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緊急の課題は宮家の存続と拡大
(産経新聞 2005/12/17 大原康夫 国学院大学教授)
何故そんなにも急ぐのか
12月1日、政府は内閣官房に15人のメンバーからなる
「皇室典範改正準備室」を設置し、改正案の策定作業に着手した。
「皇室典範に関する有識者会議」がまとめた女性・女系天皇を
容認する報告書に沿って作業を進め、来年3月に国会に上程するという。
報告書が提出されて一週間しかたっておらず、なぜそんなに急ぐのであろうか。
いや、急ぐといえば、有識者会議がそうである。
皇位継承の危機が現実化するのは百127代天皇以降であり、
まだまだ先のことで十分時間があるはずなのに、正規の会合は17回、
わずか10ヶ月という短期間でわが国の歴史上いまたかつてない女系導入
という重大な事柄の結論を出してしまった。男系維持や方策や女性天皇の
配偶者位置づけなどの論議が甚だ不十分・未熟なままに・・・。
報告書を通読しても、結論を急がねばならぬ事情は明らかではない。
唯一その理由だとみられるのは、特定の方を念頭に置いて、皇嗣に対する
「ご教育の方針が早い段階で定まる」ということであろう。
たしかに、将来天皇となられる方に「帝王学」を早くから進めるという
ことには一理あるが、それよりも先に行うべきなのは戦後全く考慮される
ことのなかった皇族の一般に対する特別のご教育ではないか。
明治憲法の下では、男子皇族は成年に達すれば貴族院議員に就任される
とともに、天皇の最高諮問機関である枢密院会議に列席される一方、
原則として陸軍の武官に任じられることになっていた。つまり、
天皇の文武の大権を補佐されるという皇族の役割が法令で明記
されており、一般の国民もこのことをよく知っていたのである。
何より皇族教育の復活を
その為に皇族に対する教育上格別の配慮がなされ、皇族就学令をはじめとする
法令の制定や、皇子付き職員ないし、東宮・皇子傳育官の設置、宮内大臣による
学習院の管理など、様々な手立てが講じられていた。
これに対し現憲法下では皇族の役割については法令に何の規定もない。
それでも皇族の方は「国政に関する機能」を有しない
「国民統合の象徴」である天皇をお扶けする準象徴として、
これまでも国際親善や慈善・福祉・学芸活動、あるいは各種の
国家的行事へのご出席など、様々な方面でご尽力されてきた。
だたマスメディアの報道の少なさもあって、
必ずしも国民の認知度は高くない。
皇族に対するご教育についても何ら定めはなく、
学習院も今日では普通の一私立学校にすぎない。
こうした事情からすれば、そのような重要な役割を担っておられる皇族一般に
対する教育の充実・整備が何よりも肝要であると言わねばなるまい。
こんなことが起こらないことを切に祈るが、万が一、皇嗣に「重大な事故」が
生じ、やむを得ず「皇位継承の順序」の変更(皇室典範第3条)がなされる
ような事態を想定すれば、なおのことであろう。
皇嗣の「ご教育」を理由として結論を急いだとみられる
有識者会議の姿勢は著しく説得力を欠く。
急ぐべきことは他にもある。
それは傍系から皇位継承の安定性を支えるべき宮家の存在を図ることである。
現在の宮家はお子様がおられないか、おられても女子であり、
このままでは全て断絶をせざるを得ない。これを防ぐとともに、
さらに宮家の拡大を図るための典範の改正が緊急の課題であろう。
立法化前に再吟味が必要
その方途は、これまで少なからぬ人々が主張してきたことだが、
有識者会議が十分な検討をしないまま、いとも簡単に放棄した
男系主義の原則を可能な限り維持する方向で構想されねばならない。
すなわち、終戦後にGHQ(連合国軍総司令部)の圧力で皇籍を離脱された
旧皇族を復籍させるとともに、皇族の養子制度を採用することである。
具体的には、
1、旧宮家をそのまま復活する。
2、廃絶した宮家を継承する。
3、現存の宮家と養子縁組をする。
といった方法が考えられるだろうが、
このような方策を先行して講じた上で、本題でもある皇位継承の
議論に入るのが典範改正のまっとうな手順ではないか。
政府は、ごく少数の委員による短期間の審議で、重要事項についての
十分な議論もないまま、二千年もの歴史を有する天皇制度の重大な
変更を提言している報告書をそのまま受け入れるのではなく、
さらに多くの人々の意見を聞いて、何が急がれ、何がさらなる検討を
要されているのか、改めて吟味し、慎重に立法化を考えるべきである。
■コメント■
男系維持派の保守派の主張はこうも説得力があるのだろうか。
それは保守的な立場から皇室典範改正に必要な改革を謳っているからである。
ポイントをフォントで色分けしたので有識者会議の矛盾した問題点と
保守的から必要な改革案を主張しておられるので熟読して戴きたい。
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60年も前のGHQの亡霊に未だに日本は侵食されている結果ですね。現憲法が皇族の地位を不当に貶め、それに沿って行動してきた日本人は、いつしか皇室の存在の「重み」を忘却してしまったような気がします。皇室典範のよりも、憲法における天皇・皇族方のお立場を再考する方が優先課題だと思います。
2006/2/2(木) 午後 5:44 [ gol*t*to*t2006 ]