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心に響く作品という記事をいくつか拝見したので、以前から気になっていた「ミスター・ロンリー」を観賞しました。 とても繊細な映画だと思いました。 弱冠19歳で書き上げた「KIDS/キッズ」の脚本で“恐るべき子供”と注目を集めたハーモニー・コリンが、「ジュリアン」以来8年ぶりに手掛けた監督第3作。有名人のそっくりさんとして私生活でも他人を演じ続ける人々が共同生活を送る古城を舞台に、繊細で不器用な男女が織り成す奇想天外にして切ない人間模様を綴る。主演は「天国の口、終りの楽園。」「ダンシング・ハバナ」のディエゴ・ルナ、共演に「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」のサマンサ・モートン。 マイケルは、幼い頃から自分に対する違和感を抱え、いつしかマイケル・ジャクソンを演じることでようやく生きていられる不器用な青年。仕事としてモノマネを披露している時はもちろん、それ以外の時もずっとマイケル・ジャクソンになりきって生活していた。ある時、老人ホームでの仕事の際、彼はマリリン・モンローとして生きる美女と出会い、恋に落ちる。彼女は夫のチャップリンと7歳の娘シャーリー・テンプルと一緒に、スコットランドの古城で他のモノマネ芸人たちと共同生活を送り、彼らと地上最大のショーの実現を目指していた。そんなマリリンに誘われるまま、スコットランドへと向かうマイケルだったが…。(allcinema ONLINEより) ハーモニー・コリン監督作・脚本作は、とても気にはなっていたのですが、題材があんまり好きじゃないかまたは自分のネガティブな部分に反応するような、観終わってあまりいい気分にはなれそうもないかな・・・と勝手にまた先入観を持っていたので、いままで観賞してきませんでした。観ないとわからないものなのに。。。でも、この「ミスター・ロンリー」は、少し大人になった監督が撮った作品で、ずっと自分以外の人を物真似している人々(インパーソネーター)のことを描いた作品ということで、観たい!と思い観賞しました。 子供の頃から、自分自身でいることに違和感を感じ、自分があまり好きでなく、憧れの人物になりきって生活しているインパーソネーター。私も演劇に興味を持ち始めたのは、演劇の舞台上での自由さにほっとできたというところから始まったというところがあったので、この気持ち、わかるような気がしました。 ただ、舞台上の役柄って、(映画の役でもいいんだけれど。)自分が脚本や監督しているわけではないので、その役柄になってその場を生きても、必ずしも自分の好む役柄を演じ続けるわけにはいかないのです。その点、物真似芸人として、日常も生き続けるということは、ずっと憧れの人物のままで、嫌いな自分を消して生きていけることなのかな?と思いました。ここまで徹底してしまった人たちって・・・。 その憧れの人物だったら、こんなふうに行動したり発言したりできるんだ!となるのでしょうが、それは、本来の自分を嫌いといいながらも、かえって、自分にこだわってる人なんだといえるんじゃないでしょうか。自分自身を守りたい、壊されたくない、と感じすぎて、鎧を着けているような。。。本来の自分は隠されたままなので、それでは自分自身としての人生はからっぽになってしまうかもしれない。その苦しさも、また悩みになってきたり。。。ギャップに苦しむのか、もうギャップを当たり前のこととして割り切って暮らしていくのか・・・難しいようで、こんなことは人によっては簡単なことだったり・・・。わけて考えないで、それも自分として受け入れていくのか。 自分って何か、虚構に夢中にならずに自分の人生を充実させることを考えたら?って言われたことを思い出したり・・・なんとなくいろいろなことを考えてしまいました。 そもそも自分っていうものにこだわるのが馬鹿らしい、自分であるなんて何の意味があるのか?ただ生活していく、それだけで充分なんじゃないか、もっと人って単純なものでいいんじゃないか、動物たちが自分にこだわってるの?・・・そんなところまで考えていくときりなくなってくるんですけどね。。。 もうひとつ、パナマの修道女が、飛行機で貧しい人々に物資を撒いていたところ、一人のシスターが誤って飛行機から落下。絶体絶命かと思われたのですが、神に祈ったところ、奇跡がおき、シスターが助かったというお話が同時進行していきます。他のシスターたちも、試してみると、みんな飛行機から落ちても無事生還。その奇跡をローマ法王に見せることになると・・・。見返りを求めず、純粋な気持ちでいるうちは、奇跡が起こるのに。。。純粋な信仰心を考えさせられるような、または人生にいいことばかりは続かないのだと言っているかのようなビターな寓話が挟まれています。ブルーの修道服を着たシスターたちが、スカイダイビングのように空に舞っている姿が美しく印象に残りました。 マイケル・ジャクソンの物真似をする若者をディエゴ・ルナ。ディエゴは、ガエルと出演した「天国の口、終わりの楽園」でも繊細で優しい感じがあったので、この役柄には良かったんじゃないでしょうか。 繊細過ぎて、彼の心を壊しちゃいけないような気持ちになるくらい、内気で優しい彼。派手なパフォーマンスと対照的な静かな語り口でした。 サマンサ・モートンがマリリン・モンローとは、最後クレジットでるまで、よくわかりませんでした。 それだけマリリンになりきっている女性になりきっていて、明るく可愛らしいお色気のマリリン、その裏側にある寂しい心、心の部分にシンクロしてしまった女性を哀しく無邪気に演じてました。。。 エージェント役にレオス・カラックス監督!曲者だけれど2枚目な雰囲気です。俳優でも充分やっていけそうな渋さ、かっこよさでした。 そして、チャップリンにカラックス監督の分身のようなドニ・ラヴァン。少年だったのに、一気に老けて、怪優になってきましたね〜。「TOKYO!」のメルドも怖かったけど、このチャップリンも怖かったです・・・。 神父、ちょっと胡散臭い感じだなーと思っていたら、ヘルツォーク監督だったんですね^_^; 「ミスター・ロンリー」の歌、首吊りの歌・・・映画の中で、音楽が強く心に響いてきました。
聴きながら、泣けてくるような・・・。音楽の力も感じた映画でした。 どこを切り取っても美しい詩的な映像も魅力です。 |

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