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「春風沈酔の夜」を東京フィルメックスという映画祭で鑑賞。有楽町マリオンでした。 東京フィルメックスは、毎年観たい作品が多いのですが、銀座という場所が遠く感じられて、行ったことがありませんでした。でも、この映画祭で上映された観たい映画はなかなか一般公開されないし、DVD化もなかなかない。DVD化されても近所のレンタルには置いてない・・・という映画ばかり。。。 ロウ・イエ監督の「春風沈酔の夜」が、どうしても観たかったので、映画祭のチケットを獲りました。 観たら・・・なにか胸がいっぱいになりました・・・。「ブエノスアイレス」や「欲望の翼」みたいな絵もありドキッとしたり、5人の男女の思いの先が見えなくて、画面に釘付けでした。カンヌ映画祭で脚本賞を受賞したそうですが、それも納得でした。 解説: 現代の南京を舞台に、中国ではいまだタブー視されがちなホモセクシャルを重要な要素として、5人の男女の錯綜する関係を物語る。スリリングな心理サスペンスが仕掛けられ、カンヌ映画祭コンペティションで脚本賞受賞。(東京フィルメックスより) この作品の前に作られた「天安門、恋人たち」で、天安門事件を背景にしたテーマや性描写が問題とされ、中国当局から5年間の映画製作禁止を命じられてしまったロウ・イエ監督。 そのため本作の南京での撮影は、ハンディーカメラでゲリラ的に敢行。当局の検閲を受けずにカンヌで上映されたそうです。 ロウ監督は、「中国の映画人が、自分の構想を自由に作品にできるようになれば」「性は自由で自然な営み。いかなる拘束も受けてはならない」と話していて、その証明のように作られたのが、この「春風沈酔の夜」という映画でした。 NHKスペシャルのチャイナパワーの回で、大作の映画作りについて語られていましたが、ロウ・イエ監督の映画つくりは、まさに対極にありますね〜。 映画の冒頭は、男性ふたりが郊外にドライブに行くシーンから。どうも、恋人同士で、密会をするために郊外に泊まりに来たらしい。。。ごく普通の男性ふたりに見えましたが、いきなりのベッドシーンから。 本当に普通の人たちに見えたので、びっくりしました。ウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」では、美しい男ふたり(レスリー・チャンとトニー・レオン)だったので、この普通さにちょっと違和感。。。ウォン・カーウァイのスタイリッシュさに較べて、ロウ・イエは、ドキュメンタリータッチの映像で、かえって生々しい感じがしました。 どうも、この同性愛カップルのひとりの奥さんが怪しんで、いわゆるフリーター?のような青年を素人探偵で雇って、尾行させていた模様。奥さんは女子高の国語教師、ご主人は古本屋の主人らしい。いわゆるインテリ夫婦。まさか男性と逢引しているとは・・・。相手は旅行代理店に勤めている様子。怪しまれないように、友人として紹介するといって、奥さんと恋人と一緒に食事をするご主人・・・。しかし、奥さんは逆上して、次の日に相手の職場に乗り込んでののしりまくりでした(@_@;)ののしられた彼はすっかり嫌になり、連絡を絶つ。恋人からも拒否され、妻とも関係が破綻したご主人。 フリーターの彼は、貧しい工場勤めの女の子が恋人。しかし、尾行した同性愛カップルの片方が気になりだし、夜の街を彷徨う彼をまた尾行する。南京には、あんなアンダーグラウンドなゲイバーなどがあるんですね〜。すっかりディープな世界に驚きました。その世界に入っていくと、普通の会社員に見えた彼がすっかり輝き出し、とても魅力的な人になっていきます。よく観ると、彼はチャン・チェンにも似てる♪ そして、「有名な女装の人!」とゲイバーで紹介され、女装し、ステージで歌うのです。 ちょっと残念だったのが、この部分。女装してかつら被るのに、髪が乱れたままだし、歌が有名人のわりに下手でした。。。