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「それでも生きる子供たちへ」を観賞。
オムニバス映画は、昨年も「パリ・ジュテーム」「ユメ十夜」など、好きな作品がありました。
短編小説を読むように観れるオムニバス映画、私は好みみたいです。
この映画は、ユニセフなどの賛同のもと作られた、世界7カ国の子供たちの現状を、著名な映画監督たちが描いたものです。
特に、私が好きなエミール・クストリッツア監督、ジョン・ウー監督、スパイク・リー監督、リドリー・スコット監督も参加しているというのを知って、是非観たい!と思っていた映画でした。
子供たちを取り巻く現実は過酷で厳しいものだったけれど、本当に「それでも生きる子供たち」なのでした。7本、どれも完成度が高く、胸が締め付けられるようなところがあるお話しで、7本観ていくうちに、最後のジョン・ウー監督作品では、涙が。。。けなげだけれど、子供たちはどんな過酷な状況でも、逞しく生きています。でも、観てると、やりきれないところもあり、すべての子供たちが、子供時代くらいは、笑いあって、楽しく平和な気持ちで暮らせるようになってほしいと願わずにはいられない気持ちになりました。。。
“世界中の子供たちの窮状を救うため”というイタリアの女優マリア・グラツィア・クチノッタの呼びかけにユニセフと国連世界食糧計画が賛同し、7ヵ国から7組8人の映画監督が参加、それぞれの国の子供たちの過酷な現実を独自の視点で描き出したオムニバス・ドラマ。(allcinema on lineより)
メディ・カレフ監督の「タンザ」は、大きな銃を手にゲリラ部隊の一員として戦闘にかり出されるルワンダの少年の物語。
この話は、一番深刻な物語でした。アフリカの少年兵のお話です。つい先頃に観た「ブラッド・ダイヤモンド」も思い出しました。違う部族に、両親や親戚、仲間を惨殺され、村を追い出された子供たちが、復讐のために武装し、兵士となって戦っているのです。小さい子供ですが、戦争なので、自分もいつ命を落とすのかわからないようなギリギリの状況でした。主人公の「タンザ」は、クールに見えますが、やはり子供で、昔宝物を隠した場所をみつけて、宝物を確認したり、違う部族の子供たちが遊んだり学校に通うのを、昔の自分に置き換えてみたり。。。やりきれないお話しでした。
メディ・カレフ監督は、アルジェリア出身の監督です。
エミール・クストリッツァ監督「ブルー・ジプシー」は、窃盗団家族に生まれ、親から盗みを強要される少年を賑やかな音楽に乗せて綴る。
クストリッツア監督らしいジプシー音楽の馬鹿騒ぎから始まります。結婚式とお葬式の列がぶつかり混乱しているのを笑いながら観ている少年たち。入っていく先は少年院でした。
少年院で理容師としての技術を身につけた少年は、もうすぐ出所ですが、外では、酔っ払って盗みを強要し、彼の頭を酒瓶で殴る父親が待っています。理容師になるという夢は守られるのか。少年は、少年院の方が、看守たちが何か問題が起きると悪い相手から守ってくれ暴力を止めてくれるが、外ではそうもいかないことに気付いていました。
刑務所の中の方が暮らしやすいと考えている若者がたくさん存在するということを、クストリッア監督はこれでいいのかと問題提起しているようでした。でも、そこはクストリッツア。逞しく明るく、賑やかな音楽と踊りとともに描かれていました。この映画も、実際にジプシーの少年たちがキャスティングされたよう。監督の作品「ジプシーのとき」という映画で描かれていたジプシーの少年たちの生き難さも、この映画にも描かれていました。
HIV感染者を両親に持ち、生まれた時からHIVに感染し、“エイズ・ベイビー”と呼ばれいじめられている少女を見つめたスパイク・リー監督作「アメリカのイエスの子ら」。
スパイク・リー監督は、やはり社会派なので、アメリカの問題点をクローズアップして、半ドキュメンタリーのように描いていました。
湾岸戦争の砂漠の砂作戦で体調を崩しているイラク帰還兵の父、その父にエイズを移された母、ふたりはそのやりきれなさからドラッグ中毒にもなっています。彼らの愛する娘もエイズに胎内感染していますが、愛するあまりそれを伝えずに育ててきました。自分たちがヤク中であるのも隠したまま。周囲は気付き、彼女の可愛さに嫉妬もあったりして、心無い苛めの言葉を彼女に浴びさせます。。。彼女は両親にとても愛されているのですが、家を一歩出た外の世界では、エイズであるということが、彼女を放っておいてはくれないのでした。外の世界で、強くあるためには・・・。
こういう家庭も少なくはないんだろうな・・・と思ってしまいましたが、ラストには生きる希望もみせていたように思いました。
カティア・ルンド監督の「ビルーとジョアン」は、廃品を集めて小銭に換え自活するブラジルの兄妹の物語。
「シティ・オブ・ゴッド」の共同監督だったカティア・ルンド監督作品。
