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日本の理化学研究所が合成した原子番号113番の元素が、国際機関によって、「新しい元素」として認定され、理研に命名権が与えられた。日本による元素の発見は初めてとなる。 アメリカに本部があるIUPAC(国際純正・応用化学連合)は30日、4つの新しい元素が発見されたと発表した。
このうち、原子番号113番は、理研・仁科加速器研究センターの、森田浩介グループディレクターを中心とする研究グループによって発見されたと認定した。
新元素113番の発見については、理研のほかに、アメリカとロシアの共同研究チームも発見を主張していたが、最終的に、理研による発見と認定された形となった。
審査に携わったミシガン州立大のブラッドリー・シェリル教授は「理研が合成した新元素113番のデータは、既知の元素との関連性を証明した」と話した。
この新しい元素113番は、今後、理研によって命名されることになる。
一方、選考委員の1人、東京大学の山崎敏光名誉教授は、FNNの取材に対して、理研が命名権を勝ち取った要因は、発見した原子核の数より、「信頼度の違い」だと話した。
東京大学の山崎敏光名誉教授は「数からいうと、ロシアの方がたくさん発見したということになっているが、その信頼度。理研は、結局3個発見したが、その3個とも非常に確かであると」と話した。
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物理
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東京大学 教授の古澤明氏らの研究チームは2015年3月24日、約100年前にアインシュタインが提唱した「量子(光子)の非局所性」を世界で初めて厳密に検証したと発表した。検証に用いた技術は、「新方式の超高速量子暗号や超高効率量子コンピュータへの応用が可能」(古澤氏)とする。なお、この研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Communications」(2015年3月24日[現地時間]オンライン版)に掲載された。
説得力ある検証できず100年論争に 量子の非局所性とは、1909年に物理学者のアルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)が、量子力学の不可解な例として提唱したものだ。
量子である光子が小さな穴(ピンホール)を通過すると回折して放射状に広がる。これを半球面上のスクリーン(センサー)で検出すると、スクリーン上の1点でしか光子は観測されない。この現象に対して、アインシュタインは「ピンホールで回折した光子は空間的に均等に広がるので、スクリーン上のどこにでも等しい確率で現れるはず。しかし、1カ所で検出されたら他で検出されないので、ある場所で観測された影響が他の離れた場所に及ぶような奇妙な相互作用が存在するのではないか」と主張。この奇妙な相互作用を“spooky action at a distance”(離れた場所の間で起こる奇妙な相互作用、超常的遠隔相互作用)と呼び、現在では「量子の非局所性」と呼ばれている。
この量子の非局所性は、多くの人には理解しがたい現象であるため、より厳密な検証が求められるが、十分な説得力を持つ検証ができず、「物理学の100年論争」とも呼ばれる非局所性の存在/解釈を巡る論争が行われてきた。
十分な説得力を持つ検証が難しい要因としては、光子を検出する効率が悪いなどの理由から「測定の抜け穴」と呼ばれる制約が生じることや、さらに光子の有無しか観測できず、「観測された影響が、他の離れた場所に及ぶ作用」を厳密に検証できなかったことが挙げられる。
そうした中で、オーストラリアのグリフィス大学教授のハワード・ワイズマン氏らが2010年に、単一光子にホモダイン測定を適応した検証方法「アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼン-ステアリング(EPR steering)」を用いることで、光子の非局所性を厳密に検証できる理論を提案していた。
ホモダイン測定とは、FMラジオにおける情報伝送方式がベースで、光の電磁波としての性質を利用して、被測定光に載せた情報を読み取る方法だ。ホモダイン測定で、観測する電磁波の属性は「位相」となる。FMラジオでは、情報を伝達するために、まず情報を載せる光/電磁波(搬送波)の各位相を、観測すべき信号の分だけシフトさせ、搬送波のコピーを干渉させることで、元の信号の振幅と位相関係を復元している。この手法がホモダイン測定であり、これを光子に応用して観測する検証方法が、EPR steeringだ。