もっと「ブルーベルベット」のイザベラ・ロッセリーニや、たとえば歌手の時のレスリー・チャンみたいにキメてくれたら、もっと良かったのに・・・。ここだけ不満でした。 好奇心で近づいた若い彼は、彼に近づいて、彼の部屋まで行きます。レスリー・チャンにちょっとだけ似た顔立ちの彼は、「欲望の翼」をきどって?下着姿で踊るのです。(もちろん、レスリーのほうが断然素敵なのですが・・・。)からかい半分か、本当に魅了されたのか・・・。 工場勤めの女の子は、工場長に可愛がられていますが、不法就労のガサいれで工場長が警察に捕まり、彼女は工場長を助けるために、保釈金を持っているであろう工場長の友人に自分を犠牲にして・・・。 恋愛で傷ついた女装の彼と若いフリーターの彼は、ともに小旅行に行こうとしますが、そこに傷ついた彼女が加わり、男性ふたり、女性ひとりの小旅行が始まります・・・。 五人の男女の思いが錯綜して、次に彼らがどんな行動をとるのか、全く読めない。ゲイの彼を女性に紹介する・・・という行為が続きますが、ゲイの彼は本当は嫌だろうに拒否できない、女性も面白くないだろうに、すぐには言えない、紹介した本人は、やはり彼を女性とは見てないんですよね〜。可哀想でした。 でも、一番ズタボロになってしまったゲイの彼と工場づとめの彼女が、とても美しく優しい人たちだったんですよね〜。それを思うと泣けてしまいます。。。 結局、中国で同性愛者だって認めて生きていくのは、本当に大変なことだと思うんですが、彼は強く認めて生きていく決意をして終わるんです。この思いが、ロウ・イエ監督の中国での映画製作の思いと重なって見えて、感動もしました。 俳優さんたちは初めて観たひとたちばかりでしたが、それがかえってリアルさもあって良かったです。 これを有名俳優で綺麗に撮ったら、美しく作り物になりすぎちゃったかもしれない。。。 どんなに心身ともにズタズタになっても、睡蓮の花のように、この世を漂いながら生きていく・・・という儚さと美しさと哀愁に満ちた映画でした・・・。 題は、魯迅に並ぶ中国人作家・郁達夫の著書から命名。郁達夫は南京出身の作家で、ロウ・イエ監督が好きな作家だそうです。物語の中で、その詩が何度も繰り返し読まれます。 「高校生の時にこの小説を読んだ。そこに描かれていたのは、人と人の間のなんともはっきりしない感覚。愛なのか、それとも愛と呼べないのか、非常に曖昧な雰囲気。創作において、そこから私は非常に啓発を受けた。」そうです。一回観ただけなので、読まれた小説の詳細がよくわからなかったのが残念。知っていれば、更にこの世界に入り込めるかもしれませんね。 そして、ロウ・イエ監督は、「特に、フランスのヌーヴェルバーグや日本のヌーヴェルバーグの映画の影響を強く受けた。この映画は純粋なラブストーリーで、人と人との間の本当に身近に起こる具体的な日常のこと、そういうものを描いている。ヌーヴェル・ヴァーグの特徴だと思うのは、カメラと被写体の間に何も存在しないところ。映画を撮る最初の動機というのは、そこにいる人物の顔をしっかり撮りにいくこと。」と東京フィルメックスで語っていました。 とてもよい映画だったのですが、まだ日本公開が決まっていないのは、残念です。。。 追記!!!2010年11月6日より渋谷シネマライズで公開決定です! 順次全国公開予定です。横浜ジャック&ベティでも公開あるようなので、また映画館でこの世界に浸りたいです。 カンヌのレッドカーペットでの監督と、主演のふたりです。このふたりの俳優さん、好きになりました! |

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かりおかさーん、これ、とってもよかったですよねー。
ウォン・カーウァイの映画が大好きな私たちはやはりロウ・イエにもココロつかまれるんですよねー。
キレイめすぎない俳優陣がむしろリアルで痛々しい感じでよかったですよねー。
監督は一見、素朴な感じで、こんなに繊細に大胆な映画を撮りそうには見えないというギャップが面白く、お話をきいてその信念にも感激しました。
