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ゲルマニウムの夜を観た。芥川賞を受賞した花村萬月の同名小説を映画化。監督の大森立嗣は本作が第一回監督作品だが、インタビューを見て驚いた。俳優の大森南朗そっくり!お兄さんでした。父の麿赤児と共に出演しています。主演は新井浩文。マイナーな作品ながらも、その年の映画賞を総なめにした「赤目四十八瀧心中未遂」の監督荒戸源次郎が製作総指揮を務めていて、一角座と名付けられたテント(上野公園、東京国立博物館敷地内)での上映でした。同じく荒戸さん製作の「どついたるねん」の上映も特設テントでしたね〜。当時、どきどきしながら観に行きました。テント芝居やテントで上映する映画を観るのが大好きなので、上映している時に行こうか迷ったんですが、この作品では行けませんでした・・・。 神への挑戦。あまりにも深遠なテーマを孕む問題作が映像となって観客に問いかける。真っ白な雪の中、黒い牛が歩いてくる。教護院の院長がラテン語で聖書を読んでいる。そんな院長の股間を朧(ロウ)が愛撫していた。やがて朧はアスピラントの教子と出会う。この世に神は存在するのだろうか。ゲルマニウムラジオの透明なイヤホンからは神の囁きが聞こえている。人間の欲望、肉体、精神の崩壊。カオスが全てを支配していくのだった……。(gooより) これは、原作を主人が古本で買ってきていたので、読んでみましたが、描写のキツさに途中までになってました。花村萬月さんは、壮絶な人生を潜り抜けてきた方なんでしょうね〜。そういった人が書いた小説だと感じました。聖も濁も混在していて、凄いです。 映画は、主人公の朧の頭の中までは台詞になっていないので、小説よりはあっさりでした。これであっさり!と驚かれるでしょうが・・・。好き嫌いがはっきり別れる作品です。こんな映画!と怒る人も多いかも。私はわりと大丈夫なんですが・・・。ただ、朧が世話する豚小屋や鶏小屋の匂いを想像すると、ちょっと辛かった・・・。 「匂いに善悪はない」と、朧が言ってましたが・・・。動物の匂いが駄目なんです・・・。犬や豚も酷い目に・・・。人間も犬も豚も変わらないと言うことなのかもしれませんが。 日本人には馴染みの薄いキリスト教の話だったので、ちょっとピンときませんでしたが、偽善的なものを憎む、そして神を試す、そんな彼が一番神に近いと言われる、というのはなんだかわかるような。イタリアで上映された時は、大スキャンダルだ!と地元の新聞に騒がれたようですよ。キリスト教徒の多い外国の方が反応が大きかったようです。(日本ではこの年のキネマ旬報邦画で10位でしたがマイナーな作品でした。) 描写が違いますが偽善を憎むと言う点で、「ライ麦畑でつかまえて」の主人公も思い出しました。(サリンジャーのこの小説は大好きでした。何度も読み返したものです。)ただ暴力描写、性描写がこの映画はサリンジャーと違って激しいですけれどね〜。屈辱と隠された暴力の中で育ち、復讐のように暴力で自分の育った教会を支配し神に挑戦してきた朧も、自分と同じような境遇の少年に救いを与えて、心に少しだけだが安息が訪れた?あれは安息とはいわないか・・・。「さあ、くその掃除だ!」とさっぱりと言ってたところに表れているような・・・。 新井浩文は、難しい役を巧く演じてましたね〜。台詞の言い方が自然で巧いのかな?キレやすく粗暴な感じも合ってたし。「俺の○○にさわるな〜!」とキレて言うのは予想通りで、ちょっと笑ってしまったけれど。自分からこの役をやりたいって言ったんですよね〜。この役は俺がやらなければならないと思ったんですって。監督はイメージが違ったらしいけれど「ジョゼと虎と魚たち」を観て、いいかもと思ったそうですよ。ただ、すごく男にも女にももてる役なので、そこまでフェロモンは感じられなかったかな?しかし、この難役をできる若手って思いつかない。