している方も、けっして戦争したくてしている鬼畜米英ではなく、同じ心を持った若者だったのだということが、わかっていたから、戦争とはこういうものなんだと、さらによく理解できた。そして、アメリカ人なのに、アメリカ側の嫌なところもはっきり描いていて(例えば、火炎放射をしたら人はどれだけ酷いことになるのかとか、捕虜の扱い方について。)よく、ここまで、美化せずに映画にしたと。内地での戦争被害の映画は日本はたくさん撮られているけれど、南方の前線で、兵隊たちがどれだけたいへんな戦いをしてきたのかを描いた映画は、あまり観たことがなかったので(私が戦争映画を観てないのかもしれませんが。)アメリカ人であるイーストウッド監督がよくぞ描いてくれたと思いました。サイパンやグアムの放置された大砲や戦車を観たことがあるが、たくさんの若者たちが、国に残した家族のため、お国のためと信じて、激戦に倒れたんだったと、そのボロボロの様子を思い出しました。この映画では、あまりのリアルな戦争の描き方に号泣することさえ、できなかった。少しずつ涙が流れていきました。 ここからはネタばれしてしまうと思いますので、これから観たい方は読まないでくださいね。 栗林中将は、アメリカにも友人がいて、残してきた幼い子供たちのことをいつも思いやっている優しい父親の面を持ち、無駄に部下に体罰を加えず、無駄死にさせない、人間的にも優れた人だったんだなと感じ取られます。5日間で終わるといわれた戦いを、日本の内地に侵攻させないようにと、32日間も戦い続けた、アメリカ側からみれば、やっかいな敵将でした。しかし、実際に残された栗林中将の手紙を読んだり、人としての評判を聞いて、どんな人物と戦っていたのかを、きちんと描いているのです。渡辺謙が演じることによって、栗林中将の立派さが際立ちましたね。本当に存在感のある素敵な俳優です。(ラストサムライ的なところがあったのは、アメリカ人にわかりやすくするためかなと思いましたが、まさに日本の優秀な武将のようでしたね。) バロン西という軍人は、馬術でロサンゼルス五輪で金メダルもとったこともある、アメリカでも有名な人でした。この人が実在の人物だと知って、一番驚きました。愛馬を硫黄島に連れてくるのですが、爆撃で失くし(可哀想でしたね)、栗林中将の人柄と頭の良さに忠義を尽くし、自分のことよりも部下を思い、負傷した若いアメリカ兵さえも手当てしてあげる、戦争下では信じられないような立派な人物でした。人格者すぎて、本当にこんな人いたのだろうかと思ってしまいましたが、だからこそ、オリンピックで金メダルも獲れたのでしょう。平和な世の中だったら、スポーツの世界でもっと活躍できたのに。このように優れた人は、国も関係なくいたのだということが伝えられているのでしょうか。伊原剛志さんが演じて一番綺麗な役でしたね。 二宮くんが演じたパン屋さんで、妊娠した妻を残して徴兵されてしまった兵隊さんは、「アメリカにこんな島あげてしまえばいい。」と、投げやりでした。ただ、生きて帰りたい、と、もう駄目だなと思う瞬間に何度も巻き込まれて、奇跡的に生き延びてきました。栗林中将の最期を看取るのですが、イーストウッド絶賛の演技が光りますね。テレビドラマでも思いましたが、(ハンドク!!や優しい時間)監督が思った通りの演技がかえせる役者さんなんでしょうね。最後のほうのUPのシーンの表情は凄いね。二筋の涙が流れ落ちる顔、夕焼けを見る顔。栗林中将のピストルをアメリカ兵に獲られたと知ったときの怒り。いろんな演出家に愛される人なのがわかるようでした。台詞も一番あったのではないでしょうか? 加瀬亮は、憲兵をその優しさから首になり、硫黄島に派兵されてきた兵隊なんだけれど、いかにもあの時代の人らしい雰囲気もでていました。憲兵時代に無茶苦茶な上司についたせいで(こういう人は多かったのかなー。)自分の心に逆らう嫌なことができなかった人なのですが、硫黄島でも同じで、自分の本心には逆らえない人、信じる道を行こうとした人だった。アメリカ兵の母が息子に書いた手紙を読んでもらって、その中の「必ず帰ってきて。