中国にもロウイエのような映画人がいることが嬉しいです♪
2009/12/5(土) 午前 2:13 [ かえる ]
うわ。ウォン・カーウァイ作品が大好きな私には、たまらない記事です。。DVDでも置いてないか是非探してみます・・・って出てないのかしら。。^^;
2009/12/5(土) 午後 10:24
かりおかさん、よかったですねぇ・・・この作品、ご覧になれて・・・
ワタシ、今回の東京フィルメックスは予定がつかず、観たいもの、全滅でしたからぁ・・・(泣)何が観たかったかって、この作品以外があろうかってほど観たかったのに・・・ものすごく残念。やっぱり、日本公開未定なんですね・・・ああああ・・・
2009/12/6(日) 午後 3:28
かえるさん、最初ロウ・イエ監督独特のドキュメンタリータッチの映像でゲイカップルが出てきて、これはリアルすぎる・・・と思いましたが、南京のアンダーグラウンドな世界にカメラが潜り込んでから、江城役の秦昊(チン・ハオ)の魅力がぐっとあがってきて、おっしゃるとおりレスリーの雰囲気でチャン・チェンの面影で!もっと生々しく痛い「ブエノスアイレス」にも思えてきて、堪らない思いになってしまいました。そこに、2人の女性の辛さと痛さと虚しさが絡んできて、目が離せなくなってしまいました。。。
時間が経つほど、いい映画だった・・・と思います。
時々、郁達夫の小説が朗読され、漢字で映像に映されるのも、趣があって、胸が熱くなりました。
私は監督の舞台挨拶の回は観れなかったのですが、後で読んで、ヌーヴェルバーグの話や中国での映画製作のお話も興味深かったです。
観に行って良かったです。
かえるさん、TBありがとうございました!
2009/12/7(月) 午前 1:04
恋さん、この映画祭では一般公開前の作品を上映しているので、まだ残念ながらDVDはないんです。一般公開も決まってないそう。
俳優さんたちも初見の人でしたが、それが更にリアルに見えて、かえって映画に入り込めました。一番綺麗で優しいふたりの心がボロボロで・・・。ざらついてリアルなもっと痛いウォン・カーウァイでしょうか。両監督とも、フランス映画みたいなところがありますが。。。
ロウ・イエ監督作品は「パープルバタフライ」や「ふたりの人魚」も良かったです。これはレンタルあると思います。
2009/12/7(月) 午前 1:13
SECBONBONさん!この映画、絶対お好きだと思います!
一番下の蓮の花の刺青を入れている彼の写真を観てから、この映画が観たくてたまらなくなって、東京フィルメックスで唯一チケットを獲りました〜。他にも観たいのはたくさんあったのですが、あえてこれにしました♪ロウ・イエ監督作品も好きだったので。。。
映画作りを中国当局に禁止されたロウ・イエ監督の、自分に正直に映画を撮り続ける決意と、この蓮の花の刺青をした主人公の決意が重なって、熱い思いも見えるような映画でした。
主人公のチン・ハオは、この映画で観ると、レスリーのような危険な魅力もありチャン・チェン似の顔立ちでもあり、素敵でした。
2009/12/7(月) 午前 1:31
あぁ〜確かにチン・ハオさんチャン・チェンにも似ていますね。南京にもあんなゲイバーがあるとは知りませんでした。
そしておっしゃるように歌はもっと決めて欲しかった。あれ?っと思いましたもの。
「儚さと美しさと哀愁」ほんとそうですね。ロウ・イエ監督の他の作品もみてみたいです。
トラバさせて下さいね。
2012/5/21(月) 午後 9:09
じみ〜さん、TBありがとうございます。
映画祭で観て、かなり気に入った作品だったので、一般公開されて嬉しかったです。ロウ・イエ作品は、いつも何か心にひっかかります。
中華系の映画はなかなか日本公開されるまで時間がかかるので、見逃しそうですが、原点なので、気がついたら観たいといつも思います。
2012/5/26(土) 午前 0:23