廃品をより高く売るために、兄妹は遠い場所の廃品回収業者のところに行きます。しかし、遊びながら楽しみながら廃品回収をしているようなのですが、妨害にあったり、壊したものを弁償させられたり、リヤカーがパンクしたり・・・なかなか厳しい道程でした。最初に兄がやっていたゲームセンターのドライブゲームの感覚で兄と妹は、様々な困難を知恵を絞って乗り切っていきます。でも、観てて、なんだかとてもドキドキしてしまいました〜。この兄妹が損をしたり、酷い目にあうんじゃないだろうか・・・って。
日頃自分の子供たちを過保護にしてるので^^; お兄ちゃんの逞しさ、妹の利発さ、何より、けっして諦めず、生活の一部として頑張っているのに感心しました。実際にスラムで生活している子供たちでキャスティングされたそうですよ。
ジョーダン・スコットが父リドリー・スコットと共同で監督した「ジョナサン」は、戦場でのショックで幻覚にうなされるフォトジャーナリストが体験する不思議な出来事を描く。
この短編は他の短編とは、かなり色が違う作品に仕上がってました。現実的な他の映画と較べて、幻想的で不思議な仕上がりでした。リドリー・スコットと娘のジョーダン・スコットが、監督としての腕をみせたのでしょうか。。。
世界の過酷な子供たちの現状を写真で伝えているフォトグラファーが、自分は写真を撮るだけで、誰も助けて無いんじゃないかと、悩み苦しむ姿から始まります。ある日、自分の子供時代の友人が、子供のままで、滞在していた山荘の裏の森に何故か現れます。彼らを追いかけていくうちに、自分も子供に。。。そして彼らは。。。自分の子供の頃がこのように過酷だったのか、それとも子供として過酷な状況に身をおいてみるための幻想だったのか。。。この辺が曖昧に描かれてました。でも、伝えていく仕事の尊さや意味が、そこで彼には、また理解できたのではないでしょうか・・・。
イタリアのステファノ・ヴィネルッソ監督作「チロ」は、大窃盗団の最下層でたくましくも懸命に生きる少年の物語。
チロが影絵遊びをしている冒頭、子供時代、こういうふうに意味もなく影絵で遊びながら歩いていたなーと思い出しました。
家の収入のために、したくもない窃盗をしなければならないチロ。割り切っているのか、大胆な手口、戦利品を換金するときの不敵な交渉。。。でも、彼はまだ子供で、ラストにみせた寂しげな微笑みが、たまらなくニヒルで哀しかったです。チロ役の子がまたかっこいい!!!実際、貧困家庭で育ったストリートの子供たちがキャスティングされたそう。監督自身も子供時代は、彼らのように恵まれなかったと語っています。
移動遊園地って、楽しいけど儚げで寂しくて美しいですね。まだまだ彼らは遊園地で遊びたい年頃なのでした。
そして最後を締めくくるジョン・ウー監督の「桑桑(ソンソン)と小猫(シャオマオ)」は、裕福だけど愛のない家庭に暮らす少女と、貧しい老人に拾われた孤児の少女が、一体のフランス人形を介して不思議な運命に導かれていく感動作。
ここまで観てきて、この話を観たら、なんだか涙が止まらなくなってしまいました。。。
お金持ちだけれど、父は出て行き、母は沈み込み、たくさんの人形しか遊び相手がいない少女ソンソンと、道に捨てられて廃品回収のおじいさんに育てられた、まだ貧乏で学校にも行けない脚の悪い少女シャオマオ。ソンソンの寂しさとシャオマオのけなげさに、涙でした。。。
特にシャオマオには。。。こんなに過酷で最低の生活の中でも、明るく優しく生きているシャオマオ。
拾ってくれたおじいさんの愛情深さもあるのでしょうが、彼女自身の人としての良質な部分が、見習わなくちゃいけないなーと、こちらが恥ずかしくなるほどの素晴らしさでした。こういう子には幸せになってほしい!って思わされました・・・。
ジョン・ウー監督も「子供たちに教わることが多かった。」と語ってます。
ふたりは子役ですが、どちらも役柄と似た境遇で育った子供たちだったそうです。
広くいろんな人に観てもらいたい。どんな状況でも逞しくけなげに生きる子供たちの生命力も感じました。素晴らしい映画でしたよ!でも、やはりこういう状況で子供たちが暮らしていかなければならないという切なさもあるんだけど。。。
「人生って大変、ハー。」なんて大人が言ってる場合じゃないですね!この子供たちを見習わなくちゃ。恥ずかしいですね!本当にこの子供たちに教わるところの多い映画でした。
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観てみたいです。紹介ありがとう。
2008/5/22(木) 午前 6:31 [ ペロス ]
クストリッツア監督の子供をテーマにした作品って興味あります。
あまり子供をテーマにして撮った彼の映画って見た事ないので、どういう視点で撮ってるんだろうと。
2008/5/22(木) 午前 7:21
こんばんは♪
タイトルは聞いたことあったけど、こういうオムニバスだったんですね〜
これは絶対観たいと思います!