自分の信じる道を行きなさい。」の言葉に励まされ、やっとの思いで投降したというのに・・・。一番、胸が痛くなった。アメリカ人が観ていたら、なおさらだったことでしょうね。アメリカ兵は根性なしだと信じ込まされていた自分の愚かさに気がつき、信じる道を歩もうとしたのに。揺れ動く心を演じていいです、加瀬亮も。 中村獅童は、いかにもの帝国軍人で、負けたら自決、逃げ帰るなど卑怯の極みと思っている人物で、栗林中将を腰抜け呼ばわり。命令で逃げてきた部下も自分の刀で切り捨てようとする激しい人物でしたが、もう最期だと、地雷を首からたくさん提げて、敵の戦車も道連れにと待っていたのに、待ちすぎて嫌になり、もうどうでもよくなったというのを、演じてます。一番人間らしいといえば、らしい人物でしたね。獅童が演じてるので、激しさと可笑しみもあって。 渡辺謙以外は、オーディションで選んだそうですが、メインキャストはみんなはまっていたし、やはりいい演技を引き出すのが、巧いです、監督。ミスティック・リバーやミリオンダラーベイビーでも、俳優がとても生きていたし、俳優たちに信頼されてました。話す言葉がわからなくても、いい演技はわかり、このチームはいままでの映画と同じにプロフェッショナルな人たちだったとイーストウッドも語ってます。 ラストシーンで、埋めておいた袋が兵士たちの書いた家族への手紙だった時には涙が溢れてしまった。
硫黄島の手紙ってこういうことなんだと。 凄い映画を観てしまった。いろんな人々に観て欲しい映画でした。戦争のむなしさ、愚かさを知ってほしいし、こんな辛い思いをして亡くなったたくさんの両国の若者たちのことを忘れてはいけないと思いました。イーストウッド監督作は苦手だったのだけれど、公平でクールででも暖かな視線は、この2作品に生きていました。なんだかクリント・イーストウッド監督に、ありがとうと言いたくなった。たくさんの作品賞の受賞がわかる、素晴らしい映画でした・・・。 |

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おっしゃるとおりです。皆はまり役で素晴らしかったですね。こんな映画をアメリカ人が作ったということに更に驚きが増します。この2部作は本当に素晴らしかった。イーストウッドに作ってくれてありがとうと言いたいですね。こちらからもTBさせてください♪
2006/12/16(土) 午後 11:05
謙さん以外オーディションだったんですかー。知りませんでしたが、キャスティング上手いと思ったのは、そこだったのかもしれませんね。加瀬亮は私も一番辛く感じた話でした。。。この作品、全ての日本人に観て欲しいですよねー。TB返しさせてくださいね!
2006/12/17(日) 午前 1:35
二宮くんは、蜷川さんや堤監督にもそのようなこと言われてたような・・・凄いですね。この映画を観てしばらくたちますが、なんだかしばらく映画が観れないくらいの力作です。TBありがとうございます、恋さん。
2006/12/17(日) 午後 3:14
Choroさんの言われるように、同じ戦争を両方の側から描いた二部作はいままで観たことないです。イーストウッド監督はやはり凄い監督ですね〜。TBありがとうございました。
2006/12/17(日) 午後 3:24
きちんとひとりひとりの出演映画なども観たらしいですね、ozbrogさん。いい演技者を見抜く力はさすがですね。加瀬亮の役は、なんともいえない気持ちになりましたね〜。
2006/12/17(日) 午後 3:26
父親たちの星条旗も素晴らしかったですが、フラッシュバックを多用した『父親〜』よりも、じっくり描いたこちらのが個人的には好きです。でも2作とも見応えある映画でした。日本人キャスト皆素晴らしかったと思います。アカデミー賞楽しみです。TBお返ししますね。
2006/12/22(金) 午後 11:18
自決から逃げる時に加瀬君を強く問うシーンと、加瀬君の死体を見つけた時と、シャベルを振り回す時と、ラストの担架上での表情・・・。やっぱり今でも忘れられないのは二宮くんですね。うーん。今後も楽しみな若者です。