そのためEPR steeringは、観測する位相(観測位相)を変えながら対応する振幅を得ることで、光子の有無のみを検出する従来手法より、多くの情報(観測された影響が、他の離れた場所に及ぶ作用)を得ることができる。さらに被測定光と搬送波のコピーを干渉させる際に、被測定光の信号を増幅するため、光子1つのような極微弱光でも高効率に測定することができる利点もある。
また、EPR steeringでは、光子がピンホールを通過することで無限の空間に回折する現象を、2カ所の空間に回折させて2つの量子間の非局所性を検証する方法論を提唱。単純に、離れた2つの量子の片方を観測(測定)し、もう片方の量子状態を推定することで、観測によって遠隔地の量子状態が変化したか否かを検証。その結果、常に遠隔地で観測に対応した量子状態の変化が見られれば、測定の影響(すなわち非局所性)が存在する根拠を示すことができるというものだ。なお、ワイズマン氏らは、測定の影響を確率論を用いて定量的に評価する「EPR steering不等式」を作り、同不等式を破れば、非局所性が存在する厳密な証拠となるとした。
粒子ではなく、波として 古澤氏らの研究チームでは、EPR steeringを提唱したワイズマン氏らの協力を得て、EPR steeringの手法を用い検証を実施した。
古澤氏らの検証は、生成した光子をピンホールで回折させる代わりに、入射する光の50%を反射し、残りの50%を透過する、部分反射ミラーで2つの光路に分けることで、光子が通過できる経路数を無限から2つへと減らす手法を採用。非局所性の検証において本質的な「光子の空間的な広がり」を残しつつ、実験装置を簡略化した。
A地点の測定が、B地点に影響 そして、離れた2つの光路の先(仮に、A地点とB地点)の両側で、光子の粒子性(光子の有無)を観測する代わりに、光子の電磁波としての測定(=ホモダイン測定)を実施した。その結果、部分反射ミラーの片側(透過光/A地点)のホモダイン測定の観測属性(位相)を変更すると、観測属性と得られた結果(振幅の符号)に応じて、もう片側(反射光/B地点)の量子状態に変化が生じることを確認したという。
なお、同研究チームでは、非局所性の存在を示す十分な根拠を得るために、電磁波の6 つの異なる属性でその効果を検証。その上で、EPR steering不等式の破れを検証し「光子の非局所性の厳密な検証に成功した。物理学の100年論争に、理論的には決着が着いた」(古澤氏)とする。
集大成、そして量子コンピュータへ 古澤氏らは以前から、粒子としての性格が強い量子である光子の“波”、“電磁波”としての側面に着目し、完全な量子テレポーテーション*1)や超大規模量子もつれの作成*2)など、量子コンピュータ実現に向けた開発成果を挙げてきた。
今回の量子(光子)の非局所性の厳密な検証実験の成功について、古澤氏は「長年開発してきた要素技術の集大成であり、新方式の量子コンピュータの実現に向けても応用できる成果」とした。
新方式の量子コンピュータについて古澤氏は「古典コンピュータに例えるなら、“アナログコンピュータ”と“デジタルコンピュータ”の双方の性質を利用した“アナデジコンピュータ”のようなもの。量子の粒子性は、デジタルのビット情報であり、堅牢な情報だ。一方で、量子の波は、アナログのような存在で、処理はアナログで行った方が効率が高い。量子の粒子性と波の性質の両方を使うことで、効率の良い量子コンピュータが実現できる」と語った。 |
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欧州合同原子核研究機関(CERN)は12日、大型加速器LHCを従来の2倍近くのエネルギーで3月中にも再稼働する、と発表した。宇宙の至るところにあるとされながら観測されていない暗黒物質(ダークマター)を見つけることが目標だ。 LHCはスイスのジュネーブ郊外にある加速器、2013年のノーベル物理学賞の対象になったヒッグス粒子を発見している。これまで8兆電子ボルトで陽子同士をぶつけて新粒子探しをしてきたが、2013年2月に停止して2年かけて改良してきた。13兆電子ボルトで再稼働するという。
実験に参加する高エネルギー加速器研究機構(KEK)の徳宿克夫教授(素粒子物理学実験)は「エネルギーが上がったことで、暗黒物質の仲間の粒子を見つけられるかもしれない」と期待している。
