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韓国のイ・チャンドン監督の「シークレット・サンシャイン」を鑑賞。 私には、韓国映画の中で、絶対この監督の作品は観ておかなければ!と決めている監督が4人います。キム・ギドク、パク・チャヌク、ポン・ジュノ、そして、このイ・チャンドン監督です。 特にイ・チャンドン監督の「ペパーミント・キャンディ」と「オアシス」を鑑賞したときには、ハンマーで頭を殴られれたような衝撃がありました。深い深い魂の叫びを聞いてしまった自分にも戸惑いながらも、その映画体験は忘れることができなくなる強い体験だったと思います。 この「シークレット・サンシャイン」も、静かに静かに描かれているのですが、やはりその衝撃度は強くて、見終わってからこの映画について考えると、何を語るべきなのかも見失いそうなくらいの気持ちになってしまうのです。 夫を事故で失い、最愛の息子も殺され、それでも人生は続いていくヒロイン。胸が壊れて張り裂けそうな哀しみから、なんとか救い出されたくて、宗教の力に頼る彼女。私は本来無宗教で、何かにのめり込んで信じるという行為に懐疑的になってしまうところがあるのですが、「自分が生き難かったり辛かったら、宗教に頼るということは必ずしも悪いことではないんじゃないか。」と言われたことを、この映画を観ながら思い出したりもしました。 神に何もかも赦しなさいと言われたようにも思え、息子を殺した犯人をも赦そうとする彼女。 心に平安がもたらされたかに見えたのですが・・・。 「スキャンダル」のチョン・ドヨンが渾身の演技でカンヌ国際映画祭主演女優賞に輝いた感動の人生ドラマ。最愛の息子を失い、理不尽な運命に打ちのめされたヒロインの魂の彷徨と再生への道のりを、抑えたタッチで丁寧に綴ってゆく。心の救済を宗教に求めるヒロインを、愚直ながらも温かな優しさで見守り続ける不器用な男を「グエムル -漢江の怪物-」のソン・ガンホが好演。監督は「オアシス」のイ・チャンドン。 シングルマザーのシネは、幼い息子ジュンと2人で、亡き夫の故郷・密陽(ミリャン)に引っ越し再出発を誓う。地元の小さな自動車修理工場の社長ジョンチャンは、そんなシネと出会い心惹かれる。何かと世話を焼いてはシネの気を惹こうとするジョンチャンだったが、今も夫を心から愛しているシネは、彼を俗物男と評して冷ややかな対応。そしてようやく新生活も落ち着きを見せ始めたとき、思いもよらぬ悲劇が彼女を襲う。息子のジュンが誘拐され、全財産を身代金として渡したものの、結局ジュンは遺体となって発見されたのだった。絶望の末に、薬局の女主人に勧められたキリスト教への入信を決断するシネだったが…。(allcinema ONLINEより) その平安はまぼろしだったのか、それとも彼女の信仰心が足りないのか、教え自体が嘘なのか・・・観た人の判断に委ねられているのかもしれないのですが、私は赦せない彼女の気持ちが真っ当なんだろうと思えてしまいました。 「すでに神様に緩されている人を、どう私が赦すって言うの!」という叫びは、本当のところだろうと。 信仰心厚い人が観れば、修行が足りないということなのですか?取り乱し、そして、自分に恨み怒りを抑えさせる力を憎み冒涜してやりたいと思うのは自然な流れで。。。でも、本当は何もかも赦すという域に達するのが、本来の信仰心なのでしょうか。 痛々しく迷い続け苦しみそれでも人生を生きていく彼女を、静かながらも迫真の演技で演じたチョン・ドヨンが素晴らしい。この映画で、カンヌ映画祭で最優秀主演女優賞を受賞しました。 そして、「あなたは俗物よ。」と、愛する彼女に軽蔑されながらも、俗物として人生逞しく人生を考えすぎず生きている思いやり深い男性を、韓国の名優ソン・ガンホが演じて、また素晴らしいのです。 彼にとって、人生は重すぎず軽すぎず、彼女につきあって始めた宗教さえも、毎日の習慣として生活に取り込んでいくような柔軟さがある。重い人生を必然であるかのように背負ってしまった彼女とは、対照的な人物だと思いました。