2006/12/23(土) 午前 10:07
二作品を劇場で観たので、しばらく映画館に行く気になれないほどの脱力感に襲われました。特に硫黄島はメインキャストがみんな良かったですね、らぐなさん。
2006/12/24(日) 午前 2:22
表情で監督が思う以上のものを見せられる俳優なんでしょうね〜。いい役、いい作品に恵まれそうな人ですね、二宮くんは。彼は才能ある人を虜にするところがあるんでしょうね〜、saramiさん。
2006/12/24(日) 午前 2:26
キャストも皆、好演でしたね〜。とても良かったと思います。そして、ラスト、手紙が出てきたシーンは、涙なくしては見られませんでした(T_T)。
2006/12/26(火) 午前 9:32
私もイーストウッド出演作は観ていませんでしたが、監督作は観ているようです。バードや許されざる者など良かった。ミスティックリバーとミリオンダラーベイビーは苦手だったんですが、この二作品は凄い!と思い、イーストウッド監督に感謝の気持ちになるほどでした。
2006/12/26(火) 午後 3:03
かりおかさん。遅ればせながら観ました!!!!残念だったのは、観終わった後のトイレで、20歳くらいの女の子が、「ぜーーーんぜん面白くない。テレビで観た方がイイとか言ってるけど、よくわかんない」って言ってたこと。「戦争映画だ。面白いわけがないさ!なんか感じなかったん?」って問いかけたくなりました。
2006/12/30(土) 午前 3:38 [ - ]
面白かったり、感動したりはしないですが、嫌なものだなと思っていたのだといいですけれど。子供の読み聞かせを小学校で何年かしていますが、できるだけ授業では教わらないことを伝えたいと思い、戦争ものを中心に読んでます。恐ろしさを感じやすい時に知ってもらいたいなーと思って。私も小学生の時、はだしのゲンやガラスのうさぎなどを学級文庫で読んで、戦争はしてはいけないものだと強く思ったので。
2006/12/30(土) 午後 5:20
レビューを拝見して、鑑賞したときの内容が思い出されました。渡辺謙をはじめとした、俳優の熱演が光った作品でもありましたね。TBさせてください。
2007/1/18(木) 午前 6:57
硫黄島の戦いをアメリカ側と日本側からと二作品を監督したイーストウッド監督は凄い人です。アカデミー賞で受賞して、またいろんな人々にこの映画を観てもらって、どちらも同じ若者たちだったことを、若くして無念のうちに亡くなったことをしってもらいたいですね。
2007/1/18(木) 午後 8:59
ラストの手紙のシーンに思いが凝縮されていたように思います。淡々と描かれている中に、深い思いを感じました。トラバさせていただきますね♪
2007/4/26(木) 午後 10:25
日米両国とも、たくさんの若者が亡くなっていったのは本当に哀しいことですね。イーストウッド監督の思いが伝わる、凄い映画でした。TBありがとうございます。
2007/4/27(金) 午前 9:15
いやはやお見事な映画でしたよね。イーストウッドのお見事さも光りますが、役者さんも光まくり。二宮クンはホントいい役者さんだな〜、と感心してしまいました!
2007/5/31(木) 午前 0:41 [ lig*tm*n*2002 ]
ほんとイーストウッド監督にありがとうと言いたいですね。渡辺謙って体も大きくて見栄えしますね。私もバロン西というような人があの時代にあそこで戦ったなんてぜんぜん知りませんでした。遅ればせながらトラバ返し、よろしく♪
2010/2/15(月) 午後 9:40
凄い映画でしたね。この2部作以降も、益々素晴らしい映画を撮っていて、もう別格の人なんだなーと思いました。尊敬します。
日本人キャストもみんな良くて、俳優のいい演技を引き出すのが上手いなーと感心しました。
栗林中将やバロン西のような立派な人が当時の日本軍にいたことも知らなかったので、教えられました。
TBありがとうございます、じみ〜さん。
2010/2/19(金) 午前 0:09