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ケン・ローチ監督作品「SWEET SIXTEEN」を観た。 ケン・ローチはイギリスの監督さんですが、描くのはいつも、社会の最下層の労働所階級の人々。 ドラマティックには描かずに、リアルに社会の理不尽さを描いていて、ドキュメンタリーのようなドラマです。 昔、「ケス」を観て、あまりの救いのなさに呆然としたものでしたが、「麦の穂を揺らす風」も観賞したので、ケン・ローチ三作目に挑戦しました。 15歳の少年リアムは、親友ピンボールと学校にも行かず好き勝手な毎日を送っていた。そんなリアムには夢があった。それは一つ屋根の下で家族揃って幸せに暮らすこと。しかし、現在母ジーンはヤクの売人である恋人スタンのせいで服役中で、出所はリアムの16歳の誕生日前日。シングルマザーの姉シャンテルは母を嫌い、離れて生活していた。そんなある日、湖畔で理想的なコテージを目にしたリアムは、自分の夢を実現させようとその家の購入を決意する。カネのないリアムは、仕方なくピンボールとともにスタンからヤクを盗んで、それを売り捌くのだったが…。(YAHOOより) うーん、また厳しい現実に、虚しい気持ちになりました・・・。 でも、リアムは逞しく賢い少年です。そこが、救いかも。 彼は家を購入して、出所した母と、またやり直したい、きっと母は喜んでくれると思って、悪事に手を染め(それしか、お金を稼ぐ手段がなかったから)賢さ故にやくざに気に入られ認められ、でも、お金を稼ぐ何ヶ月かだ!と、言ってはいるけど、そう簡単には組織からは将来ぬけられないんだろうなーという予感も観ている側は感じてしまう。 こんなに賢い、母親思い、友達思いの子が、なかなか報われない社会なのだと、辛くなります。 そこまでして、頑張ったのに、母親はそのことが負担になるような弱い人だった。子供たちとの暮らしよりも、自堕落な生活に甘んじるような。姉はそれがわかりきっていて、見切りをつけていたみたいだけれど、(彼女もシングルマザーだけれど、可愛い息子を大事に育てているしっかりものです!)リアムは母親が恋しかったし、母親のことをとても心配していたのに・・・。答えてもらえない愛情は、どうすればいいんでしょうね。母は一見優しい人なので、リアムが愛情を期待してしまうのもわかるけど、それを受け止められない駄目な母親。こんなにけなげで立派な息子がいるだけで、頑張ろうと思えそうなものですが・・・。あんなに息子に愛情を向けられたら、答えてあげて欲しいんですけど。 友人のピンボールもずっとつるんでいる大親友なんだけれど、どこか危うい少年。盗んだ車で、たぶん無免許で、リアムと甥っ子を乗せてドライブに行った時には、ヒヤヒヤしました。まさか、ちびっ子載せて事故を起こさないだろうと。そんなに不幸な映画なのーと思ったら、そこまでじゃなくホッとしたけど。リアムは、その無謀さを止める理性も持ち合わせているんですが、やくざに認められたリアムと、追い払われ馬鹿にされたピンボールは、そのことで決定的に離れることになるのも辛かった。このふたり、15歳の親友どうしらしく、悪ふざけしたり、夢を語ったり、女の子を眺めたり、敵からかばいあったり・・・いい友達だったのに。彼のことも見捨てたりできないリアムだったのに・・・。このふたりや周囲の友人といるシーンなんかは、15歳の男の子たちの微笑ましくつるんでる感じが出ていてよかったんです。それだけに・・・。 リアム役は、オーディションを何ヶ月もかけて選んだそうで、ぴったりだったと思います。彼は本当はプロサッカーチームに所属が決まっていた人なんですが、この映画に出演して、俳優になる決意をしたよう。リアムみたいに賢く諦めないしっかりした少年みたいです。プロになるくらいサッカーが巧いなら、根性も情熱もある人なんでしょうね〜。なにやっても、そういう人は生きていける気がします。そういう逞しい力を持った人だから選ばれたんじゃないでしょうか。顔つきもいいですよね〜。 結末はわびしく哀しいものでしたが、リアムの逞しさがある限り、どこでもやっていける希望も見えました。彼のやり方は社会的に考えると、小さな子供のいる母親にもヤクを売ってしまうような酷い商売をしてるんですが、殴られようが、蔑まれようが、反発心と勇気を失わない彼は、弱弱しい存在ではないし。(「ケス」の少年は弱弱しくて救いがなかった・・・。) でも、彼のような見込みのある若者が、自由に生きていけない境遇にある社会でいいのだろうか・・・という問いも、ケン・ローチは社会に投げかけているようでした。 2002年カンヌで脚本賞を受賞しています。
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この監督の作品はロバート・カーライル主演のカルラの歌と
麦の穂〜を見ただけなので、他の作品も見ようと思っています。
イギリス生まれですが、アイルランド問題や移民問題にいつも
公平な目で描いていますよね。
あ。ところで”インランド・エンパイア”見ましたよん。
2007/7/24(火) 午後 4:55
この画像は何処かで見たことあります。雑誌かな?