(個人的にはひいきにしてる成宮くんにこそ、こういうのに挑戦してもらいたいものですが。やらないだろうな〜) 他に、石橋蓮司が変態院長を怪演、佐藤慶、広田レオナ、麿赤児、大森南朗が出演してます。弟の大森南朗はいつもよりもひどく情けない役柄を演じてますが、お兄さんの映画だから?小芝居するなと言われていたようで(脇だとしがちです。)変でもありませんでした。 原作の強烈な文章表現が映像化された分、見やすくはなったけれど、宗教的、哲学的な面は文章で読んだほうがもっとダイレクトに入ってくるのではないでしょうか。(まだ途中までしか小説は読んでませんけれどね。)映画自体は三池崇史監督作も思い出すような映画でした。三池監督も撮りたかったかもしれませんね。 (殺虫剤を吸うことによって死に近づいている神父は誰かな〜と思ったら、「闇のカーニバル」「ロビンソンの庭」の山本政志監督でした!町田町蔵主演の「南方熊楠」の映画がなくなってから、新作観てないですね〜。やはり仮設のドーム劇場で上映した「てなもんやコネクション」という映画が大好きになり、3回も観に行ったな〜と思い出しました。)
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僕もみました。原作を読んでたので、期待しました。あの主人公の俳優いいですよね。
2007/4/15(日) 午後 6:22 [ - ]
原作を読みましたので、いずれ映画も観たいと思っています。あの原作を読んだら頭をガ〜ンとやられてしまいました。なので、怖いものみたさ、かも。
2007/4/15(日) 午後 9:23 [ yk ]
先日WOWOWでやっていたので(もちろん深夜枠)録画しました。ちょっとパワーがついてからの方が良さそうな映画です。。^^;
2007/4/15(日) 午後 9:39
原作小説を読んでいますが、映画は未見です。原作作家の半生は、壮絶ですよね。映画のほうが、「小説よりはあっさり」だったのですか〜。それは、ちょっと意外な感じもしますね(^^;。
2007/4/16(月) 午前 7:53
ペロスさん、原作は描写が生々しくて激しいですね。昔なら一気に読めたんだけど、ちょっと途中になりました。新井浩文は冷静に役を掴んでましたね。目付きが合ってました。
2007/4/16(月) 午後 5:53
YKさん、朧の頭の中の言葉は映像にはなかったので、無言のところも多く淡々とした感じもありました。雪の風景というのもあるでしょうね。豚のシーンはリアルで参りましたが・・・。
2007/4/16(月) 午後 5:55
汚物にまみれて働いて、自分も支配され、その中から暴力によって神に挑戦していくという激しさがあるので。結局、何が・・・という感じではあります、恋さん。もっと希望のあるものを観た方がいいんだろうとも思います。
2007/4/16(月) 午後 5:59
花村萬月の文章や描写が激しいのですが、彼の頭の言葉は映画には表れないのです。無言のところも多い。だから、小説よりはあっさりと感じました。でも、生生しい描写は多いですが、swingさん。小説はまた読んでみます。
2007/4/16(月) 午後 6:03
花村萬月新井浩文大森南朗荒戸源次郎、個人的には全員ツボです!これだけでもう最高ってかんじ!確かに三池さんっぽいですね!(最近の彼の作品はイマイチですが…。)
2007/4/25(水) 午前 2:14 [ the**sal*_of_t ]
花村萬月は気になる作家でしたが、読むのに気力がいりそうですね。大駱駝艦も一回観た事があるし、状況劇場は後半の解散前ですが観に行ってたので、大森兄弟にもちょっと親近感あります。荒戸源次郎製作の映画、「ツィゴイネルワイゼン」は邦画で一番好きなので、私もツボでした。新井君は「青い春」で凄いと思ってましたよ〜。三池監督は、でも、この前「ぼっけいきょうてい」観たら、やはり強烈すぎでしたよー。
2007/4/26(木) 午後 4:44