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11月末に映画館で「ブラインドネス」を観賞しました。 「ナイロビの蜂」のフェルナンド・メイレレス監督が、ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説『白の闇』を国際色豊かなキャスト陣で描いたパニック・サスペンス。ある日突然失明する謎の病気が感染症のように世界中に蔓延していく中、隔離施設に閉じ込められた発症者たちが極限状況で露わにしていく様々な人間の本性を寓話的に描き出す。主演は「エデンより彼方に」のジュリアン・ムーア。日本からも「CASSHERN」の伊勢谷友介と「寝ずの番」の木村佳乃が参加。 ある日、車を運転していた日本人の男が突然視力を失い、目の前が真っ白になる事態に見舞われる。しかし、彼を診た医者によれば、眼球に異常はなく原因は不明だった。その後、同様の患者が各地で続出、混乱が広がっていく。感染症の疑いが濃厚となり、政府は緊急隔離政策を発動し、発症者を片っ端からかつて精神病院だった隔離病棟へと強制収容していく。最初の患者を診た医者もやはり失明し、隔離病棟送りとなるが、その際、医者の妻は自分も失明したフリをして夫に付き添うのだった。彼女だけは、なぜか失明を免れていたのだ。こうしてただ一人、目が見えていながら隔離病棟内に入り込んだ医者の妻は、やがて想像を絶する惨状を目の当たりにするのだが…。(allcinema ONLINEより) 観ている間は、どうなってしまうんだろう?とハラハラしながら観ていましたが、視力が突然なくなり、介助してくれる人もいない状況は、不安で怖ろしいことだと、自分におきかえて観てしまいました。 観ていて、妙にリアルで、いつ自分の周囲でこういうことが起こってもおかしくない世界にいるのかもしれないと思ったり。ただ、たとえこのような事態になっても、人は助け合って生きていくものなのだと思っていたい気持ちもあるので、観ていて辛かったです。 たとえば、この目医者さんは、一生懸命みんなのことを考えて、極限の状況にあっても、よりよく暮らしていこうと考えて行動しているのに、そういう人もいれば、大事な食料を銃の力で独占し、酷い要求をつきつける独裁者きどりの人間も出てきたりもする。同じ状況におかれても、人はこんなにも違ってしまうのかと、やりきれない気持ちになりました。作ったお話ではなくても、世界でこういった理不尽なことは常に行われているわけです。そんな中で自分や大切な人が生き延びていくのはどうしたらいいのか。従うべきか、戦うべきか。何も見えなくなった分、人の心の部分がクローズアップされて描かれていたように思えました。 だから、そんな状況だったからこそ、心の繋がりが大切になっていたのでしょうね。目医者の夫婦は、日常的にも信頼しあって暮らしていた様子が描かれていました。ご主人のお世話をこまめに焼いてきた妻。このお医者さん、とってもいい人だったからこそだと思いますが、以前からお互いがとても大事な存在だったと思わされました。日本人の夫婦も、最近の暮らしでは、すれ違っていたのかもしれないけれど、いろんなものがなくなってしまって、出会いの頃のお互いを思う気持ちを思い出して一緒にいることができたのは、この凄惨な物語の中での救いでした。 人種や見た目やステイタスは関係なく、人としての心根が極限状況でのあり方に影響していました。でも、大事な人を守るためには、悪にもなれるところも描かれて(たとえば、スーパーマーケットでの医者の妻)ただただ理想を描いただけでないところが、凄いと思いました。 ただ一人、見えるという役柄のジュリアン・ムーア、熱演でしたね。目が見えるといったって、相手は銃を持っているのだから、生きていくには慎重にもなるでしょう。みんなの面倒を見て、目が見えることを告白しようかと思って葛藤するようないい人でも、慎重になるだろうと思いました。 マーク・ラファロは、本当に人を救いたい気持ちを持った、根っからのお医者様にぴったりの優しさでした。自分に力がないことを辛く思って、でも、みんなのことを妻のことを考えて。 ただこういう立派な人に、コンプレックスを持ち、憎む人物も出てきてしまうんですね。その人物をガエルくんが演じて・・・。「第三病棟の王」だって。いままで演じた中でも極悪な役柄でした。うーーーん、ショックだけど、こういう役柄、演じがいがあるんだろうなー。。。 日本人夫婦の伊勢谷と木村佳乃は、出演シーンが思った以上に多くて、生き延びていくための小さなグループの一員にも加わって、頑張ってました。(でも、英語は良さそうだったけれど、日本語の台詞だと、なんであんなにくだけちゃってたのかな?) 娼婦と少年の親子のような優しい繋がり、黒人の老人がイラついた人々の心を癒すためにラジオで音楽を聴かせる優しさ・・・ほとんど酷い状況が描かれてる映画でしたが、少しだけそういったところも描かれていたのが、後で考えるとほっとできました。 ラストは、あれっ?!と思いましたが、心だけを見つめた自分たちが、次はどうなっていくのか、再生できるのかというところを残していました。 原作の「白い闇」では、この状況が、どんなふうに描かれているのか興味が出てきたので、できたら読んでみたいです。 この状況から、アメリカのサバイバルドラマ「LOST」(お医者様、韓国人夫婦、銃を持って食料を独占する人も出てくる。テレビドラマなので、ソフトで緩めですが。)をちょっと思い出しました。人間の醜い面を描いたという点で、ラース・フォン・トリアーの「ドッグビル」も。 観終わってから随分たってからの記事UPになってしまいましたが、それだけショックも大きかったのかもしれないです。
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