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後で観ようと思って撮ってあったビデオの中から、またフランス映画を。アニエス・ヴァルダ監督、サンドリーヌ・ボネール主演の「冬の旅」。いつか観ようと思いながらも、今になったのは相当厳しい映画なんだろうなーと感じていて、ちょっと観る勇気がなかったから。完全なる自由と完全なる孤独って・・・。寂しい気持ちになりました・・・。 映画は冬の南仏で、18歳の少女が寒さの中で行き倒れて死んでいる姿から始まります。まだ若く美しい彼女が、どうして真冬に放浪の旅をして凍死してしまったのか。亡くなる数週間前から、彼女と関わりを持った人々にインタビューをする形で映画は生前の彼女の姿を映しながらすすんでいきます。人々には彼女の死を伝えないで。大きなリュックを背負い、お風呂にも入らず垢まみれになって、もらった葉っぱを吸いながら、ヒッチハイクをしたり、テントを張って野宿したり、納屋に泊めてもらったり、時には仕事をもらいながらひたすらさすらっていた彼女。名前はモナ。大学まで出て秘書の仕事をしていたらしい。年齢は18歳。彼女が何人かに語ったのはそこまで。何故彼女が浮浪者のような生活をしていたのかは、ここでは全く語られない。 彼女に関わった人々の証言は様々。いい女だった、自由に生きている彼女が羨ましい、単に怠け者なだけだ、もっと彼女に何かしてあげれば良かった、葉っぱの切れ目が縁の切れ目だが盗みはしなかったからいい奴なんだろう、本当に汚らしくて怖かった、彼女のことを思うと泣けてくる・・・。その人の人間性が現れているようなコメント。彼女が何も語らない分、その人の心がそのコメントには映し出されているかのよう。結局、みんな、可哀想に思って一度は手を差し伸べるものの、彼女の頑なさ、自由でありたいという心を開けずに、だんだん面倒になって、彼女の心の奥の闇には踏み込んでいけなかった。 彼女も「楽して生きたい。」「人に使われるのはまっぴら。」「自分の生き方を私に押し付けないで。」「人に嫌われたって平気。」と、うそぶくのだ。 完全なる自由だったモナ。しかし、自由であることは、この社会ではこういうことなのかと怖くなった。まだ若く綺麗でいくらでも他の違う人生があっただろう彼女は、何故放浪の旅を選んだのであろうか? 人混みは嫌いといいながらも、ひとりだと誰かに話しかけてもらうのを待っていたようなところもある彼女。自由についてまわる孤独。個人主義も極めると、こんなに辛い生活になるのか。どんどん薄汚れ、すさみ、孤独になっていく彼女。うーん、やはり、厳しい映画でした・・・。 普通に生活していくのが、どれだけ大変なことなのか。でも、その普通の生活の中に、暖かさ、人との幸せな時間、希望、明るさもある。何で、こんな生き方を彼女は選んじゃったのかな。私もちょっと変なんだけれど、十代の頃は、下手したら野垂れ死にかもしれない・・・という恐怖があった。(まあ、そんなことは全くありえなかったんだけれど。おかしいですね。)彼女は自由で孤独だったけれど、自由と孤独を手に入れて、彼女自身としてはどうだったのかな?凄く高齢の目の見えない孤独なおばあちゃんとお酒を飲みながら笑い合っていたのは孤独なもの同志の親近感?嫌な目にあっても、仕方がないかのように淡々としていた。人生投げてしまったのかな。彼女を見ていると、きちんと生活する困難さを彼女から感じて辛くなってくる。でも、こんな生き方は寂しすぎる・・・。彼女も心を開いて、周りももっと親身な人がいれば・・・。 この話は実際にあった話だそうです。この映画でアニエス・ヴァルダはヴェネチア映画祭金獅子賞を 受賞。主演のサンドリーヌ・ボレールも最年少でセザール賞を受賞しています。それだけ人の心をざわつかせるような映画だったのかも。衝撃作です。 (アニエス・ヴァルダ監督作は他に「カンフーマスター」を観ました。ジェーン・バーキン、シャルロット、監督の息子、が出演で、この映画とは全く違った感じの映画でしたよ〜。40歳のジェーン・バーキンが娘の友人の10代の美少年と恋する映画。ありえない・・・。でも、ジェーン・バーキンだからねー。
サンドリーヌ・ボネールは「仕立て屋の恋」のヒロイン。全く別人ですね〜。綺麗な人は綺麗にしていたほうがいいね・・・。) |

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かりおかさん、お疲れサマです!(笑)これはまた超ヘヴィーそうですね…。観たいような観たくないような。自由って難しい題材ですよね。今月はスカパーでフランス映画特集なんですけど、まだ1本も録画してません@@@観たいのはあるんですけどね〜!今月は忙しくて…。録画だけはしたほうがよさそうですよね、かりおかさんのように!(^-^)v
2007/3/12(月) 午後 11:08
単純に、自由イコール幸福だといった見方をする人も多い今の世の中。記事を拝見すると、この映画では、彼女が、自由であっても社会から離れ、孤独になってしまうことで、どういう状態だったのかが描かれているようで、切なさが感じられそうです。実話というのは、驚きでもありますね。
2007/3/13(火) 午前 5:29
ラルフさん、超ヘビーでした。何だかへこみすぎて立ち直れない感じです・・・。観なきゃよかったんですが、こういう映画に限って気になって気になって。ついに観てしまいました。フランス映画は好きなんですが、続くと寂しい気持ちになりますね〜。最近は録画して後回しになりがちです。でも、フランス映画祭のチケットを獲ってしまったんですが・・・。
2007/3/14(水) 午前 8:16
swingさん、日本でも渋谷にいる汚ギャルとか、当てはまるのかもしれないですね。ニュースで、漫画・インターネット喫茶に寝泊りしている女の子の話を特集していて驚いたのを思い出しました。家賃が高くて部屋を借りれず、バイトしながら暮らしてるそうです。お風呂にあまり入れないから香水を持ち歩いてるって。彼女は頑張って働いてる子でしたが、この映画は、もっと自分から社会から離れ厭世的な分厳しい現実があったような。普通に暮らす幸せから何故離れてしまったんでしょうね・・・。ポリシーがあったわけでもなく・・・。
2007/3/14(水) 午前 8:23
この監督の作品は”5時から7時までのクレオ”を見ています。ガン恐怖症の女性が悶々とパリの街を歩き回る・・という作品。これとどことなく似ているかもしれません。フランス映画は私も好きですが、モノによっては見ているこちらも辛くなってきますよね。でも又見てしまう・・
2007/3/15(木) 午前 0:21
この映画は観た後にしばらくへこみました、カルさん。でも、ずっと気になっていたのです。同じ監督でも、ジェーン・バーキン主演の2本は、そんなことなさそうですね。
2007/3/15(木) 午後 7:27
完全なる自由というのは人間社会においては幻想なのでは?と思ってましたが。この記事読んで凄く興味を持ちました・・・ヘコむ映画なんですね。ちょっと探してみます。
2007/3/16(金) 午前 1:56
彼女にとっても幻想だったのかもしれません。ヒッチハイクしたり、同じヒッピー仲間と群れたり、仕事や寝床を借りるとコミュニケーションとってるし。女性というところと彼女の性格に私はへこんだのかも。吾妻ひでおの失踪日記は同じような状況だけれど、もっと素直な感じでしたよ、なかうさん。
2007/3/19(月) 午後 8:47