やっぱり凹みそうですね〜(^-^;A でも今度挑戦してみます!
TSUTAYAにあればいいけど…「明日へのチケット」でお口直しもいいかもしれませんよ〜!あの作品だけ後口がいいのはナゼでしょうね??
観たらまた来ますね〜!毎日、子供さんのお付き合いご苦労様です!
かりおかさんの水着姿を想像しながら帰りま〜す♪
2007/7/24(火) 午後 9:49
お姉ちゃんがママを見切れたように,リアムもママを捨てられていればまた違ったと思うんです。でもリアムにはそれができない。実際の母親というより,理想の中の母を見ているような感じでしたね。母は自分たちを必要としていない,ということが薄々分かっているのに目を背けるリアムが痛かったです。
なまじ賢い少年だっただけに泥沼にはまり込んでいく感じが見ていて辛かった。
随分前に観たのですが,TBさせてくださいね。
2007/7/25(水) 午後 11:25 [ wxrfd775 ]
あー、ロバート・カーライル!無職の役しか観たことないですよね〜。「アンジェラの灰」も違う監督さんですが、気になってます!
「カルラの歌」もありましたね〜。ケン・ローチは社会派の監督さんですね〜。リアルで公平です。リアル過ぎてへこみますけれど、現実は厳しいのでしょうね。
私も観てきました!あとでうかがいますね。凄かったですね〜、カルさん!
2007/7/27(金) 午前 2:07
ラルフさん、この子たち、「明日へのチケット」にも出演してる子たちかもしれません。キアロスタミたちとの共作だから、いい感じだったんでしょうかね〜。観たい!と思ってましたので、借りてみますね♪現実は厳しいけれど、この子は逞しかったです。可哀想だったけれど・・・。でも、きっと逞しく生きていける子だと。
水着はみせれるものではありません^_^;腕だけ焼けて・・・。シミになってしまう〜。
2007/7/27(金) 午前 2:11
この映画、近々レビューUpしようと思ってた、珍しく昔映画館に行ってまで見た映画です。タダ券があったというだけで、無情報で行ったんですが、特に盛り上がりのあるシーンがあるワケでもないのに、何だか染み入るいい映画でした。
これがワタシが『ケン・ローチ』と言う監督を初めて意識した映画でもあります☆
2007/7/27(金) 午前 8:49
私は、これを観ると、リアムが可哀想で可哀想で、もうーやるせなくなってしまいます…!お子さんをお持ちのお母様がご覧になったらどう感じるのだろうと思っておりました。かりおかさん、どうもこの作品に納得されていない御様子。観ると確実に凹みます。
2007/7/29(日) 午後 3:46
wxrfd775さん、理想の母親像ですか・・・。この母親もそこが苦痛になってしまったのかもしれませんね。でも、リアムにこたえてほしかったですよね〜。あんなに愛情示されてたんですからね。。。でも、講演会で、理想の子供像を最近の親は求め過ぎてると言われたのも思い出しました。私もそうだと気付いたりして・・・。母息子の関係は難しいと最近痛感しています。
2007/7/29(日) 午後 10:43
anemoneさんも御覧になったんですね!ケン・ローチ監督作はリアルに問題を描いてますが、厳しく描くことで社会に変わってほしいという監督の切実な願いもみえるようですよね。だから心に染みてくる映画になっているのでしょうね。
観ると辛くなりますが、またケン・ローチ作品は観たいと思いました。
2007/7/29(日) 午後 10:53
mangoさん、若者どうしの楽しい様子などもあったので、この映画は大丈夫かな?と思ってましたが、甘かったです。やはりへこみました。リアムはけなげないい子だっただけに、境遇で不幸に陥っていきそうなのが可哀想でしたね。どんな親でも悪くはとれないのかなー。うちの息子も、家ではどんなに喧嘩してても、外で私を悪くは言わないですもんね。マザコン小僧と姉は言ってますが(笑)これから大きくなるにつれて難しくなるでしょうが、親子でも思いやりをもっていかなければと反省もしました・・・。リアムぐらい頼りになれば・・・と思ったりもして。でも、ないものねだりをお互いせずに、あるものでやっていきなさい!とPTA講演会で言われたのも思い出しました・・・。
2007/7/29(日) 午後 11:23