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スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を、青色発光ダイオード(LED)を開発した名城大学の赤崎勇教授(85)と名古屋大学の天野浩教授(54)、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授(60)の3人に贈ると発表した。
これで日本のノーベル賞受賞者は22人となった。賞金は800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)で、3人で分ける。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。
授賞理由は「高輝度でエネルギー効率の良い白色光源を可能にした青色LEDの開発」。
赤崎教授と天野教授は名古屋大時代の1985年、青色LEDの候補材料としては実現性が低いとみられていた窒化ガリウムで、透き通った結晶の作製に成功。89年に青色LEDを実現した。
中村教授は、窒化ガリウムの高水準の結晶薄膜を作り出す装置を開発。93年に高輝度青色LEDの実用化に成功した。
光の三原色(赤、青、緑)のうち、青色のLEDを作るのが最も難しかったが、光の三原色のLEDがそろったことで、照明などへの応用が広がった。
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昨年のノーベル物理学賞を受賞したヒッグス粒子の発見。万物に質量を与えるヒッグス粒子が見つかったことで、ようやくすべての素粒子の存在が証明された。だが、あくまで「発見」されただけで、素粒子物理学の世界はまだまだ謎だらけ。日米欧の研究者が次に注目しているのはミュー粒子だ。
■最後の発見「ヒッグス粒子」
素粒子物理学の枠組みである「標準理論」(標準モデルともいう)が完成したのは1970年代半ば。以来、標準理論が存在を予想した17種類の素粒子(数え方によっては18種類)は実験で次々に発見されてきた。
その中で、長年探索の手を逃れていた最後の1つがヒッグス粒子だった。だが、2012年7月、スイス・ジュネーブ郊外の欧州合同原子核研究機関(CERN)にある世界最強の大型ハドロン衝突型加速器LHCを用いた国際共同実験でついに存在が確認された。
これによって標準理論の正しさは完全に立証された。
■ほころび多い標準理論
だが残念ながら標準理論で、まだ森羅万象すべてを説明できるわけではない。むしろ、標準理論では説明できない謎がたくさんある。
様々な素粒子が、なぜ測定された質量の値を持つのかはまだ説明できない。物質を構成する素粒子は、2つのクォークとニュートリノや電子など4種類で1セットになっている。だが、そのセットがなぜ3世代存在するのかも不明だ。
また、ニュートリノは標準理論では質量ゼロとされていたが、実際には質量を持つことが東京大学の研究施設スーパーカミオカンデによって明らかになった。
物理学と天文学で最大の謎ともいえる正体不明の暗黒エネルギーと暗黒物質の存在も標準理論では説明できない。 ■日本の拠点「J−PARC」
そしてもう1つ、謎が多いのがミュー粒子だ。
ミュー粒子は質量が電子の約200倍も大きい以外は電子とうり二つの素粒子。このミュー粒子を用いて陽子の半径を測定したところ、電子を用いて測定した場合よりも半径がかなり小さくなってしまった。またミュー粒子の磁気モーメントという特性を精密に測定した実験結果と理論値にはズレがあることもわかった。
こうしたミュー粒子の実験の矛盾やズレの背後には、標準理論を超えた新理論から予測される新たな粒子の存在があるのかもしれない。日米欧はさらなる実験でミュー粒子の謎を解き明かそうとしている。
日本の拠点となるのは茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J−PARCだ。
強力な陽子ビームを使って非常に高品質のミュー粒子ビームを生み出し、磁気モーメントを従来の実験よりもさらに高い精度で求める。高エネルギー加速器研究機構を中心に,現在そのための装置を開発中で、10年代後半の実験開始を目指している。 (詳細は25日発売の日経サイエンス4月号に掲載)
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