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今年度アカデミー賞にノミネートされた「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品、21グラムを観た。監督のメキシコが舞台の「アモーレス・ペロス」は、ガエル・ガルシア・ベルナルが好きなので、何軒かレンタル店を探して見つけ出し、観賞済み。メキシコのリアルな生活感に溢れた映像は、汚い面も映し出して苦手なところもあったのだが、脚本の巧さには驚いた!いくつかの違うエピソードが絡み合って、様々な痛々しい物語をひとつの映画として描いていくのです。脚本はアモーレス・ペロス、21グラム、バベル、すべてギジェルモ・アリアガ。(評判の「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」も脚本を担当しているそうですね。今度借りてみたいです。) この21グラムも三人の全く違う人生を送っている人間が、悪意は存在しないが、痛ましい出来事によって、やり場のない思いを絡み合わせていくのを、時間軸をバラバラに繋ぎながら映画としてまとめていく力技で、観る側を一瞬たりとも緊張を解くことなしに映画に集中させるのに成功している。わかりにくい、という意見もあるでしょうが、シーンごとに繋がりのヒントも残されているので、わからないということはなかったです。どうしてそうなってしまったのかということを注意深く考えながら観ることができて、かえって私は良かった。そして、この映画は手持ちのカメラで撮影したそうで、ざらついた臨場感のある雰囲気が、日常どこにでも起きるかもしれないという不安感をこちら側に持たせているよう。 そして、この映画の三人の主人公は、ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベネチオ・デル・トロという、演技派の俳優たちが演じています。自分に降りかかった不条理な出来事による哀しみや怒りを、こんなにも表現することが出来るのか・・・と思わせるほどの渾身の演技。(この年のアカデミー賞に三人とも演技でノミネートされています。ショーン・ペンはミスティックリバーでですが、あとのふたりはこの映画の演技です。) クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)は、ふたりの娘と優しい夫と幸せに暮らしていたが、その愛 する家族を交通事故で失ってしまう。ひき逃げ犯は前科者のジャック(ベネチオ・デル・トロ)。 更生し、神を信じて真面目に働いていた矢先の不注意による事故だった。しかし、亡くなったク リスティーナの夫の心臓は、移植を待っていた大学教授のポール(ショーン・ペン)の命を救う。 このことがきっかけになり、クリスティーナ、ポール、ジャックは引き寄せられるように近づく …。(アマゾンより) 幸せな家庭を一瞬のうちに失くしてしまったクリスティーナ、その大きな哀しみをすべてポールは引き受けようとする。人のあんなにも凄まじい痛い感情を受け止めようとするなんて・・・。ナオミ・ワッツが極限の哀しみを背負ったクリスティーナを想像を超えるような演技で演じています。凄い。 しかし、ポールも妻がいて、移植前も移植後もあまりうまくいってない。妻は側に戻ってきたのに、いったん離れた心は修復できなかったのか。妻をシャルロット・ゲーンズブールが演じていたので、私はシャルロットが好きなので、なんで・・・と思ってしまったのですが、ちょっとポールの気持ちがわかりづらかった。 ジャックは神を信じていたのに、何故・・・。神は存在するのかしないのか?自分の内面と向き合い苦しむジャック。選ばれた試練なのか、神に見放されたのか、神は居ないのか・・・愛情深い妻(ホントに)がいながらも、ひとりで悩み苦しもうともがく。善い人間になりたかったのに、何故・・・。神への信仰の問題は難しいですね。 悪人は出てこないのに、悪いことが起こってしまう。何故?という思いが、心を支配していく。どの登場人物にも深い思いがあり、痛々しいのだけれど、見入ってしまうような映画でした。 それでも、人生は続く・・・。 (21グラムとは、人間が死ぬ時に21グラムだけ軽くなることから、「魂の重さ」と言われているそうです。)
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この映画は重かったですねえ。。21グラムの意味を知ると、ますますどっしり胸に来ました。この映画は役者さんたちが本当に素晴らしかったです!
2007/2/28(水) 午前 7:43
コレは良かった。しかし重かった。重い題材をいかに我々観る者に、すんなりと入り込ませるかが監督のウデの見せ所であって。こういう心と心のぶつかり合い、絡み合いのような映画大好きです。タイトルも印象的ですしね。TBしたいとこなんですが記事がありませんでした。(*´ー`)
2007/2/28(水) 午後 4:17 [ fuu*am*_am*28 ]
デルトロの犯した行為は何の感情も込み入らない法律用語でいえば「業務上過失致死」ということに成りますが…。何の落ち度もなく愛しい家族を奪われてしまったことを「赦せる」のか。悪意なく人の命を奪ってしまったことを「贖なえる」のか。「赦し」と「贖い」の狭間で引き裂かれるショーン・ペンの葛藤は見るものの心をわしづかみにします。「ミスティック・リバー」ではなくペンのアカデミー賞受賞は本作にこそ相応しかったのでは?TBさせていただきました^^
2007/2/28(水) 午後 11:48 [ 柴多知彦 ]
はじめまして! 21gは今まで観た映画の中で最も重く美しく心に響く映画でした!
