|
私たちは冥王星があることは知っていても、その実態について、現時点ではほとんど何も知らない。 だが、7月14日にはこうした現状が一変する。NASAの無人探査機ニューホライズンズが約50億キロの旅を経て、この極寒の準惑星からわずか1万2500キロの距離にまで接近するのだ。いったい何が観測できるのか。唯一確実に言えるのは、冥王星が間違いなく人々を驚嘆させるということだ。
「私たちがこれまで思い描いてきた冥王星のイメージは、煙のように消えてしまうでしょう」。ニューホライズンズ計画の主任研究員アラン・スターンはそう語る。
「準惑星」に降格された天体
冥王星はいまだに私たちにはよくわからない天体だ。ニューホライズンズが打ち上げられた2006年、冥王星は太陽系の惑星リストから外され、新たに「準惑星」に分類された。そもそも冥王星は発見される前から一筋縄ではいかない天体だった。
海王星の外側に別の惑星が存在する可能性は、早くも1840年代には指摘されていた。
20世紀の初頭には、この未知の惑星を発見しようという競争が活発になる。海王星の発見から実に半世紀以上の歳月を経て、新惑星発見の栄誉を手にするチャンスだった。
米国ボストン生まれの大富豪パーシバル・ローウェルは、この未知の天体を「惑星X」と名づけた。そして私財を投じてアリゾナ州に天文台を造り、1905年にそこを惑星X探索の拠点とする。だがローウェルは1916年、惑星Xを確認することなく他界する。
やがて時がたち、1930年2月18日の午後遅く、当時24歳のクライド・トンボーがローウェル天文台で持ち場に就いていた。もともとカンザス州の農場で働いていたトンボーは、古い自動車の部品などを使って望遠鏡を作り天体観測していたのを認められ、天文台に職を得た。そして、ローウェルがついに発見できなかった惑星Xの探索を続けていた。
ブリンク・コンパレーターという光学装置を操作して、おびただしい数の星をつぶさに眺めていたトンボーは、あることに気づいた。6日間の間隔を置いて撮影した2枚の写真のなかに、位置が動いている小さな光の点があるのだ。光の点は、1枚目の写真では明るく輝く二つの星の左側にあるが、2枚目の写真ではそれらの星の数ミリ右側へ移動していた。トンボーは2枚の写真を何度も見比べ、その光の点が確かに位置を変えているのを確認した。彼は定規をつかむと、光の点の正確な移動距離を測った。それからもう少し早い時期に撮影された別の写真を取り出し、光の点を探した。別のカメラで撮影した写真にもこの光の点が写っていることを、拡大鏡で確認した。45分後、トンボーは確信した。
ついに惑星Xを発見した。
冥王星の素顔を知るには、間近から眺めるしかない。85年かかったとはいえ、私たちはついにトンボーが発見し、数々の論争の的となってきた準惑星に到達しようとしている。ある意味では、トンボーも冥王星に到達する。ニューホライズンズの機内には、彼の遺灰を入れたカプセルが収められているのだ。不屈の精神を象徴するこの遺灰は、冥王星に接近した後、カイパーベルトのさらに奥へ進み、別の知られざる小天体の探査へと向かっていく。
|
全体表示
[ リスト ]






わたしも報道を見ました。
発見当時は望遠鏡で覗いてみても
小さな白い点にしか見えたなかったものが
こんなに鮮やかな映像で見ることができるなんて
人類の長足の進歩ですね。
2015/7/14(火) 午後 6:37
> みかんジュースさん
トラブルもあったけど良くたどり着けました。
もっともパイオニアやボイジャーはもっと遠くへ行ってますがね・・・
2015/7/15(水) 午後 5:10 [ MASA ]