エミール・クストリッツア監督、知らないから楽しみです。
リドリー・スコットも最近作品を観たばかりなので、興味あります!
2008/5/22(木) 午後 11:57
この映画、題名が気になっていて、観る機会もあったのに見逃していました。これは、観ておいた方がよい映画だったのですね。レビューが見事なので、個々のエピソードの見応えのある内容が伝わってきて、映画のパワーを感じさせます。
2008/5/24(土) 午後 2:11 [ einhorn2233 ]
ペロスさん、完成度の高いオムニバスでしたよ。
子供たちの話なので、題材としては重いんですが、このくらいの長さで観やすかったです。長編にすると、どの話も、もっとヘビーな話になったかも。。。
観てみてくださいね。
2008/5/25(日) 午後 11:11
anemoneさん、いつものクストリッツアでしたが、子供でも、達観しているというか、可哀想というよりも逞しい感じでした。でも、賢い子だったので、他に生きる道が開ければ、違った人生にもなるんじゃないかと思われるような。。。なんとかしたいという監督の思いもありました。私が初めて観たクストリッツアの「ジプシーのとき」のジプシーの子供たちにも重なってみえました。
2008/5/25(日) 午後 11:15
ラルフさん、「シティ・オブ・ゴッド」の共同監督の作品もありましたよ。やはり、街の子供たちを役者として使っていたようです。
もっとそれぞれが長いと、もっと重い社会派の映画になりそうですが、世界全体での子供たちの窮状を広く知らせるには、いい映画だなーと思いました。小学校で行ってる「読み聞かせ」でも、こういった内容の絵本があったら、是非読みたくなるような話ばかりでした。
2008/5/25(日) 午後 11:19
einhorn2233さんが御覧になると、それぞれが短く物足りなくなるかもしれないですが^^; 広く知らせるためのオムニバスということなら、かなりいい映画だったと思います。
たぶん子供も観れるように作られていたのではないでしょうか。
学校で上映会があるといいんじゃないでしょうか。
しかし、もっと過酷で悲惨な子供たちは、哀しいけれど、世界に多く存在していますね。。。
2008/5/25(日) 午後 11:22
かりおかさん、お久しぶりです♪
これを観てから随分経ってしまいましたが、簡単にレビュー書きました。
ジョン・ウー監督作品、すっごく良かったですよ!!!
おじいちゃんと孫っていう設定には弱いです(^^;)
ホント、子供たちに教わることは多いです。
大人になるにつれ、卑屈になったり、逃げる方へ考えてしまうのかもしれませんね〜
TBさせて下さいねw
2008/6/20(金) 午後 8:44
ラルフさん、御覧になったんですね☆
オムニバス、好きなんですが、これは特にどれも監督の想いが感じられて、素晴らしかったように思います。
子供たちのけなげさ、過酷さの中に小さな幸せをみつけていく力に教えられます。特に、シャオマオはいい子で、泣けてきちゃいました。おじいちゃんと孫というと、中国映画の「變面」を思い出しました。似た設定で感動作でした。「ハイジ」なんかもそうですね〜。
TBありがとうございました!
2008/6/22(日) 午前 3:32