2007/3/1(木) 午前 1:18
重かったですね。この映画ってパズルがだんだん完成されていくような感覚でした。でも良かったです。キャスト皆それぞれいい演技してましたね。TBさせて下さい。
2007/3/1(木) 午後 11:18
あまりにも重そうで敬遠していたのですが、マルホランドドライブでのナミ・ワッツの演技が素晴らしかったので観ました、恋さん。やはり絶望の極限の表現が凄かったです。凄い女優さんですね。
2007/3/2(金) 午後 3:19
重い題材でしたが、時間軸を変えることによって、こちらを冷静に考えさせるところがありました、fuuさん。アモーレス・ペロスもそうだったんですが、かすかにでも光をみせてくれるところが心に静けさを取り戻させてくれるので、そこが監督と脚本の上手いところなんでしょうか。
2007/3/2(金) 午後 3:23
cinema365さん、ミスティック・リバーではショーン・ペンはちょっと怖すぎて苦手でしたが、この映画でのクリスティーナの絶望を引き受けるポール像は、この中で一番難しい役どころだったと思います。監督作は以前から評判なので、まずはインディアン・ランナーからみたいなと思ってます。TBありがとうございました。
2007/3/2(金) 午後 4:13
travisさん、コメントありがとうございます。そうですね、誰も悪意はないのですが罪の意識や赦しという点を深く描いて、重く美しい映画なんですね。三人のキャストが揃ったのも良かったのではないでしょうか。アモーレス・ペロスやバベルもお好きなんでしょうか。バベル、観たいですね。
2007/3/2(金) 午後 4:17
どうしてそうなったんだろうと、ずっと考えながら観る映画でしたね、らぐなさん。だからパズルが完成したような心の静けさが観ている方にも訪れたのかもしれないですね〜。TBありがとうございました。
2007/3/2(金) 午後 4:20
映画館で見ましたが、上映中、ほとんど瞬きをしなかった(ウソです!)んじゃないかと思うほど、集中して見ました。買っておいたコーヒーも、飲めませんでした。すごい緊迫感でしたよねーーー。忘れられない映画です。
2007/3/14(水) 午前 10:06
映画館ではもっと緊張したでしょうねー、kuuさん。三人の演技は凄かったですね。集中しないと話が繋がらなくなりそうだったです。ひとりひとりがどれだけ辛かったのだろう・・・と考えてしまうような映画でした。TBありがとうございます。
2007/3/15(木) 午後 6:17
重い映画でしたが、この作風が好きです。ソダーバーグの「トラフィック」みたいなね。
2007/8/20(月) 午後 7:26
ソダバーグって「セックスと嘘とビデオテープ」しか観てないんですよね〜。なんとなく苦手かなーと思って。でもこの「21グラム」も重そうと敬遠してましたが、思い切って観たら、痛々しくも見入ってしまって。観てよかったです。ソダバーグも挑戦してみようかしら?
2007/8/21(火) 午前 9:58
いやー、久々に観ました。ドッと疲れました。映像は南米って感じで好きですね。
2008/12/14(日) 午前 1:58
もっさんさん、凄い緊張感の映画なので再観賞でも集中して観てしまいますよね。
この後、ショーン・ペン監督の「インディアン・ランナー」や「イントゥ・ザ・ワイルド」を観て、映画人として彼が多くの人に尊敬されるのがわかった気がしました。出演作品も選んでますよね。もっと観なければと思いました。
南米の監督たちの活躍も注目したいです。
TBありがとうございました。
2008/12/14(日) 午前 9:55
すごい映画でしたね。
監督、俳優、裏方、素晴らしい仕事だったと思います。
TBお願いします。
ポチ☆
2010/12/3(金) 午前 0:34
そうですね、日本人にはなかなかわかりにくい信仰の問題を扱った映画が欧米にも南米にも多いですね。ガエル主演映画の「キング罪の王」や私が気になっている韓国のイ・チャンドン、キム・ギドク、パク・チャヌクなどの映画も信仰の問題が描かれていたりするので私も読むといいのかもしれないです。(韓国はキリスト教徒の監督が多いかも)邦画でも「愛のむきだし」や「ゲルマニウムの夜」にキリスト教が関係していて珍しいと思いました。
TBありがとうございました、せんころさん。
2010/12/3(金) 午前 1:00