ある意味羨ましいような現実的な強さがある人物でした。 その激烈な苦しみからは抜け出ることはできないのかもしれない、でも、穏やかな日差しが優しく降り注がれ続ければ、時間がかかるかもしれないけれど、痛みは和らいでいくのかもしれない。そんなふうにも思わされるようなラストでした。 どんなに辛い人生になったとしても、続いていくのです。それは、神の試練なのか、ただただ彼女の人生に降りかかってしまったことだったのかは、わからないのですが。 宗教と人間について、人生について、思いを馳せてしまう映画でした。 (イ・チャンドン監督は、2003〜04年に韓国の文化行政トップである文化観光部長官を務め、5年ぶりに発表したのが、この「シークレット・サンシャイン」だそうです。)
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記事を読んでとても観たくなりました。最近映画から少し遠ざかっているのですが、色々な方面での感情豊かなものを色々とまた観たいと思いました。
この映画のソン・ガンホが観たくなったのかもしれません。激烈な苦しみを感じようと思ったのかもしれません。色々なものを感じられることはとても大事なことですね。楽しみに観てみたいです。
2009/4/23(木) 午後 10:22
心にザクザクきそうです。
ちょっと記憶に無かったんですが観たいですね♪
2009/4/26(日) 午後 2:34
観ている間は、意外と淡々としていたんですが、観終わった直後には、感情的なものが心にきてしまいました、shoesさん。
ソン・ガンホは、元々持っている良い資質が、あたたかさと可笑しさをかんじさせるんでしょうね。山田洋次監督がこの映画を観て、「寅さん」とソン・ガンホを評していたのも納得かも。。。
2009/4/29(水) 午前 10:32
カンヌ映画祭でチョン・ドヨンは主演女優賞を受賞したそうです。
チョン・ドヨンは韓国の若い女優さんたちが目標にする体当たり演技の女優さんですが、いつも気取らないいい人みたいですね〜。
「ユア・マイ・サンシャイン」「スキャンダル」「ハッピー・エンド」と違う表情で凄いです〜。未見ですが「わが心のオルガン」などでもまた違うみたいですね!
2009/4/29(水) 午前 10:46
ラストはそうですね。苦しみを抱えたまま、憎しみも捨てきれないままのヒロイン。
だけど、支えてくれる人がいて、土地の人との交流もあって、タイトルにもある柔らかい日差しを浴びていれば、いつかは心が穏やかになる日があるかもしれない。
そう信じたいですね。「赦す」とうことについても考えさせられました。
TBさせてくださいね。
2010/2/2(火) 午前 8:26
この記事「赦す」が「許す」になってました^^;
直しときました、すみません!
無宗教ですが、何か神について逆説的に語っているような映画が、映画を観ていると観る機会が多くなります。そのたびに、はっきりとした答えはなくこちらに投げかけられるような感じになり、何かいろいろ考えさせられます。
この映画も凄い映画でした。。。
TBありがとうございました、pu-koさん。
2010/2/2(火) 午後 4:14
思い出されたという映画のタイトルを観て、とても納得してしまいました。この作品は宗教に踏み込んでいたので、どう扱うのかじっと観ていましたけど、そうか、そのアプローチの仕方があったか・・・と、唸ってしまいました。。
凄い作品、また観ちゃった、という印象です。
トラバさせて下さいませ。
2010/2/20(土) 午後 11:15
映画を観ていると、本当に凄い!って思う作品を観てしまうことがあって、それが映画鑑賞がやめられない原因のひとつでもあるのですが、この作品はまさにそういう作品でした。
赦せばなんでもしていいのか、なんでも赦せるのか・・・難しいですね。いろんなことを思ってしまいました。
イ・チャンドン作品、激烈ですが一筋の救いを見せてましたね。
TBありがとうございました、恋さん。
2010/2/22(月) 午前 0:16